第3部 フリートーク(第13回日本AS友の会定期総会)


(井上事務局長)
 それでは、時間になりましたので、ご着席下さい。


(M女性部長)
 では、第2部のフリートークに行きたいと思います。 後半になってくるとだんだん疲れてきまして……(笑)。えーと、 テーマは「普段着のままで」ということで、いろんなことを話して いただきたいと思ってこういうテーマにしました。せっかく来て いただいたんですから何かしゃべって帰って下さい。お願いします。

 でないと私、来年からまたこの時間が苦痛になってしまいますので、 よろしくお願いします。みなさんのご質問を集めましたところ、 井上先生にお答えいただく医療相談というのが多かったようですので、 まずそれからお願いしたいと思います。


(井上事務局長)
 はい、えーと僕ばっかりしゃべってるみたいなんですけど、 きっかり5時で終わらなきゃいけなくて、残念ながらあまり時間が ないんで、とりあえず質問に対してお答えして、あと時間があれば Mさんに司会していただいてフリートークをやることにします。

 じゃ、どんどん届いたご質問を読んで僕が答えていきます。 今見たばっかりですから答えられる範囲で行きます。


 1番目、 虹彩炎、目の病気ですね。その
「虹彩炎以外の合併症について 詳しく知りたいです。発症後呼吸器疾患やアレルギーなども含め体調不良が 続いています。整形科の教授は、私はそんな症状は知らない、たいした病気 じゃない……という一言で済まされ、内科はそもそもASについて無知なのが 現実です」。

 まあこれが現実なんですけどね、申し訳ないんですけれども、虹彩炎以外の 合併症については 「療養の手引き」 にいくつか書いてあると思います。で、発症後呼吸器疾患アレルギーで 体調不良が続いてますとおっしゃってますが、ASに直接由来した呼吸器の 合併症というのは「肺線維症」。

 これはもう欧米でも数%だったかな、日本ではもっと少ないですから、 あるいは少ないんだけどASの合併症として発表されてないということも あるかも知れませんが、とにかく非常に少ない。従って、ASと直接関係の ある呼吸器合併症というのはほとんど無いと考えていいかもしれません。

 ただ合併症というより、たまたまよく一緒になるのは、ASってわりと ヤセ型の人に多くて、会長はだいぶ太ってらっしゃるけれど(笑)、 そういうヤセ型の体型の人っていうのは自然気胸という病気を起こす人が 多いんですね。でも、これを発症すると、胸痛とかカラ咳とか呼吸困難とかが 急に出ますから、すぐにわかります。

 それ以外にはですね、ASでは胸郭の動きもだんだん悪くなりますから、 肺に空気が充分入らなくなります。ですから時々深呼吸やって空気を肺の隅々 にまで送り込んで肺胞を膨らませてやるよういつも指導しているんですけれど、 そういうことをあんまりしないで、その上タバコをたくさん吸う、そうすると 慢性気管支炎起こす、こういうことによって気管支炎とか肺炎とか肺気腫が 起こり易くなります。

 それからアレルギー、これは直接的には関係ないと言えますが、ただし ASそのものはなんらかの細菌感染に関するアレルギーの反応がきっかけに なるらしいと推察されてますから、例えばアレルギー性鼻炎があるとか、 僕もありますけども、ジンマシンや薬疹が出易いとか、金属アレルギーとか、 そういうことが合併し易いということはあるかもしれません。

 でも、ASだから必ずアレルギー体質だとか、アレルギー体質の人がASに なり易いとかそういうことまではまだハッキリ言えない、データはないという ことですね。

 それ以外には、AS患者の死因でけっこう多いのは消化管の癌ですね。 ASは癌を合併し易いか?という話ですが、例えば膠原病の中で皮膚筋炎なんて いう特殊な病気は癌を合併する可能性が高いことで知られていますが、 ASの患者で、まあどこかの国で発表があるかもしれませんが、私の知る限り では特に癌の合併率が高いというのは聞いたことがありません。

 ただ、気をつけなきゃいけないのは、あちこち痛いと、「あぁいつもの ASの痛みだな」と思っていたら、実は癌の骨転移だったということが ありますので、定期的に人間ドッグに入るとか、普通の人よりも余計全身の チェックをしておく必要があると思います。

 いつものASの痛みとはちょっと性質や程度が違うなと感じたときは特に。 患者自身の“カン”って、医者なんかよりも当たります。もっとも、 神経質になり過ぎるのも困りものですが。それ以外には、まあ薬によって出る 副作用はもちろんあります。

 胃の調子は、まあ消炎鎮痛剤、あとで話が出ると思いますが、胃腸障害は 多かれ少なかれ半分くらいの人には出るようです。その他には手がしびれる とかね。頭が痛い、実はずっと飲んでる痛み止めの副作用で頭が痛いなんて こともある。変な話なんですね。

 抗生物質を止めたら熱が下がったとか、痛み止め止めたら頭痛がなくなった とかいう話はいくらでもありますから、薬をずっと飲んでる方で不愉快な症状が ある場合には、一回やめてみるという手はありますね。ASなんて、止めたって 死んじゃう病気じゃないんだから。

 それから、心臓の大動脈弁不全や伝導ブロック(不整脈)、特殊な蛋白が 臓器に沈着するアミロイドーシスによる腎臓障害など、こわいものを挙げれば キリがなくなりますが、すごく稀です。

