北京 〜2day〜  万里の長城 定陵(神路) 北海公園(夜景) 
 新世紀の初日の出を探して……

     all writing a‐kazama


 明けて元旦最初の見所は、今回のツアーの第一目標とされている、万里の長城である。
 しかも、今回は一応
「ご来光を拝もう!」がテーマだった為、当然、出発はまだ暗いうちから。除夜の鐘から帰って、わずか三時間程の仮眠の後、我らは再び眠い目をこすりながらも起きだした。
 これを見ずに帰っては、何をしに来たか分からないではないか!!
 ……というわけで、この時の為に用意してきた防寒着に身を包み、バスにて真っ暗闇の中、一路長城へ。でも、勢い込んで乗り込んだ割に、バスでは皆さん計ったように「お休みタイム」だったが…。(笑)

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万里の長城
 唯一宇宙から見える建造物。むろんその全ては無理だが、一度は立ってみたいと思っていた場所だ。
 今回は時間もないということなので、一番有名で市街から近い八達領へ向かった。本当は司馬台長城(北京市北東120kmに位置する)まで行って見たかったのだが…。明代の姿そのままで残っており、途中の景観も面白いらしい。どなたか、行かれた方はぜひリポートを……。(オネガイシマス!)
 さて、バスの降車場から歩いて入口まで登る。普段ならなんてことはない坂道、距離、である筈だが……、とにかく外灯ひとつない真の暗闇である。(当たり前だが) 懐中電灯で足元を照らしながら、凍った道を必死で歩く。ちゅん太はまるで「洞窟探検隊」のようなライトを前頭部につけていた。その姿は笑いを誘うものだったが、これが結構役に立った。
 そして、何が
怖いって……暗闇から突然出没する物売りのおばさん達!防寒用の帽子を売っているらしいのだが、こちらは夜目がきかないので、なんの前触れもなく、いきなり頭の上に柔らかい毛皮(帽子だ…)が降ってくれば……はっきり言って物凄く怖い。まあ、すぐに慣れたが。(笑)

 入口をくぐって右手が
「女坂」左手が「男坂」と呼ばれている。男坂の方が上がるのが大変だが景色がいいと聞いて、迷わずそっちを目指す。日の出前にどこまで行けるか挑戦だとばかりに、せっせと登ったが、途中からは足元の石が凍り付いていて、どうしても登れない。(登ったはいいが、降りるときは滑り台状態になりそうだったので)
 仕方なく、そこで日の出を待つことに。
写真12
坂の途中の楼台から眺める
遠く稜線の向こうに消えていく、それは
まるで、果てなき世界へ続く道標のように……
 残念ながら生憎の曇り空で、綺麗な朝日は見られなかった。
 だが。
 今年初の太陽に、この長い長い歴史の刻み込まれた大建造物の上で、出会うことが出来た。
 ……その事実だけで、なんともいえない感慨が沸いた。
 持ってきていたウォッカのミニビンの封を切って、
祝杯を、あげた……。
 乾杯した後、まだ時間があったので「せっかくだし」と来た道を戻って今度は女坂の方へ。(後で聞いたところによると、両方行ったお元気者は我らだけだった…)
 男坂は人が少なくて結構ボーッと浸れたのだが、さすがに女坂は人が多かった。それに風が強い。もろに、その日の風の通り道だったらしい。
 新年ということで赤や黄色の旗で飾られていた女坂だったが、吹き飛ばされて断崖から落ちていくものを幾つも目撃した。(あれはどうやって回収するんだろう……。心配だ)
 晴れていれば、断崖の下から遠くの山々の連なりまで、よく見渡せるらしいが、生憎の霞みではっきりとは見えなかった。それでも、日本の山々とは明らかに違う高い連なり、そして、その上を延々と這う城壁に眩暈がしそうだ。
 よく晴れた春の日にもう一度来て、今度は遥か彼方に続く道を、どこまでも歩いてみたい……。
写真13
 男坂側から撮影した女坂。
 女坂の方だけは、綺麗にライトアップされていた。
 山の峰全体に伸びる朧な光は、輝く鱗を持つ
黄竜のようだ。
 この珍しい光景が見られただけでも、男坂側に上った甲斐があったというものだ。


