金星 その4
 
次に、「cosx/sinx=2(sin2x + sin4x + ・・)の式」に対してπ/8、π/12代入の場合を調べてみました。
予想1と予想2を確めるべく、具体例を蓄積しているわけです。1/sinx=2(sinx + sin3x + ・・・)にπ/8を代入した結果、
予想が破綻しているような結果が現れました。


2004/4/11
    <cosx/sinx=2(sin2x + sin4x + sin6x + ・・)の重回積分-重回微分にπ/8を代入>

 ここでは、π/8代入の場合を調べます。

  cosx/sinx=2(sin2x + sin4x + sin6x + ・・) -------@

まず@式から調べていきます。重回積分、重回微分した結果をまず書き下します。

[重回積分、重回微分した一連の式]
  ・
  ・
4回微分
 {2sin2x・sinx+4(2+cos2x)cosx}/(sinx)^5=2^4sin2x + 4^4sin4x + 6^4sin6x + 8^4sin8x + ・・・・

3回微分
 (2+cos2x)/(sinx)^4=2^3cos2x + 4^3cos4x + 6^3cos6x + 8^3cos8x + ・・・・

2回微分
 cosx/(sinx)^3=-(2^2sin2x + 4^2sin4x + 6^2sin6x + 8^2sin8x + ・・・・) 

1回微分
  -1/(sinx)^2=2(2cos2x + 4cos4x + 6cos6x + 8cos8x + ・・・・) 

0回積分
  cosx/sinx=2(sin2x + sin4x + sin6x + sin8x + ・・・・) 

1回積分
  log(2sinx)=-2(cos2x/2 + cos4x/4 + cos6x/6 + ・・・)

2回積分
 ∫log(2sinx)=-2(sin2x/2^2 + sin4x/4^2 + sin6x/6^2 + ・・・)

3回積分
 ∫∫log(2sinx)=2(cos2x/2^3 + cos4x/4^3 + cos6x/6^3 + ・・・) - ζ(3)/2^2

4回積分
 ∫∫∫log(2sinx)=2(sin2x/2^4 + sin4x/4^4 + sin6x/6^4 + ・・・) - ζ(3)/2^2・x/1!

5回積分
 ∫∫∫∫log(2sinx)=-2(cos2x/2^5 + cos4x/4^5 + cos6x/6^5 + ・・・) + ζ(5)/2^4 - ζ(3)/2^2・x^2/2!

6回積分
 ∫∫∫∫∫log(2sinx)
     =-2(sin2x/2^6 + sin4x/4^6 + sin6x/6^6 + ・・・) + ζ(5)/2^4 ・x/1! - ζ(3)/2^2・x^3/3!

7回積分
 ∫∫∫∫∫∫log(2sinx)
     =2(cos2x/2^7 + cos4x/4^7 + cos6x/6^7 + ・・・) - ζ(7)/2^6 + ζ(5)/2^4 ・x^2/2! - ζ(3)/2^2・x^4/4!

8回積分
 ∫∫∫∫∫∫∫log(2sinx)
 =2(sin2x/2^8 + sin4x/4^8 + sin6x/6^8 + ・・・) - ζ(7)/2^6 ・x/1! + ζ(5)/2^4 ・x^3/3! - ζ(3)/2^2・x^5/5!
  ・
  ・
と、このように上に下に延々と続きます。すべての∫は0〜xの定積分、またdx・・dxは略しました。
 さて、上の一連の式の x にπ/8を代入してみます。すると、次のようになります。途中計算は省略。
[π/8代入の式]
  ・
  ・
4回微分
  1/√2・{2^4・L2(-4) + 4^4√2・L(-4)}
             ={2sin(π/4)sin(π/8) + 4(2+cos(π/4))cos(π/8)}/{sin(π/8)}^5
    L2(-4) = 57、L(-4)=5/2より、式は成立(計算は略)。

3回微分
  1/√2・{2^3・L1(-3) - 8^3√2・(1-2^4)・ζ(-3)}=(2+cos(π/4))/{sin(π/8)}^4
    L1(-3) = 11、ζ(-3)=1/120より、式は成立。

2回微分
  -1/√2・{2^2・L2(-2) + 4^2√2・L(-2)}=cos(π/8)/{sin(π/8)}^3
    L2(-2) = -3、L(-2)=-1/2より、式は成立。

