あ れ こ れ 考 え る 48 |
『七度狐』 10を数える 『死が招く』 アリバイ小説量産法 『メビウス・レター』 バーベキューセット 『支那そば館の謎』 『UMAハンター馬子』 『黒いハンカチ』 丸栄古書即売会報告 『闇色のソプラノ』 『メイン・ディッシュ』 『共犯マジック』 『パンプルムース氏と飛行船』 『阿弥陀ケ滝の雪密室』 『ふたり探偵』 |
『七度狐』 2003/7/30(水) 私は以前からメールソフトはネットスケープを利用しているのだが、現在のバージョン(7.0)になってから、アカウントの設定やメールが全て消えてしまうということがたびたびあって、おかしいなとは思っていた。ところがようやく原因がわかった。識者サイトの「よくある質問と回答」の中に答えがあったのだ。 Q.プロファイルの設定やメールなどのデータの全部または一部が消える A.「簡易起動」を使用していませんか?簡易起動を無効にして下さい。(以下、略) 今のバージョンではデフォルトでネットスケープの「簡易起動」が常駐するが、そのため、Windows終了時にネットスケープが完全に終了せず、設定の保存に失敗することがあるらしい。でも、デフォルト設定による不具合の割りには、アカウントの設定やメールが全て消えるなどのトラブルは致命的すぎるのでは? もっとも今時ネットスケープのメールソフトなんか使っている人はほとんどいないため、たいした問題にはなっていないのかもしれないが(^^; 今日の古本購入は、 『顔のない博物館』フィリップ・K・ディック(1983年北宋社)1000円 新刊購入は、 『新世界』柳広司(2003年7月新潮社) 柳広司は、『贋作『坊ちゃん』殺人事件』と『饗宴 ソクラテス最後の事件』しか読んでいないが、どちらも面白かったので本書も期待して購入。 『木島日記 乞丐相』大塚英志(平13年角川書店) 『木島日記』の続編。と言いつつ『木島日記』は未読だ(^^; 『七度狐』大倉崇裕(2003年7月東京創元社)読了 1955年、静岡県杵槌村で五代目春華亭古秋の特別口演が開かれた。古秋は旅館の主人に「七度狐」の構想を語る。古秋は、旅人を化かす場面が二度しか語られない原作から、七回化かす完全な「七度狐」の案を作り上げていたのだ。しかし古秋はその日を境に行方不明となり、弟が六代目を継いだ。 それから45年後、六代目古秋の引退に伴い七代目古秋を決めるため、同じ杵槌村で、六代目の息子三人による一門会が開かれることになった。そこに起こる連続殺人。しかもそれは五代目が作った「七度狐」の見立てで進行していく。 『三人目の幽霊』の間宮緑、牧大路が再登場する長編。 本作はさすがに日常の謎系と見誤られることはないでしょう。豪雨に閉ざされ孤島と化した村で起こる連続殺人、しかもそれが見立てにまでなっているのですから。 プロローグにおける各場面、そして錯綜していた謎がすべてぱらぱらと解かれていく爽快さは本作が最良の本格であることの証。さらにエピローグもきれいに決まった傑作です。 |
10を数える 2003/7/29(火) 今日は夕方から雨が降ってきたので、露天風呂のある銭湯へ行く。露天風呂といっても湯船が屋上にあるというだけだが、屋根は湯船の上方にあるだけで、湯船の端から湯船の外にかけては屋根がなく、空を見ながら風呂に入れるのだ。 子供の頃は雨の日には窓を開けて雨を見ながら風呂に入るのが好きだったのだが、この銭湯では、雨の日には、まさに目の前に降っている雨を見ながら湯船に入れるというのが気にいっている。 風呂と言えば、「50若しくは100数える」。 その時によく用いられたのが「だるまさんがころんだ」だ。 遊びにも使われていた言葉だが、実際には「だるまさんころんだ、だるまさんころんだ」と「が」が抜かれて連呼されていたので、9しか数えられていなかったようだ。 似たような言葉で「インディアンのふんどし」というのもあった。「だるまさんころんだ」とは違い、「インディアンふんどし」と「の」を抜かすことがなかったのは、この場合「の」を抜くと、意味が微妙に変わってしまうからなのか。すると数え方には意味的な要素も重要な役割を果たすのだろうか。しかし意味論的には、そもそもインディアンがふんどしを履くのかという問題もある。また私には「インディアンのふんどし」は音節的には8音節しかないようにも思えるがどうなのか。 さらにもっと以前には「ちゅうちゅうたこかいな」という数え方もあった。これはもはや文章としても意味不明。