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時の話題2006-8
LAST UPDATE 2006-08-22
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◇印は《日々雑感新掲示板》より転載
全外教神奈川大会2006(06/8/21) ◇小泉の靖国参拝に抗議する(06/8/15〜17) ◇奈良県市町村啓発連協シンポジウム2006(06/8/11) ◇奈良県高人教研究大会2006(06/8/10)


【全外教神奈川大会2006】vol.331《日々雑感より》
◆第27回全国在日外国人教育研究集会・神奈川大会が19日(土)〜21日(月)の日程で開催された。研究集会は20〜21日だが、19〜20日に在日外国人生徒交流会があったのだ。今回の参加者は1000人に満たなかったようだが、北は北海道から南は沖縄までの24都道府県から、多文化共生教育に関わろうとする教員や保護者・市民活動家などが集い、実に有意義な実践交流ができたと思う。
 現地神奈川からの報告では、在日コリアンのハルモニの語りや、子どもたちのサムルノリといった、これまで積み重ねられてきたオーソドックスなものから、ヴェトナムやラオスの子どもたちによる思いや活動のアピール、「HOME FOR VOICE」という新渡日外国人青年を中心とする若者グループによる在留特別許可に関する訴え、エスニックジャパンなどの活動紹介、「KP」や「Tensais」というプロのラッパーによるトークやラップ披露など、多文化共生をめざす多様な表現が熱く繰り広げられた。四半世紀を越える全外教運動だが、運動初期から関わってきた人々には少々ついていきかねるものだったろう。kurochanは43歳ながら実はラップも好きだったりするのだが、在日外国人生徒交流会に全国から集まった100人を越える若者が熱い視線を送ったラップステージの直後に、せっかく出演者がステージ上に勢揃いしたのだから、やっぱりここはハルモニに何かを語らせてあげたかった。と、その晩の有志交流酒席では訴えたんだけどね。
 尚、在留特別許可に関する訴えとは、いわゆる「不法滞在外国人」の救済についてのものだ。経済格差という現実のなか、世界人口の3%は移住労働者だといわれるが、当然のごとく経済先進国日本にも多くの移住労働者が訪れる。しかし、難民受け入れに桁違いに消極的で「外国人に冷たい」と評される日本政府は、やはり単純労働ビザもまた出さないので、単純労働をするしかない外国人労働者は日本滞在を延長するためのビザがおりないのだ。就学や研修という名目で渡日し、劣悪な生活環境におかれる外国人青年たちの中に犯罪を犯してしまうものもいるのは事実だが、低賃金で都合良くこき使う経営者の便宜を図るかのような行政もまた、人権を軽視するという悪事を働いているといえるのではないか。そして、閉鎖的な入国管理を棚に上げ、まるで根拠のない「外国人は犯罪予備軍」という偏見を助長させるためのような表現が「不法滞在外国人」という言葉である。そんなオーバーステイの外国人は、摘発をおそれて病院にも行けず、学校にさえ行けない子どももいるというのが現実である。そんなオーバーステイ外国人が救済される道が、法務大臣の裁量による「在留特別許可」だ。kurochanもこの辺はすっきりと理解できてはいなかったので、もう少し勉強したい。
 今日21日は法政第二高校を会場に、7つの分科会9つの分散会に分かれて実践報告と討議が行われた。kurochanは第6分科会「歴史と文化・世界に学ぶ」の司会(2人のうちの1人)をつかさどる。横浜市平楽中学の「国際教育」の取り組み、滋賀県守山北中学の修学旅行に関わる取り組み、ヨコハマハギハッキョから関東大震災朝鮮人虐殺を目撃した当時の子どもたちの作文に関する取り組み、という子どもたちときっちり向き合う優れた3本の報告があった。参加者からの発言も相次ぎ、実に実り多い1日を過ごすことができたと思う。kurochan自身も明日からの実践に役立てて、子どもたちへの関わりにつなげていきたい。(812、06/8/21)[→8月目次]