1回微分
  √2{2L1(-1) - 8√2・(1-2^2)・ζ(-1)}=-1/{sin(π/8)}^2
    L1(-1) = -1、ζ(-1)=-1/12より、式は成立。

0回積分
 √2{L2(0) + √2L(0)}=1+√2
   L2(0) = 1、L(0) = 1/2より、式は成立。

1回積分
  -√2{L1(1)/2 - √2/8・log2}=log{2sin(π/8)}
     L1(1) = log(√2+1)/√2より、式は成立。

2回積分
  -√2{L2(2)/2^2 + √2/4^2・L(2)}=∫(0〜π/8) log(2sinx)

3回積分
  √2{L1(3)/2^3 - √2/8^3・(1-1/2^2)ζ(3)}- ζ(3)/2^2 =∫(0〜π/8)∫log(2sinx)

4回積分
  √2{L2(4)/2^4 + √2/4^4・L(4)}- ζ(3)/2^2・(π/8)=∫(0〜π/8)∫∫log(2sinx)

5回積分
  -√2{L1(5)/2^5 - √2/8^5・(1-1/2^4)ζ(5)} + ζ(5)/2^4 - ζ(3)/2^2・(π/8)^2/2!
                                             =∫(0〜π/8)∫∫∫log(2sinx)

6回積分
  -√2{L2(6)/2^6 + √2/4^6・L(6)}+ ζ(5)/2^4・(π/8) - ζ(3)/2^2・(π/8)^3/3!
                                        =∫(0〜π/8)∫∫∫∫log(2sinx)

7回積分
  √2{L1(7)/2^7 - √2/8^7・(1-1/2^6)ζ(7)}
               - ζ(7)/2^6 + ζ(5)/2^4・(π/8)^2/2! - ζ(3)/2^2・(π/8)^4/4!
                                         =∫(0〜π/8)∫∫∫∫∫log(2sinx)

8回積分
  √2{L2(8)/2^8 + √2/4^8・L(8)}
            - ζ(7)/2^6・(π/8) + ζ(5)/2^4・(π/8)^3/3! - ζ(3)/2^2・(π/8)^5/5!
                                        =∫(0〜π/8)∫∫∫∫∫∫log(2sinx)
  ・
  ・
と、ζ(2n+1)とL1(2n+1)とL2(2n)とL(2n)が現れる式が並びます。
上で右辺の重回積分は一番左の(最後の)∫だけが0〜π/8の定積分で、他の∫はすべて0〜xの定積分。
一度に4つも顔を見せたのははじめてです。

 これらは、全て既出のゼータ関数ですが、全部ディリクレのL関数L(χ,s)であることはいうまでもありません。
 やはり、ここでも出現してくるゼータ関数は、すべてディリクレのL関数となっていました。

念のため、これらの定義をもう一度書いておきます。
  ζ(s)=1 + 1/2^s + 1/3^s + 1/4^s + ・・・
  L(s)=1/1^s - 1/3^s + 1/5^s - 1/7^s + ・・・

  L1(s)=1/1^s - 1/3^s - 1/5^s + 1/7^s+・・・
  L2(s)=1/1^s + 1/3^s - 1/5^s - 1/7^s+・・・
(注意:L1(s)とL2(s)は、+ - はこの単位で延々とくり返されていきます。)

 ディリクレのL関数L(χ,s)とは次のように定義されるものであって、ディリクレ指標χ(a)に対して特徴づけ
られる保型形式のゼータ関数です。
 L(χ,s)=χ(1)/1^s + χ(2)/2^s + χ(3)/3^s + χ(4)/4^s + χ(5)/5^s + χ(6)/6^s + ・・・・

上の4つが、どのようなχ(a)に対応するかも記しておきます。
 ζ(s)は、すべてのaに対して χ(a)=1とおいたL(χ,s)に一致します。
 L(s)は、a≡0, 1, 2, 3 mod 4の時、それぞれχ(a)=0, 1 0, -1とおいた場合のL(χ,s)です。

 L1(s)は、mod 8に対応したχ(a)をもち、
「a≡1 or 7 mod 8-->χ(a)=1、a≡3 or 5 mod 8 -->χ(a)=-1、それ以外のaではχ(a)=0」というχ(a)に
対応したL(χ,s)となります。