 さて、極寒の長城を後にし、やっと本日の朝食へ。訪れたのは、お土産屋さんの二階の食堂。日本の団体バス旅行に行っても、よくこういう場所でお昼とか食べさせられるよなあ……。「処の国も一緒か?」となんだか微笑ましいような気分になった。
 事前日程表を見ると、
「中華風おせち」と書いてあったが……。今回の旅行では一番訳のわからないものが沢山出た食事だった。あれは…一種の薬膳なんだろうか。粥、漬物もどき、甘くないお汁粉?ミニ春巻きのようなもの…ただし、中身はなんだか不明。そして、極めつけ。どう見ても煮豚か何かのような赤茶色の物体なのだが、中身は柔らかく、味はもの凄く塩辛いブルーチーズのよう。かなり強い臭みがあって発酵物であることは確かなのだが??同じテーブル内で平気で食べていたのは我らだけ……。自分達がかなりの食いしん坊であることを再認識させられた。(笑)
 さて、食事と買い物の後、明の十三陵へ――。


定陵
 明の十三陵の一つ、定陵。明の三代目皇帝永楽帝から最後の崇禎帝までの十三の陵墓群の内、万歴帝の陵墓である。
 地下宮殿が公開されていることから、大概のツアーはここを訪れるよう。
 長い階段を降りると、トンネルのような形をした石室があり、皇帝皇后の宝座や、複製の棺が納められている。
 内部はかなり簡素で、ピラミッドのような派手さを期待していくとガッカリするかもしれない。…が、ぴっちりと寸分の狂いもなく組み上げられた壁や天井はやはり凄い。
 そして、結構面白いのは……
スリ。(笑)地下に下りる前に、ガイドさんは散々「スリに注意して下さい」と言う。わざわざ立ち止まって全員を集めた上で、しつこくしつこく「スリ注意」を連呼するのである。ビクビクしながら入ったのだが、果たして――
 本当に……
いた!
 風魔は気づかなかったのだが、ちゅん太は何人も見たらしい。注意して見ていると、結構分かるようだ。(露骨にアヤシイのだ) きちんと、自分の荷物を死守した上で、探して見るのも楽しいかも?(不謹慎だが…笑)
 暗かったので写真は撮らずじまいだった。……画像がなくてスミマセン。
写真roudai  地下宮殿から出たところにある明楼。
 楼台の下の空間に巨大な石碑が建てられていて、その皇帝の生前の偉業を色々と記してある。偉大な皇帝の石碑にはびっしりと細かく文字が彫られているのだが、殆ど何も書かれていない石碑もある。
 ガイドさん曰く、「これ、良くない皇帝ね。書くことなかったんですね〜」
  爆笑。
 見比べてみると、その文字量の差が笑いを誘う。ちなみに、写真の楼は、「ヨクナイ皇帝」のもの。(笑)
神路
 定陵を出て暫く歩くと、神路へ出る。神路は、永楽帝の陵墓、長陵の墓参道だった道だ。
 それにしても、天安門や一般の自動車堂など、何処を見ても思うことだが、この国は全てが大きい。日本のような国にいると想像もつかないスケールで物を造る。――800mにも及ぶ道が一直線に延びる様子は壮観である。その両脇に延々と並ぶ石像群もまた面白い。
写真15  人間(官吏)から象や麒麟まで、色々な石像があるので、きっと一つは「お気に入り」が見つかる筈。
我らのお気に入りは、象。立っている姿と、前足を投げ出して座っている姿と二種類あって、どちらもデフォルメされすぎず、でも可愛らしい。すべすべした真っ白な鼻先には思わず触りたくなる。
 でも、それにもまして我らが気に入ったのは、参道の両脇に植えられた
柳の木だ。日本のものとは違ってかなり背が高く、細い枝が覆い被さるかのように天辺から落ちてくる。葉のついた頃はさぞかし見事だろうとは思うが、枝だけの柳がまた想像以上に美しかった。中国は春や秋がベストシーズンだと言われるが、寒さを堪えてもでも、この柳枝は見る価値がある。

