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経ヶ岳頂上は小広く、樹林に囲まれているが、東南側だけは少し展望が開けている。
件 (くだん) のガイドブックでは、草原状の山頂からは、南アルプス、中央アルプス、
御嶽、
乗鞍岳、
北アルプスが一望できる と書いてあるが、14年の月日は頂上の様相を大分変えてしまったようだ。
また、頂上には経ヶ岳神社の祠もあると書かれているが、今は祠は無く、石碑と石像が残っているのみである。
ここで昼食をとったのだが、例の如く虫が五月蠅く、
落ち着いて握り飯を食べることができない。 |
少し開けた東南側からは、木々の間、
湧き上がるガスの上部にうっすらと山並みが見える。
当然、中央アルプスと思ったのだったが、どうも先程まで見ていた山々と姿形が違う。
しかし、どこかで見たような気がするので暫く考えたところ、どうやら
間ノ岳ではないか という結論に達した。
となると、間ノ岳から左に続く線の先は
北岳ということになる。
写真ではうっすらとしている上に、木が邪魔をして見えないが、確かに尖った山頂がわずかに見える。そして、
その北岳の大半を見え無くさせている大きな山は、
仙丈ヶ岳に違いない。
見えることを全く予期していなかっただけに大変嬉しい。 |  |
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しかし、その後 かなりシャッターチャンスを待ったのだが、ガスはここでも山を覆い隠し、二度と南アルプスを見ることはできなかったのだった。
山を撮ることを諦め、山頂を少し散策する。
先程述べたように、山頂には石碑がいくつかあり、そこにはそれぞれ 『 經嶽天御中主神 』、『 御嶽神社 』 と彫られている。
また、裏手には白い花が咲いていた。帰宅後、名前を調べたら、
どうやら 「コミヤマカタバミ」 らしい。クローバーのような葉と、
白い花弁に入った薄紫色の筋が印象的だ。 |
10時44分、下山開始。
山頂には 26分いたことになるが、この間、誰も来なかったのは嬉しい。しかし、虫が五月蠅い。
下山開始後、暫くして今朝ほど第 2ピット地点で追い抜いた人と擦れ違う。
その人も虫のことを気にしていた。山頂の虫は凄く五月蠅いことを告げる。
10分ほど下ると、先程 経ヶ岳の姿が見えた場所に着いた。今度は経ヶ岳の左に、今朝ほどはガスで見えなかった
御嶽の姿が見える。
なかなか良い光景だ。 |  |
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ササの道を下り、登り返して九合目。時刻は 11時3分。そのまま通り過ぎる。
すぐに大きな岩の下にある苔むした石碑のある場所に辿り着く。今朝ほどは、その存在に気づいていたものの先を急ぐために素通りしたのだったが、
経ヶ岳登頂を済ませて余裕があるので近づいてみる。
白い岩は風化し、また 苔もついていて彫られた文字が読めないが、最初の文字は 『 大 』 のようだ。
やがて、再び
御嶽の姿が見える場所に着いた。
さすがにこの時間になると、その姿はカスミ気味であり、さらにガスがそれを増幅させている。 |
11時16分、八合目に到着。
この明るい山頂には 4、5人が憩っていた。
ここでも山頂の虫のことを聞かれる。八合目でも虫は五月蠅いのだが、山頂はその比ではないと告げる。
今朝ほどは九合目 (大泉山) の高みを経ヶ岳と思って写真を撮ったのだったが、
今回は経ヶ岳の位置が分かるので、経ヶ岳を入れるべくアングルを変えて写真を撮る。
しかし、数年もすれば木々が伸び、
この八合目から経ヶ岳の姿は見えなくなってしまうであろう。 |  |