■靖国神社■

遊就館の周囲には数々の兵器が野外展示されている。茶髪の女子高生もここにくれば「だから靖国神社っていろいろ騒がれてTVでやってんだあ」と気づくに違いない。
写真は八九式15p加農(カノン)砲。

戦艦の砲弾。真ん中は戦艦「三笠」級の30cm砲弾、そして左奥が「大和」級の46cm主砲弾。その射程は40km以上。東京〜大船間に匹敵する。

青銅80ポンド陸用加農(カノン)砲。1854(安政元)年鋳造、品川の台場に据えられた。まだライフル(旋条=砲身内のうずまきの溝)がない。となりの砲身も江戸末期に鋳造されたものだが、明治に入ってから旋条を施したとのこと。

八八式7,5cm野戦高射砲を感慨深そうに見つめる年輩の男性。

C56型機関車。なぜ機関車がここにあるのだろうか。
戦時中、国産の機関車が多数、鉄道輸送のために戦地へ送られた。この31号機はタイ〜ビルマ間を結ぶ泰緬鉄道を走ったもの。戦後タイの国鉄で長らく使用されていたが、昭和52年に里帰りした。

人間魚雷「回天」の胴体部分。まさに「決死」ではなく「必死」の特攻兵器だ。以上の兵器の展示は新装後は屋内展示になるようだ。

靖国神社の存在意義については各方面さまざまな言いぶんがあり、確立した持論もいまのところないが、詣でる遺族や戦友の悲しみや愛おしさ、尊敬、感謝の念は、彼らの真摯な部分から発生するものであって、何者にもそのをくさし、否定することはできない。そういう意味での「神聖」なこの場所を、今度こそ独善的なプロパガンダに利用させてはならないと感じた(この項終わり)。

●「春の靖国神社」を見る。