富山県の立山(たてやま)連峰の薬師岳(やくしだけ)縦走(登山)

2014(平成26)年8月15日

第一 薬師岳縦走プロローグ

1 昨年の夏山は、2013(平成25)年8月6日上高地の「西穂高岳」と「焼岳」でご紹介した西穂高岳及び焼岳への登山でした。

2 今年の夏山は、富山県の立山連峰の薬師岳を縦走してきました。

 立山の室堂平のバスターミナル(標高2450メートル)を出発して、薬師岳(標高2926メートル)に登り、折立(おりだて)(標高1355メートル)に下りる、水平距離で28キロメートル、高低差で1571メートルのアップダウンを繰り返す極めてタフな縦走コースでした。

3 なお、室堂平の室堂バスターミナルと一乃越山荘(標高2700メートル)のことは、2013(平成25)年10月12日立山の雄山・大汝山への登山でご紹介しています。

 また、室堂平やミクリガ池のことは、2009(平成21)年8月19日剱岳(点の記)登山でご紹介していますのでご覧下さい。

4 縦走した各地点の標高は以下の通りです。

 室堂平     2450メートル(登山出発地)
 一乃越山荘   2700メートル(1泊目)
 浄土山     2831メートル
 龍王岳     2872メートル
 鬼岳      2750メートル
 獅子岳     2741メートル
 ザラ峠     2348メートル
 五色ヶ原山荘  2500メートル(通過)
 鷲岳      2617メートル
 鳶山      2616メートル
 越中沢岳    2591メートル
 スゴノ頭    2431メートル
 スゴ乗越小屋  2370メートル (2泊目)
 間山      2585メートル
 北薬師岳    2900メートル
 薬師岳     2926メートル
 薬師岳山荘   2701メートル(通過)
 薬師峠     2294メートル
 太郎平小屋   2330メートル(3泊目)
 折立(おりだて)1355メートル (下山地)

第二 立山連峰の薬師岳

1 薬師岳は、富山県南東部にある北アルプス立山連峰の1峰で、立山の雄山や大汝山や剱岳と比べると、雄大で穏やかな山容です。

 薬師岳頂上付近から数百メートル下の谷まで鋭くスプーンで抉(えぐ)ったような急傾斜のカーブした断崖が3つあります。

 それは氷河が岩を削ってできたカール(圏谷(けんこく))で、「薬師岳の圏谷群(けんこくぐん)」として天然記念物に指定されています。

2 なお、カール(圏谷)の地形では、2007(平成19)年8月20日中央アルプスの木曽駒ヶ岳の御来光、宝剣岳のロッククライミング、そして駒ヶ根名物ソースカツ丼など(登山)でご紹介した「千畳敷カール」と、2012(平成24)年8月8日穂高連峰縦走(登山)、そして、2012(平成24)年8月8日穂高連峰縦走行程(登山)でご紹介した「涸沢カール」が有名です。

3 薬師岳の山頂には、薬師岳の名前の由来になった薬師如来(やくしにょらい)を祀(まつ)っている祠(ほこら)があります。

 薬師岳の山頂からは、北の方角に五色ヶ原の広がりと立山連峰、剱岳等の急峻な山々と富山平野、日本海等が見られ、東南方面には水晶岳や鷲羽岳や遠く槍ヶ岳等も見え、360度の展望パノラマを楽しめます。