 まぁ 「療養の手引き」 に書いてある以上のことは言ってません。ただし発症後に体調が悪くなったのは どっちかというと当たり前の話です。ASなんてやっかいで、精神的ショックを 生じるような病気を発病すれば、当然、自律神経機能が乱れる、自律神経は 免疫やホルモン分泌に密接に関与していますので、発病後、いわゆる体調が 狂うという事態は理屈として十分あり得ることだと思います。

 人間の身体は機械じゃないんだから、全部有機的につながってますから、 どっか一部が悪くても気分も悪くなる、気分が悪くなれば白血球やリンパ球の 機能が落ちる、そうすると感染に弱くなるとか、自律神経が狂えばのぼせる、 ふらつく、汗が出る、いろいろそういうもの全部が二次的三次的に出て来る 訳です。

 指の先を怪我しただけでも全身の体調がおかしくなるのが人間ですから、 そういう意味であればASがきっかけで全身の体調が悪くなることは当然と 言えば当然です。

 そして、自律神経機能、さらには免疫機能なんかには、心理的・精神的な ものがかなり影響しますから、それにあまりこだわるとどんどん悪循環で 悪くなる、この辺をどっかで断ち切るということが大切なんですね。 それ話し始めると時間がなくなりますからこのへんにしておきます。 場合によっては、あとで個別にご相談下さい。


 次、
「最近アメリカでは消炎剤でCOX−2だけ 抑えるセレブッレクス®という薬が出ているようですが 日本で使われてるボルタレン®、ロキソニン® などと比べて効果はどうなのでしょうか?」。

 これは毎年出る質問ですけど、 過去の「らくちん」 に繰り返し書かれています。セレブレックス®ほどでは ないけれど、COX−2を優先的に抑えるという薬は日本でも、既に出てます。 モービック®とか何だっけかな2つくらい出てるな、あー ハイペン®だったかな。

 ただ、実感として、切れ味があんまり良くない。セレブレックス® を個人輸入で飲んでる人はいます。危険性を覚悟でです。そういう人たちの 話を聞いても、日本で多いボルタレン®とか ロキソニン®なんかに比べて、特に痛みに効くという印象は ありません。

 この薬は、胃腸に対する副作用が少ないというだけです。それをちょっと 勘違いされてる方がいます。勿論、すごく効いたという方もいます。 それは、セレブレックス®の薬効がすごいということでなく、 ピタリ、その人に合ったというように考えた方が良いと思います。

 いずれ遺伝子解析によって、あなたはロキソニン®が効く、 あなたはボルタレン®が効くということがわかるようになる そうです。つまり、オーダーメイドの治療。COX−2阻害剤は、 一般論として、特別に痛みに対する効果が強いという訳ではない ということです。


 それから、
「医療費負担が3割となって薬代の 負担が大きくなっていますが、サプリメント扱いの痛み止めが安く売られて いるようですが、強直性脊椎炎の痛みに効くようなサプリメント等 ご存知ありませんか?」
というご質問です。

 サプリメントは補充療法というかビタミン剤とかそういうのですね、 扱いは薬でなく健康食品ですね。痛み止めということでサプリメントとして 出ているものありますかねえ。キャッツクロウ?。聞いたことあるような ないような。

 ただ、確かに効く人もいるんでしょうね。副作用なく、効いたんだったら、 そのような情報はどんどん教えて下さい。よく外来診察でも患者さんから 聞かれるんですけども、その薬の説明書を読ませてもらって、危険性が なさそうであれば、僕は「とりあえずやってみたら?」と言います。

 しばらく飲んでも変わりない、あるいは悪くなる、あるいは副作用が 出たら止めなさいと。良いようだったら続けてもいいんじゃないかとも。 ただし3ヶ月に一度は、やっぱり血液検査をしたりして副作用のチェックを しておいた方がいいと思います。

 中国から来たすばらしい漢方薬だって言ってたのが実は肝臓障害を 起こして、患者さんが死んじゃったなんていう話もありましたし。 西洋医学の薬は危険、それ以外の物が安全ということは決してないんだから、 気をつけなければいけないと思います。

 「ホントにこれいいの?」って聞かれて、良いとか悪いとか言えない所が 辛いところですね。というのはデータがないんですね。同じ症状、あるいは 病気の人100人に使って、ちゃんとした治療効果判定基準に則った統計を とって、何パーセントに効いたとか、何パーセントに副作用が出たとか、 そういったデータが出て初めてその薬の有効性について評価できるんですが、 民間薬とか東洋薬には、そういうデータがほとんどありません。だから、 我々医者はもろ手を上げて「是非飲んだら」と言う訳には行かないんです。


 それから
「強直性脊椎炎は 関節リウマチとは まったく違うのでしょうか?。リウマチにはグルコサミンやコンドロイチンで 関節の破壊の防止や修復ができる事例もあるということですが、強直性脊椎炎に 効果は期待できますでしょうか?」

 これはこれまでにも何度か質問が出ました。アメリカの方ではかなり関節の 老化現象である「変形性関節症」、あるいは「関節リウマチ」なんかにも効いた という報告、それも医者によるちゃんとした統計が出ているようです。

 最近の整形外科の雑誌にも「初期の変形性膝関節症には有効」と出てました。 薬屋さんでも売ってますね。ただ去年も言ったと思いますけど、軟骨の変性を 抑えるという作用ですので、残念だけど強直性脊椎炎というのは病気の主体が 軟骨じゃないんですね。

