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あ れ こ れ 考 え る 47
 名古屋オフ報告 『笑う怪獣』 『新八犬伝』が7000円? 『花の下にて春死なむ』 『触身仏』 丸善古書即売会報告  『凶笑面』 『屋上物語』 『無言劇』 欲張りな注文 マンガだけの購入 名古屋古書即売会報告 『感染夢』 『神のロジック 人間のマジック』

 名古屋オフ報告 2003/6/29(日)

 昨日は名古屋オフ。急遽、出勤日にもなったため職場からあわてて直行、忙しいぜ。
 まずは、くろけんさんから、「『ふたり探偵』は感想がアップされていないようですけど、まずかったですか」と声をかけられる。
 「すみません、まだ読んでないんです。なぜかって言うと、実はね、1作目も読んでないからなんですよ、あはは」と謝る。でもなぜか、かえってホッとされる。「いや、感想もアップできないほど、その、なにだったのかと思いまして」
 いつもなら、くろけんさんの本はすぐ読んじゃうんだけど、前作は「トラベルミステリ」と書かれていたので、つい「積ん読」状態になってしまっていたのです。もっとも一般的には、「トラベルミステリ」と標榜されることはマイナスではないと思うけど。やっぱり売れてるし>「トラベルミステリ」
 席に着くと大矢さんが、国樹さんからの封筒を配ってくれる。封筒の中身は前回オフの写真だ
\(^o^)/
 喜国さん、国樹さんといっしょに写っている写真なのでこれは貴重! いや、そういえば太田さんやくろけんさんといっしょの写真もなかったかな。それどころか名古屋オフの写真に写ることもこれが初めてなんじゃないの?めったに写真なんか撮らないものな>名古屋オフ 国樹さんに感謝
 それにしても3次会の午前1時まで皆さんテンションが下がらないのはさすがだ。だいたい最近はこんな時間まで続く飲み会もなくなってきているからね。ミステリーの話を聞く機会も他にはめったにないし、ましてや「後期クイーン問題」なんて話題、ここでしか出ようがないでしょう。いや、この問題をあんなふうにしゃべっているのもここだけだろうけど。

 今日は家の中をさがして、ようやく『ふたり探偵』の1作目を探し出す。いや、見つかったのはほとんど奇跡的。探す前は、どうせ見つからないだろうからもう1冊買おうかとまで思っていたぐらいなのだから。
 そんなことをしているうちに阪神3連勝の声が聞こえてくる。阪神強し!でも横浜も弱すぎ。ついついこんな替え歌が...(^^;

 よこはま・たそがれ(五木ひろし)

 横浜たそがれ また3連敗
 中日 広島と これで6連敗
 阪神に負け ヤクルトに負け
 100敗の予感
 巨人だけに勝ち越してしまった
 巨人だけに勝ち越してしまった
 それで十分ね


 『笑う怪獣』 2003/6/27(金)

 ケダちゃんさんの素敵な企画「田中啓文さん デビュー10周年お祝いページ」が公開されました。私にまでお声をかけて下さり、ありがとうございました。

 新刊購入は、
『ミステリマガジン 2003年8月号』(早川書房)
 特集は「ゴーストハンター列伝」
 また、『ぬしさまへ』の畠中恵のインタビューも掲載。前作の『しゃばけ』はそうでもなかったが、新作はおもしろく読めた。このシリーズは連作短編の方が合うのかもしれませんね。

『怪盗クイーンの優雅な休暇』はやみねかおる・作/K2商会・絵(2003年4月講談社青い鳥文庫)
 これは買いもらしていた本。いつも仕事帰りによる三省堂テルミナ店には、青い鳥文庫が置いてないからだ。