第三 登山行程

第1 1日目

 山仲間のI氏が朝5時に新車登録3年目で走行距離が10万キロメートルを遙かに超えたプリウスワゴンで私の山形市の自宅まで迎えにきてくれました。

 私は、その車に愛用のオスプレイ・ケストレル38リットルのザック、スポルティバのトランゴ・キューブの登山靴等を積み込み出発しました。

 南陽市から飯豊町、小国町を越えて新潟県に入り、荒川胎内インターチェンジから日本海東北道に乗りました。

 午前8時頃新潟市の北陸自動車道黒崎サービスエリアの食堂でラーメンを食べ「朝ラー」しました。

 その後北陸自動車道をひた走り富山県に入り立山インターチェンジで高速道を下りました。

 近くのスーパーマーケットで、缶ビール、インスタントラーメン「ラ王」やチーズ詰め合わせ等を買いました。

 更に、近くのDIYでガスバーナーに接続するガスカートリッジを購入しました。

 それからケーブルカーの立山駅近くの無料駐車場に向かい、何とか一台空いていたところに車を駐めて登山の身支度をしました。

 午後1時丁度発のケーブルカーに乗りました。

 ケーブルカーは、立山駅から美女平駅までの急勾配の坂を約7分間で登ります。

 美女平駅から室堂平バスターミナルまでは定期バスが50分で運んでくれます。

 立山駅からケーブルカーとバスを乗り継いで室堂平までの料金は片道2430円でした。

 午後2時頃室堂平バスターミナルにつきバスターミナル裏の室堂平の広場で、北陸自動車道有磯海(ありそうみ)サービスエリア上り線売店で買った富山名物のマスすしを食べて昼食にしました。

 また、2013(平成25)年10月12日立山の室堂ターミナルの室堂限定「ムロまん(黒部名水ポークの豚まん)」(富山県)でご紹介した黒部名水ポークの豚まんも食べました。

 腹ごしらえをしてから午後2時30分に室堂平バスターミナルを出発して午後3時30分に一乃越山荘(標高2700メートル)に到着しました。

 途中沢山の雪渓がありました。

 山荘近くの雪渓の雪をビニール袋に詰めて買ってきた缶ビールを冷やしました。

 一乃越山荘にチェックイン(1泊素泊まりで7000円くらいでした。)した後、山荘の前の広場の長テーブルとベンチに陣取り、山形から持ってきたタケダワイナリーのベリーA古木の赤ワインと雪で冷やした缶ビールを沢山飲んでI氏と二人で大宴会でした。

 新潟市の北陸自動車道黒崎サービスエリアの売店で購入した「大辛口柿の種」も酒のつまみによかったです。

 また立山のスーパーマーケットで買ったチーズ詰め合わせもグッドでした。

 この日の一乃越山荘はそれほど混んでいませんでした。

 午後7時には就寝しました。

第2 2日目

 午前3時に起床して午前3時40分に一乃越山荘を出発しました。

 満天の星空のもと真っ暗な登山道をヘッドランプをつけてひたすら登りました。

 遠くに富山市の街の明かりがイルミネーションのように見えました。

 浄土山(2831メートル)の南峰で夜が白んできました。

 そこから龍王岳(2872メートル)の西側を巻いて大きく下りました。

 鬼岳(2750メートル)の東側斜面に急傾斜の雪渓があり、そこを斜めに下らなければならないので、安全のために持参した10本爪のアイゼンを登山靴に装着しました。

 獅子岳(2741メートル)の頂上で、前日に有磯海サービスエリアの売店で購入したサバすしを朝食に食べました。

 午前8時12分に五色ヶ原山荘(2500メートル)に到着しましたが、小休止しただけで更に足を伸ばしました。

 五色ヶ原付近は湿地帯で高山植物の宝庫です。

 色とりどりの美しい花々が咲き誇っていました。

 鷲岳(2617メートル)や鳶山(2616メートル)を通り午前10時50分に越中沢岳(2591メートル)に到着し大休止しました。

 I氏が、ガスバーナーで湯を沸かし、立山のスーパーマーケットで買ってきたインスタントラーメン「ラ王」を茹(ゆ)でました。

 それまでに大量の汗をかいていたので、ラーメンのスープの塩気が美味しかったです。

 「ラ王」の麺もうまかったです。

 越中沢岳を出発してスゴノ頭(2431メートル)を通り「スゴ乗越小屋」に、午後2時40分に到着しました。

 この日の行程は約11時間でした。

 この日は行動中2リットル以上の水を飲みましたが、それでも足りませんでした。

 スゴ乗越小屋の料金は、1泊夕食と朝の弁当(海苔おにぎり2個とお茶パック1個)で9200円でした。

 汗びっしょりの服を着替えて、小屋の前の長テーブルとイスに座り、持参したベリーA古木の赤ワインと缶ビール、そして小屋で買った缶ビールでI氏とまたまた大宴会をしました。