 靭帯の骨への付着部が病気の初発部位、主体部位ですから、理屈から言うと、 これらの薬は効かないんじゃないかと、個人的には感じています。でも 「絶対飲むんじゃない!」というほどでもない、飲んでみてよかったら 是非教えて下さい。だったら僕も飲みたい……っていうところでしょうか。 そんなに害はなさそうだし。


 「万が一子供が強直性脊椎炎を発症した場合、 初期に処置すれば進行は妨げられるのでしょうか?」。

 ASではまだわかりません。関節リウマチではですね、最近、あとで ちょっと出ますけども、 免疫抑制剤 (リウマトレックス®とか、 新しい 抗サイトカイン療法(レミケード®、これらは非常に 副作用も強いんですけどもね、使った2000人のうち1人が死んじゃったなんて いう副作用があるんですけども、こういうものを初期からバッと使うと、 骨の破壊とか病気の本質的な部分まで抑える、つまり病気の勢いとか流れを 変えることもできるということがわかって来ています。

 日本でも、リウマチ内科では、まだ軽いうちにそのような薬をバーンと 使って叩いてしまうという投薬法が主流になってきています。 ただ、ASに関しては、初期のまだあんまり痛くないうちにバッと使って、 病気の勢いを変えられるかというところまでのしっかりしたデータは 出ていません。

 その副作用の危険性に目をつむってまで投与するケースは、ASでは あまりないんじゃないか?というのが、私の現時点での印象です。 ASの病状は人によって千差万別で、そんなすごい薬を最初から 使っちゃうと損しちゃうような軽い人もたくさんいる訳ですし。

 でも、これは進行しそうだ、血液検査結果も炎症が激しいことを示している、 若いし……という人の中には、リウマトレックス®で大変病状が 好転しているAS患者もいますので、関節リウマチでこの薬の使い方に 慣れているリウマチ・膠原病内科の専門医によって、ASにも初期から 使われるる価値は多いにあると思っています。

 それから、昔から何度も言ってるように、痛み止め飲んでもいいから 痛みを和らげて、どんどん動く、これだけは、病気の全体的流れとか、 最終到達点に対して有効であることはわかっている訳です。だから、 少し痛くてもがんばって動く、どんどん働く、まあ限度ありますけどね、 これが大事。


 それから
「ストレッチについて。 ストレッチ運動、痛い部分を無理してでまで伸ばした方がいいのか。 伸ばすと逆効果なのかどうでしょう? ウエイトトレーニングなどで 筋肉をつけるのは効果あるんでしょうか?」

 これもあまりASに関してはデータないんですが、欧米のASの 体操のテキストを見ると、ストレッチは必ずあります。ですから、 いいんでしょうね。で、実際、自分でも、やってみるといいですね。 ストレッチは絶対いいと思いますよ。

 ただ程度問題なんですね。やっぱりやってみた後も、その晩じくじく 痛くてしょうがない、あるいは次の日まで痛くて動けないというのは、 その人の今の病状には強すぎるってことです。ただやってる時にちょっと痛い、 やった後もちょっと痛いけども、でもその晩はもうスッキリする、 次の日にはなんともない……なんていうところがちょうど良いと思います。

 ここが目安でしょう。やってても、全然痛くもなんともない範囲の 体操ってのは、ほとんど効果ないんですね。多少痛い、多少辛いぐらいが ちょうどいい。その程度については、医者でも「あなたはこれくらい」と 的確には言えない。

 ストレッチは、まあどの医者に聞いても悪いとは言いませんから、 調子良ければやって下さい。できれば、良く体を温めてからがいい。 朝やるなら朝風呂入った後とかね。ウエイトトレーニング。これはまあ、 しゃかりきにやって筋力をつけたところで、ASが治る訳じゃないんですが、 やっぱり筋肉は、無いよりあった方がいいはずですし、筋肉が無いって ことは、逆に脂肪がついてくる訳です。

 しゃかりきになる必要はないけど、あるいはASの根治治療だと思って やるのは間違いですが、やっぱり筋肉トレーニングは、やれる範囲でやった 方がいいと思います。


 それから次は、
「患者の家族です。現在漢方薬、 桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)、それから補中益気湯 (ホチュウエッキトウ)っていうんですね、これにリウマトレックス® 2mgを週4カプセルの服用しています。それでもCRPが1.2より下がらない ためレミケードを薦められています。レミケードは新薬なので副作用などが 心配です。どなたかすでに服薬されている方いらっしゃいますか?。」

 桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)は僕も飲んだことあります、 これ痛みに効きますね、人によってはですけど。レミケードは内服じゃなくて 点滴ですね。日本では クローン病に健保適用になっています。 T.Nさん、いかがですか?


(T.N副会長)
 強直性脊椎炎では、保険で適用になっていないので、私の病名、 つまりこの薬を使う名目は一応クローン病なんだけども、クローンなんか ほとんどもう悪くないので、一応MTX(メソトレキサート。商品無は 内服薬のリウマトレックス®)をやってて、その上、 レミケードもやってたんですよ。

 だけどまあ何ていうんですか、不健康になるっていうか、まあ3回 くらいしかやってないんですけど、2時間の点滴で2週間に1回かな、 でやったんですね、だけどまあ非常に体が辛いですね。


(井上事務局長)
 そりゃまあ、それだけの薬ですからね。


(T.N副会長)
 リウマチでも最初に一気に叩いた方がいいっていうことで、 最初からたくさんいろいろな薬を使うようになったみたいですけど、 MTXだってかなり副作用がありますよ、あれは。だからあれで ホントに叩いて良くなったっていう実績も、まあホントかどうかなあ という感じさえしますね。