『定跡なんかフッとばせ 駒落ち必勝法』湯川博士(毎日コミュニケーションズMYCOM将棋文庫)
 1985年刊行の単行本の文庫化。
 あっ、なつかしい!
 昔、この本を始めて読んだ時は、ほんとに目から鱗が落ちる思いがしたものです。駒落ちは何でも銀多伝で戦え。古来からの定跡など使うと、プロですら下手を持って冷や汗をかく場合がある、というのだ。
 当時、プロに2枚落ちで教えてもらうときは、この本の教えのとおり銀多伝を使わせてもらったものです。戦績は勝ったり負けたりで必勝とまではいかなかったけど(^^;


『笑う怪獣 ミステリ劇場』西澤保彦(2003年6月新潮社)読了
 主人公三人組が、怪獣、宇宙人、幽霊等に遭遇する本格特撮ミステリ、7編収録。1作目はくだらないが徐々に本格っぽくはなる。でも、やっぱり軽い読み物として雰囲気を楽しむ連作集だと思います。



 『新八犬伝』が7000円? 2003/6/24(火)

 G倶楽部の目録が届きましたが、その中で目を引くのが『新八犬伝(上)』(日本放送出版協7000円というもの。ええっ!そんなに高いの>『新八犬伝』 
 でも見直してみると「上巻」のみの記載だし、いくら初版帯とはいえ7000円は高すぎるよね。700円の印刷ミスか?
 他の書店で、『Xに対する逮捕状』(昭6)1500円なんてのもあるしね。(平6の誤り)
 結局、私が注文したのは、『辻村ジュサブローの世界』(ギャラリーヤエス、サイン入り)800円の1品のみ。しょぼい客だぜ>オレ(^^;

 本日の新刊購入は
『パンプルムース氏と飛行船』マイケル・ボンド(2003年6月創元推理文庫)
『狂乱廿四孝』北森鴻(平13年角川文庫)
 1995年東京創元社刊行の単行本の文庫化
『闇色のソプラノ』北森鴻(2002年文春文庫)
 1998年立風書房刊行の単行本の文庫化
 北森鴻は遅ればせながらの購入のため、文庫で買うことが多いが、せめて新刊で購入しようとは思っている。

 替え歌をアップ。


 『花の下にて春死なむ』 2003/6/22(日)

 古本屋に、孫らしき3人の男の子を連れた初老の男性が入ってきて、
「本を売りたいんだがね」と店主に声をかける。
「買えない物もありますよ」
「じゃあ、ちょっと見てもらおうかな」と出してきたのが、コミックスの端本8冊と絵本2冊。
 これは買ってもらえないかなと思われましたが、予想に反して
「200円でよければ」
 それでもそのお客さんは、「200円!そりゃ安い」と不満そう。
 けっこう良心的な値付けなのにね。

 さらに別の店でも、若い男性が本を売っているところを目撃。2つのバックから40冊ぐらいの文庫と「ホビー何とか」という月刊誌が20冊ぐらい。
 店主は文庫の方を指差して「こちらは全部で150円」 さらに雑誌に対しては「こちらはお値段は付けられません」との厳しい査定。これじゃあ運び賃にもならない。本を売る時にも店は選ばないとね。

 今日の古本購入は、
『快男児 押川春浪』横田順彌/會津信吾(1991年徳間文庫)350円
『木島日誌』大塚英志(平15年3月角川文庫)270円
 平成12年に刊行された単行本を加筆・訂正の上、文庫化したもの。北森鴻の蓮丈那智シリーズが本格民俗学ミステリなら、本書は民族学伝奇小説の傑作と呼ばれた作品。いや、本書も読んだことはないんだけどさ(^^;

『花の下にて春死なむ』北森鴻(2001年第1刷、2002年第3刷講談社文庫)読了。
 1998年刊行の単行本の文庫化。同年の第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門受賞作。ビアバー<香菜里屋>のマスターが謎を解き明かす連作短編集、6編収録。最近出版された『桜宵』の前作にあたる。
 主要人物が各話で交代しているのは『屋上物語』などでも見られる手法。だんだん物語世界が拡がって行く感じを受ける。さらに蓮丈那智シリーズに<香菜里屋>が登場するなど、同時性のようなものも意識しているようだ。
 それにしても、「七皿は多すぎる」の冒頭に出てくる、「回転寿司屋で鮪ばかり七皿も食べる男がいたとしたら、不思議じゃないかね」という台詞にはまいった。
 いっそ、「全然、不思議じゃないね!」と声を出して答えたいくらいだ。なぜなら私は回転寿司屋では、イカ(イカの下にシソの葉が敷いてあるものに限る)なら、大抵七皿程度はいつでも食べてるんだからさ(^^;


