…………。
　場所はリグリア王国の大都市、ウィラン。
　地図で見ると、ドイツあたり。
　あたしの修行が始められることになった。 　いや、だからってね。
　あたし一人で、この国に放り出されても困るわけ。
　誰？「ミラノちゃんを一人にするわけには行かないでしょう？」なんて言った奴！
　あたし今、思いっきり一人なんだけど。
　この場所に来るときはラテスの空間転移だった。
　ワール・ワーズが一緒だったわよね。
　でも気付いたときはなんであたし一人な訳？
　これも修行？
　修行なのか！！！
　良いわよ、やるわよ。
　やってみせるわよ！！！
　サガやファナやカーシュに逢ったときに
「勇者様！！」
　って言わせてやるんだから！（なんだこの気合いは）
　とはいえ、どうすれば良いんだろう。
　とりあえず、人の話を聞こう。
　いや、RPGゲームと違うんだからだいたいどうやって何を聞くの。
　むーんそれよそれ。
　事件ありませんか？
　なんて聞くのっておかしいわよね。
　ん～～～～。
　地図を見れば…この町ウィランの近くには、ラークの都がある。
　ラークの都って言えば、古代闇の王エラン様の神殿があるのよね。
　ウィランの街観光って言うのも悪くないよなぁ～。
　そうだ、どっか喫茶店入ろう！！
　けっこうあたしってエンジョイしてんじゃない？
　そうだよ、そうそう。
　一人旅だよ一人旅。
　すぐにラテスとかに見つかる（探そうなんて思ってない）かもしんないけど、その間はじっくり一人旅エンジョイしよう。
　少し見渡せばいい感じのカフェ発見！！
　入れるかな～。
　飲み屋だったら未成年は入れないもんね。
「いらっしゃいませ～」
　愛想良く店員さんがあたしを迎え入れてくれる。
　よし、一人旅エンジョイ！
「ってミラノちゃん、さっきから何してるの？」
　振り向けばラテス！！
「ラテス、何って…ってどこにいたのよ！」
「オレだったらさっきからそこにいたよ。まぁ、ミラノちゃんの行動を観察させては貰ったけどね」
　観察しないでよ！！
　してる間があったらさっさと呼んでよ。
「心細くなってオレやワール・ワーズのこと呼ぶかなぁなんて思ってたんだけどね」
　なんて言いながらあたしの手をつかむ。
「ミラノちゃんがいなくならないように握っておかないとね」
　握らなくていいから。
「さて、じゃあ、目的地にでも行こうか」
　そう言うラテスにあたしは引きずられるように連れて行かれる。
　自由行動よ、自由な時間よさようなら…。
　一人旅エンジョイしたかったよぉ～。
「言ったでしょ？ミラノちゃんを一人にするわけにはいかないってね」
　さらば、一人旅！
　っていうか、いつか絶対一人旅してやる！！！