(井上事務局長)
 わかりました。まあ今まで比較的軽症な人は、NSAIDで いわゆる消炎鎮痛剤でコントロールできるという話だったんですけど、 いわゆる抗リウマチ薬、サラゾスルファピリジン(アザルフィジン®) とか、それからMTXつまりメトトレキサート(リウマトレックス®)、 これはもともとは癌に使ってた免疫抑制剤です。

 リウマチに対しては、ASでもそうですが、癌に使う場合よりもずっと 少量でいいんですね。この方は、週に8mgだそうですが、健保基準で 認められている最大量ですね。この量を1週間に続けて2日間だけに 分けて飲むんです。

 効く人は、本当にすぐに楽になるようで、欧米ではもうASでもかなり 使われていて、症状が劇的によくなるケースもあるようです。日本でも、 リウマチ内科医は、リウマチは勿論、ASにもよく使うようになりましたが、 私も含めて整形外科医はまだまだ積極的に使う人は少ないようです。 整形外科医は、手術をやる医者ですから、元来あまり薬を使いないので、 副作用を過大に怖がっているところがあるかもしれません。

 さらにその上を行く薬、リウマチや強直性脊椎炎で起こしている炎症の 場にはいろんな特殊なタンパク質、サイトカインと呼ばれているものですが、 それがいっぱい出てくることがわかってきまして、その炎症に起こすとか 悪さをするタンパク質をやっつけちゃおうという薬が出てきました。

 それが、さきほどクローン病に健保認可されたという 抗TNFα剤の レミケード®です。つい先日、関節リウマチにも認可に なりました。ただ、炎症を起こす蛋白質だけに作用してくれりゃいいものを、 正常に働くべき免疫力を落としてしまったり、細胞や蛋白質までやっつけて しまうので、強い副作用があるということです。

レミケード®については、 「らくちん」の 15号に出てますね。賛助会員で専門のお医者さんが書いてくれて いますけど是非読んで下さい。レミケード®は、欧米では リウマチは勿論、ASにもかなり使われていて、有効であるという報告が いくつも出ています。

 効く人では、痛い痛いといって動けなかった人が、注射した翌日には スタスタ歩いているというぐらい効きます。このへんのところは、近々、 リウマチ内科の専門医に「らくちん」に書いてもらうか、総会に来て話を して貰おうと考えています。

 ASでそこまで使うケースはそんなに無いんじゃないか、そんな怖い薬を 内科医はすぐに使う……と、よくリウマチ内科医と論争になります。 もう少しすると、同じ抗TNFα剤だけど、作用機序が若干違って、 もう少し使い易いエタネルセプト(エンブレル®)と言うのが 使えるようになると思いますが、いずれの抗TNFα剤でも怖いのは、 肺炎などの感染症ですね。

 薬を使うことによって免疫力が落ちますから。特に日本で問題なのは 結核です。これは日本に多い。結局亡くなった方もいます。副作用で死ん じゃったということです。この薬の専門医と話したとき、 「ハッキリ言って、要するに非常に激しいその場凌ぎの対症療法だろう?」 と聞いたら、「(残念ながら)そうだ」とのことでした。

 つまり、これとて、病気を元から治す薬ではない訳です。MTXにしても 同じです。レミケード®には、もう一つ大きな問題が あります。それは非常に高額だということ。初回、2週間後、6週間後、 対症療法ですから、また病状が戻りますので、その後は2ヶ月一度ずつ 続けて行かなくてはならない。

 そうすると、健保を使っても3割負担ですから、注射のための検査や 入院費なども含めると、年間50万円程度の自己負担になるようです。 副作用と費用、そして根治療法ではないことを覚悟した上で、しかし、 効く人は劇的に症状が軽くなる訳ですから、ASでも、若くて病気の 勢いが強い人、症状が重い人には使ってみる価値があると思います。

 ただし、これらの薬を使いなれているリウマチ専門医(多くは内科) によって入念なチェック・管理のもとに……です。事前に、その必要性、 主作用と副作用について良く説明を受けて、十分納得してからというのも 前提です。

 実際、今の健康保険の基準も、まずは普通の非ステロイド系抗炎症剤 (NSAID)で様子を見て、ダメなら次にステロイド、それでダメなら 免疫抑制剤MTX、それでももダメだったらこのレミケード® (ただし、MTXを併用)というような薬ですから、特にASの場合には、 慎重使うべきだと思います。

 後はまあ、インターネットなんかに情報がいっぱい出ていますから、 よく勉強して下さい。なんといっても、自分の体に使うものなんですからね。 医者が自分の体に使うんじゃないんですから、実際に使われる者が十分に 納得してから使ってもらうべきです。


(T.N副会長)
 長期に使うと、結局耐性ができて何回かやるとだんだん効かなく なるんですよ、あの薬。だから、早めに薬を使って1回緩解したように 見えても、リウマチなんかでも、すごい長期的なデータでは、必ずしも 予後は良くないっていう説もあるようです。ですから、ASでも当然 そんなに早めに使うかどうかっていうのも非常に疑問だし、長期的には 悪性腫瘍の発生もあるっていう………。


(井上事務局長)
 うん、言われるほどは無いんですがね。悪性リンパ腫の発生率が ちょっと高まるということは言われてます。でも、最近では、それほどの こともないとも言われてます。まあそういう怖い薬だからASなんかに 使うべきではないなんていうことは決してないんですが、十分、専門医の 管理の下で、事前によく聞いて、良く納得して、受けることが大切…… といったところが、今のところの結論でしょう。