 『触身仏』 2003/6/21(土)

 G倶楽部の目録の動向を知るために古本屋へ。
「昨日、発送いたしました」
「すると、今日あたりには届きますね」
「いえ、届くのはたぶん来週だと思います。割引の郵送方法なので時間がかかるようなのです」
 なるほど、それならここで見せてもらった方がいいかなとも思いましたが、ちょっと図々し過ぎるかと自重。
「じゃあ、楽しみにしてます」
 とは言ったものの、この地域には「図々しいを体現したような人」までいることを思うと、ちょっと淡白すぎたかも。
 今日は古本の収穫なし。

 続いて新刊書店にも行ってみたが、購入したのは『プレシャス・ライアー』菅浩江(2003年6月光文社カッパ・ノベルス)の1冊のみ。
 そこで今日は買わずにパスした本について。
 まずは、
『ミステリーズ!』(東京創元社)
 創刊号にしては目玉がないという印象。北村薫は読みたいと思ったけれど連載だし、パス。

『人の話なんか聞くな!』堀場雅夫(ダイヤモンド社)
 表紙には「答えはすべて自分の中にある」とまで書いてある。
 この本は最初から買う気はなく手に触れてさえいないのだが、著者は「オレはおかしなことを言ってる」という自覚がないのかが疑問。「他人の言うことは信じるな」などと同様の単純なパラドックスなんだけどね。

『<新しい>新しい単位』(扶桑社)
 『新しい単位』の続編。しかし1ページのネタ数が2つになり、ページあたりのネタ数が前作と比べ極度に減少。内容を薄めた感が強くて、パス。

『鉄拳大百科』鉄拳(イースト・プレス)
 鉄拳の本は第1作の『こんな○○は××だ!』を、しかも古本で買ったのみ。こちらは1ページ1ネタのみという、さらなる内容の薄さ。とても新刊では買う気がしない。

『DVD キャプテンウルトラ』(東映ビデオ)
 これはほんとはほしかった!1話〜13話までのキャプテンウルトラの第1シリーズを収録。あの小林稔侍が熱演したキケロ星人ジョーが活躍したシリーズなのである。値段が13800円もしなければ買ってたのに。


『蝕身仏 蓮丈那智フィールドファイルU』北森鴻(2002年新潮社)読了
 『凶笑面』に続く本格民俗学ミステリ第2弾、5編収録。
 本書では、教務部の狐目の担当者の過去の一端が明かされる。民俗学者の那智と、狐目の担当者のタッグが犯人を追い詰めるシーンは圧巻。
 民俗学は推理的要素も強いこと、様々な仮説が生まれ論争もしやすいこと、確かな論証によれば各要素がすっきりと意味付けされ、真相も明らかにできること、などミステリーと通ずる要素も多く、民俗学とミステリーとの融合という着想も頷ける。
 しかし執筆においては、材料や構成力はもちろんのこと、とりわけ主人公を民俗学の助教授とし、また脇役としても学者連を登場させるという堂々の布陣をはるためには、民俗学に関する豊富な知識と取材が必須であり、実際に作品にするのは容易なことではないだろう。これほど魅力的なシリーズとして完成させた著者を絶賛。


 替え歌をアップ。


 丸善古書即売会報告 2003/6/19(木)

