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展覧会の紹介
2003年 春陽会道作家展(絵画部) | 1月20日(月)〜25日(土) 札幌時計台ギャラリー (中央区北1西3) |
春陽会は、春の上野(東京都美術館)で展覧会を開く有力公募団体。1922年(大正11年)創立という古参団体でもあります。 現在、絵画部と版画部があります。版画部にも、道内の会員が多く在籍していますが、毎年グループ展を開いているのは絵画部のほうです。 ことしも、展示室からはみ出るほどの大作がそろいました。 ただし、道内に5人いるはずの会員のうち、折戸朱実さん、谷口一芳さん、八木伸子さん(いずれも札幌)は出品していますが、宮西詔路さん(函館)と安田完さん(網走管内美幌町)の作品がありません。お元気なのでしょうか。 そこでことしはおもに、会友と一般入選のみなさんの作品について、のべたいとおもいます。 毎度好き勝手なことを書いていますが、ご海容のほどを。 中井孝光さん(札幌)「教会A」「教会B」は、アントニオ・ガウディの有名な建築「サグラダ・ファミリア聖堂」がモデルのようです。 昨年まではおもに、高い位置から俯瞰した欧州の街並みをえがいていました。白を基調にした全体の色調は変わりませんが、直線ばかりだったこれまでとことなり、筆の自在さは増しているようです。ただ、いくら名高い建築物とはいえ、構図にバリエーションを持たせながらえがきつづけていくのはむつかしい作業だとおもいます。今後に注目したいところです。 西田四郎さん(同)「蘇上A」「蘇上B」の2点。「蘇上」は、造語だとおもいます。 ことしも、川をさかのぼって力尽きた鮭が題材です。 ただ、これまでは、複数の鮭をむしろの上に置くなどして、いわば静物画のようにえがいていたのですが、今回は、水面になかばうかんでいる鮭をえがいています。おもしろい取り組みだとおもいます。 ただ、青や茶で処理された背景は、水底という感じがあまりしません。おそらく、あまりリアルに草や川の情景をえがくのも西田さんのやりたい方向ではないのだとおもいます。どうしたら、鮭の最期にふさわしい場所の描写になるか? やはり、今後に注目していきたいです。 新出リエ子さん(同)は「集う」「無限」の2点。 ドライフラワーになった? ヒマワリをモティーフに、元気な絵をえがいているのは、例年のとおりです。 よく見ると、ヒマワリの種が飛散してもういちど着地した瞬間を捕らえたような、黒い点々が画面のあちこちに描かれているのがわかります。運動性のようなものを感じさせ、画面を見る楽しさが増えました。 居島美恵子さん(苫小牧)「小休止」。居島さんは、完全に抽象に移行しました。再三書いていることですが、水色を主に、女性像やピアノの鍵盤などを配してそれなりにおしゃれな絵をつくりあげていた居島さんが、あえて安住をさけて、あらたな境地にいどんでいるのは、りっぱなことだとおもいます。いずれ具象に回帰したときも、今回の経験はむだにはならないでしょう。(えらそうな書き方ですいません) 高野弘子さん「翔」(函館)。高野さんは毎年ドラムセットをモティーフにしてきました。ことしは、ラッパやバイオリン、ギターなど、楽器のバリエーションがゆたかになっています。興味深いのは、それらがいずれも壊れかかっていることです。ことしの絵は、たんに威勢のよい音を画面から鳴らすというよりは、捨てられた楽器のかなしみのようなものをたたえています。 飯田辰夫さん「朽ちゆく舟と巻胴」(同)。巻胴のリアルな描写はあいかわらずすごいものがあります。今回はそのバックにちいさな舟を配していますが、ペンキのはげた個所はあえてうす塗りにして画布の質感を前に出すなど、マティエールには工夫の跡がみられます。ただ、巻胴も舟も画面を覆い隠すようなかたちのものではないので、大きく開いた背景の処理にはことしも苦労したようです。かき込むとうるさいでしょうし、あまり空けると間延びするでしょうし…。今回のはまずまずうまくやっているとは思うのですが、もっとうまくできそうな気もするし(無責任なことばかり言ってもうしわけないです)。 小黒雅子さん(同)「街」。鮮烈な赤を基軸に、きっちりまとまった抽象画です。 友井勝章さん(胆振管内鵡川町)は、「川風景」と「良夜」。 友井さんも、水辺の風景という点では一貫しているのですが、ここ2、3年は人物が姿を消すなど画風に変化がみられました。 「良夜」では、ひさしぶりに人物が復活しています。髪の長い女性がムックリ(アイヌ民族の伝統楽器)をくわえて奏でているのです。 全体としては、深い紺色のトーンで統一されているのが味わいふかいとおもいます。 山本周子さん(札幌)「春の音T」「春の音U」。 三美神をおもわせる3人の若い女性を中央に配し、周囲に藤などの花や葉をえがいて、全体に青と緑のトーンでまとめた作品。 筆者はこの人、ぜんぜん記憶がなくて(すいません)、昨年の図録を見たら、わりと似た絵の図版が掲載されていました。 ただ、大きく異なるのは、昨年の植物類が静的に処理されていたのにたいし、ことしは渦をまくように勢いのある筆勢でえがかれていることです。このちがいだけで、絵にそうとう元気が出てきています。ふしぎなものです。 全体としてみると、最近人気が回帰しつつあるリアリズムのタイプはありません。いわゆるモダニスムの絵画をねばりづよく追求している人が多いようです。 以上でとりあげなかった出品者の作品を、目録にしたがってしるしておきます。 ■会員 折戸朱実「森のざわめき」 谷口一芳「梟の館(W)」 八木伸子「冬の石狩」 ■会友 安達ヒサ(旭川)「spring shadow」(同題2点) 崎山かづこ(札幌)「偸生1」「偸生2」 豊嶋章子(同)「窓から」「ある日の朝」 佐藤愛子(函館)「driver」 山形和子(同)「市の女」 米沢史子(同)「景」 ■一般・研究生 札幌…荒川敬子「大地−風−T」「大地−風−U」 落合輝美「樹T」「樹U」 加藤薫「where」 佐藤かずえ「友と行く街」「空港で」 佐藤史奈「白い対話(T)」「白い対話(U)」 函館…大塚富雄「焼却炉」 片野美佐子「テラス」 加藤卓司「森のカーニバル」 川真田美智子「tobira」 高田裕子「樹景」 吉本勝子「天空へ」 和嶋和子「ひまわりT」「ひまわりU」 江端康子「山の古城」 川股正子「鳥来る日(少女)」 渡島管内上磯町…奥田順子「工場」 同森町…小原敦美「樹T」「樹U」 十勝管内新得町…斉藤啓子「時の証人」 釧路…柴田郁子「黙するもの」 深川…渡辺洋「遠い午後の−T」「遠い午後の−U」 登別…田中春陽「安らぎ」「四季の使者」 | |
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