さらにこの場合「ちゅう ちゅう たこ かい な」は5音節しかない。どうも当時は2つずつまとめて5音数え、計10数えたということにしていたらしい。しかしそれなら、5ずつまとめて「ちゅう ちゅう」と数えて10としてもいい理屈になる。なかなか一筋縄ではいかないので、もうしばらく検討したい>10の数え方 本日の新刊購入は、 『日米架空戦記集成』長山靖生編(2003年7月中公文庫) 戦記ものは苦手。本書は一応「架空」ということで購入してみたが、同時刊行の海野十三『赤道南下』はノンフィクションもののようなのでパス。 『日本史鑑定 宗教編』明石散人/池口恵観(2003年4月徳間文庫) 1999年刊行の単行本の改題、文庫化。 『昭和は遠くになりにけり 日本史原論昭和史編』爆笑問題(2003年7月幻冬社) 他にコミックス版『ささらさや1』も売っていたので買おうかとも思ったが、よく考えてみたら原作があまり好みではなかったはず、1回パス。とくにベストセラーになったわけでもないと思うが、こういう作品までコミックス化されているんだね。 |
『死が招く』 2003/7/27(日) 最近、古本屋でもパソコンを置いている店が多くなった。でも中には、営業中に夫婦ともにパソコンでゲームをしている店がある。奥さんが店番の時にはだいたいトランプの一人遊び(おそらくソリティアかフリーセル)、ご主人の時にはハーツ系のゲームをしていることが多いのだが、今日は戦国ゲームをやっていた。 おっ、進歩したじゃん! って、ゲームのためにパソコンを置いているのはこの店ぐらいだと思うけど(^_^) 今日の古本購入は、 『ギムレットには早すぎる レイモンド・チャンドラー名言集』郷原宏編著/山本楡美子訳(1997年アリアドネ企画)700円 手ぶらで帰るのがいやだったから買っただけ。でも、どうでもいいような本だ。 新刊購入は、 『まぼろし綺譚』今日泊亜蘭(平15年7月出版芸術社ふしぎ文学館) 『文学界 2003年8月号』(文藝春秋) 筒井康隆の新作「ヘル」が掲載されていることに気付いて購入。 『死が招く』ポール・アルテ(2003年6月ハヤカワポケットミステリー)読了 全体の1/3も読まないうちに犯人はわかったよ。真犯人については言うにおよばず、密室トリックやコップの水の謎についてもインパクトはなく、さりとて魅力的な人物が登場するわけでもない。どこにも取り得のない作品だと思うのに、二階堂黎人氏が「この小説を読み終わったら、どんな人でも絶対にアルテ・ファンになっているだろう」と解説してるのが不思議なくらいだ。前作の『第四の扉』もピンと来なかったが、この2作目でアルテを読むのはやめようと思います。 続いて、大倉崇裕『七度狐』を読み始めました。前作の『三人目の幽霊』に対して日常の謎系と評した方もいたけれど、おそらく落語界が舞台になっていることから北村薫の円紫シリーズを連想したことによる勘違いでしょう。 |
アリバイ小説量産法 2003/7/25(金) 今から10年位前に初めて「駅すぱーと」というソフトを見てその便利さに驚いた。当時はいろんな雑誌の付録にこのソフトの体験版がついていたのだけれど、体験版ですら当時市販されていた他のソフトに比べても実用性が高く感じられた。 今では地図や時刻表まで搭載されていて、出発時刻を入力すれば目的地に最短で何時に到着するのかまで回答してくる。この機能を使えばアリバイ小説なんかも簡単に量産できるのかも。 って、そんなに甘いもんじゃないだろうけど、こういう技術が進むと小説の作り方にも影響は出て来ているのだろう。わざわざアリバイ崩しのために警部がその列車に乗ってみなくても、パソコンでひょいひょいと検索できちゃうんだから。 本日の新刊購入は、 『忘却の船に流れは光』田中啓文(2003年7月ハヤカワSFシリーズJコレクション) 帯には「もはや駄洒落の余地もない」 そうか、シリアスなSFなんだ。 『七度狐』大倉崇裕(2003年7月東京創元社) 連作集『三人目の幽霊』に登場した、「季刊落語」に勤める間宮緑と編集長の牧大路が探偵役の長編。 『サハラに舞う羽根』A・E・W・メースン(2003年7月創元推理文庫) あの『矢の家』の著者メースンによる歴史冒険小説、などと書いてみたいところだが、『矢の家』が未読なんだから<あの>と書くわけにもいくまい(^^; 『怪談之怪之怪談』怪談之怪 編(2003年8月メディアファクトリー) 京極夏彦、木原浩勝、中山市朗、東雅夫の四人からなる怪談之怪とゲストによる座談。 『SFマガジン2003年9月号』(早川書房) 特集は、「彼女たちのセクシュアリティ − 女性作家特集」 |