 今日は丸善古書即売会の初日。開店の10時を待って喫茶店から丸善へ向かう。ところが不覚なことには、丸善の開店って、9時50分だったんだね。知ってました?もっとも9時50分開店は、名古屋の丸善に限ったことなのかも知れないけど。
 会場に入るとデパートの即売会には付きもののテレビ局のカメラがのたり、のたりと移動中。スタッフは女性を加えた5人位の若者たちで、談笑しながらあっちこっちの本にライトを浴びせてはテレビカメラで映しているのだが、君たち、古本のことはわかっているのかね。
 って、私も人のことは言えないんだよな。並んでいる本は私の知らない、かつ、興味もない固い本ばかりなんだから。これなら開店時間に多少遅れて来たことも何の支障にもならなかったな。

 手ぶらで帰るのも寂しいし、最近、北森鴻の『凶笑面』を読んだ影響もあってか、民俗学的な匂いのする、『日本児童遊戯集』大田才次郎編/瀬田貞二解説(昭43年第1刷、昭51年第8刷平凡社東洋文庫122)1000円を購入する。
 明治34年博文館刊行の大田才次郎編『日本全国児童遊戯法』上中下3巻を復刊したもの。各地域の子供たちの遊びを解説したもの。
 「木登り」は「樹枝の果実、或いは動物を獲むが為に攀じ登るものなり」、「風車」は「風上に向いて疾走する時は廻転すること甚だ速きものなり」、「縄跳び」は「よく飛び越えざる者は罰として廻転の役となる」など、説明がなかなか味わい深い。


 ついでに新刊書店にも寄る。ああ、やっぱり新刊の方が買いたい本が多いや。

『蝕身仏 蓮丈那智フィールドファイルU』北森鴻(2002年新潮社)
 『凶笑面』の続編にあたる連作集、5編収録。さっそく読み始めましたがこれも面白そう。

『笑う怪獣 ミステリ劇場』西澤保彦(2003年6月新潮社)
 7編収録。さて、帯に書かれた「本邦初 本格特撮ミステリ小説!」とは、いったいどういう意味なんでしょう?

『死が招く』ポール・アルテ(2003年6月ハヤカワポケットミステリ)
 前作の『第四の扉』は私はあまりピンと来なかったのだが、世間では好評で迎えられたらしいのであと1冊だけ試してみるつもりで購入。

『87分署グラフィティ エド・マクベインの世界』直井明(2003年6月双葉文庫)
 1989年第42回日本推理作家協会賞評論その他の部門賞受賞作品。1988年六興出版刊行の同書を加筆、文庫化したもの。直井明といえば、最近、原書房から『海外ミステリ誤訳の事情』が出版されたばかり。そちらの方はつまらなそうなのでパスしたけど、本書は買っておいても損はなさそう。でも87分署シリーズって、全然読んだことないんだけどね(^^;

『爆笑問題のハインリッヒの法則』(平15年6月祥伝社)
 副題が「世の中すべて300対29対1の法則で動いている」とあるように、すべての事象を300対29対1の比率で表す趣向の本。
 「世間でへこんでいた35歳以上の人」のハインリッヒの法則。「仕事でミスをしてへこんでいた」300人。「失恋をしてへこんでいた」29人。「仮面ライダーの録画を忘れてへこんでいた」1人。
 ああ、そういうことね(^_^)


 家に帰ると、目録で注文していた、
『女性探偵たちの履歴書』大津波悦子/柿沼映子(1993年同文書院インターナショナル)1000円が届いていました。ぱらぱらとめくってみましたが、特に、両著者による50ページにわたる「対談 いまなぜ女性探偵なのか」は面白そう。

 なお、この本と一緒に注文していた『電話の声』の方はハズレ。いや、こちらの本は欲張って注文してみただけだけどさ。


 『凶笑面』 2003/6/17(火)

 今週は丸善の古書即売会があるのだが、例によって目録では注文するものがなく、その目録もすぐ捨ててしまったので、何曜日が初日かがわからなくなってしまった。そこで今日は栄まで確認に行ったのだ。なるほど○曜日が初日ね、と伏字にするのも大人げないよな。初日は木曜日。半休取って行ってもいいんだけど、今まで丸善の即売会で買いたい本があったためしがないしな。

