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やがて樹林が切れ、明るい斜面に出た。
本来なら、方角的に八ヶ岳が見えるところなのだろうが、
本日は白いカーテンが下りていて、全く山の形も見えない。覚悟はしていたのだが、やはり少々残念。
先程、雪を抱いた山 (将棊頭山だが、その時は分からず) が見えたことを考えると、もう少し登れば、距離的に近い
木曽駒ヶ岳は見えるのかもしれない。
そんなことを考えながら斜面を登る。 |
そして、高みに登り着くと、
そこには 『望郷』 と彫られた石碑が建っていた。八合目である。時刻は 9時30分ジャスト。
この 「望郷の碑」 は、南箕輪中学校の競歩登山を記念して建てられたものとのこと。
最初この碑を見た時、何かの事情によって 異郷であるこの木曽の地に住むことになり、
遙かなる地より故郷を思うというような深い謂われがあるのか と思ったのだったが、想像力が逞しすぎたようだ。
先の方を見やれば、また高みが見える。あれが経ヶ岳だろうとその時は思ったのだったが、
先に進んで、実際は九合目であることが分かったのであった。経ヶ岳は左奥。 |  |
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振り返れば、ガスが沸き立つ中、未だに山頂付近に雪を抱く山々が目に入ってきた。
よくよく目をこらせば、一番高い山が
木曽駒ヶ岳、
その手前が馬の背、そして馬の背の左に見える三角形は宝剣岳、そしてそのさらに左は伊那前岳ではないか。
この角度からの木曽駒ヶ岳、宝剣岳は、桂小場から登り、分水嶺に達した先で得られる展望と ほぼ同じなので同定できた次第である。
やった と思ったのだったが、すぐに沸き立つガスに飲み込まれてしまい、1、2分眺められただけであった。
まあ、見ることができただけでも良しとしなければ・・・。 |
八合目から緩やかに下って先に進む。
樹林越しに白い頂を持つ山がチラチラ見える。御嶽に違いないと思ったのだが、
木々が邪魔をしてハッキリしない。
イライラしながら少し先に進むと、樹林が切れて御嶽の姿をハッキリと捉えることができた。これは嬉しい。
少しカスミ気味な中に、雪を抱いた部分が浮かんでいるように見える。何か不思議な感じである。
この御嶽を見ることができたので、今日は満足。
足取りも軽くなる。 |  |
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やがて道は、ササ原の斜面となる。
斜面の先には小さな岩場が見える。あそこまで登れば、展望が良さそうである。ガスに負けまいと少し急ぎ気味に登る。
その時、下山者に出会った。年配のご夫婦であったが、頭から虫除けのネットを被っている。
これは大正解である。
八合目でもそうであったが、顔の周りを虫が飛んで五月蠅いことこの上ない。
また、カメラを構えると、レンズに虫が留まるは、シャッターを押す瞬間にレンズを横切るはで大変であった。
この時期、虫が羽化するタイミングなのか、人間が吐く二酸化炭素を求めているのか、兎に角煩わしい。 |
登り着いた岩場から振り返れば、
ガスの間に再び中央アルプスを見ることができた。
木曽駒ヶ岳とその右に木曽前岳、
そしてさらにその右に麦草岳が見える。
しかし、それも束の間、その姿もあっという間にガスに飲み込まれてしまったのだった。
しかし、先程 八合目でも中央アルプスはガスで見えなくなってしまったにも拘わらず、
こうして再び見えたのだから、またチャンスがあるかもしれない。
期待して先を急ぐ。 |  |