『メビウス・レター』 2003/7/24(木) ちまたで「Windowsの脆弱性」などというタームがはやっている昨今、「じゃあ俺も」と突然Windowsの更新をすることを思い立ったのだが、そこがダイヤルアップの悲しさ、ダウンロードに4時間半もかかってしまった! いつもは「常時接続」などと聞いても、どこの世界の話なのかと思っていましたが、こういうことがあると考えちゃうよね。まあ、めんどくさそうだからやる気はないけど>常時接続 (^^; 夏になると目録の数が増えるようでチェックが追いつかない。特にデパートの即売会用の目録などはページ数も多いし、値段が張るものも多いし、しかもほとんど関係のない本ばかりだし...... (^^; それにしても、最近ほとんど注文していない私のようなところにまで目録を送ってもまだ儲かるのだろうか。制作費や郵送費だけでもバカにならないはずだが。 よしせっかくだから、今日はこのあと目録の確認をすることに決定! 『メビウス・レター』北森鴻(2001年講談社文庫)読了 1998年刊行の単行本の文庫化。このタイトルでは、いかにも仕掛けがあるぞと言わんばかりでちょっと損なのでは。文庫版のカバー裏で「すべてがひっくり返る驚愕の結末とは!?」などと煽っているのもどうかな。 過去に起こった連続殺人の可能性もある事件と、現在続けて送られてくる過去の事件を告発する手紙、そして現在起こっている放火事件、殺人事件、それらが必ずしも有機的につながっているとは言いがたく、作品としてのまとまりを欠いているように思われる。解説では愛川晶が、本作が最初に某社で出版中止になった旨を批判しているが、見方によっては没になる作品でもあるのだろう。ただ愛川が、夢野久作の「瓶詰地獄」を思わせるような奇妙な後味、と解説するようにラストは俊逸だ。 |
バーベキューセット 2003/7/21(月) 今日は朝から大雨の様子なので、もう一眠りして起きたら日本晴れ。それなら家の中で燻ってもいられないので、以前 『ブルクリン家の惨事』や『誰が駒鳥を殺したか?』を100円で買った店に行ってみることにする。 この店も昼過ぎしか開かないので、この位の時間でちょうどよかったのだが、残念ながらさしたる本はなし。そりゃ、そんなにうまい話が何遍もあるわけないよね。 まだ時間があるので、猫又さんの店に行ってみる。 「なんか本が増えましたね」 「倉庫を一つ手放したので」 「なるほど、すると本もこちらに全部持ってきたわけですか」 「いや、コンテナ倉庫も借りてはいるんだけどね」 やっぱり古本屋さんは、本の所蔵がたいへんなんですね。 そこへ一人の若者が店に入って来た。 「こんにちは」と言いながら机の上に置いた箱はバーベキューセットであります。 古本屋に売りに来たのか>バーベキューセット? 店主も、「そういうのは別に取り扱っている店があるはずですから」と断っていました。そりゃそうだよな。 購入したのは、 『少年・卵』谷山浩子(1993年サンリオ) 『お昼寝宮 お散歩宮』(1988年サンリオ) 『X電車で行こう』山野浩一(ハヤカワ文庫JA) 『迷宮課事件簿1』ロイ・ヴィーカーズ(ハヤカワ文庫HM) 以上4冊で1500円。 『迷宮課事件簿1』を買ったのは、つい最近、新刊書店で『百万に一つの偶然 迷宮課事件簿U』(2003年7月ハヤカワ文庫HM)を買ったばかりだったせいだが、店内にはポケミス版『百万に一つの偶然』が400円で売っていました。なんだ、あれってポケミスの文庫化だったのか。それじゃあポケミスでも持ってるかもしれなかったなあ>『百万に一つの偶然』 新刊購入は、 『反=文藝評論 文壇を遠く離れて』小谷野敦(2003年6月新曜社) 『バカのための読書術』(2001年ちくま新書)の著者、小谷野敦の最新刊。川上弘美、筒井康隆、村上春樹などを対象にした文藝批評。帯には、「言われてみれば不思議なくらい真っ当な批判」「爽快感抜群のエッセイ」 こういう類の本は多いけれど、やっぱり興味が湧いてしまうのよね。 |