 ついでに新刊を物色。でも、さほど買いたい本は出ていない。直井明『海外ミステリ誤訳の事情』(原書房)はそのタイトルに惹かれて手にとってみた本だが、内容はパラパラ見た限りそれほど面白くもなさそうなのでパス。そこで読書予定の北森鴻の文庫を買うことにした。

『花の下にて春死なむ』北森鴻(2001年第1刷、2002年第3刷 講談社文庫)
 1998年刊行の単行本の文庫化。ビア・バー<香菜里屋>のマスターが謎を解き明かす連作短編集。最近同じシリーズの『桜宵』を読んだばかりなのだが、そうか前作があったんですね。
『メイン・ディッシュ』北森鴻(2002年集英社文庫)
 1999年刊行の単行本の文庫化。劇団主宰の女優ユリエの恋人、料理の達人ミケさんが活躍する連作短編集。こちらも料理の達人が探偵役なんですね。楽しみ。


『凶笑面 蓮丈那智フィールドファイルT』北森鴻(2000年新潮社)読了
 東敬大学民俗学助教授、蓮丈那智のフィールドファイル、5編収録。助手の内藤三國を視点とした連作ミステリーでもある。これは傑作。
 面、離屋などの伝説や由来の探求と、現実の事件の真相の解明が並行して進行し、両方の謎がいっぺんに解き明かされる。こうした趣向自体は珍しいものではないが、著者の民俗学における造詣の深さ(或いはそう見せる技術)が、作品にとびきりの重みと、リアリティを与えている。
 たびたび登場する、那智が学生に出す試験問題もいい。「ラーメンの丼に浮かぶナルトについて、ガラパゴス式の進化論を、民俗学的見地から構築すると仮定する。この場合の調査方法を、自分の仮説とともに順次列挙せよ」 うーん、学生が可哀相(^^;
 なお作品中、世田谷区三軒茶屋の、とあるビア・バーが登場する。度数のちがうビールを何種類か置いてあり、料理もいい。二人は店の主人のお任せ料理を食し、ピルスナーグラスが瞬く間に空になる。語り手の内藤は店名を見過ごしてしまったが、もちろんこの店は<香菜里屋>。著者のサービスですね。


 『屋上物語』 2003/6/14(土)

 まだG倶楽部の目録が届いて来ないので、参加店のうちの1軒に様子を見に行く。
「作成作業が遅れていまして、発送も1週間延びました」
 やっぱり。そうだとは思ったけど、前回注文してないために送られて来ていないという場合も考えられるので、確認だけはしときたかったのよ。
 ここでは、新版の『標的走路』(2002年文春ネスコ)200円を購入。この本も文庫、ノベルスと何冊も買ったが、問い合わせをいただくことも多かった本だ。なお私自身は今後も本書を読む気はないんだけどね(^^;
 先日届いたB堂の目録もまだ見ていないが、何も注文しないというのもつまらないので、何か注文したいものが載ってるといいな。

 本日の新刊購入は、
『蘭郁二郎集 魔像』日下三蔵編(2003年6月ちくま文庫)
 ようやく購入。べつにすぐ読もうと思っているわけでもないのであわてて買うこともなさそうだが、新刊書店ではあまりぐずぐずしていると帯をはずされちゃうしね。
『群像 2003年7月号』(講談社)
 舞城王太郎の「山ん中の獅見朋成雄」315枚掲載。


『屋上物語』北森鴻(平15年6月祥伝社文庫)読了
 平成11年刊行のノベルス版の文庫化。デパートの屋上を舞台に、うどんスタンドのさくら婆ァが活躍する連作ミステリー、8編収録。
 日本で一番安くて美味いうどんスタンドの店主さくら婆ァ、ヤクザの杜田、学生のタクの3人トリオが屋上を舞台に次々と起こる事件を解決する。
 連作短編集といっても各話のつながりは強い。語り手は、屋上に勧請された稲荷神社の使い狐であったり、屋上遊園地の観覧車であったり、ピンボールマシンであったりする。さらに、その異様な語り手たちの過去が、登場人物たちの過去と関連しているという凝った構成だ。
 事件の解決自体は必ずしも後味がいいものではないが、そのような重さもこの作品の持ち味なのだろうから、これは仕方がないところ。北森鴻は今まで3、4冊しか読んでいないが、今後はちょっと読み続けてみたい。


