邦題「ワンス&フォエバー」
原題「We were soldiers once ...and young」
評者 |
評価 |
ひとこと |
ほーく |
1 |
制作意図に憤りを感じる。 |
<コメント> |
※ ネタバレ警報(MAX) ひさびさに「1」である。従来、「1」は人気先行で内容の薄い噴飯物の作品に与えてきたのだが、敢えて今作品はそれとは無関係に「1」とする。 その理由を述べるためには、かなり具体例を挙げる必要があるので、前例にないほどのネタバレになることを承知願いたい。また、当然のことながら、わたし個人としては今作品を誰にも勧めたくはない。よって、以下の文は、うっかり鑑賞してしまった方及び未見の方へ別作品を推奨することを目的としたい。 まず、この作品の根底にあるものを探っていこう。舞台はベトナム戦争。当然のように先行作品はあまたあり、幾多の議論を生んできたところである。 ここ一年(2002年7月前後)公開されてきた、戦場を舞台としたハリウッド作品を列挙してみよう。「パール・ハーバー」、「エネミー・ライン」、「ブラックホーク・ダウン」。これらに共通されるものはなにか?迫力の戦闘シーンであり、攻撃される米軍兵士であり、奮戦する米軍兵士である。 「プライベート・ライアン」、「シン・レッド・ライン」をブレイクスルーとして、無造作に訪れる確率的な死という演出は、もはや戦争を題材とする作品には必須と言えよう。 2001年9月11日。この日を境に、世界はアメリカの姿を意識しなおしているだろう。よって、前述した先行作品の根底には、「勇敢に敵に立ち向かい」、「決してひるまない」アメリカの姿勢を誇示、いや、自信を喪失している国全体の雰囲気を塗りかえる意図を感じてしまう。 確かに、この作品は北ベトナム軍を人間の集団として描いた。彼らの闘う姿勢を解釈した。わざわざ、一兵卒をしつこく描いた。毅然とした司令官を登場させた。ただ、そのために用意した演出は何か?「皆殺し」にされたフランス軍の存在である。そして、それにかぶせるように「インディアン(蔑称であるがあえて表記させていただく)」に「虐殺」されているように見えるカスター将軍率いる第7騎兵隊の挿絵である。家族の写真を胸にし、わざわざ、メル@ムーア中佐に冷徹に射殺されるシーンである。結局のところ、局地戦で戦術的に裏をかかれ敗北し、多数の部下を死なせた司令官である。安全になったところで激戦の跡に群がるお抱えジャーナリストの姿である。所詮、北ベトナム軍兵士たちは、米軍に敗北するために登場したに過ぎない。 敢えて言う。確かに、最前線で戦った兵士の多くは自分の命及び家族を守るために、全力を尽くした。それには、ある種の敬意は払うべきであろう。しかし、である。それをだしにして、その戦闘に共感するようにしむけることは卑劣な行為である。今作品で、次々と倒れる米軍兵士に目を背けた観客は多いと思うが、同様に北ベトナム軍兵士の倒れる姿に目を背けたであろうか?一種のシューティングゲーム感覚で敵をなぎ倒す快感を感じなかったか?アメリカが制作する作品であるから、当然だという方もいるだろう。ならば、問う。何故、この時期にこの映画が必要なのか?これが「1」にした理由である。 ちなみに、監督&脚本&制作のランダル・ウォレスは、かの「パール・ハーバー」の脚本家でもある。 お薦めベトナム戦争関連作品:ベトナム3部作「プラトーン」、「7月4日に生まれて」、「天と地」@オリバー・ストーン、「地獄の黙示録」@フランシス・F・コッポラ、「フルメタル・ジャケット」@スタンリー・キューブリック、「ハンバーガー・ヒル」@ジョン・アービン、「カジュアリティーズ」@ブライアン・デ・パルマ、「ディア・ハンター」@マイケル・チミノ。 |
主演 | メル・ギブソン |
共演 | |
監督 | ランダル・ウォレス |
脚本 | |
衣装 | |
美術監督 | |
撮影監督 | |
音楽 | |
編集 | |
OST | 未購入。 |
2002年作品 | |
http://e.goo.ne.jp/special/once/index.html |