区切り点

 路の中央に立ち、先をのぞむ

 遮るものひとつない彼方は遠すぎて 
 ただ 「点」 でしかなく
 風にたなびく楊柳の黄金が
 眩しく目を眩ませるばかり

 そこに 見えるか?
  去りし日の絢爛が
  残された夢の残滓が

写真14

区切り点 

 神路を後にし、七宝焼きのお店へ寄る。 つるりとした青や緑の土台に細かい金の細工が入っていて、とても綺麗だ。専門店なだけに、他の店で見たものよりも細工が精工。ただし、お値段も少々高め。自分用にちょっと良いものを買おうと思うなら、こういう場所で手に入れると良さそうだ。ただし、形ばかりのお土産を買うつもりなら、雑貨屋やホテル内の土産物屋で十分だろう。値引き率もちょっと悪し。
 他にも、otherのページへ、幾つか写真を置いているので、よろしかったらどうぞ。

 

 ホテルに戻ってお昼を食べた後はお昼寝タイム。(昨夜ほとんど寝ていなかったので)
 二時間ほどはお土産屋さんをウロウロした。(戦利品についてはotherのページへ)その後はさすがにダウン。夕方まで……オヤスミナサイ。

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北海公園
 夜になってから、夕飯を食べる為、北海公園を訪れた。(公園内部にレストランがあるのだ)
 総面積71万uの公園で、その半分以上を北海と呼ばれる池が占めている。池の表面はきれいに凍り付いていて、照明に照らされてほんのりと薄紅色にきらめいていた。池を渡り、公園の中心にある瓊島へ。
 暗い夜空には朧な
。その横にぼんやりと浮かび上がる、チベット仏教式の白塔が神秘的で美しい。昼間に見るとまた少し違った雰囲気なのだろうが、夜景だけでも我らは大満足だった。
 そして、北海公園内にある宮廷料理のレストラン、倣膳飯荘へ――。
 赤い灯火に浮かび上がった重厚な門構えに、なんだかレストランじゃなくて文化財に足を踏み入れるような気分にさせられた。
写真17_60
朧月に照らされる白き塔
  料理はさすがに宮廷料理。一番にお祝い膳用の鳥飾りが乗った皿が真中に飾られ、見た目にも美しい。(今まではあまり外見にこだわった料理がなかったもので)お味も非常に◎。でも、いい気になって食べていると最後までいきつけない。最後に出てきた小龍包やミニパイなどの、小さな点心類が特に美味しかった。食べきれずに悔しいので、そおっとティッシュに包んで持って帰ってしまった。(笑)でも、それだけの価値あり♪
 そして、この夜はせっかくだからと奮発して、安いビールではなく、
紹興酒を注文してみた。かなり高かったので、隣に座ったご家族と半分ずつすることに。注文したのはいいが、暫くして女給さん箱を持ってやってきた。「え、お持ち帰り!?そうじゃなくて、ここで飲みたいんだって!」だが、全く通じない英語…。どうしようと慌てていると、女給さん、さっさと箱を持って戻っていってしまった。「???」状態のまま待っているときちんとグラスと瓶を持ってきてくれた。………どうやら、きちんと開ける前に品物を見せに来てくれた、それだけらしい…。
 大きな甕だったので、円卓に一緒に座った他の人達にも振舞って、皆で楽しんだ。これが……本当に美味しかった。日本で飲む紹興酒は美味しいと思ったことがなかったが、さすがに本場にはいいものがある!かつて知人が紹興からお土産に持って帰ってくれた「二十年もの」と同じくらいに美味しかった。いったいあれは…何年ものだったんだろう…。日本のように氷砂糖は入れないのが中国流。少し甘い
乾梅がおつまみに出てくる。これが珍しくてとっても美味。お土産にも売っているので、オススメ♪

 倣膳飯荘内にあるパン焼き場。
 大きなフライパンで焼かれるゴマパンは香ばしくて見るからに美味しそう。 きちんと、食卓にも焼きたてが出てきた。
 それにしても、我らが来てから帰るまで、休みなくずっと焼きつづけていた。結構夜遅かったのに。あと何組の客が来る予定なんでしょうね…。


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