 L2(s)は、mod 8に対応したディリクレ指標χ(a)をもちますが、今度は
「a≡1 or 3 mod 8-->χ(a)=1、a≡5 or 7 mod 8 -->χ(a)=-1、それ以外のaではχ(a)=0」というχ(a)に
対応したものとなっています。

以上。




2004/4/21
    <cosx/sinx=2(sin2x + sin4x + sin6x + ・・)の重回積分-重回微分にπ/12を代入>

 @式のπ/12代入の場合を調べます。

  cosx/sinx=2(sin2x + sin4x + sin6x + ・・) -------@

一つ上の「重回積分、重回微分した一連の式」の x にπ/12を代入してみました。

[π/12代入の式]
  ・
  ・
4回微分
  √3/2・(1+2^5)LA(-4)・4^4 + 2^3・(1+3^4)L(-4) + L(-4)・6^4
             ={2sin(π/6)sin(π/12) + 4(2+cos(π/6))cos(π/12)}/{sin(π/12)}^5
    L(-4)=5/2、{2sin(π/6)sin(π/12) + 4(2+cos(π/6))cos(π/12)}/{sin(π/12)}^5=4880+2816√3
  より、LA(-4)=2/3とわかる。

3回微分
  √3/2・LB(-3)・2^3 + 4^3・(1-2^4)(1-3^3)ζ(-3)/2 - 12^3・(1-2^4)ζ(-3)
                                        =(2+cos(π/6))/{sin(π/12)}^4
    ζ(-3)=1/120、(2+cos(π/6))/{sin(π/12)}^4=8(40+23√3)より、LB(-3)=46とわかる。

2回微分
  -{√3/2・(1+2^3)LA(-2)・4^2 + 2^1・(1+3^2)L(-2) + L(-2)・6^2}
                                           =cos(π/12)/{sin(π/12)}^3
    L(-2)=-1/2、cos(π/12)/{sin(π/12)}^3=4(7+4√3)より、LA(-2)=-2/9とわかる。

1回微分
  2{√3/2・LB(-1)・2^1 + 4^1・(1-2^2)(1-3^1)ζ(-1)/2 - 12^1・(1-2^2)ζ(-1)
                                               =-1/{sin(π/12)}^2
    ζ(-1)=-1/12、1/{sin(π/12)}^24(2+√3)より、LB(-1)=-2とわかる。

0回積分
   2{√3/2・(1+2)LA(0)/4^0 + 1/2^1・(1+1/3^0)L(0) + L(0)/6^0}=cos(π/12)/sin(π/12)

1回積分
   -2{√3/2・LB(1)/2^1 + (1-1/2^0)(1-1/3^1)ζ(1)/(2・4^1) - (1-1/2^0)ζ(1)/12^1
                                                =log(2sin(π/12))

2回積分
  -2{√3/2・(1+1/2)LA(2)/4^2 + 1/2^3・(1+1/3^2)L(2) + L(2)/6^2}=∫(0〜π/12) log(2sinx)

3回積分
  2{√3/2・LB(3)/2^3 + (1-1/2^2)(1-1/3^3)ζ(3)/(2・4^3) - (1-1/2^2)ζ(3)/12^3}-ζ(3)/2^2
                                               =∫(0〜π/12)∫log(2sinx)

4回積分
  2{√3/2・(1+1/2^3)LA(4)/4^4 + 1/2^5・(1+1/3^4)L(4) + L(4)/6^4}-ζ(3)/2^2・(π/12)
                                            =∫(0〜π/12)∫∫log(2sinx)

5回積分
  -2{√3/2・LB(5)/2^5 + (1-1/2^4)(1-1/3^5)ζ(5)/(2・4^5) - (1-1/2^4)ζ(5)/12^5
                                + ζ(5)/2^4 - ζ(3)/2^2・(π/12)^2/2!
                                           =∫(0〜π/12)∫∫∫log(2sinx)

6回積分
  -2{√3/2・(1+1/2^5)LA(6)/4^6 + 1/2^7・(1+1/3^6)L(6) + L(6)/6^6}
                         + ζ(5)/2^4・(π/12) - ζ(3)/2^2・(π/12)^3/3!
                                        =∫(0〜π/12)∫∫∫∫log(2sinx)

