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あーとだいありー 2005年5月末−8月

 8月29日(月)

 けさの北海道新聞に、後志管内岩内町の画家青塚誠爾さんの訃報が載っていました。
 青塚さんは、画家木田金次郎の最後の弟子で、岩内を離れず現場主義の制作をつらぬいた方でした。木田金次郎美術館の名誉館長でもありました。
 1923年生まれ。旧制倶知安中時代には、香月泰男の生徒でもありました。
 昨年まで、道内のベテラン具象画家のグループ「環」にも参加。10月にスカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階)でひらいた個展が、最後の個展になったようです。見にいけなかったのが悔やまれます。
 ご冥福をお祈りいたします。


 8月12日(金)

 とかち現代アート展デメーテルの関係者から、帯広で現代アートの中心的作家として活動してきた佐野まさのさんが亡くなられたというメールが入っています。
 まだ50代で、にわかには信じられないのですが・・・
 
 http://www.tokachi.co.jp/demeter/020101_3/
 ■とかちの環境アート


 八雲町郷土資料館の中八雲町郷土資料館で、同館所蔵の美術品展がひらかれています。
 31日まで。期間中無休。
 無料。

 日本画は、ほとんどリトグラフやシルクスクリーンですが、山口蓬春、東山魁夷、上村淳之といった有名どころがそろっています。
 ほかに、西村計雄の油彩、色紙、美人画など、計30点。

 八雲で実物の絵にふれる機会はあまり多くないので、よろこんで行ってきました。

 八雲にもひそかにコレクターがいるということもわかりました。

 7月28日(木)

 けさの北海道新聞でも報道されていましたが、第本郷新賞を受けた「時空・140−旅人」12回本郷新賞(札幌彫刻美術館主催)が、八王子の多摩美術大学に設置されている、石井厚生(あつお)さんの作品「時空・140−旅人」にきまりました。

 この賞は、全国のパブリックアートから優秀なものをえらび表彰するもので、隔年で行われています。
 今回は、2003年1月から04年12月末までに設置されたものが対象で、常時だれでも鑑賞できる場所に設置されていることが条件です。
 全国から18点の応募があり、陰里鐵郎、国松明日香、桑原住雄、酒井忠康、澄川喜一、山本正道の6氏が選考しました。

 作品は、高さ、横、奥行きともちょうど1メートルの球体。
 作者は製作意図について、つぎのようにのべています。
この彫刻は、レンガ(約1200個)を積み上げて出来た立方体の塊を彫って球形(直径100センチ)にした。日本においてレンガは、西洋文化の造形上のシンボルです。多数のレンガの積み重ねは、その文化的影響の強さと深さの証です。レンガを接着するモルタルの中に日本の現代彫刻に多大な影響を与えた西欧米の作家達を論じ紹介した「近代彫刻史」(ハーバート・リード著)の紙片を混入することで視角化した物質的な西欧米の近代彫刻史の塊をつくる。この塊を岩石と見立てるわけではないが、僕はこの塊から基本的な幾何形態の一つである球体を作った。僕はこの球体で今まで強く影響を受けてきた西欧米的な意味での彫刻家のオリジナル造形概念を否定する制作哲学を証明しようとする。

石井厚生さん 石井さんは1940年千葉県大原生まれ。多摩美大卒業。
 行動美術に出品するかたわら、個展やグループ展に、精力的に活躍しています。

 8月26日午後2時から、同美術館で贈呈式と受賞記念展セレモニーが行われます。
 また、翌27日から10月10日まで、同館で石井厚生彫刻展が開かれます。会期中無休です。

 資料を送っていただきました、同美術館に感謝いたします。
 ただ、今回、審査講評のようなものがないのは、意外でした。
(追記:展覧会の際には出るようです)


 さて。
 掲示板でもふれましたが、ICCの閉鎖可能性についてメールがまわってきましたので、転送いたします。
ICC存続支持メールのお願い


東京・初台のNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]*が、2005年度いっぱいで活動を停止する方向が、スポンサーであるNTT東日本株式会社より閉鎖を示唆されたのは今年3月のことでした。この件については、同社から公式アナウンスをするという決定がなされないため、内部の者から公にできない状態が続いていたのですが、ICCの現状を含め、ICCおよびメディア・アート・センター、そして文化施設や文化全般の社会的意義を広く議論する必要を感じ、学芸員の判断により今回の件を直接メールさせていただきます。


