戦中・戦後のくらし「昭和館」
(千代田区九段南)

「昭和館」は1999年3月、九段にオープン、戦中・戦後の国民生活の姿を伝える実物資料の陳列をメインとし、また図書や映像、音響など各種資料の閲覧もできる。ここではその昭和館に展示してある戦争遺跡ならぬ「戦争遺品」ともいうべき品々をいくつか紹介する。

●「昭和館」のHP http://www.showakan.go.jp/

曇り空の九段坂。靖国神社前の歩道橋から靖国通りを見下ろす。靖国神社、九段会館、近代工芸美術館など、かつての軍関係の施設が多く残るこの九段に2年前、新たな名所が生まれた。

昭和館。一見立体駐車場に見えるこの建物は地上7階地下2階建てで、4〜7階が各種資料の陳列、閲覧室となっている。

おもに戦中(昭和10年くらい)から戦後(昭和30年くらい)までの、日本が暗く貧しかった時代の国民の暮らしを見て学ぶことができる。

7階に戦中、6階に戦後の国民の暮らしをいまに伝える実物資料を多数展示してある。

映像資料も充実している。ここではかつての「日本ニュース」をボタンで選択し見ることができる。「日本ニュース」は日本ニュース社が制作したニュース映画で、専門の映画館もあったほど国民に親しまれていた。というより、外国の映画の配給は途絶え始め、映画は戦記ものなどばかりで、このニュース映画が国民にとってとりあえずは最も新鮮で刺激のある「映画」だったのである。

千人針が見える。婦人会の女性達などが街頭に立ち、道行く人にお願いして1針1針縫ってもらった「弾よけ」のまじないである。身につけていると「貴様死ぬのが怖いのか!」と上官に一喝されることもあった。兵隊達からすれば、お国のために死ぬよりも、生きて帰って自分の本来の生業に戻り家族を養うことの方がはるかに大切だった、というのが本音だろう。

当時の庶民の暮らしぶりを伝える品々。生活は質素そのもの、楽ではなかった。しかし、この後待ちうけるさらなる辛苦からすればまだまだ、といった感じだ。