7回積分
  2{√3/2・LB(7)/2^7 + (1-1/2^6)(1-1/3^7)ζ(7)/(2・4^7) - (1-1/2^6)ζ(7)/12^7
                 - ζ(7)/2^6 + ζ(5)/2^4・(π/12)^2/2! - ζ(3)/2^2・(π/12)^4/4!
                                        =∫(0〜π/12)∫∫∫∫∫log(2sinx)

8回積分
  2{√3/2・(1+1/2^7)LA(8)/4^8 + 1/2^9・(1+1/3^8)L(8) + L(8)/6^8}
            - ζ(7)/2^6・(π/12) + ζ(5)/2^4・(π/12)^3/3! - ζ(3)/2^2・(π/12)^5/5!
                                      =∫(0〜π/12)∫∫∫∫∫∫log(2sinx)
  ・
  ・
と、LA(2n)とLB(2n+1)とL(2n)とζ(2n+1)が現れる式が並びます。
上で右辺の重回積分は一番左の(最後の)∫だけが0〜π/12の定積分で、他の∫はすべて0〜xの定積分。

4つのゼータ関数が出てきましたが、すべてディリクレのL関数L(χ,s)であり、予想を支持する結果となっています。

以上。




2004/5/7
    <1/sinx=2(sinx + sin3x + sin4x + ・・)の重回積分-重回微分にπ/8を代入>

次に、もう一つの中心母等式(次の@)でのπ/8代入を調べます。

    1/sinx=2(sinx + sin3x + sin5x + sin7x + sin9x + ・・・・・)  ----@

まずこれをひたすら重回積分、重回微分した式を書きます。すべての∫は0〜xの定積分、またdx・・dxは略。

[重回積分、重回微分した一連の式]
  ・
  ・
4回微分
 {3(cosx)^2・(sinx)^2+5(sinx)^2+4(cosx)^4+20(cosx)^2}/(sinx)^5
                     =2(sinx + 3^4sin3x + 5^4sin5x + 7^4sin7x + ・・・・)

3回微分
 {(cosx)^3+5cosx}/(sinx)^4=2(cosx + 3^3cos3x + 5^3cos5x + 7^3cos7x + ・・・・)

2回微分
 {1+(cosx)^2}/(sinx)^3=-(sinx + 3^2sin3x + 5^2sin5x + 7^2sin7x + ・・・・) 

1回微分
  -cosx/(sinx)^2=2(cosx + 3cos3x + 5cos5x + 7cos7x + ・・・・) 

0回積分
 1/sinx=2(sinx + sin3x + sin5x + sin7x + sin9x + ・・・・・)

1回積分
  1/2・log(cot(x/2))=cosx + cos3x/3 + cos5x/5 + ・・・

2回積分
 1/2∫log(cot(x/2))=sinx + sin3x/3^2 + sin5x/5^2 + ・・・

3回積分
 1/2∫∫log(cot(x/2))=-(cosx + cos3x/3^3 + cos5x/5^3 + ・・・) + (1-1/2^3)ζ(3)

4回積分
 1/2∫∫∫log(cot(x/2))=-(sinx + sin3x/3^4 + sin5x/5^4 + ・・・) + (1-1/2^3)ζ(3)x/1!

5回積分
 1/2∫∫∫∫log(cot(x/2))=(cosx + cos3x/3^5 + cos5x/5^5 + ・・・)
                              + (1-1/2^3)ζ(3)x^2/2!- (1-1/2^5)ζ(5)

6回積分
 1/2∫∫∫∫∫log(cot(x/2))=(sinx + sin3x/3^6 + sin5x/5^6 + ・・・)
                              + (1-1/2^3)ζ(3)x^3/3!- (1-1/2^5)ζ(5)x/1!

7回積分
 1/2∫∫∫∫∫∫log(cot(x/2))=-(cosx + cos3x/3^7 + cos5x/5^7 + ・・・)
                       + (1-1/2^3)ζ(3)x^4/4!- (1-1/2^5)ζ(5)x^2/2!+ (1-1/2^7)ζ(7)

8回積分
 1/2∫∫∫∫∫∫∫log(cot(x/2))=-(sinx + sin3x/3^8 + sin5x/5^8 + ・・・)
                       + (1-1/2^3)ζ(3)x^5/5!- (1-1/2^5)ζ(5)x^3/3!+ (1-1/2^7)ζ(7)x/1!
   ・
   ・
と、このように上に下に延々と続いていきます。すべての∫は0〜xの定積分、またdx・・dxは略しました。
さて、上の一連の式のx にπ/8を代入してみます。積分の部分だけを書きます。途中計算は略。