『支那そば館の謎』 2003/7/20(日) 久々に古本屋を廻ってみると、某店で 「今日は、店主は東京に行ってるんですよ。ほら、東京古書会館に」 「ああ、もうできたんですか。それじゃあ落成祝いで?」 「いや本当の目的は本の仕入れのようです。一般の方も参加可能な市がたってるようですから」 うーん、なかなか景気のいい話ではないですか。 できれば東京メンバーの方々の「たいした本はなかった」という報告を早く読みたいものだ。 購入した古本は、 『ひかわ玲子のファンタジー私説』ひかわ玲子(1999年東京書籍)600円 『劇場の迷子』戸板康二(1985年講談社)500円 また新刊購入は、 『タイムトラベル・ロマンス』梶尾真治(2003年7月平凡社) 梶尾真治のSF、ファンタジー案内。 『キネコミカ』とり・みき(2003年7月ハヤカワ文庫JA) 「ゴッドファーザー」や「大脱走」、「転校生」など34本の映画を題材にしたコミック。オール2色刷り。 『支那そば館の謎』北森鴻(2003年7月光文社)読了 タイトルには「支那そば館」とあるのに、支那そばにほとんど関係がないのは意外だ。 数年前、広域窃盗犯の有馬次郎は、大悲閣の住職に助けられ、その後、寺男として働くことになった。その大悲閣に相次いで事件が持ち込まれる連作短編集、6編収録。 本格推理的には住職のすべてを見渡したかの一言が真相を暴くきっかけとなるが、さらに主人公が裏の顔を持って行動する「必殺シリーズ」(殺しはしないけど)的な趣向をも併せ持った異色作。そのためか話が暗くなりすぎないよう、脳天気な新聞記者、能天気な警部、能天気なミステリー作家と、3人もの狂言回しを揃えている。主人公と住職に加え、この3人ともまた会いたいし、まだまだ続けて読みたい連作集です。もっとも北森鴻の連作はどれも続けて読みたいものばかりだけど。 |
『UMAハンター馬子』 2003/7/18(金) 最近ほとんど古本屋に行っていない。時間もないが、やはり収穫を期待していないことの方が大きい。胸弾ませて古本屋を廻っていた時代が嘘のよう。今から思えばその頃は、今と比べて収穫もかなり多かったというのがいつわらぬ実感だ。しかもそんなに昔のことではない。まだ数年前のことなのだ。収穫がないと感じるのは、収穫と感じるレベルが上がったためではと思われるかもしれないが、レベルはその時からほとんど変わってないのよね(^^; 今日も古本屋に行く暇はなかったので、新刊書店にだけ寄る。購入した本は、 『支那そば館の謎 裏京都ミステリー』北森鴻(2003年7月光文社) 大悲閣千光寺の住職と寺男のコンビが難事件を解決する連作推理、6編収録。タイトルに使われている「支那」は、一時、使用が避けられていた言葉だったと思うが、今は普通にまた使われているのかな。 さらに、次の本も購入。 『追憶の猫 探偵藤森涼子の事件』太田忠司(2003年7月実業之日本社ジョイ・ノベルズ) 『百万に一つの偶然 迷宮課事件簿U』ロイ・ヴィカーズ(2003年7月ハヤカワ文庫HM) ネットで注文していた本が届く。 『乱視読者の英米短編講義』若島正(2003年7月研究社) 若島正の『乱視読者』は買っておきたい。この本は買いもらしていたのかと思ってネット注文したのだが新刊だった。そのため、注文した後に本屋に並び、少しの間ではあったが、指をくわえて見送らなければならないというパターンになってしまった。 『山田風太郎幻妖のロマン』志村有弘編(平15年7月勉誠出版) 勉誠出版という出版社にも、志村有弘という人にも、ともにそれほど信頼はおいていないが、とにかく購入だけはしておく。 『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午(2003年3月文藝春秋) 読むつもりで書店で探したが、すでに店頭からはなくなっていたため注文していた本。 『蚊−か−コレクション』(2002年2月電撃文庫) このまえのオフで、かおかおさんに教えてもらったアンソロジー。目当ては田中啓文「赤い家」だが、オリジナルにあたるPS2ソフトの「蚊」は知らない。PS2自体、持ってないし。 『UMAハンター馬子 闇に光る目』田中啓文(2003年7月学研ウルフノベルス)読了 「おんびき祭文」の継承者蘇我馬子とその弟子イルカが未知生物の謎を解く連作集、3編収録。 未知生物の正体は、各話とも馬子によって、一応民俗学的に解かれることになる。そこで行われる数々の語源の解釈は、一見、ダジャレのようだ。ここに民俗学とダジャレには親和性があることが明らかになる。(って、ほんとか?(^^; ) なお、圧倒的な迫力で迫る、馬子の「おんびき祭文」の舞台を読むのも楽しみの一つだが、本書では第1話のみなのが残念。あまりやるとマンネリになってしまうのかもしれないが、各話に1箇所程度の見せ場としてなら、たとえマンネリでもその場面があったほうがうれしい。 |