 『無言劇』 2003/6/13(金)

 帰りに新刊書店に寄ってみたが、今日も『蘭郁二郎集』は見つからず。まだ出てないのでしょうか。
 蘭郁二郎といえば、以前、ダウンロード販売で『科学幻想綺譚』という蘭郁二郎の作品が137編も収録されている商品を10000円も出して購入したことがあるけれど、それをダウンロードしたのは前に使っていたパソコンなので、今はさわることすらなく全くの死蔵状態だ。そのうちに救い出してやらねばなあ(^^;

 さて、新刊で買おうとしていたもう1冊の本、『夏のグランドホテル 異形コレクション』井上雅彦監修(2003年6月光文社文庫)は購入することができました。目当ては「ぶたぶた」の最新作だが、30ページぐらいの作品なのでもう読んじゃったよ。やっぱりおもしろい。

 他には次のものを購入。
『屋上物語』北森鴻(祥伝社文庫)
 平成11年刊行のノベルス版の文庫化。デパートの屋上のうどんスタンドの店主さくら婆ァが探偵役の連作ミステリー
『IN POCKET 2003年6月号』(講談社)
 特集は、加納朋子インタビュー。


『無言劇』倉阪鬼一郎(2003年6月東京創元社クライムクラブ)読了
 ミステリー作家の黒杉鋭一郎は、雀荘、将棋道場、囲碁クラブが揃っている胡蝶ビルの常連だったが、その胡蝶ビルの関係者が次々と死をとげる。一方、これと並行して語られる物語では、もう一人の主人公、歩が、ルカ・ミカに対して独白を続ける。
 本格推理だと思って期待して読んでいたので、えらく拍子抜け。いろいろ伏線は用意されてあっても、これはミステリーの伏線じゃあないよな。わざわざ図で示した密室的な事件の真相もたるいし。
 また途中に出てくる詰将棋も、駒が余ること、またほとんどその手しかないという王手をかけ続ければ詰んでしまうことから、詰将棋としては失格であることはすぐわかる。としたら最終場面で、これは外見上詰将棋に見えて実は全く違うもの、という真相が明らかになるのがミステリーの文法なのでは。
 もっとも巻末の福井健太の解説では、本作品は<理数的な本格ミステリ>ではないと前もって断ってくれている。ふーん、そう読むものなのか。でも私はこの解説は後から読んだので間に合わなかったよ。


 欲張りな注文 2003/6/11(水)

 今日届いた目録を見てみると、創元世界推理全集が軒並み1000円から1500円で売られていました。『電話の声』、『ナインテーラーズ』、『妖女ドレッテ』、『学長の死』が1000円、『消えたエリザベス』や『消えた死体』が1500円。
 このあたりの本はどれも持ってるはずだが、この前見た古本サイトでは『電話の声』が10000円を超えてたんだよな。この本だけでも注文しておこうかな。って、欲張りなオレ(^^;


 『蘭郁二郎集』と、「ぶたぶた」の最新作が載っているというアンソロジーを買おうと新刊書店へ。でも、二冊とも見当たらない。手ぶらでは帰りたくないので代わりに以下の本を購入。
『J・G・バラードの千年王国ユーザーズガイド』(2003年6月白揚社)
 ニューウェイブSFの中心的作家J・G・バラードのエッセイ集。うう、これは買わねば。
『無言劇』倉阪鬼一郎(2003年6月東京創元社クライムクラブ)
 タイトルに惹かれて購入。
『本の雑誌 2003年7月号』(本の雑誌社)

 さっそく『無言劇』を読み始めましたが、おもしろそう。


 マンガだけの購入 2003/6/9(月)

