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高度を上げて 先程の玉ノ窪カールの基部を見下ろす。
ガスが視界を狭めているが、逆にそれが日の当たる場所を限定し、カールの基部にスポットライトが当たっているように見え、
紅葉の見事さがグッと強調されている。
小さな写真にしてしまうと、その見事さが伝わらないので残念だが、本当に素晴らしい眺めである。 |
道は、写真の様な岩がゴロゴロした斜面をジグザグに登って行くようになる。
岩にはペンキ印がつけられており、また道の方も 蛸胴突きなどの道具を使って 隙間なく押し固められたようになっており、
安心して登って行くことができる。
また、周囲にはハイマツ以外に木々は見られなくなり、完全に森林限界を越えてきているのが分かる。
木曽駒ヶ岳と木曽前岳との鞍部はもうすぐである。 | |
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右を見上げれば、木曽前岳のハイマツの斜面が伸びやかな姿を見せてくれている。
どうやら木曽前岳は小さな双耳峰になっているようである。
一方、左手の木曽駒ヶ岳は最早 完全にガスに飲み込まれてしまっており、
その上部はほとんど見ることができない。
やがて、鞍部が近づいてくる。ガスの中に電車の様な玉の窪小屋の姿が見えてくる。
電車の様に見えるのは、横に長い黒っぽい建屋に電車のような窓枠があり、その窓枠の下に窓を覆うための青い外扉が付いていて、
まるで電車のドアの様だからである。 |
10時56分、
鞍部に到着。玉の窪小屋を取り囲む石垣の傍らに 『 九合目 』 と彫られた標柱が見える。
その後方には木曽駒ヶ岳の姿が見えるはずだが、
今はガスに囲まれてしまっており、うっすらと高みが見えるだけである。
ここで休憩したいところだが、頂上も間近ということで、休まず玉の窪小屋の横を通ってそのまま頂上へと向かう。
ここで初めて南側が見えることになるが、三ノ沢岳はガスの中にその姿を見ることができたものの、宝剣岳など主脈の山々はガスで全く見ることができない状態であった。
良く整備された岩の道を登っていく。周囲には石碑、石仏が数多く見られ、この山が信仰の山であることを思い起こさせてくれる。 | |
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道は良く整備されており、さらには植生保護の為か、道の左右にロープも張られている。
流れるガスは濃淡を繰り返し、時々 上部の高みが見えるものの、総じて視界が利かない中の登りとなる。
一方、振り返ると、木曽前岳方面はガスが流れておらず、その双耳峰がよく見える。
この木曽前岳は、こう見るとなかなか立派な山容をしているが、三角点もなく、また上松Aコースの場合でも 巻き道があるため全員が登るとも思えず、
少し不憫を感じてしまう。
とは言え、小生もこのまま将棊頭山、茶臼山へと進むので登ることはない訳で、少々もったいないと思った次第である。 |
ガスの中を進む。
やがて、頂上木曽小屋の前を通過する。振り返れば、ガスの中に麦草岳が浮かび上がり なかなか素晴らしい眺めである。
ただ、麦草岳の南側、北俣沢方面の斜面崩壊は凄まじく、紅葉の山肌に白く浮かび上がるその姿は痛々しい。
前を向けば やはりガス。その中に人々の立つ高みがうっすらと見える。
恐らくあれが木曽駒ヶ岳頂上であろう。
この状態では頂上から展望が得られないのは分かっているが、それでも自然と早足になる。 | |
| そして、
11時28分、木曽駒ヶ岳山頂に到着。
まずは頂上に 2つある祠のうち、木曽側の立派な祠が迎えてくれる。
その祠の周囲を回った後、三角点を踏み、伊那側の祠へと向かう。それぞれを写真に収めた後、記念撮影の合間を縫って木曽駒ヶ岳の標柱を撮影し、
そのまま下山することにする。
頂上はガスに囲まれ、視界が全く利かない状態なので、あまり休憩する気になれなかったからである。
さて、ここで この先どうするか暫し思案する。このままガスの中を将棊頭山方面に進んでも何の面白味もなく、さらには将棊頭山には既に登っていることから、
急遽予定を変更する。なかなか見事な山容の木曽前岳に登り、先程ちょっと気になった麦草岳にも登って往路を戻ることにしたのである。
11時33分、下山開始。 |