『黒いハンカチ』 220/7/15(火) 12日の日記で、新幹線で豊橋に行こうとしたが、ひかりに乗ってしまったため京都まで行ってしまったと書いたことについて、複数の方から、「それって、ひかりとこだまの間違いというより、そもそも豊橋と京都では方向が逆なのでは」「名古屋から豊橋に行くなら、乗るのは上りの新幹線のはずだよ」などとの指摘をいただきました。 あっ、なるほど! 中には私の日記の内容から真相をいろいろ推理してくださった方もおられるのだが。すみません、豊橋を名古屋と京都の間の駅だと勘違いしただけというのが真相です。そんなばかなと言われてもそういう勘違いって一生に何度かはあるよね。 京都から戻ってきて、名古屋の改札でも「豊橋に行くつもりが間違えてひかりに乗ってしまって、京都まで行ってしまいました」と説明したのだが、「それじゃあ京都までの往復料金をいただきます」と言われただけで、「上り」と「下り」の違いについては全く言及されなかったので、今回指摘されるまで全然気付かなかったわ。 でも、方向オンチの烙印を押される前に一応弁解だけはしておくと...... 私はてっきり豊橋にはひかりが停まると思っていたのだ。さらに東京行きのひかりにはしょっちゅう乗る機会があるが、上りの新幹線で豊橋に停まった記憶はない。したがって乗るべき新幹線は必然的に下りであると、ほとんど無意識のうちにそう判断していたはずなのだ。どうだ、無理はあるまい? 本日の新刊購入は、 『世界の果てのカレイドスコープ 「ミステリの明日」を解読する』野崎六助(2003年7月原書房) 野崎六助の評論は、ごくまれには宮部みゆき論のようなハズレもあるけれど、基本的には信頼しています。 『IN POCKET 2003年7月号』(講談社) 特集は、「ミステリ界の俊英 貫井徳郎がすごい!」 貫井徳郎は、『慟哭』『鬼流殺生祭』あたりは面白く読んだが、『神のふたつの貌』を読んだときは、正直もう読むまいと思いました。しかしこのまえ読んだ『被害者は誰?』は、ずば抜けて面白かったので、また読ませてもらうことになるのかも。 『黒いハンカチ』小沼丹(2003年7月創元推理文庫)読了 1958年三笠書房から刊行の単行本の文庫化。女学院の英語教師ニシ・アズマ女史が探偵役の連作集、12編収録。 内容としては、推理というには他愛なさすぎるもの、最後になってから決め手を明らかにするアンフェアなもの、偶然に頼りすぎのものなど、文句をいえばきりがないが、「蛇」のように中には本格推理と呼べるものも含まれているし、この本が復刊するというだけでも奇跡的なことなのだろうから、それだけで満足すべきでしょう。 |
丸栄古書即売会報告 2003/7/13(日) 今日は丸栄スカイル古書即売会の4日目なので落穂拾いもいいところだが、雨の中を出かけてみた。硬い本ばかりだと思っていたが、意外に小説の出品も多い。 サイン本も1000円位で何冊かあったけれど、いくらサイン本でもほしくない本はほしくないし、厳選して次の本を購入。 『世界から言葉を引けば』石川喬司(昭53年河出書房新社、サイン本)1000円 他には、読むつもりで『宗湛修羅記 秀吉と利休を見た男』森真沙子(平11年祥伝社)1000円を購入。 せっかく栄に来たので、ついでにマナハウスにも寄る。 『海を失った男』シオドア・スタージョン(2003年7月晶文社) 編者は「乱視読者」の若島正氏なので信頼がおける。なお、巻末の編者紹介欄に『乱視読者の冒険』、『乱視読者の帰還』と並んで、『乱視読者の英米短編講義』(研究社)という記載がある。そんな本が出てるとは知らなかった。ミステリーとは関係ないと思うが念のために注文しとこうかな。 『「探偵倶楽部」傑作選 甦る探偵雑誌7』ミステリー文学資料館編(2003年7月光文社文庫) これはデフォルトで購入。 小沼丹『黒いハンカチ』を読み始めたが、今のところ他愛ない小説という印象。アンフェアなところもあるみたいだし。 |
