あーとだいありー | 2005年10月 |
10月11日(火) つれづれ日録のつづき。 五稜郭公園前で市電を下りて、丸井今井へ。 瀬戸英樹展を見る。 今回は、なんといっても「パンドラの箱」が目玉。 縦1.3メートル、横2メートルのキャンバスを5枚つなげた超大作だ。 最終的には長さ22メートルになるという。 人形、牛乳缶、おもちゃ、楽器、マネキン、コーヒーミルなどなど、瀬戸さんがこれまで半世紀にわたってモティーフ用にあつめた静物がおびただしくならんでいる。よく見ると、ウォーホルでおなじみのキャンベルスープの缶も棚にある。 筆者がわからなかったのは、バラライカに似た、絃が1本の楽器があったこと。これはなんだろうか。 この大作のほかには、花を描いた小品がほとんどだったが、廃屋やサイロなどのデッサンもたくさんあった。これもウマイ。なんというか、線が太いのだが、これがまったく、迷いというものがなく引かれているように見えるのだ。 瀬戸さんは函館在住。10日まで。 そこから五稜郭公園に向けてあるく。 おとなの足でも7、8分はかかる(と思う)。 |
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途中、北海道新聞社函館支社というところがあり、休日くらいは、あまりかかわりたくないような気もするが、ちょうどよいタイミングで、支社のデスクから原稿の問い合わせの電話がケータイにかかってくるのであった。 支社の前に、小野寺紀子さん(札幌、全道展会員)作のブロンズ像「若き星たち」がたっている。 ひとりは土方歳三らしいが、もうひとりはわからない。 小野寺さんはきりっとしたまじめな具象彫刻を作るので、道内ではあちこちに野外彫刻がある。 五稜郭タワーは現在建て替え工事中である。 来年4月1日に、写真手前の新タワー(高さ98メートル)がオープンすると、1964年開業の旧タワー(同60メートル)は取り壊される運命という。 新旧のタワーが並び立つ風景を写真に撮ろうとしたが、これがむつかしい。 タワーでは、エレベーターの前でかなり並んだ。新タワーではエレベーターが2基になるとのことで、待ち時間はかなり短縮されそうだ。 タワーの展望台に、土方歳三の坐像がある。 これは、函館出身で、イタリアで活躍中の小寺真知子さんの作品。 これぞ具象彫刻、といいたくなる、バランスにすぐれた人物像をつくる方である。 続いて、道立函館美術館(函館市五稜郭町37の6)に行き、天使がいた時代 ヨーロッパ絵画展を見る。 長野県の自動車関連会社社長、長坂剛さんのコレクションとのことだが、これほどまでに知らない画家ばかりという展覧会もめずらしい。 あつめられている絵も、17世紀バロックの宗教画があるかと思えば、19世紀末から20世紀初頭の肖像画もあり、あまり体系性が感じられない。(展覧会は「天使がいた時代」と題されているが、宗教画ばかりではありません) しかし、古いアカデミックな絵というのは、いわゆる名作とか、大家の作品でなくても、見ごたえがある。 技術水準が保証されているのだ。 人間の肌にはこういう割合でばら色を混ぜる、とか、静物のハイライトにはこんな具合でホワイトを置く、とか、その種の技術がきちっと伝えられてきたからだろう。 その意味では、じつに安心して見ることのできる展覧会だった。 田辺三重松 風景の広がり 函館、北海道、そしてヨーロッパへ=同 油彩11点−「造船場町」(1930年)、「トラピスト修道院の夏」(1932年)、「夏の港町」(37年)、「北方の港(北千島)」(43年)、「緑の池畔」(47年)、「湖畔の白樺」(55年)、「然別湖」(58年)、「はまなすの砂丘」(61年)、「海辺」(62年)、「湖畔の家(ノルウェー)」(65年)、「ブライトホーン氷河(スイス)」(同)−と、スケッチ「ブライトホーン氷河(スイス)」(63年)。 ご存知の方も多いと思いますが、いちおう復習。 田辺は1897年函館生まれ、1971年歿。日本を代表する風景画家の一人といわれます。あるいは、日本的フォービスムの代表的画家ともいえるでしょう。 1942年に二科の会員となり、戦後は行動美術の創立会員となりました。 道立函館美術館の常設展示室にはよく陳列されていますが、それでも今回は、未見の作品が半分以上で、見た甲斐がありました。 風景をおおづかみでとらえて、明快な色彩で構図をかためていきます。 今回の展覧会では、モティーフがしだいに函館周辺から海外に広がっていき、風景のとらえ方も雄大になっていくのがわかります。 いずれも16日まで。 併催の「近代日本書のあゆみ」は、金子鴎亭のコレクションから、種島副臣や比田井天来の作品を紹介したものです。 |