 それから、
「AS患者のための安全運転術に ついて教えて下さい。私も追突事故で頚椎5番と6番を多発骨折し、 三途の川を渡りかけて以来、安全運転には注意しているつもりですが。 友の会のホームページAS Webの掲示板で、井上先生ご自身の運転術の 紹介がとっても参考になりました。車が必要だが事故を起こすと重症になる ASにとって、安全運転のノウハウがとっても有用です。よろしく お願いします」
とのことです。

 いやホントにいるんです。三途の川渡りかけた人や、中には渡っちゃった 人もいます。最近、AS患者で、交通事故にあって普通の人よりも重症になる ケースが目立ってきています。我々は、首やその下の背骨が動かないために、 横や後ろを十分に見ることができないという特殊で危険な状況で生きている 訳です。

 昔の「らくちん」 にも、警告記事を載せました。皆さんそれぞれに 工夫していらっしゃると思うんですけど、僕は、首が動かないけど、 ずっと無事故無違反です。それには、いろいろ工夫しています。特別な機械も 使うし自分の工夫もある。耳からの聴覚情報も十分に使います。だから 交差点ではできるだけ窓を開ける。耳の情報ってかなり大事ですね。

 ゆっくりゆっくり出りゃ、相当ムチャなヤツが来ない限りまず事故は 起きません。怒鳴られることはあっても、ぶつけられて首の骨折って 四肢麻痺になって寝た切りになるよりはずっとマシです。それと、 最近では、真横が見えるカメラが、前のボディの横腹に安く簡単に付け られるんですね。

 後方のカメラなんて100万円ちょっとぐらいの車にも付いんてます。 そのカメラで写った左右や後方の画像を車内のモニターで見ながら、 ゆっくり動かすんです。それから、私の車の4隅には、センサーが つけてあって、障害物が40cmに近づくと間欠的に警告音が鳴り始め、 さらに近づくと音の間隔が狭まってきて20cm以下になると持続音に なります。

 こんなのもオプションで簡単に安く付けられます。健康な人から見ると イラつくんだろうけども、我々には非常に大切です。そういうもの出来て いるし、そして、なんてったって自分で慎重に安全運転するってことが 大切です。そうすれば、暴走族なんかよりも、ずっと安全なドライバーに なれます。

 ただ、免許の書き換えの時にひっかかる可能性があるから、僕は、当日は、 薬をいっぱい飲んで行って、いろいろ演技しながらやるんですけど……、 あっ、これはあまりおおっぴらに言ってはいけなかったな。


 それから次、
「上手な牽引法について教えて下さい。 人工股関節置換術 を検討せざるをえない状況になりました。 井上先生のご助言では、牽引療法で何とか手術を回避してらっしゃる方が いるとのこと。私もやっているのですがなかなか効果が出ません。 器具が悪いのか、やり方が悪いのか、根性が足りないのか、ご指導 お願いします」。

 ASで股関節やられる人は4割くらいいますけども、やっぱりどうしても、 薬飲もうが、じっとしてようが、動こうが、やっぱり進む人は進んでいっ ちゃうんで、どうにもならないところはあります。

 この病気は、癌と違って、とりあえず痛みが軽くなれば何とか過ごせる 病気ですし、痛みがなければ普通に歩いたってかまわない訳です。 関節がやられてても、関節そのものから痛みが来る以外に、周りの筋肉が ギュッっと反射性に収縮してしまったり、その結果、血行障害が起こって 痛みが酷くなる場合もけっこうある訳です。

 だからその筋肉がギュって収縮してるところに対して、ゆっくり 引っ張ってやる(牽引療法)、つまりストレッチングですね、あるいは 手段はなんでもいいから温めて血行を良くしてやれば、表向きの痛みが 軽くなることはいくらでもある訳です。その意味で、牽引療法も期待が 持てます。

 ただ引っ張り方に関しては、一応基準はあるんですけど、特にASの 患者さんの引っ張る力はこのくらいで、方向はこのくらいが良いといかいう 基準はなく、やってみて、良い方向、良い重さ、良い間隔などを、 試行錯誤を繰り返しながらその人のその時の病状に合ったものを探して 行けばいいだけです。それしかありません。

 ただ、根治療法でなく対症療法であることは忘れてはいけません。 だから、やってみて、痛みが増したとか、全く変わりないなら止めれば いいだけです。引っ張ったらたまたま痛みが増したなんて言っても、 すぐに戻りますし、あんなことやらなけりゃ良かったなんて言う問題では ないのです。

 よく、やってみて悪くなった場合に、やった医師や理学療法士、接骨院、 マッサージ師が悪いなんて訴えようとしている人もいますが、これらの治療の 本質を知っていれば、そんなことはしないはずなんです。やった方からみれば、 言いがかり的に思います。

 しかし、世の中それでは通らない、追求を避けられないんですが……。 とにかく、やってみて具合が悪かったら、まずは遠慮なくお医者さんや 理学療法士その他に言って、いろいろ替えてやってもらう、それでも ダメなら、その治療は今のその人の病状に合っていないから、他のものに 替える……ということで良い訳です。

 そんな意味からは、体操療法、特にプール訓練、泳がなくて水中歩行でも、 これらは脊椎にも股関節にも勧められる治療だと思います。ただし、それで ASが元から治る訳じゃない、股関節が壊れたところが、つまり軟骨がすり 減ったのがまた若返って厚くなるという訳でもない、でも、楽になる、 そうすれば人体、すべての機能に良い影響がでる、そうしているうちに なるべく一回で済むにように年をとってから入れたい人工関節の手術の 時期を遅らせることができる……という訳です。