『闇色のソプラノ』 2003/7/12(土) 今日は知り合いの家族のお通夜があったのだが出席できませんでした。 場所は豊橋だったので新幹線で行けば間に合いそうだとは思ったのだが、そして実際に新幹線に乗りこむところまでは行ったのだが、席に座ってやれやれと思っていると、アナウンスが。 「次の停車駅は、京都です」 がーん!ひかりは豊橋には停まらなかったのか。 さらに、名古屋に戻ってきて改札で駅員に、 「間違えてひかりに乗ってしまいまして、京都まで行っちゃったんですよ」 と説明したために、京都までの往復料金まで払わされてしまった。 血も涙もないのか>JR (;_;) 京都までの往復で、手持ちの『闇色のソプラノ』を読み終えてしまったので、新刊書店に寄る。礼服姿が暑苦しい。しかもこの服装が全く無意味になってしまっていることも悲しい。 購入したのは、 『UMAハンター馬子 闇に光る目』田中啓文(2003年7月学研ウルフノベルス) 『日影丈吉集 かむなぎうた』日下三蔵編(2003年7月ちくま文庫) 『黒いハンカチ』小沼丹(2003年7月創元推理文庫) 『本の雑誌 2003年8月号』(本の雑誌社) 『闇色のソプラノ』北森鴻(2002年文春文庫)読了 1998年立風書房刊行の文庫化。 大学生の桂木真夜子は、ボーイフレンドの部屋で見つけた同人誌に掲載された詩を読んで、25年前に若くして夭折した詩人樹来たか子を卒業論文のテーマに決める。ところが真夜子が住む遠誉野(とよの)市に、樹来たか子の遺児、樹来静弥も住んでいたことがわかる。そして起こる殺人事件、ひき逃げ事件、女性の失踪事件。 殺された末期がん患者、医師、樹来静弥の恋人、刑事、郷土史研究家、ひき逃げされた樹来静弥の友人、失踪した女性など、多くの登場人物が錯綜するが、最後にはそれぞれのピースにぴたりとはまる。これぞ本格推理。そうか、そういう意味だったのか。心理描写の各場面を読み返しては感心したよ。ただ、作者が偶然を気にしているらしく、作中に「偶然」という言葉が散りばめられているが、それほど気にしなくてもよかったんではないだろうか。 |
『メイン・ディッシュ』 2003/7/9(水) 昨日の昼間のことですが、 「あっ、飛行船だ!」の声に、皆が窓際に集まる。 私は、最近読んだ『パンプルムース氏と飛行船』を思い出し、「あの中にも人が乗ってるんですかね?」と問いかけてみるが、誰も答えられない。 「それにしても飛行船って、何のために飛んでるんですか?」 「昔は広告だったよね、電機メーカーかなにかの。今はなんだろうな」 と、皆もの珍しそう。 そうか、やっぱりまあまあ珍しいものではあるのか>飛行船 実は、先週の土曜にも飛行船が家の近くを飛んでいるのを見かけたばかりなのだが、その時は、ひょっとしたら飛行船なんてものはしょっちゅうそこらへんを飛んでいるもので、単に今まで自分がそれに気付いていなかっただけではないのだろうかと疑ってしまい、日記に書くのさえ憚れた位なのだ。そんなわけで他の方の反応を見ることができてようやく一安心。 最近、歯科に通っているので、帰りに本屋に寄る暇がない。抜髄をして痛みは和らいだけれど、なんで神経なんてものが最初からなければならないのか不思議な気にもなる。いや、注意信号だと理解はしているんだけれど、治療で抜いてしまえば、その後は効力を失ってしまうわけだし、さらに歯科治療が進んでいない時代や国のことを思うとなおさら理不尽さを感じるのは私だけではあるまい。 H文庫から本が届く。 『英国『探偵雑誌』総目次・索引』長谷部史親編(1991年泰西書院)1500円 1922年から1925年まで隔週ペースで65号まで刊行された"The Detective Magazine"の全目次に執筆者索引を加えたもの。 150部発行となっているがそれだけの需要がなかったのか、定価4500円(税別)の本がその1/3に額面割れ。 H文庫への注文はこれ1冊だけなんだから、しょぼい客だぜ(^^; 『メイン・ディッシュ』北森鴻(2002年集英社文庫)読了 1999年刊行された単行本の文庫化。 劇団主宰の女優ユリエを語り手とし、その同居人で料理の達人ミケさんが活躍する連作短編集。 この作品も料理の達人が探偵役。登場する料理のおいしそうなこと。そしてミケさんの料理に集まってくる団員たちと、そんな同居人を持っていることで優越感に浸るユリエ、そこに何かとちょっかいを出してくる座つき作者の小杉など魅力的な登場人物を配し、物語は好調に進んでいく。 基調としてはユーモアミステリーと言っていいと思うが、ところどころに大学時代の友人5人組の物語が挟まり、メインの物語と交錯し始めるという趣向もあり、やはり一筋縄ではいかない。 ところで、作中で語り手が、いつだったか、三軒茶屋のとあるビアバーを舞台にした、ミステリーを読んだことがある、と述懐する場面がある。ほんとにいろんな作品で出てきますね<香菜里屋> |