■ICCの閉鎖可能性

ICCは、アートとテクノロジー、科学の触発により生まれる新しいジャンルであるメディア・アートのアクチュアリティを紹介し、またさまざまな人々が出会う場として91年のプレイヴェント開始後、継続的に活動を続けてきました。97年春のセンター開館後は、カールスルーエのZKM(ドイツ)、リンツのアルスエレクトロニカ・センター(オーストリア)と並ぶメディア・アート・センターとして認知され、国内そしてアジア地域におけるメディア・アートの中核として機能してきました。

ICCは、メディア・アートおよびメディア文化を長年にわたって推進し育ててきた重要な拠点の一つです。長年の活動を通して国内外の交流を推進するだけでなく、大学の授業枠等での視察も多く、教育的役割を大きく担っています。またここ数年、大学機関においてメディア・アート、情報デザインのカリキュラムが増加し、数多くの学生がこの領域で学んでいます。メディアを横断する表現者の増加やネットワーク環境の普及もともなって、メディア・センターの活動は、今まさに広く一般に必要なものとなりつつあります。

公共の場としてメディア文化を牽引するICCが閉鎖されることになった場合、その社会的・文化的損失は、国内外に計り知れないものとなるでしょう。またICCはコレクションを保持しており、活動のドキュメントやアーカイヴも含めこれらをいかに保管し長期的にアクセス可能にするかという問題も出ています。スポンサーであるNTT日本は、これらを公共的な財産として未来につなげていく大きな社会的責任を荷っています。しかし、企業側からは未だ明確な指針が提示されない状況です。

ICCが今後とも継続されることについて、私たちは皆様のご賛同の表明を集めたいと考えています。


2005年7月19日 ICC学芸員一同

*ICC:1990年に日本電信電話株式会社(現NTT)により日本の電話事業100周年記念事業として開始。91年よりプレイヴェントを開始、 92年より機関誌『Inter Communication』を刊行。97年4月に開館、常設および企画展スペースをもちコンサート、ワークショップ、製作支援などを並行して展開。その後NTTの分割にともないNTT東日本の所属となり、2001年4月に縮小リニューアル開館。以後企画展中心に活動。 2005年4月よりカフェ、ライブラリーを閉鎖、メンバーシップを中止。2006年度以降の活動は未定。
  

 7月3日(日)

 6月某日の北海道新聞道南版から。
 原文では、蠣崎波響(かきざき・はきょう)にかながふっていないが、まあ、有名っていうことなんでしょうね。

 ヤマドリの絵 実際はキジ?
 市立函館博物館展示 。崎波響の息子、弟子の作品
 ウグイスも実はスズメ 「楽しんで見て」

 「ウグイス」は実際は「スズメ」、「ヤマドリ」は「キジ」―。
 市立函館博物館本館(函館市青柳町)の常設展で、松前藩士で江戸時代の画家蠣崎波響の弟子や息子の作品などに、実際の題材とは違う作品名がつけられた絵がある。同館は「本人が理解していなかったのか、後年、名称が誤って変わったか。楽しみながら見て」と呼びかけている。
 同館学芸員が、六月初めからの美術常設展入れ替えの準備をしている際に気が付いた。名前が違っているのは、波響の息子波鶩(はぼく)の「藤に山鳥」。題は「山鳥」だが、実際の画は父の波響が描いた「春雨桜雉図(しゅんうおうちず)」や「山桜に雉(きじ)」のキジにそっくり。
 また波響の弟子の高橋波藍の「梅に鶯(うぐいす)」では、描かれた鳥の羽に白い部分があり、別の鳥とみられる。
 (中略)
 波響の研究者で宮城学院女子大(仙台市)の井上研一郎教授は「波藍の作品にウグイスとして描かれた鳥は、北日本に多いニュウナイスズメだろう。昔は鳥の絵は『鶯』とされる傾向があり、また、キジなどは北海道ではなじみの少ない鳥のため、後に作品に命名したり、改称した際に間違ったのでは」と話している。