 それから、
「息子が16歳の時に発病しました。 本日初めて出席させていただきました。以前AS診で診ていただいた時、 他の兄弟は大丈夫ですか?と聞いてくれました。5人兄弟の末っ子が 発病しました。以前、井上先生とのお電話で、多くの人がスポーツの後に 症状が出始めたとお聞きしました。息子も発症の頃、下校時に、カバンと 剣道の防具を毎日長い距離運んでいました。他の兄弟に発症しないように するには、過激なスポーツや運動を避けるような注意すること以外は 考えられないのでしょうか?」
というご質問。

 これは難しいですね。一概に言えませんね。スポーツをした人が多かった、 というのはちょっと軽率な発言だったかもしれないけども、この会でですね、 いろいろ話をすると、皆さん昔スポーツマン、今でもスポーツマン、僕自身も かなり過激にやってたんで、やはりASの発症になんらかの影響がある のかなぁと僕自身も思うことがあるんです。

 しかし、だからって、確固たるデータがある訳ではありませんし、 スポーツはASの発症を助長するので家族にASがいる人はスボーツ禁止…… なんて書いてある本はどこにもありません。たまたまかも知れないし。 ただ一部に、あんまり過激にスポーツをさせると、さっき話の出た炎症性の サイトカインというやつですね、ああいうのがたくさん出てきて、それが病気の 原因ではないけど、引き金とか誘因の一つにはなり得るかもしれないと いうことは言えないこともありません。

 例えばスポーツに限らず大怪我、手術、分娩で発症したり悪化したりする ケースは時にみます。だからケガするな、手術受けるな、運動するな、子供を 産むなっていうほどの問題ではないのですが。後は人生観ですね。発症したら、 悪くなったら困るから、家で一生じっとしていよう、結婚も分娩もあきらめよう という人生、そんな訳には行かないでしょう。

 さっきの、車に乗ってぶつけられたら頸髄麻痺だ、場合によっては死ん じゃうから車には絶対乗らない、歩いていてもぶつけられたら大怪我を するから外は歩かない、一生家の中でじっとしているか……って、これは もう人生観ですね。少なくともスポーツはASにいけないとか、過激な運動は ASの原因となると書いてある教科書は、どこにもないという認識はしておいて 良いと思います。

 ただし、いつも言うことですが、体が硬い、動かないから、怪我をし易い、 そして一度すると重傷になり易いということは否定できませんよ。残念だけど、 この事実も頭の隅に置いておいて下さいね。


 次です。
「ASの体操について。体操をビデオに したらどうですか?」。

 確かにそうですね。時間があれば作りたいと思います。さっきお渡しした 順天堂浦安病院のリハビリテーション室の先生にお願いして、AS体操の ビデオでも作ろうと思いますので期待してて下さい。グラマーなモデルを 使って。金がかかりそうですけど。


 それからもう一つ。これはご家族の方ですね。
「検体の協力は家族でも可能でしょうか?」。

 可能です。献体というのは死体解剖の教育の為の献体って事ですかね?。 あっ、ごめんなさい。私が字の意味を間違えた。血液の検体ね、遺伝子 解析用の。死体解剖の献体かと思いました(笑)。

 発症していない家族の方の血液提供は、遺伝子の観点からは興味は湧く ものの今の段階ではちょっとできないと思います。お気持ちは大変嬉しい んですけど。じゃ、この人にASが出るまで待ってるってことではない ですよ(笑)。お気持ちだけ、ありがとうございます。


 それから、
「総会時などでボランティアなど 必要な場合協力します」。

 お願いします、是非。Oさんの息子さんね。いつもありがとうございます。 これからも毎回顔をだして下さいね。とりあえず、届いている質問はこれで 終わりです。


(M女性部長)
 こちらにいただいているのもありまして、
「食事について。みなさん何か気をつけてることありますか?」。

 食事を気をつけるようになって何か身体変化ありましたとか、そういうことが ありましたら何かお答え下さい。ありません?。


(井上事務局長)
 食事ね。最近ね、アメリカでムラサキウマゴヤシっていう、何かよく 知らないんだけども、そういうものの新芽を食べるとSLEという膠原病に なるっていうことが報告されているのを見ました。ムラサキウマゴヤシの根の エキスがアルファルファっていう名前でなんと健康食品として売られている んです。

 それが、野菜の新芽を食べると膠原病になる、もっと話が膨らんじゃってね、 野菜を食べたらASになるって、こうなっちゃう可能性もあるんで、 こういった情報は注意しなければいけません。

 それから、ロンドンからASには 「低澱粉食がいい」 という報告が出ているようです。ASの誘因になっているかも知れない 腸内細菌のクレブシェラが少なくなるというのが理屈のようですが、 確固たるものではないようです。

 昔から唐辛子かなんか食べるとASの痛みがひどくなるとか、 アルコールを飲むと痛みが増すとか聞きます。でも、朝にビール一杯飲むと 非常に具合が良い、痛みも出ないという人もAS診にいるんです。 まだASの病状や治療にとってにとって良い食べ物とか、絶対食べちゃ いけない食べ物とかは一般的には言われてないので、そんな神経質に なることはありません。