 新刊購入は、
『ダ・ヴィンチ 2003年7月号』(メディアファクトリー)
 特集は、「小野不由美『十二国記』迷宮ご案内」。十二国記は1冊たりとも読んでいないのだが、入門書として購入してみました。第2特集の「好きだから!本の仕事 プチ起業計画」もおもしろそう。

 古本はさっぱりで、マンガだけの購入。ちぇっ。
『悪霊島』たまいまきこ/原作横溝正史(1991年角川書店アスカコミックス)40円
 『悪霊島』は何遍でもコミックス化されてるんですね。
『不可蝕領域』原作半村良/画田辺節雄(講談社コミックノベルス)300円
『殺しの双曲線』原作西村京太郎/画やまもとまさはる(講談社コミックノベルス)300円
『蝶たちは今』原作日下圭介/画水島健一朗(講談社コミックノベルス)300円
『アルキメデスは手を汚さない』原作小峰元/画望月あきら(講談社コミックノベルス)300円
『透明紳士 1・2』モンキー・パンチ(奇想天外社)各500円


 引き続き「いとこ」という訳語が出るたびに引っかかって、『テンプラー家の惨劇』が進まない。
 ペトロネルの「祖父の弟の息子」が二人も登場し、彼らについて、地の文でも会話文でも、ペトロネルの「いとこ」と記述されているのだが。そうじゃないでしょ。彼ら二人は「祖父の弟の息子」だというのだから、いとこにあたるのはペトロネルの父親の方でしょ。
 しかも、そのうちの一人をペトロネルが慕っており、さらにもう一方からは求婚までされていること、また相続問題もからみそうな小説であることも考えると、かなり致命的な翻訳ミスでは?


 名古屋古書即売会報告 2003/6/7(土)

 今日は名古屋古書会館即売会の2日目。レジ当番の某書店の店主が携帯で電話中。
「原稿は会館に置いてあります。写真も用意できていますので」
 どうやら、G倶楽部の目録の原稿のことのようです。さらに立ち聞きして、その発送予定日が13日であることまで判明。もう、来週じゃん。
 これまでG倶楽部の目録ではいろいろな本を入手させてもらったので、本来なら発送日の前日か当日あたりに参加している古書店に寄って、目録を見せてもらったうえでその場で注文してくるところなのだが、最近は私も実行力が欠けてきているのよね(^^;
 またおそらく今回の目録では、某店から『チューダー女王の事件』や『誰が駒鳥を殺したか?』あたりが出品されるタイミングだと思うけど、もう創元推理でほしい本もないし、今回は策を弄するのはやめておくか(^_^)

 500円均一で戸板康二の本が並んでいたが、そのうちミステリーは、『淀君の謎』、『うつくしい木乃伊』、『団蔵入水』、『浪子のハンカチ』の4冊のみ。どれもさほど珍しい本ではないし、戸板康二のミステリーはすでに揃えてしまっているのにもかかわらず、それでも何か買っていこうとするオレ(^^;
 散々迷って、『うつくしい木乃伊』(1990年河出書房新社)500円を購入。いや他のはダブりで持ってるような気がしてさ。確かめようはないけど。

 他に買ったのは、
『情痴小説の研究』北上次郎(1997年マガジンハウス)500円
『一発の銃声』J・ファスト原作(昭39年中学二年コース新年特大号付録)200円
 他にもこの類の付録が10冊以上売っていたのだが、これ以外はほとんど500円だった。

 新刊購入は、
『ニッポン問題。』宮台真司/宮崎哲也(2003年6月インフォーバーン)
 月刊誌「サイゾー」連載の時事対論「M2」の単行本化。『M2 われらの時代に』(朝日新聞社)の続編だが、なぜ今回はタイトルに「。」が付いてる?

