除雪車が道路わきに積み上げていった雪のかたまりつれづれ日録の題字

2002年2月後半

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2月25日(月)
 なんだかつかれたなー、週初めなのに、と思ってよくかんがえたら、きのう、Free Space PRAHA(中央区南15西17)から幌平橋駅まであるいて、南平岸駅からホーマック(西岡3の1)まであるいたんだった。合計5キロ近くあるぞ。

 さいきん風邪が流行っているようで、筆者の職場でもこの半月ほど、かならず1人は休んでいます。皆さん、お大事に。

 さて、送別会のシーズンです。あす、あさっての更新は期待しないでくださいm(__)m


2月24日(日)
 例によって週末なのでたくさん見てきましたよ。

ロッパコ報告会の模様 まず書かなくてはならないのは、Free Space PRAHA(中央区南15西17)で開かれたアートユニット「ロッパコ」の報告会でしょう。
 この、札教大生とOBなど6人からなるグループについては、この「ほっかいどうあーとだいありー」ではぜんぜん紹介しておらずゴメンナサイなのですが、昨年8月24-26日、函館市元町(ハリストス正教会のあたり)の古い民家を会場に展覧会を開いたのです。もともとそういう集まりがあったのではなく「函館でなにかやりませんか」というオファーがあって結成されたのでした。
 展覧会といっても、コミュニケーションをテーマにした現代美術です。
  6人のうち、宮嶋宏美さんは、民家に会期中ずっといて、紙で庭をつくりましたが、訪れる近所の人とおしゃべりするのが楽しかったと言っていました。
 竹田浩志さんは、側面に磁気テープがはってある直径120センチの巨大なレコード盤をつくり、訪れた人に表面をひっかいてもらい、150人の痕跡をノイズという形に変換・再生させました。
 久野志乃さんは、特殊メークで72歳のおばあさんにふんして、来客者の肩をたたきながら思い出話を語ってもらうということをしました。なかなかサマになってて「あの人はカウンセラーなのか」と聞かれたそうです。
 野上裕之さんは、会場を飛び出し、無料輪タクで人を乗せて回りました。
 川村亜水さんは、近くの民家4軒の庭を借り、発光ダイオードを用いて蛍の光をイメージした一夜限りのインスタレーションを設置しました。限られた時間、限られた人しか見ることができず、記憶だけに沈潜していく作品ですね。
 小川陽さんはもっぱら「LOPPACO LETTER」と題したフリーペーパーや、記録ビデオの制作に従事したそうです。
 このフリーペーパーを目にした北九州の人が関心を持って、今月の3日から17日には、成長型アートスペースlevel 1という、古い民家を改造した会場で、共同制作・発表をしてきました。これは、古いふすまに漫画をかくというもの。札幌に残った野上さんは、北九州へ通じればという思いを込めてFree Space PRAHA近くに穴を掘りました(お疲れさまです)。
 美術館などではなく、地域に根ざした場所で、地域の人を巻き込んでいく行為とコミュニケーションを軸としたアートというのは、道内ではあまり取り組んでいる人がまだいない分野です。この6人は、今夏も函館で同様のプロジェクトを計画しているそうです。今年は、行ければいいなあ。

 それでは、市内のギャラリーの紹介。
 アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル)、EXPLORER EXHIBITION
 立体、写真、映像を6人が出品していますが、映像(アニメ)がおもしろい。
 近藤寛史さん「Do or Die」は、グレーの部分の全くないモノクロの絵がシャープ。どこかの物流の現場で、上役らしい男が、アルバイトらしい若い男が後向きに被っている帽子を前向きに直すが、若い男はまた後向きに被りなおす、というだけの話なのですが、作者の反抗心みたいなものがさりげなく出ていて、好感が持てました。
 広島祐介さん「Fifth」は、昨年の七月展(札教大学生展)と同じ作品なのかな。天空から吊り下がったブランコで大地を滑空する少女が、スピード感ゆたかにえがかれています。
 澤田淳さん「seed」は、ちょっとテレビゲームっぽいですね。
 ほかに北原明日香さん、高橋知佳さん、中田ゆみさんが出品。
 26日まで。 

