お布施について 本文へジャンプ

お布施についての基本的考え方
 お布施は、一義的には供出される方の信仰する宗教への帰依心を有形として表すものです。しかし、その多寡が帰依心・信仰心の度合いに直接的に相関するとは考えておりません。いわゆる地獄の沙汰も金次第、とはなりたくないものですよね。
 一方で、お布施として供出された金品は何らかの労働により得たものであり、したがって供出したお金や品という媒体を介して労働を捧げたとも言え、その意味ではたくさん労働を捧げることは信仰する宗教への貢献度も高いと考えることもできます。
 いずれにせよ、当寺としてはお布施の多寡(額)に関して一方的に論じることはしませんし、求めることもいたしません。上述以外にも色々な考え方があるでしょうし、供出される方の資力により額の重みも異なってくるでしょう。
 頂いたお布施や寄付等により健全に寺院が運営していければありがたいと思っております。


お布施の具体的額について
 当寺では(他の寺院でも同様かと思われますが)、お布施の具体額についてこちらから申し上げることはいたしませんが、一般の方にとって相場や地域性を斟酌して適切な額を判断することは難しいことでしょう。実際、こちらが「お気持ちで結構です」と申し上げても、「そこを何とか失礼のない額を教えて欲しい」と切に要望されることがしばしばです。
 そこで、現状の実績を紹介させていただきます。なお、これらはあくまで実績であり、価格表のような意味合いではないことをご承知願います。また、以下の額の範囲を外れているかといって(特に下方に)、お勤めの程度が変わるようなことも、もちろんありません。

○「毎月の命日」や「彼岸・盆」のお勤め
  1千円〜5千円 (平均3千円)
○「法事(何々回忌)」のお勤め
  1万円〜5万円 (平均3万円)
○「葬儀」のお勤め
  住職のみの場合:10万円〜30万円
  住職以外にも僧を複数依頼する場合:それぞれの僧に3万円〜5万円
○法名(他宗では戒名)料
  院号を付けない場合:特に頂いていません
  院号を付ける場合  :本山への申請登録料として8万円をご負担していただいています

寺の収入と住職の所得について
 お布施として頂いた浄財は当然のことながら一義的には寺(宗教法人)に入るべきものです。いかに高額なお布施を頂こうと、差し出される方が納得した上で、かつ寺の付帯施設の設営・整備や経費に使わせていただくのであれば問題はないと考えます。
 何らかの問題が生じるのであれば、それは住職や寺院関係者がお布施として頂いた金品を個人的に収得する場合であり、またその点に多くの方の懸念・不信感があるところと推察します。したがって、寺の収入は地方自治体に報告するとともに、決算報告書のような形で檀家さんに公開すべきと考えます(実際に当寺は行っていますし、他の寺院も実施されていることと思います)。また、住職や寺族の所得は申告の上、必要に応じて納税するのが本来の姿と思われます。時々、寺は無税でよろしいねというようなことを言われるのですが、宗教法人としての寺に入るお金は非課税ですが、寺から住職等への個人に支払われる報酬には所得税がかかるものと理解しております。
 私は、現在のところ住職が専業ではなく、別途有する職を所得源として生計を立てており、寺からは一定の給与等を受け取っておりません(必要経費は寺から拠出していますが)。今後、寺から給与や報酬を受け取ることが発生した場合は、きちんと処理しなければならないと思っております。


 なお、お布施やお墓の値段、寺の経済状態などについて解りやすく書かれた本を読みました。ご興味のある方は一読されてみてはいかがでしょうか。
「お墓博士のお墓と葬儀のお金の話」:横田睦, 光文社(2003年)