『セカンド・サイト』中野順一(平15年5月文藝春秋社)読了
 第20回サントリーミステリー大賞受賞作。なお本大賞は今年をもって終了とのこと。
 連続して出没する通り魔。しかし決まって女の背中を確認するだけで立ち去ってしまう。一方、キャバクラに勤めるボーイ、タクトはキャストのエリカにストーカーの撃退を依頼される。さらにタクトは新人の花梨に惹かれているが、彼女には予知能力があるらしいことに気付く。
 予知能力者を脇役に据え、物語の一つのパーツとして扱うことに成功した作品。最後にパラパラと明らかになる真相も、カタルシスを与えるような謎解き場面こそないが、作品としてはバランスの取れたもので好感が持てる。

 続いて、ハリントン・ヘクスト『テンプラー家の惨劇』を読み始めたが、最初の数ページですでに混乱。
 まず、ペトロレルがその「いとこ」のフェリックス神父を信奉しているとの記述があるのだが、このすぐ後に、このフェリックスは、ペトロレルの「祖父の弟の息子」と記されているのだ。「父の弟の息子」だったら従兄弟でいいけど、「祖父の弟の息子」だったら従兄弟じゃないじゃん。
 この記述が最後に伏線になっているという可能性もないとはいえないけれど、これはやっぱり訳語のまちがいなんだろうね。「祖父の弟の息子」ということは、「父親にとっての従兄弟」。本人から見てこれを何と呼ぶのか知らなかったので、広辞苑で調べてみたところ、従兄弟小父(いとこおじ)というらしい。ふーん。


 『感染夢』 2003/6/5(木)

 最近、夜にコカコーラとかポテトチップスとかを口にしていることが多い。ひょっとしたらこれって、この前読んだ西澤保彦の小説の影響かも。ああ、おそろしきはサブリミナル効果。
 いや、小説にコーラとかポテトチップスとかが頻繁に登場してくるだけで、サブリミナルの手法が使われているわけでは全然ないんだけどさ(^^;

 新刊購入は、
『セカンド・サイト』中野順一(平15年5月文藝春秋)
 サントリーミステリー大賞受賞作。ちょっと読み始めたところだけど、すべり出し快調。
『GOTH』漫画大岩ケンヂ/原作乙一(2003年6月角川コミックスA)
 『GOTH』のコミックス化。原作は評判いいみたいだが、未読。今まで乙一で読んだ本は2冊か3冊位だと思うが、とりたてて感心したことはないんだよなあ。この本の原作も買ってはあるけどサイン本だし、漫画で読んじゃってもいいかな。

 古本ではあいかわらず買いたい本はなし。
『狐罠』北森鴻(1997年講談社)300円だけ購入。

『感染夢 Carrier』明野照葉(2003年5月実業之日本社)読了
 同じ悪夢に感染した人々が、次々と凄惨な死を迎える。悲劇の周辺にたびたび姿を現す謎の女。その女が主人公のマンションの同じフロアーに越してきた。
 現代版のエクソシスト。これといって新味には乏しい作品だが、あいかわらず怖い>明野照葉
 こんなの書いてて自分は怖くならないのかね。


 『神のロジック 人間のマジック』 2003/6/3(火)

 喫茶店で、お手ふきを抜いて空になったビニール袋が、テーブルの上をツッツーと滑っていく。ああ、もう6月なんだ。でも、いくら暑い時期になってきたとはいえ、これじゃあちょっと空調効かせすぎでは。

 帰りに新刊書店へ。しかし買いたい本は出ていない。それじゃあと、古本屋にも寄ってみたが、こちらもこれといった本はない。でも、まあ手ぶらで帰るのも精神衛生上よくないので、
『イエスの遺伝子』マイクル・コーディ(1998年徳間書店)500円を無理して購入。
 いらんわい(;_;)


『神のロジック 人間のマジック』西澤保彦(2003年5月文藝春秋)読了
 生徒が6名だけの<学校>。生徒たちは、新入生を迎えるたびに試練を経験させられる。そしてまた新しい新入生が登場した時、<学校>にひそむ"邪悪なモノ"が目を覚ます。
 また騙されてしまったよ(^^;
 読み返してみると本当に巧い。最初から最後まで伏線とダブルミーニング満載。安心してお薦めできる傑作です。


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