[π/8代入の式]
  ・
  ・
0回積分
M・(1 + 1/7 - 1/9 - 1/15 + 1/17 + 1/23 - 1/25 - 1/31 +・・・)
   + P・(1/3 + 1/5 - 1/11 - 1/13 + 1/19 + 1/21 - 1/27 - 1/29 +・・・)=1/M

1回積分
   P・(1 - 1/7 - 1/9 + 1/15 + 1/17 - 1/23 - 1/25 + 1/31 +・・・)
   M・(1/3 - 1/5 - 1/11 + 1/13 + 1/19 - 1/21 - 1/27 + 1/29 +・・・)
                                           =log(cot(π/16))

2回積分
 M・(1 + 1/7^2 - 1/9^2 - 1/15^2 + 1/17^2 + 1/23^2 - 1/25^2 - 1/31^2 +・・・)
   + P・(1/3^2 + 1/5^2 - 1/11^2 - 1/13^2 + 1/19^2 + 1/21^2 - 1/27^2 - 1/29^2 +・・・)
                                        =1/2・∫(0〜π/8) log(cot(x/2))

3回積分
  - P・(1 - 1/7^3 - 1/9^3 + 1/15^3 + 1/17^3 - 1/23^3 - 1/25^3 + 1/31^3 +・・・)
   - M・(1/3^3 - 1/5^3 - 1/11^3 + 1/13^3 + 1/19^3 - 1/21^3 - 1/27^3 + 1/29^3 +・・・)
                                                 + (1-1/2^3)ζ(3)
                                          =1/2・∫(0〜π/8)∫log(cot(x/2))

4回積分
 - M・(1 + 1/7^4 - 1/9^4 - 1/15^4 + 1/17^4 + 1/23^4 - 1/25^4 - 1/31^4 +・・・)
    - P・(1/3^4 + 1/5^4 - 1/11^4 - 1/13^4 + 1/19^4 + 1/21^4 - 1/27^4 - 1/29^4 +・・・)
                                               + (1-1/2^3)ζ(3)・(π/8)
                                           =1/2・∫(0〜π/8)∫∫log(cot(x/2))

5回積分
  P・(1 - 1/7^5 - 1/9^5 + 1/15^5 + 1/17^5 - 1/23^5 - 1/25^5 + 1/31^5 +・・・)
    + M・(1/3^5 - 1/5^5 - 1/11^5 + 1/13^5 + 1/19^5 - 1/21^5 - 1/27^5 + 1/29^5 +・・・)
                           + (1-1/2^3)ζ(3)・(π/8)^2/2!- (1-1/2^5)ζ(5)
                                         =1/2・∫(0〜π/8)∫∫∫log(cot(x/2))

6回積分
  M・(1 + 1/7^6 - 1/9^6 - 1/15^6 + 1/17^6 + 1/23^6 - 1/25^6 - 1/31^6 +・・・)
    + P・(1/3^6 + 1/5^6 - 1/11^6 - 1/13^6 + 1/19^6 + 1/21^6 - 1/27^6 - 1/29^6 +・・・)
                       + (1-1/2^3)ζ(3)・(π/8)^3/3!- (1-1/2^5)ζ(5)・(π/8)/1!
                                        =1/2・∫(0〜π/8)∫∫∫∫log(cot(x/2))

7回積分
   - P・(1 - 1/7^7 - 1/9^7 + 1/15^7 + 1/17^7 - 1/23^7 - 1/25^7 + 1/31^7 +・・・)
   - M・(1/3^7 - 1/5^7 - 1/11^7 + 1/13^7 + 1/19^7 - 1/21^7 - 1/27^7 + 1/29^7 +・・・)
           + (1-1/2^3)ζ(3)・(π/8)^4/4!- (1-1/2^5)ζ(5)・(π/8)^2/2!+ (1-1/2^7)ζ(7)
                                         =1/2・∫(0〜π/8)∫∫∫∫∫log(cot(x/2))