 小屋ではオーストリアから日本にきて大学院で勉強している背の高い若い男性がアルバイトをしていました。

 大宴会が終わって午睡していたときに激しい夕立がきて1時間くらいで晴れました。そのとき大きく2重に虹がかかりました。

 小屋の夕食はハンバーグ等の豪華なおかずでした。

 味噌汁も美味しかったです。

 この小屋もそれほど混んでいませんでした。

 午後7時には2階にある蚕棚(かいこだな)式のベッドの上の階で休みました。

第3 3日目

 午前3時に起床し、午前3時30分に満天の星がまたたく下の真っ暗な登山道をヘッドランプを頼りに登り始めました。

 午前4時50分に間山(2585メートル)の頂上に到着し、夜が明けていたので小屋から受け取った弁当の海苔おにぎりを1個食べました。

 午前6時48分に北薬師岳(2900メートル)の頂上に着き、午前8時00分に薬師岳(2926メートル)の頂上に着きました。

 薬師岳の山頂には薬師如来を祀っている祠が建っていました。

 薬師岳の山頂からの展望も素晴らしいものでした。

 剱岳や槍ヶ岳その他の有名な山々が一望出来ました。

 薬師岳の3つのカールも素晴らしい景色でした。

 薬師岳で30分間休憩した後下山を開始しました。

 薬師岳山荘(2701メートル)を通過し、薬師峠(2294メートル)付近で、この日の早朝折立から登り始めた山梨県からきたS氏と遭遇しました。

 S氏はそのまま薬師岳までの登山を続け、私とI氏はひたすら下り続け、太郎平小屋(2330メートル)に午前11時20分に到着しました。

 この日の行程は約8時間でした。

 この2日間は快晴で日射しが強烈で首筋や腕が火傷のように日焼けしました。

 またものすごく暑かったので熱中症にならないよう水を沢山飲みました。

 太郎平小屋にチェックイン(1泊夕食付き朝食なしで8200円)し、ザックを小屋の蚕棚式の下の方のその夜眠るスペースのところに運んでからI氏と小屋の前の広場に出ました。

 小屋の前の広場は沢山の登山者(ほとんどが中高年の登山者でした。)でごったがえしていました。

 空いている長テーブルとイスを見つけて、小屋の売店で購入した生ビール(1000円)でI氏と薬師岳登山が無事終わったことを祝って乾杯しました。

 生ビールの後は缶ビールを売店から買って飲みました。

 (持参した赤ワインと缶ビールは前日に飲み干しました。)

 ビールを飲みながら、I氏がバーナーで湯を沸かしてインスタントラーメン「ラ王」を茹でてくれたので昼食にこれを食べました。大量に汗をかいた後だったので「ラ王」はことのほか美味しかったです。

 その後午睡して午後4時くらいに小屋の前の広場に出て、薬師岳登山から帰ってきたS氏を迎えて生ビールと1リットルの缶ビールで久方ぶりの再会を祝して乾杯しました。

 この日の太郎平小屋は大変な混みようでした。

 定員の2倍の人数が宿泊したとのことです。

 それで、1畳に2人が寝ることになりました。

 一枚の敷き布団と1枚の毛布とかけ布団を2人で共有し、頭と足を互い違いにして寝ました。

 狭くてなかなか寝付かれなくて少しウトウトしただけでした。

第4 4日目

 朝3時に起床し、午前3時30分に折立に向けて太郎平小屋をI氏とS氏と3人で出発しました。

 この日は曇りで星は見えませんでしたが、富山市の街の明かりがイルミネーションのように見えました。

 真っ暗な登山道をヘッドランプを点灯して足下を照らしながら慎重に下りました。

 途中大変急な下り道があり難儀しましたが、午前6時過ぎに折立(1355メートル)に到着しました。

 この日の行程は約3時間でした。

 そして、今回の縦走行程は合計23時間でした。

 結構ハードでした。

 S氏の車に乗せてもらい立山駅の駐車場に駐めてあるI氏のプリウスワゴンまで行きました。

 S氏はそこから真っ直ぐ山梨県に向かいました。

 私とI氏はそこの駐車場で着替えをしました。

 そして、そこから富山市まで足を伸ばし、富山市内の「高原鉱泉」の風呂で汗を流し、2014(平成26)年8月4日富山県富山市の富山ブラックの発祥の店「西町大喜(にしちょうたいき)」の「富山ブラック」(ラーメン)でご紹介した「富山ブラック」ラーメンを食べて山形への帰途につきました。


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