 飽和脂肪酸の動物の肉よりも不飽和脂肪酸の魚の肉の方がリウマチには いいなんていう話も聞いたことがありますけど、要するにですね、 一般の健康書に書いてあるように、偏食せず、なんでもまんべんなく食べる とか、朝、昼、晩とちゃんと規則正しく食事するとか、暴飲暴食しないとか、 野菜を出来るだけ摂るとか、基本的に守るべきことでしょうね。 こういうところから崩れてくるんですね、人体というものは。

 あと、カルシウムのことはよく話題に出ます。骨が過剰に出来ちゃう 病気なんだから、カルシウムは摂ってはいけないないんじゃないかって。 まず関係ない。余計に食べてもほとんど便とか尿から出ます。ただし、 カルシウムの摂取が足りないのは、絶対ダメです。

 人間の身体ってすごいんですよ、血中のカルシウム濃度がいろいろな 原因でたまたま下がると、すぐ骨から出して補充せよという指令が出て、 血中のカルシウムレベルを戻すように調節するんです。だからカルシウム 摂取が不足して血中カルシウムのレベルが低い状態が続くと、その カルシウムの貯蔵場所の骨はたまったもんじゃないわけです。

 どんどん骨からカルシウムが出て行ってしまって、 骨粗鬆症 になっちゃいます。だから、制限どころか必要量はたっぷり摂る必要が あります。それと、骨は常に適度の刺激をしないといけなくて、 その刺激がないと、たとえば、入院したり、寝た切りになったり、 無重力の宇宙に行ったり、単なる運動不足でも骨粗鬆の傾向になるんですが、 我々AS患者は、ただでさえ一般人に比べては日頃動かないんで、 骨粗鬆症になり易いんです。

 それなのに、カルシウムの摂取が少ないと、脳の指令で骨から カルシウムをどんどん溶かし出しちゃうもんだから、まずい訳です。 いつも言うように、厚生労働省によれば、日本人は1日600mgのカルシウムを 摂りなさいと言っていたのが、日本人はそもそもカルシウム摂取量が 少ないんだから、800mgは摂りなさいっていうことになりました。

 ただし、東北の方で、なんとかカルシウムっていうすごく吸収が良いと いうものを大量に飲むと体に良いというお医者さんがいて、1日何十グラム も飲ませるそうです。実は、AS患者で、これを実行した人がいて、結局、 ASは特によくならずに、尿から排泄するカルシウムの量が増えたために とうとう腎臓結石になっちゃいました。

 特殊なカルシウムだから、結石にはならないから大丈夫という話だった のに、やっぱり腎臓結石になっちゃった。その人に、最初、僕はいつもの 調子で、人体は多すぎれば余計な分は排泄するから、本も出ていることだし、 副作用が出なければやって見ては?なんて言っちゃったんです。

 そしたら、結石になっちゃったんで、申し訳ない気もしているんです。 でも、自分で勉強して、自分の意思で、自分の責任において選択したこと ですからね、「あの時、止めてくれなかった」なんて私が恨まれても 困る話です。やっぱり、こんな過激なのはよくないと思います。以上です。


(M女性部長)
 他に何か食事についてお話したいことはないでしょうか?


(田中会長)
 私はですね、足の悪い部分を切断して取ってしまったんですけども、 その結果、非常に太ってきました。おなかのサイズが110cmありますね、 なかなか痩せないんですが、何かスリムになる良い方法ないですかね?


(井上事務局長)
 脂肪吸引でしょう。いやこれは冗談です。美容目的にやって脂肪塞栓、 肺梗塞になって死亡した人もけっこういます。まぁ、世の中にはいろいろ ヤセる方法が出回っていますが、やっぱり食べないことじゃないですかね。 特に、我々は十分な運動、つまりエネルギー消費ができませんからね、 飴玉一個食べたら、その分のエネルギーを消費するには相当運動しなきゃ ならないらしいですよ。

 運動は大事ですし、筋力トレーニングなんかも、筋肉が肥大すると、 寝てる間でもアイドリングみたいにエネルギーを消費してるんだそうで、 それにつれて脂肪も自然に無くなってくるようで、いいんだそうです。 やっぱり、肥満の要因としては、原料を余計入れることが大きいんじゃ ないかと思いますよ。


(田中会長)
 そうですかね? 少し、少しどころか相当、減量、減食してる んですが、あんまりスリムにならない。何か画期的なことはありません かね? 間食は完全に止めました。


(井上事務局長)
 腹水じゃないでしょうね。


(田中会長)
 腹水じゃないけども、夜中に以前は痛いんで、眠るために夜中に 食べたもんですが、それも止めました。しかしあんまり効果が無いんです。


(井上事務局長)
 あとは、また話がここに戻りますが、遺伝ということもあるので、 ここのところはどうしようもない。
 どなたか、減量に大成功をした方がいらっしゃれば……。


(M女性部長)
 私、大成功じゃないんですけども、ちょっと痩せて、皆さんに 「どうして痩せたん?」とか質問を受けたんですけども、更年期でちょっと 体調が悪かったというのもありますし、その前にちょっと痩せて人工関節 がね、太ってたら悲鳴をあげるなってわかってましたので、少し痩せると 楽になるので、それが実感できたので、ちょっと頑張って痩せようという ところから頑張って、そうしてるうちに更年期の体調が悪くって食事が あんまりおいしくなくってということがあって、それからスコスコっと 落ちたんですけども。

 体重はそれほど変わらないですけども、身体は締まってきたってという 気がします。ハーブのクリームでマッサージをしてもらうというのを 1ヶ月に1回してまして、リンパマッサージみたいな感じなんですけども、 マッサージをする人に「どこを触っても腱がバリバリで、ようこんな身体で 動けてますね?」っていうふうに言われてるんですけれども、触ってもらうと 確かに筋肉が柔らかくなったり、腱が柔らかくなったりするので、 疲れを溜めないっていう効果があると思います。

 マッサージが一番いいとは言いませんけど、疲れを溜めないで行くという、 それは健康を維持するのにすごく大事だなーっていうふうに思ってます。 で、マッサージを受けてるとちょっと贅肉の部分が締まってきたかなと 思ってるんですけども。良いかどうかわかりませんが……。


(田中会長)
 ハーブマッサージ?