 6月9日(木)

 ほんとは、こないだ札幌で見た展覧会のことを書かなくてはならないのですが、その前に、気になった新聞記事をいくつか。
 なんか、小姑みたいなことばっかり指摘して、きらわれそうですが。

 いずれも北海道新聞の記事です。
 ただしこれは、もともとは、おそらく東京新聞か共同通信の記事だと思われます。

 著名人が母校で特別授業をする番組「課外授業 ようこそ先輩」で間違った学校を訪ねていたとして、NHKは8日の放送でおわび、訂正した。

 番組は建築家、荒川修作さんが登場した4月27日放送分。名古屋市立瑞穂小学校を訪問したが、荒川さんが1949年に卒業したのは同市立御劔小だった。

 NHKによると、荒川さんの記憶違いで、瑞穂小に資料が残っていなかったことから事前に確認できなかったという。放送後、瑞穂小OBの指摘で誤りが分かった。
 で、ツッコミどころは何かというと、荒川修作さんって、建築家でしたっけ


 つづいて、きょう9日の朝刊から。
 国内外で活躍する彫刻家流政之さん(82)が代表作「サキモリ」シリーズの2点を道に寄贈し、札幌市中央区の道知事公館庭園で8日、除幕式が行われた。

 流さんは道内各地に作品を贈っており、今回寄贈されたのは昨年秋、道立近代美術館での個展に出品した高さ207.5センチと、同191センチのブロンズ彫刻。人のような形をしていて、内臓部分が空洞なのは、あらゆる欲望を取り去った姿という。
 これはべつにツッコミません。
 (といいつつ。単位はそろえましょう)


 つぎは8日の十勝版から。
ホテル支配人、彫刻家…十勝の有志終結 れんが倉庫を帯広の文化発信拠点に

 帯広市中心部の築90年以上のれんが造り倉庫と廃校を、文化交流の拠点として再活用しようと、管内有志25人による民間団体「北のれんがを愛する人々」が改装作業を進めている。

 計画の拠点となるのは帯広市東2南12の約500平方メートルで、青果卸の故下山専松さんが使っていた倉庫2棟と旧宅、柏尋常小学校の木造校舎の一部がある。中庭には、ポプラやサクラの木も並ぶ。

 れんが倉庫は2棟とも75平方メートルで、現在、西側の一棟をギャラリーに改装中。板張りの壁や室内冷却用のさびた鉄パイプなどは残す。第1弾として開く写真展では、十勝の風景を撮り続けた故浦島甲一さんの作品を展示する予定。東側の倉庫はカフェなど飲食店にする計画だ。

 (民間団体の)深尾さんは「戦後にタイムスリップしたような不思議な空間を最大限に生かします」と話しており、新たな文化発信拠点となりそうだ。
 原文はこの倍以上あります。
 それはいいとして、「戦後にタイムスリップ」って、いまは戦後じゃないのでしょうか。「もはや戦後ではない」っていうことですかね。
 それと、見出しは、筆者がまちがったのではありません。原文のままです。


 最後は、8日の道南情報版「みなみ風」から。
 七飯町大川の画家、丸山恵三さん(70)が二日、函館市本町の杉の子保育園(長谷川雅昭園長)に自作の油絵「花の故郷」(五十号)を寄贈した。函館山から見た函館の街の風景に、大輪のヒマワリを多く描き入れた作品には「大きくなっても故郷の函館を思ってほしい」という願いを込めたという。
 絵の号数は算用数字ですよ。(あー、またきらわれる(ー_ー)
 それはともかく、現物の写真を見ると「近代美術協会 丸山恵三氏」と、絵の下に札がはってあります。
 近代美術協会は1973年創立のわりあい歴史の新しい公募展で、道内では高橋英生さんの所属する団体として知られているのではないかと思います。
 でも、この協会のサイトを見ても、丸山さんの名前は、委員、会員、会友のいずれにも載ってないんですよ。
 まあ、絵の下の札に「会員」などと書いてあるわけじゃないから、一般の出品者なんでしょうけど。

 

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