 大同ギャラリー(北3西3、大同生命ビル3階)、陶芸二人展
 工房「やまめの陶」の藤田和弘さんと、陶泉房の泉豊吉さん。
 藤田さんはその名の通り、ヤマメの絵付けが楽しい。住所が清田区清田9の3となっていますから、おそらく近くを流れる山部川からきているのでしょう。
 泉さんは、鉄釉などの渋い色調が特色です。
 26日まで。

 コニカフォトサロン(中央区北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階)では、彩光展が開かれています。
 日本大判写真協会の選抜展ということで、さすが粒子の細かい、美しいカラーの風景写真ばかり。粒子が細かいと、彩度の高いくっきりした(まるでバックライトを施したみたいに)写真になるんですね。
 写真好きにはみなおすすめの作品ですが、あえて1点挙げるなら、鈴木克彦「カムイッシュの伝説」。摩周湖に、まばゆく陽光が反射して、錘型の白い部分をつくっています。すでに表現され尽くしたかのように思われる摩周湖ですが、まだまだいろんな表現のしかたがあるものですね。
 3月7日まで。

 ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20)では、青山由里子展
 3年前の個展と同様、ボックスアートでした。
 ただ、コーネルの影響をやや脱し、個性が出てきていると思います。
 コーネルのようにもっぱらノスタルジーを喚起するというよりは、鳥や電柱の写真の小さなコピーが遠い世界への憧れを語っているようです。 

 あとは、すべてきょうで終わりの展覧会です。
 さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階)では、多摩美術大学版画OB24人展
 この10年間に多摩美大を卒業した若手の展覧会。
 詳しくは「展覧会の紹介」をごらんください。

 ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル)で見た丸山彦真(げんしん)写真展は、なかなかよかったです。
 僧侶が数十年かけて撮りためたちょうど100枚。タンチョウなどのネイチャーフォト、風景写真は、まあよくあるタイプの写真です。
 でも、なにげない風景で、雲の切れ間から日の光が地上にさしているようなのが何点かある。また、霧に包まれた風景も多い。「朝里峠の朝」など、水墨画のようです。このあたり、自然へのまなざしに「押し付けがましくない宗教性」みたいなものが感じられるんですね。まあ、自分もこういう光景が好きだから、親近感を覚えるのかもしれません。
 もうひとつ、おもしろいと思ったのが、住んでいらっしゃる札幌・篠路の風景が多いのだけれど「厳冬の朝」「樹氷」「川霧立つ」といった写真を見ていると、なんだか篠路がすごく人里はなれた秘境みたいに見えますね(^^ゞ 新興住宅街なんですけど、どこらへんなんだろう。気になります。


2月22日(金)
 いま丸井今井札幌本店(中央区南1西2)の大通館8階美術ギャラリーで開かれている「物故作家を中心とした近代洋画作家展」は、デパートですからたしかに売り絵が多いんですが、けっこう豪華メンバーで見ごたえがあります。
 おっと思ったのは、長谷川利行「少女図」。墨と淡彩による走り書きみたいなもんですが、あの長谷川利行がかいたのかと思うと、なーんかしみじみしちゃうんですよねえ。135万円。安いかもしれない。
 久保守「コメディアン」は40号と、けっこうな大きさ。道立近代美術館にあるピエロの一家の絵を思わせますが、群像を遠くからの視点で描いているので、構図的にはいささか間延びした感じもします。
 中村善策、といえば、市立小樽美術館にたくさん風景画が展示されている日展の大御所として知られますが、3号の「積丹半島」は、中村らしい中間色の配置がゆったりした調和をうんでいます。
 それにしても、麻生三郎「裸婦」とか林武の絵を見てると、絵とは何か、人間やものが存在するとはどういうことなのか、といったことについて考え抜いた「絵馬鹿」(これはほめ言葉)だったんだなー、という感じがします。どうして? って言われるとわかんないけど。
 いちばん高かったのは、牛島憲之の絵。ワンパターンかもしれないけど、やわらかい色調はさすが。
 3月4日まで。

 ほかに、同店で清水新也油絵展、池内でビン・カシワ展を見ました。

 仕事が忙しく、ほとんどの展覧会を見られませんでした。24日に見ることになりそうです。


2月21日(木)
 きょうもどこにも行けず。
 展覧会の紹介に、先週の道教大卒業展をアップ。「アートな本棚」も追加しました。この欄で、みなさんおすすめの美術書を紹介しあえば、お互いの参考になるとおもうのですが、まだ投稿がありません。「この本はつまらん」でもいいので、どなたかいかがですか。
 道外のスケジュール欄も更新しました。来月、鈴木吾郎さんと古幡靖さんの個展が東京で開かれます。