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10月8日(土) 札幌の方、とくに映像に興味のあるむきには、見逃せない催しのお知らせです。 フィルム・ギャラリー 「8ミリ映画の大冒険」 2005年10月16日(日) 11:00― 北海道立近代美術館 映像室 入場無料 ※都合により、プログラムを変更する場合がございます。 ご了承ください。 プログラム 11:00 中島洋 〈WATER’S ROOM〉 1973/モノクロ/ 8o/17分 11:20 中島洋 〈ROAD’S WINDOW〉1983/カラー/ 8o/13分 11:35 中島洋 〈窓から海の揺れが見えたU〉1987/カラー/ 8o/11分 11:50 吉雄孝紀 〈ことに〉1986/カラー/ 8o/12分 12:05 麻生知宏 〈箱〉1988/カラー/16o/7分 13:30 山田勇男 〈銀河鉄道の夜〉 1982/カラー/ 8o/50分 14:25 山田勇男 〈ALL A・LONE’〉1986/カラー/ 8o/10分 14:40 山崎幹夫 〈海辺の記憶〉 1982/カラー/ 8o/ 5分 14:50 上林栄樹 〈戯れ機械〉 1987/カラー/16o/20分 15:10 終了予定 中島洋(1950山口生まれ) 学生時代から、自主製作・自主上映活動を行い、1971年より映像個展を札幌他各地で開催、1989年以降にはヨーロッパ、アメリカなど各地の映画祭においてその作品が招待上映されるなど国際的にも高い評価を得ている。また映画に関する評論、著作活動のほか、後進の育成や、広く市民を対象とした啓蒙 活動に務めている。シアターキノ代表。札幌映画製作実行委プロデューサー。全国ミニシアター交流会代表。 吉雄孝紀(1966函館生まれ) 廃校を舞台に一組の高校生カップルがくりひろげる初恋物語。香港のシュウ・ケイ監督が本作を気に入り、8ミリ作品としては異例に香港国際映画祭へ出品。全編ワンシーン・ワンカット。学生時代より自主映画を多数制作、 90年、劇場用映画〈へのじぐち〉(香港国際映画祭、モントリオール国際映画祭招待)を脚本・監督。98年PRビデオやテレビ番組のフリーディレクター業を営む。99年4月から5年間、屋台劇場「まるバ会館」を主宰し自主映画の定期上映にも力を注いだ。現在は主に北海道文化放送報道部にて ニュース特集を担当。「もうすぐ40歳の声を聞こうという今、20歳の自分を押し入れから引っ張り出すのに少々の恥じらいを感じる。多数の映像作品を制作・演出してきたが、先行する団塊の世代がプログラムをセレクトする以上、ぼくらに許される位置は、いつも「青春」なのだろう。 それはまた北海道という田舎街で、アート全体から見た時の映像というジャンルに許された位置とも二重に符合する。そろそろ飽きたけれど、 田舎街とはそういうものなのだろう。」(吉雄) 麻生知宏(栄一)(1950 札幌生まれ) 1969年から、8mm/16mmをまわし、処女作は〈Hot Blue〉。都会の躁鬱感にやりきれなさを感じつつもある突破へのパワーを訴えた作品であった。他に〈TOKO〉、〈FIRE〉、〈隣人王国〉、〈セルデュツオーネ〉など。現在は、潟Cンデックス・コアのCMプロデューサーとして数々の賞を受賞しており、35mm・HD映画も製作している。最近では、鈴井孝之監督「river」のプロデューサーを務めている。 山田勇男(1952長沼町生まれ) 〈銀河鉄道の夜〉 「イメージの『私』が彼岸の『宮沢賢治』を旅する。」(山田勇男) 〈ALL A・LONE’〉 「落ち葉の群れにつまずく影の私、秋のひかり。」(山田勇男) 1974年、演劇実験室天井桟敷に入団。寺山修司監督作品の映画の美術・衣装デザインを担当。77年札幌にて、漫画家・故湊谷夢吉らと銀河画報社映画倶楽部を結成。処女作『スバルの夜』がオフシアター・フィルムフェスティバルに入選。また、初の35mm映画『アンモナイトのささやきを聞いた』がカンヌ国際映画祭批評家週間招待。『月球儀少年』はオーバーハウゼン短篇映画祭に出品され買い上げとなった。 山崎幹夫(1959東京生まれ) 1959年、東京生まれ。北海道大学文学部行動科学科卒業。大学在学中より映像作品制作、上映活動を始め、現在にいたるまで8ミリフィルムによる映像作品をつくり続けている。おもな作品は『極星』1987,『猫夜』1992,『虚港』1996,『グータリプトラ』1999,『無翼の朝と夜』2004。実際に手の甲をカッターナイフで切るシーン、海辺でうずくまる男が何者かに延々と叩かれるシーンの、2つのイメージで成立する衝撃映像。「若いうちはとかく持てる札をすべて使って作品をつくりがちで、私も例外ではなかったのですが、どういうわけかこの作品だけはたった2つの鮮烈なイメージ に集約させることができました。カッターで切り裂いた傷は、いまでもうっすらと私の手に残っています。なお、音楽はオリジナルで、勝井佑二によるものです。」(山崎幹夫) 上林栄樹(1946沼田町生まれ) 北海道大学理学部地質鉱物学科卒業。以後現在まで映像関係の様々な仕事に従事。「この時期は人間と機械のはざまにある何か無気味なものにひかれていて、人間の頼りなさが限り無く機械に近付いていく、あるいは節操もなくなびいていくように思えてこんな形になったと思います。」(上林栄樹) Kさん、すいません、メールをそのままコピペさせていただきました。 ちなみに勝井祐二くんは、札幌出身のロックバイオリニストで、「ROVO」などのバンドを率い、よくライジングサンにも出演しています。 以下、小生のサイトの関連ファイル。 ■つれづれ日録2002年11月・山崎幹夫「グータリプトラ」について ■つれづれ日録02年7月・山田勇男個展「少女絵」「夜のヴェール」 |
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