『共犯マジック』 2003/7/7(月) 本日の新刊購入は、 『クロノス・ジョウンターの伝説』梶尾真治(2003年6月ソノラマ文庫) 1999年ソノラマ文庫NEXT刊行の増補版、4編収録。 『手塚治虫の大予言』九頭海龍朗+裏日本ロボット文学研究所(2003年6月平凡社) 今年は「鉄腕アトム」関連本が次々と刊行されているが、ついにこんな本まで出てしまった! 裏日本ロボット文学研究所初代所長を名乗る著者が、「鉄腕アトム」を予言書だったと直言。「鉄腕アトム」の物語の中から、「9・11同時多発テロ」や「拉致被害」、「フセイン政権崩壊」等いくつもの予言を導き出し、予言の的中を論証する。 これだけでもかなり強引だが、それだけでは終わらない。さらに著者は「鉄腕アトム」の物語から、「2055年までの衝撃のシナリオ」まで導いてみせる。 これまでの予言書のパロディを思わせる論の運び方である。実際、ノストラダムスや聖徳太子を予言者とするなら、手塚治虫だって同様に予言者として解釈できるよというスタンスであれば、十分パロディとして通用したかもしれない。 しかし著者は一貫して真面目に、手塚治虫を予言者として論じているのである。 著者はあとがきでこう述懐している。 「平凡社の編集部も、はじめは耳をかしてくれなかった。けれども私の原稿を読み終えて、「常識的人知を超えた偶然としてありうることかもしれない」と、ようやく出版を承諾してくれた。」 やっぱり、せいぜいただの偶然だと思ってるんじゃない>平凡社の編集部 『共犯マジック』北森鴻(2001年徳間書店)読了 謎の予言書《フォーチュンブック》に纏わる連作短編集、7編収録。 1967年、長野県の書店で偶然販売された6冊の《フォーチュンブック》。その後、購入した持ち主たちはこの予言書に翻弄され、絡まりあいながら、昭和の事件史の共犯者の役割を演じていく。 各話とも一応の決着はするものの、なにかしらの謎が残される。最終話でそれらの謎が一気に氷解した時、各編の物語が、さらには昭和の事件史までが有機的なつながりを持つことが明らかになる。 予言書に纏わる小説なら他にいくつもあるだろうが、このくらいスケールの大きな話にしてこそ、こういう設定が生きるのだなと気付かされる。構成力も素晴らしい傑作。 |
『パンプルムース氏と飛行船』 2003/7/5(土) 今日は名古屋古書会館即売会の2日目。 まずは軍資金確保のため銀行へ。その途中、古書店の店員さんとお会いする。 「お釣りのために、銀行に行かれるのですね」 「いえ、違うんですよ。そんなにお客は来ないので」 おい、おい。 「インターネットで注文された方の入金の確認のためなんですよ」 「毎日ですか?それはたいへんですねえ」 「店が暇ですから」 またぁ。 「インターネットの注文がないと、うちではもうやっていけませんね」 老舗の古書店でもそうだとすると、古書店の状況も予想以上に厳しいようです。 さてせっかく軍資金は用意したものの、案の定、買いたい本はない。 何べんも会場を廻って、ようやく購入したのは、 『グラフNHK 1981年10月号』(NHKサービスセンター)200円 『グラフNHK』が30冊ぐらい置いてあったのだが、「なにわの源蔵事件帖」が掲載されていた本号のみ購入。1981年10月14日が放送スタートだったようです。主人公の源蔵役は桂枝雀、独特の容貌から、人呼んで「海坊主の親方」!うーん、見たい。DVDで出てないかな。 なお、このドラマの続編は「新・なにわの源蔵事件帖」として1983年に放送されているが、主演は芦屋雁之介に代わっている。 それにしても、購入金額200円では、銀行でお金をおろした意味がまったくありません(;_;) 古書店から本が届く。 『辻村ジュサブローの世界 吉原 失われた「文化」を求めて』(昭56年ギャラリーヤエス サイン入り)800円 ギャラリーヤエスで行われた企画展「吉原」のカタログ。サイン入りというだけで注文していた本です。とりあえず満足。 『パンプルムース氏と飛行船』マイケル・ボンド(2003年6月創元推理文庫)読了 今回のパンプルムース氏の任務は、英仏要人が乗船する飛行船の就航記念特別メニューの作成、さらに飛行船の爆破をたくらむテロリストも登場する。そして、例によってわき起こるドタバタ劇にパンプルムース氏と愛犬ポムフリットが右往左往しているうちにいつのまにか、また難事件が解決してしまう。 巻末の福井健太氏解説に「章のラストでどんな状況になっていようと、次の章ではトラブルが(一応)解決しているケースが多い」と書かれているのには、なるほどと納得。ああ、あれは、その回でどんなにめちゃくちゃなラストに終わろうとも、次の回ではまた日常に戻っている『葛飾区亀有公園前派出所』みたいなものなのね。 ところで本書には訳者木村博江氏のあとがきもついているのだが、その日付が「2004年4月」になっているのはミスですよね。 |
