氏名 リドリー・スコット

Ridley Scott

作品名
監督 でーれーえぇが 「エイリアン」(’79)、「ブレードランナー」(’82)、「ブラック・レイン」(’89)、「テルマ&ルイーズ」(’91)
  観てみられ〜 「ブラックホーク・ダウン」(’01)
  こんなもんじゃろ 「グラディエーター」(’00)
  観とらんのんじゃ 「デュエリスト/決闘者」(’77)、「レジェンド/光と闇の伝説」(’86)、「1492・コロンブス」(’92)、「白い嵐」(’96)
  おえりゃあせんのぅ 「G.I.ジェーン」(’97)、「ハンニバル」(’01)
略歴   英国のサウスシールズ出身。ウエスト・ハートルプール美術大学を経て、ロンドンの王立芸術大学で舞台芸術を専攻する。卒業後、BBCでCM制作に携わったのをきっかけに自ら制作会社を設立。映画界デビューは「デュエリスト/決闘者」(’77)。
総評    彼の業績は見てのとおり、「エイリアン」に始まり、「テルマ&ルイーズ」で終わった、と思っている。この12年間は実にすごい作品を連発している。それに共通するのは、湿気・闇・いかがわしさだ。あの「ブラック・レイン」での大阪の街を見ろ。あの映像を撮れるのは彼しかいなかったんだ。
 ところが、これを表現することができなくなった後発の作品には目を覆わんばかりだ。さて、問題の「ハンニバル」はどーなってることでしょうねえ・・・。

追記(2002/10/18)

「グラディエーター」「ハンニバル」「ブラックホーク・ダウン」と話題作を連発してきたところで、再評価を行うことにした。各作品評を参照願いたい。正直、「グラディエーター」でのオスカー受賞には疑問があるのだが対抗馬の関係もあり、やむを得まい。冒頭の混戦シーンが出色であったのは認めるが、他のシーンはおしなべて(マキトモさん曰く)手堅い演出であり、よく言えば安定感がある、悪く言うと凡庸であった。故に、堂々オスカーを手にしての凱旋復活とは認めがたかったのが当時の感想である。そして、「ハンニバル」。不安は的中した。原作シリーズの特性をつかめず、またかつての十八番であった、暗闇・猥雑・湿気を活かしきれなかったと感じたのである。ああ、やはり、ここまでであったか。そして、「ブラックホーク・ダウン」である。時期が時期(「パール・ハーバー」、「エネミー・ライン」が公開、9・11の影響により「コラテラル・ダメージ」が公開延期。「ワンス&フォエバー」は公開待機)であり、米国側から捉えたソマリア紛争が題材、とまあ、話題先行が必定な条件での公開であったため、あえて鑑賞したいとは思えなかったのである。今回、レンタルリリース初日に最新作料金&一泊二日でレンタル、と通常では思えない行為に及んだのは、「宣戦布告」を鑑賞したことが遠因であるとも考えられる。

 さて、「ブラックホーク・ダウン」の作品単体の評価は個別評を参照いただくとして、この復活後3作品に共通することにふと気が付いた。彼は、また別の演出技法に凝っているようだ。今度は、どうも「スピード」感の表現を熟成したいらしい。わたしが好きになれなかった「グラディエーター」の冒頭の混戦シーンでのざらざらした映像、「ハンニバル」で後続車にぶつかりながらもレクター博士を連れ去る車を追いかけるクラリスと砕けるフロントガラス、そして今回の「ブラックホーク・ダウン」では文字通り土と埃まみれになる兵士達の描写。すべてが、目の前で起きていることを体感させるような映像と感じられる。その不自然な画面は、感覚的にはリアル(現実的)なのだ。

 ここにきて、わたしは認めざるを得ない。映像作家リドリー・スコットはやはり映像の魔術師のひとりであり、切っ先を整えて戻ってきたのだと。

 

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