(M女性部長)
 はい、クリームを買うとサービスにリンパマッサージみたいなものを して下さるので、クリームの値段がマッサージの値段と言う感じです。 1ヶ月、皆さんがビタミン剤飲む値段だから大丈夫。


(田中会長)
 自分ですり込むんですか?


(M女性部長)
 そうです、マッサージを受けるのは1ヶ月に1回ですので、あとは そのクリームで、自分で届く範囲でいいですからマッサージして下さい。 塗って、薄いタオルを置いて、タオルの上からキュッキュッとつまむとね、 直につまむより痛くないですね。それをして、痛みを溜めないと言うか 痛くしないと言うか、マッサージをすると血のめぐりも良くなりますから、 そういう意味でも疲れが取れたりとか痩せてきたりとか、良いことが 一杯あるのではないかなと自分では思ってるんですけれども。 一生懸命、お腹の肉も揉んでいます。どうぞお試しください。


「最近見つけた健康法、何かありますか?」
という質問は、私自身が書いたんですが、このハーブのマッサージ、 ハーブでなくても何のクリームでも良いと思うんですけれども、マッサージを すると言うのを見つけたんです。他に何か最近、こんなことことをして 元気ですよーって言うお話がありましたらお聞きしたいなーと思って 書きましたけども、なにかありませんでしょうか?

 何かしゃべってください。それ以外でも、せっかくここにお見えに なったんですから、これ話して帰りたいなーとか、みなさんにお聞きしたい なーとか、井上先生に質問、書いてないけれども、今、聞きたいなーとか ありましたら。Oさんお願いします。


(O委員)
 大阪から来ましたOです。6月ぐらいに、朝、起きましたらメマイが しまして、寝ていると別に何ともないんですけども、枕から頭を上げると 凄いメマイがしまして、その日一日気分が悪くて、ご飯食べれなくて 一週間ほど変な気持ちが続いたんですけど、で、整形外科の先生にちょっと 診てもらったら、首の中の血管が、首が動かないんで、たぶん血液の流れが 悪くなってるんで、メマイが起こるんでないでしょうということでした。

 内科の先生に診てもらったら、ちょっとはっきり判りませんということで、 ASでメマイというのは良く起こるもんなんでしょうか?


(井上事務局長)
 これは、「らくちん」の5号 に書きましたよね。理屈はあるんです。頚椎に病気が来て、筋肉の緊張や 靱帯の骨化などによって、首の後ろを通って頭の中に入る椎骨動脈が圧迫 その他の障害を受けた結果、血行障害が起こり、この動脈は内耳の平衡機能を 司る三半規管に行ってますので、ここに血流障害が起こった結果、平衡機能障害、 すなわちメマイが起きるという理屈です。

 その他、血流というのは自律神経の作用を強く受けますので、一般人でも 様々な心身のストレスで、痛い病気を持つAS患者なら特に自律神経が変調を 来たし易い訳ですから、椎骨動脈や、あるいは内耳の動脈そのものの血流障害が 生じてもおかしくはない訳です。

 でも、実際、頚椎の靱帯骨化などによって椎骨動脈が圧迫され続けて、 それがMRIや血管造影で証明されて、メマイを繰り返しているというケースを 知りません。従って、永久に続く人はまずいないと思います。ある時期、 集中して起こるようですか、以後、一生起きないことが多いものです。

 私も、40代前半には年に数回、数年にわたって起きました。凄いもん でしたよ、朝起き上がろうとすると周囲がグルグル回ってゲーゲー吐く、 どうしようもなくて仕事を休んだこともあります。それで検査に行ったって 何にも出ない、結果が出た頃には治ってました。

 いずれも2〜3日から1週間で、治療しようがしまいが自然に治って、 後は一度も出ていません。ずっと治らないとか、頻度が増すとか、他の症状も 出てきたなんていう場合には別の病気が考えられますので、耳鼻科や脳神経内科、 特に耳鼻科のメマイ外来とか平衡神経科なんていうのが専門ですから、 そこに行ってみるべきでしょう。

 ASでなくても、一般の人でも、中年になって自律神経機能が不安定になり、 そこにストレスがかかったりすると起こす人はけっこういます。だから、 そんなに心配することはないと思います。

(O委員)
 ありがとうございました。


(M女性部長)
 もう5時になりましたが、どうします?


(井上事務局長)
 残念ですけど、懇親会でまた何かあれば、お話ししていただきたいと 思います。懇親会は2階で、5時半からです。今日これからいつものように 恒例の記念撮影会をやりますのでご協力お願いします。


(M女性支部長)
 ありがとうございました。これで終わりたいと思います。


(井上事務局長)
 どうもご苦労様でした。


〔テープ起こし〕  Y.O(大阪)
M.Y(大阪)
N.K(神奈川)
S.F(大阪)


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