【小泉の靖国参拝に抗議する】vol.330《日々雑感より》
◆今朝、小泉首相が靖国神社に参拝したことに、日本国民として抗議する。「公約を守った」というが、2005年9月の大阪高裁判決にもあるように、公約を守るとして公用車で出向いたのは公式参拝に他ならず、同判決や、2004年4月の福岡地裁判決にあるように公式参拝は憲法違反であるという司法判断に背く行為だ。そうした行為を、一国の首相が「いかなる批判があろうとも」断行したことを正当化することはできない。憲法を守ることと、憲法を破ることを公約だと強弁し正当化することの、どちらが正しく教育的かは論を待たない。また、A級戦犯合祀が問題だとされがちだが、それ以前に靖国は明治以降の帝国主義的侵略を賛美顕彰してきた戦犯神社であり、決して全ての戦争被害者を追悼し「不戦を誓う」ような祈りの場ではないことを見落としてはならない。また、そのA級戦犯合祀についても中国や台湾や韓国等を始めとするアジア諸国のみならず欧米からも批判があり、それを「外圧だ、内政干渉だ」とし「弱腰外交をやめろ」という意見が身近にもよく見受けられるが、「外圧」以前に日本人遺族からの合祀絶止の要求があり、国内批判の論議があり、先に明らかになった昭和天皇の嫌悪感表明があったのだ。さらに旧植民地出身者が戦争に駆り立てられ、戦死や靖国への合祀を知らされずにきたこと、そして戦犯とともに戦争賛美の靖国に祭られてしまったいることの屈辱を訴える遺族を、身勝手な論理で拒否する靖国と、そうした訴えを「外圧」として歪んだ受け止め方しかしようとしないマスコミや同レベルの日本人にも抗議する。今日は多くのアジア諸国民や連合軍捕虜、そして臣民に仕立てられた当時の日本人の解放記念日であることも忘れてはならない。(809、06/8/15、8/17加筆)[→8月目次]
 参考 ※vol.326 昭和天皇とA級戦犯

【奈良県市町村啓発連協シンポジウム2006】vol.329《日々雑感より》
◆かしはら万葉ホールであった奈良県市町村啓発連協シンポジウムに参加。今年で3回目の、ネット上の人権状況を問う集会だ。問題提起のオリジナルDVDは今年もよく出来ていたし、冊子も校正不足ながら役立つものであった。ただし、今年はパネルディスカッションがイマイチだった。コーディネーターもパネラーもそうそうたる面々なのだが、「高度技術情報化社会の光と影〜人権侵害の現実は今〜」というテーマが漠然としていたからだろうか、各パネラーのせっかくの話が重なり合って参加者に課題を提起するという形に至らなかったと思う。今日の話なら「情報弱者とメディアリテラシーを人権の側面から捕らえ直す」というテーマにしぼり、もう少し事前のすり合わせができていたらと思うのだが。実は昨年、kurochanもパネラーをつとめ、1100人を前に奈良文化会館で喋ったのだが、「ケータイと子ども」というテーマで学者・記者・県警相談員・教員(kurochan)というパネラー構成だったので、幾分は焦点もまとまりもあったのではないかと思う。電子掲示板差別書き込みなどに対処するインターネットステーションや、県内各市町村人権相談窓口をネット会議システムでつなぎより専門的なサポートをめざす人権相談事業等、全国的にも先進的な取組を推し進めている奈良県市町村啓発連協であるので、助力も惜しまないし、今後にも期待したい。(805、06/8/11)[→8月目次]

【奈良県高人教研究大会2006】vol.328《日々雑感より》
◆今日は、奈良大学を会場に奈良県高人教研究大会があり、午前に講演・午後に分科会があった。関西大学等で人権教育の講座をもっておられる井上寿美さんの講演では、結婚差別についての学生の意識を丁寧に読み解くことから始まり、結婚差別の克服とは単に両性の合意の保障ではなくて、イエ制度を問い直すべきものであること、さらに、差別の克服は差別社会への適応ではなく規制の価値観を問い直すものであること、最後に、最近流行りの参加体験型学習の落とし穴など、示唆に富む話だった。午後は第一分科会第三分散会で実践報告。勤務校の人権HRの取り組み〜ケータイアンケートに関わって〜を紹介させてもらった。同僚と二人での報告で、kurochanはサブ報告役で、「ケータイと子どもたちの人権」でも紹介しているアンケート集約等を話させてもう。質疑応答ではやはり、生身のつきあいのある友達とネット上でトラブルを起こしてやっかいなことになったという声や、事象への対応以前に人間関係の在り方そのものを問う実践が必要だとの声などもあり、報告者としても大変勉強になった。具体的な人権教育課題は状況の変化で常に変容し、学習手法もたえず問い返し創造し続けるべきものである。こうした研究会の意義もそこにある。まだまだ、互いに学んでいきたいものだ。今日の集会の関係者の皆さん、参加された方々にあらためて感謝したい。(804、06/8/10)[→8月目次]



























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