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雪の無い尾根を進む。
短い急登がいくつかあり、少々きつく感じるが、開放感溢れる場所だけに、それ程 疲れは感じない。
左手の富士山を眺めると、
富士山の下方に形の良い山が見える。
恐らく雁ヶ腹摺山と思われる。
この雁ヶ腹摺山から見た富士山が、旧 500円札 (昭和26年発行 岩倉具視の肖像) に書かれている富士山とのことだが、
そうなると ここから見る富士山もほぼ同じ構図ということになるななどと考えながら進む。
やがてヘリポート。ここからは雲取山を見ることができる。 |
ヘリポート、雲取奥多摩小屋を過ぎると、
道は 二分する。まっすぐ進めば、1,813mの高みを経由しての道となるが、ここは林の中の巻き道を進む。
やがて、1,813mの高み経由の道と合流。ここからの登りが一番厳しい。
時刻は 13時を過ぎているので、斜面の雪も融け気味だが、ここが一番軽アイゼンを使いたかったところである。
しかし、装着する時間も惜しいので足を置く位置を考えながら慎重に進む。
時折、樹林の向こうに目指す雲取山の姿が見える。 | |
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小雲取山に登り着けば、後はそれほど苦しい登りはない。
この辺になると雪もかなり残っているが、軽アイゼンは不要。気温も高く、登山者の中には半袖の人も見受けられる。
やがて、避難小屋直下の最後の登りにかかる。ここも距離が短いのでさしたる問題は無い。 |
避難小屋の前を過ぎ、雪の尾根を右に進んで行けば、
やがて 雲取山山頂に到着。時刻は 14時8分。
さすがにこの時間になると、富士山は霞み気味。
これは致し方ないことである。
ここからは飛竜山が大きく見える。
ただ、その後ろに見える南アルプスの山々は最早 完全に空の色に溶け込んでしまっている。
西を見れば、うっすらと見える甲斐駒ヶ岳の右側に
黒金山、
北奥千丈岳、国師岳と続く山並みが見える。
そして、そのさらに右には木賊山、甲武信ヶ岳、
三宝山とお馴染みの山が続いている。
なかなか素晴らしい光景だが、朝方に石尾根に立った時程の感動はない。 | |
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雲取山に来たら、
原三角測點を見ておかねばならない。
これは、内務省地理局によって 1883年 (明治16年) に設置された角錐柱の標石で、
陸地測量部に測量業務が移管されるまでの間、全国 16カ所に置かれたものの一つということである。
この 16カ所の原三角測點で現存、あるいは再発掘されたのはこの雲取山と新潟県の米山頂上にあるもの、
そして西上州・白髪岩のものだけとのことである。
頂上は雪が多く、腰掛ける場所もあまりないので、すぐに退散することにし、
避難小屋を挟んで反対側の山梨百名山の標柱がある岩場へと戻る。 |
岩場に腰掛けて暫し休憩。
ここから眺める石尾根はいつ見ても気持ちが良い。
足下に見える石尾根は途中から右に曲がっているが、曲がる前の尾根の延長上には、今朝程登った鷹ノ巣山、そしてその右には水根山、
その後方右手に大岳山、そして手前に日陰名栗ノ峰、その右隣に御前山が見える。
石尾根の曲がった先には小雲取山が見え、その右後方には丹沢山塊が見える。
これに富士山を加えて、
暫し景観を楽しみ、14時20分に下山を開始する。 | |