 北海道新聞によると、ストックホルムの骨董市からヤン・ブリューゲルの絵が盗まれたとか。どうしてそんなものが美術館ではなく、骨董市にあるのか。不思議な気がしますね。


2月20日(水)
 きょうはたいして書くことがありません。
 こないだ、論説主幹(社説を書く人でいちばんえらい人)と会社で同じエレベーターに乗り合わせ、「ホームページつくってるんだって?」と言われました。
 うーん。このHPのことは、社内ではほとんど宣伝していないはずなんだけどなあ。会社の悪口が書きにくくなるなあ…(^_^;)

 コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11、コンチネンタルビル地下1階)のTさんからメールで日程入電。スケジュール表を大幅更新しています。
 ほかのギャラリーの方もよろしければどうぞご利用を。


2月19日(火)
 キヤノンサロン(北区北7西1、SE山京ビル)で開かれている浅尾省五写真展「氷上の天使 タテゴトアザラシの赤ちゃん」。カナダの大西洋岸にあるニューファンドランド湾の島で、生まれたばかりのアザラシをとらえたものですが、これがかわいいのなんのって!
 頭も胴体も真っ白。真ん丸い顔。とくべつ「すごい!」というタイプの写真ではないのですが、超ラブリー系であります。エゾモモンガとかパンダとかその手の被写体が異常に好きな人たちは、ぜひ。
 3月1日まで。土、日休み。
 同じ会場では、土井隆三作品展 モノクロームに魅せられても開催中。ジャンル的にはばらばらですが、屈託なくほほ笑む女性のスナップなどがいいと思いました。こちらは28日まで。


2月18日(月)
 あっちゃー、また2日間も更新をサボってしまった。
 サボってる間に、アクセスが2万を突破しました。みなさんのおかげです。ありがとうございます。
 1万達成には9カ月あまりかかりましたが、次の1万は4カ月半ちょっとでした。
 このペースで増えていくとゴールデンウイークには3万達成という計算になりますが、そんなにうまくはいかないでしょう。

竹田博展の会場風景 竹田博展が、みずからオーナーを務めるギャラリーたぴお(中央区北2西2、道特会館)で始まりました。
 油彩は、6号からサムホールの小品。竹田さんの絵は、風景や静物をモティーフにしつつも、それを大胆に省略化しているのが特徴です。色は、彩度の高い緑、黄色、オレンジなどに限られています。
 ただ、年を追うごとに、抽象の度合いが高まっているように感じます。このままだと、2、3年後には、完全なカラーフィールド・ペインティングになっちゃってるかもしれません。
 また、新しい傾向として、花などを描いた水彩の静物画が数点出品されていました。こちらは完全な写実です。
 3月1日まで。
 オープニングでは、竹田さん自らこしらえたクリームシチューが振舞われました。なかなかいけました。

 大同ギャラリー(北3西3、大同生命ビル3階)は、期せずして上下のフロアで備前のうつわがそろいました。
 3階は、生越玲子個展
 備前の土を使いつつ、野草の木賊(とくさ)からつくった釉薬を用いているのが特徴。そのせいか、色のコントラストがくっきりしています。
 4階は、榊原学・陶仁親子展
 こちらは、岡山で陶芸に取り組む、本格派の備前。花器、とっくりなどに、味わいがあります。
 19日まで。

 アートスペース201(南2西1、山口中央ビル5、6階)も19日まで。
 札幌簡易保険美術クラブ展。大洋会でおなじみ、原田富弥さんが、古い街道町などの風景を小品に描いています。昨年よりも、輪郭に頼らずに明度や彩度の差で絵画空間をきちんと成り立たせるようになってきていて、見ていてほんとにいい感じです、
 いちが展は、6人のグループ展。技術的にはともかく、妙な魅力のある絵があります。
 林スミ子さん「刻」は、オセロの対戦をしている老婆二人を中心にした群像を描いています。もうちょっと構図は整理できそうですが、なんだか妙な存在感のある絵です。
 町田睦子さん「刹那」は、枯れ木とも遺跡の柱ともつかない白い高い柱4本のある平原で、2人がうずくまっているという不思議な風景を描いています。