『阿弥陀ケ滝の雪密室』 2003/7/3(木) 昼間、バスで移動中に、「次は○○」との案内に合わせてボタンを押し、降りてみたら次の停留所! 雨の中を1停留所分歩いて戻ることになってしまった。 シリアルキラーJに言いつけるぞ!(;_;) 帰りに鶴舞に寄ってみるが買いたい本は1冊も見あたらない。 シリアルキラーJに言いつけるぞ!(;_;) というわけで、 『阿弥陀ケ滝の雪密室』黒田研二(2003年5月光文社カッパ・ノベルス)読了 本作は「トラベルミステリ」と標榜してはいるが、鉄道がまったく登場しないこと、また本作にもアリバイ崩しは出てくるが、その真相のとんでもない異様さからも、通常の「トラベルミステリ」とは全く違う代物であることがわかる。こんな真相、想像も付きませんでした。 主人公の身体に他人の意識が飛び込む設定と、「シリアルキラーJ」の暗躍。このどちらかだけなら他にもいくつか例を挙げられるはずですが、この二つの要素を融合させる試みは本作が初めてではないでしょうか。困難な点もあると思いますが今後の展開が楽しみです。 なお、この前のオフの時に主人公の身体的特徴に関する指摘について教えてもらいましたが、その他にも見えている色の問題や警察に対する不信感など、作者が覚えているのかどうか疑問なんですが (^_^) |
『ふたり探偵』 2003/7/2(水) 今日は新刊書店へ。新刊のチェックとともに、先日のオフで教えてもらった電撃文庫の『蚊コレクション』と歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』も買って帰ろうと思ったのだ。 すでに三省堂のテルミナ店及び高島屋店にはこの2冊とも置いてないことはチェック済みだったので、今日はマナハウス、丸善、紀伊国屋と廻ってみたのだが、やはりどこにもない。 特に文藝春秋の本格ミステリ・マスターズはけっこうどの店にも置いてあるのに歌野晶午だけどこにも在庫がないのはちょっと不思議。あまり売れていないのでしょうか? 新刊にも特に買いたいものがなかったので、いつもなら手ぶらで帰らなければならないところだが、今はこういう時でも北森鴻が買える。今日購入したのは、『共犯マジック』(2001年徳間書店)。やれやれ。 たまっていた目録を一気に見る。まずはH文庫。最近は何も注文していないと思うので、継続して郵送してもらえるよう、今回はとにかく何か注文することにする。さんざん迷って注文したのは、長谷部史親『英国『探偵雑誌』総目次・索引』1500円。 さらに別の目録で、楠田匡介『いつ殺される』、鷲田三郎『屍の記録』各1500円を注文。 他にも、今月4日から始まる名古屋古書会館即売会、及び10日から始まる丸栄スカイル古書即売会の目録も来てるんだけど注文したい本もないし、あいかわらず期待できそうにない。それでも行くことは行くんだけど(^^; 『ふたり探偵 寝台特急「カシオペア」の二重密室』黒田研二(2002年光文社カッパ・ノベルス)読了 ふたり探偵シリーズの1作目。くろけんさんの本はいつもなら買ってすぐ読んじゃうんだけど、本作は「トラベルミステリ」だというので、しばらく読まずに置いていたら、今年このシリーズの第2作目が刊行されてしまいました。 2冊とも買ってはあったのですが、最近、著者本人からも感想を聞かれ、「まだ1作目すら読んでないよん」としかお答えできなかったので、遅まきながら読んでみました。 「トラベルミステリ」とはいうものの、舞台はほぼ寝台特急「カシオペア」に固定しており、またよくあるアリバイネタでもありません。くろけんさんらしい仕掛けもあるので、私のように「トラベルミステリ」が苦手な人でも大丈夫だと思います。もっとも、私はその仕掛け部分についてオフの時にネタバレを聞いてしまっていたんだけど。 ひとつの身体に別の人物の意識が共存する話というだけなら他にも例があると思いますが、本シリーズでは一見異質に見える「シリアルキラーJ」という設定を融合させていくことによって、今後どう展開していくのか楽しみですね。 続けて、2作目も読み始めています。 |
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