邦題「ブラックホーク・ダウン 」

原題「 Black Hawk Down 」

2002/10/17@自宅ビデオ鑑賞、2004/6/4@自宅DVD


評者   

評価  

ひとこと

ほーく

 リドリー・スコットは確かに復活した

<コメント>

 「グラディエーター」「ハンニバル」と話題作を連発して、見事な復活を果たしたと言われていたリドリー・スコットだが、どうもそれには否定的だった。詳細はこちら。しかし、ここで認めなければならない。確かに、彼は復活した。新たなる魔術を携えて。

 ソマリア紛争。PKF活動。アメリカの介入、完全撤退。そして、9・11。この背景を無視して、この作品を観ることはどうなのだろうか。あまり気にせず、鑑賞した方もいたとは思う。しかし、それでも観賞後は意識したのではないだろうか。そうできるように今作品は作られている。

 今作品の公開前、複数のメディアによって、これが実際に起きた事件を題材にしていることが報じられ、ドキュメンタリー番組も複数放映された。その出来不出来はさまざまである。その時期が9・11以降であったことも、余計にわたしを映画館から遠ざけた一因である。今回、ビデオにて鑑賞したのだが、作品の出来としては申し分ないと思われる。以下、それをまず述べよう。

 映像について。充分迫力のあるシーンの連続であり、そのテンポも乱れがなく、緊迫感を最後まで持続させている。ある意味、このことにかなりの比重を置いたことが成功の大きな要因と言えよう。

 俳優陣については、いわゆる集団劇であるので下手に個性的すぎる必要はなく、語り部のジョシュ・ハートネット、タフガイ演じるならこのひとトム・サイズモア、苦悩の将官が非常に似合うサム・シェパードのほか、必要充分に描き分けができており、まるで「ハンバーガー・ヒル」である。ギャラは今作品のほうが遙かに高いが。※1

 脚本について。今作品の中では、矛盾はさほどなく、シンプルで典型的なものである。あえて、非を唱えるほどではない。

 ということで、作品単体では充分に完成度も高く、見応えはあると思われる。しかし、あえて「4」にしたのは、それだけではない。やはり、背景を含めてこその「4」である。

 最後に個人的好みについて一言。「ワンス&フォエバー」評でも申し上げたとおり、わたしはここ近年の「現場のオレ達は、仲間のために戦っているんだ」を否定はしない。ただ、それを免罪符にして、アメリカン・ナショナリズムを煽るような姿勢に賛成できないのだ。

観客は、なぜソマリアの人々があれだけ米軍を攻撃したのか想像しただろうか。老若男女問わず、武器を拾うその姿をどう考えただろうか。先入観で誤解していたのだが、リドリー・スコットは、ちゃんとそれを意識して今作品を描いている。故に、評価「4」としたのである。なければもちろん「2」扱いである。

 そして、やはり思う。何故、こんな作品を映画化するのだろうか、と。

2004/6/4 追記

 改めて今作品を見直してみる。結語にこの文を追加したい。
『何故、アメリカはいまだ同じ過ちを犯すのであろうか、と。』  

 



※1:油断してたら、後に活躍する若手が結構出てました。 2004/6/4 追記

ex.エリック・バナ@「ハルク」のハルク、「トロイ」のヘクトル王子、オーランド・ブルーム@「ロード・オブ・ザ・リング」のレゴラス(エルフ)、「トロイ」のパリス王子

 