 砂田友治展の紹介を、とりあえず脱稿しました。いやー、苦労した。まだまだ書き改めなくてはならないなーと感じています。


2月15日(金)
 恒例の道教育大札幌校・芸術文化過程美術工芸コース卒業制作展と、大学院の修了制作展を、札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)で見ました。
 昨年の遠藤香織さんのような、心にしみる抜きん出た秀作はない反面、平均的な水準では例年になく高いんじゃないかと思いました。詳しくは「展覧会の紹介」で。おすすめです。
 16日まで。

 もうひとつおすすめ。
 さいとうギャラリー(南1西3、ラ・ガレリア5階)で開かれているSYO二人展”to be continued”です。
 札幌の西恵翠さんと堀玉芳さん。道書道展で、堀さんは1999年、西さんは昨年、いずれも会友になったばかりの新進です。
 奔放かつモダンな作品が並びます。もともと「漢字とかなの調和」「読める字」などをめざして、先ごろ亡くなられた金子鴎亭が創始した近代詩文書も、こういうふうに発展してきたのか、という感慨を禁じえません。
 西さんの金子みすヾの詩は、横書きで、左から右に書いています。それだけでも十分あたらしいと思います。また、茨木のり子の「宇宙の漆黒の闇のなかを…」という詩は、硬質の線が激しく躍っています。
 堀さんは、「春の空チーズは雲になりそう」という俳句を、縦長の紙の中央に一行だけ書いています。かなの二尺八尺作品などでは考えられない斬新な配置です。林あまりの短歌は、緑がかった不思議な墨色で、エネルギッシュな線が走ります。
 二人の師匠である、我妻(あづま)緑巣さん(道書道展会員、たしか毎日書道展の審査会員でもあるはず)も賛助出品しています。
 造形性を追求するのなら前衛か墨象に取り組むのがふつうだと思うのですが、ふたりはあえて近代詩文の方法論で、筆をびゅんびゅんと走らせています。まあ、あまりジャンルにこだわって鑑賞するのも無意味かもしれませんが、北海道書道展や社中展では二尺八尺の狭い画面の作品1点しか見られないことを思えば、こういう展覧会は見ていて気持ちいいものです。
 17日まで。

 同じギャラリーでは、冬の女性展と題して、13人による絵画展も開かれています。どういう主旨の集まりなのかはよくわかりません。
 そのなかで、昨年まで毎年続いていた「北の現代具象展」メンバーの日本画家、伊藤洋子さんが「秋の広場」など2点の風景画を出品しています。ごく写実的な画風に見えて、きっちりと省略できるところはしています。整理された構図がさりげなく心地よいです。
 木村暁美さん「むらさきのビル」の幻想性はおもしろいと思いました。ただ、大きな画面になったらどうするんだろうとちょっとよけいな心配。
 ほかに、壱岐伸子、伊藤恵美子、井上すみ子、筧とも、橘井ゆかり、澤田弘子、土門和子、堂向洋美、福重紀代子、美馬恭子のみなさんも出品。
 17日まで。

 コンチネンタルギャラリー(南1西11、コンチネンタルビル地下1階)では、道教育大岩見沢校書道研究室による第38回水茎会書展が開かれています。
 指導担当4人が賛助出品。
 青木空豁さん「開祚」は、空白を生かした伸びやかな書。中野層雲さんはますます闊達というか、肩の力が抜けまくった世界です。阿部和加子さんは芭蕉の句。あいかわらず文字の配置が絶妙。羽毛蒼洲さんは、いよいよ淡墨が薄くなっています。
 学生では、前田里恵さんの高村好太郎の詩の、思い切りの良さがステキでした。
 これも17日まで。

 富士フォトサロン札幌(北2西4、札幌三井ビル別館)に行ったら「クラッセ プロフェッショナルスナップ展」という写真展が開かれていました。
 カメラ雑誌などでおなじみのプロがクラッセというカメラで撮った写真を1枚ずつ並べています。ほとんどリバーサルのプリントです。
 なんのことはない、富士フイルムでこんど発売する高級コンパクトカメラの宣伝です。でも、田中長徳、安珠ら、けっこういろんな人が多彩な作品を出していて、お値打ちな展示かもしれません。道内からも岡本洋典さん、佐藤憲悦さん、高橋真澄さんらが風景を出品しています。
 20日まで。

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