8回積分
  - M・(1 + 1/7^8 - 1/9^8 - 1/15^8 + 1/17^8 + 1/23^8 - 1/25^8 - 1/31^8 +・・・)
    - P・(1/3^8 + 1/5^8 - 1/11^8 - 1/13^8 + 1/19^8 + 1/21^8 - 1/27^8 - 1/29^8 +・・・)
         + (1-1/2^3)ζ(3)・(π/8)^5/5!- (1-1/2^5)ζ(5)・(π/8)x^3/3!+ (1-1/2^7)ζ(7)・(π/8)/1!
                                         =1/2・∫(0〜π/8)∫∫∫∫∫∫log(cot(x/2))
  ・
  ・
と、このようになりました。
 右辺の重回積分は一番最後の∫だけが0〜π/8の定積分で、その他の∫はすべて0〜xの定積分です。
M、Pは、それぞれ次の定数です。
    M={√(2-√2)}/2、 P={√(2+√2)}/2

 このようにこれまでとまったく違う結果が現れました。
 上のように原型のままでおいたのは、ディリクレのL関数L(χ,s)の表示を与えることに失敗したからです。
例えば、2回積分の
 (1 + 1/7^2 - 1/9^2 - 1/15^2 + 1/17^2 + 1/23^2 - 1/25^2 - 1/31^2 +・・・)
なども、これまでのようにうまく、ある種のL(χ,s)でまとまってくれないのです。
ひょっとして2種類のL(χ,s)が重なっているのか?など様々な場合を調べましたが、いまのところまだ成功してい
ません。というより、予想は破綻しているのではないでしょうか。
佐藤郁郎氏も同じような結果を得られたようなので、予想1は間違っている可能性が高いと思います。




2004/5/16         <金星のまとめ>

状況が複雑なので、少しまとめます。

私は、金星 その1の末尾で二つの予想(予想1と2)を提示していたわけですが、次のようなものでした。
---------------------------------------------------
 もうπ/6やπ/12やその他π/nのようなどんな値を代入しても、どこまでも、
ディリクレL関数L(χ,s)の特殊値(値が明示的に得られない場合の)が飛び出して
くるのではないか?と予想したくなります(予想1)。

 いや、もっと大胆に、全てのL(χ,s)特殊値(値が明示的に得られない場合の)
は、今回のような手法で得られるL(χ,s)特殊値に完全に一致しているのでは
ないか?と、予想したくなります(予想2)。
-----------------------------------------------------
この二つです。

ここで破綻しているかもしれないのは、予想1の方です。

予想2はやや弱めて、とにかく予想1の不成立はあちこちで出つつも、しかし、ありとあらゆるmπ/n を代入
していけば、いづれすべてのディリクレのL関数(非明示の)を被覆するのか?
という新たな問題を発生させます。

 また、予想1が破綻していたとしても、じつはあまり悲しくないのです。
というのは、この破局!はまったく本質的な破局と思うからです。
予想1の成立、不成立を分けている原因を追求することで、本質的なことがもっとわかるような気がするのです。
mπ/n のどんなnとmで成立し、どんなnとmで不成立となっているのかの分類は全く重要な問題と思います。
ディリクレ指標χの導手Nや円分体などにも関わってこないでしょうか。ただ、このような難問は、私の実力では
難しいことです。

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 「金星」での結果をまとめます。

  cosx/sinx=2(sin2x + sin4x + sin6x + ・・・) -------@

  1/sinx=2(sinx + sin3x + sin5x + ・・・) -------A

 中心母等式@やAに重回積分−重回微分の規則を適用した結果に様々なπ/nを代入することで、種々の
ディリクレL関数の特殊値(明示的に求まらない場合!)がどんどんと出てくることがわかったことは、じつに面白い
結果であったと思います。
 また、「金星」で出現したL(χ,s)の特殊値(値が明示的に求まらない場合)は、現代数学で不明とされている
ものと思いますが、それらもζ(2n+1)やL(2n)などと同様に、すべて「偶数ゼータの無限和」となっていることは
ほぼ確実であることもわかりました。
 さらに、予想1の破綻の可能性が高まったことで、予想2より新たな分類問題が発生した、ということになるで
しょう。 この新しい問題を解いていくことで、ディリクレのL関数の地下に眠る巨大な構造がわかっていくよう
な気がします。
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 予想の成立は定理を与え、破局はまたある問題を生じさせる。
かくのごとく、予想の不成立がまた新たな問題を生み、数学はどんどんと進化しつづけていくのでしょう。






金星 その1
金星 その2
金星 その3



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