出演              ジョシュ・ハートネット@エヴァーズマン軍曹(チョーク4を指揮)
ユアン・マクレガー@グライムズ特技下士官(基地デスクが何故か出撃に,コーヒー入れが得意→チョーク4へ)
トム・サイズモア@ダニー・マクナイト中佐(レンジャー,車輌隊を指揮)
エリック・バナ@”フート”ギブソン軍曹(デルタ,キロ11を指揮,最初に自転車を担いでヘリに乗り込むシーンで登場)
ウィリアム・フィシュナー@サンダーソン軍曹(レンジャー,車輌隊)
ユアン・ブレムナー@ネルソン(チョーク4,トゥオンブリーとともに途中で戦場に取り残される,戦闘中、機銃の音で耳が聞こえなくなる)
サム・シェパード@ガリソン少将(司令,基地で苦悩しまくり)
ガブリエル・カシアス@クース(チョーク4)
キム・コーツ@ウェックス
ロン・エルダード@デュラント准尉(墜落した2機目のパイロット,捕虜になる)
アイオアン・グラファド@デレック
トーマス・ギアリー@ユーレク(チョーク4,戦闘中、班とはぐれる→トゥオンブリーとネルソンと合流)
チャーリー・ホフハイマー@ジェイミー・スミス(トゥオンブリーを助けようとして被弾→大腿動脈大量出血により死亡)
ダニー・ホッチ@ピラ軍曹(車輌隊,軍曹の物真似を披露,先頭車輌の銃座で被弾→死亡)
ジェーソン・アイザックス@スティール大尉(レンジャー部隊全体を指揮)
ゼルイコ・イヴァネク@ハレル中佐(ヘリから地上部隊を指揮)
グレン・モーショワー@マシューズ中佐(航空部隊を指揮)
ジェレミー・ピーヴン@”エルビス”ウォルコット(墜落した一機目のヘリ・パイロット→死亡)
ブレンダン・セクストン3世@コワルスキー(死亡)
ジョニー・ストロング@シュガート(デルタ、出撃前夜にゴードンとチェスをプレイ,墜落した2機目のヘリ・パイロットを掩護しに降下→死亡、名誉勲章を授与される)
リチャード・タイソン@ブッチ
ブライアン・ヴァン・ホールト@ストルッカー軍曹(レンジャー,車輌隊,最初の負傷者を基地へ搬送し戦地に戻る部隊を指揮)
ノコライ・コスナー・ワルドー@ゴードン(デルタ,墜落した2機目のヘリ・パイロットを掩護しに降下→死亡、名誉勲章を授与される)
スティーヴン・フォード@クリッブス中佐(国連軍に応援依頼の交渉へ)
イアン・ヴァーゴ@ワデル(チョーク4)
トーマス・ハーディ@トゥオンブリー(チョーク4,ネルソンとふたり最初の配置場所に取り残される)
グレゴリー・スポールダー@ギャレンタイン(チョーク4,通信兵)
カーマイン・ジョヴィナッゾ@ODDDALE
クリス・ビーテム@ジョイス(車輌隊,死亡)
タック・フィッツジェラルド@ディトマソ
マシュー・マースデン@サイズモア(出撃前に卓球で骨折→代わりにグライムズが出撃に。)
オーランド・ブルーム@ブラックバーン上等兵(新兵→チョーク4,作戦中にヘリから落下)
ケント・リンヴィル@オシック(車輌隊,千切れた手首を無意識にポケットに)
エンリケ・マルシアーノ@ロレンゾ・ルイス軍曹(終盤、スティール大尉の側で負傷→死亡)
マイケル・ルーフ@マドックス(車輌隊,先頭車の運転中に被弾)
ジョージ・ハリス@アット(実業家,アイディード派への資金提供者)
ラザーク・アドティ@MD'ALIM
トレヴァ・エティエン@FIRIMBI
タイ・バーレル@ウィルキンソン
ボイド・ケストナー@ゴフィーナ(ハレル中佐搭乗ヘリ・パイロット)
ジェーソン・ヒルデブラント
ジョラッタ
監督 リドリー・スコット
脚本 ケン・ノーラン
原作 マーク・ボウデン

http://www.ywad.com/books/1226.html

衣装デザイナー デヴィッド・マーフィー(軍服)、サミー・ハワース・シェルドン(ソマリ族)
美術デザイナー アーサー・マックス
撮影監督 スワボミール・イジャック
音楽 ハンス・ジマー
編集 ピエトロ・スカリア A.C.E
軍事コンサルタント トーマス・マシューズ大佐(米軍退役軍人)、リー・ヴァン・アースデイル大佐(米軍退役軍人)
OST 未購入。
2001年作品 2時間25分
参考URL http://www.tdx.co.jp/movie/djvie01/vie00790.asp

http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2004/01/post_11.html

http://www.eigafan.com/New_info/Review/bhd/main.html


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