インドネシア拉致事件(2)
2001-02-16 18:02
第2章  僕の旅行スタイル

 高校時代に読んだ放浪術の本に、タオルと歯ブラシだけでアマゾンを旅する日本人が出てきたが、そこまでいかなくても、俺もたいがい荷物は少ない。ともかく、日頃からコンパクトを旨とする俺だから、荷物が多いのはご免なのだ。スーツケースなんて、何を入れるの?と思っていた。新婚旅行で初めて買ったけど。

 結婚前の一人旅では、持っていくのはナップザック一つ。その中に、シャツ・パンツ・靴下・パスポート・現金・旅行ガイド・カメラ・フィルム袋・辞書・手帳・ペン・浮世絵の絵はがき。それですべて。下着も替えの一式しか持っていかない。それも、重ね着をして、その他をポケットに詰め込めば、実は手ぶらでいけるのだ。国内旅行では、もっとコンパクトになる。これで1週間でも10日でもいける。

  コツは、まめに洗濯すること。ホテルに泊まるなら、部屋に着くなり下着を洗う。着替えるもよし、ノーパンでズボンをはくもよし。翌朝には、かなり乾いている。そういえば、「下着をタオルにして、体を洗えば一石二鳥」と、これも高校時代に読んだ放浪術の本に出てきたなぁ。

 浮世絵の絵はがきはお勧めなのだが、これは「メキシコ放浪記」の「浮世絵グッズは役に立つ」を読んでもらいたい。また、カッターナイフはあれば便利だが、飛行機には持ち込めない。僕は関空に寄付したことがあったけど。

 人が暮らしていれば、日用品は買えばいい。重い荷物をさげ歩くより、よほどましだと思ってしまう。それで、庶民の生活に少し入れるし、実用的な土産になる。もちろん自分への土産だ。人への土産は俺は買わない。絵はがきをたっぷり出すだけだ。
 
 見栄えの良いズボンは役立つ時がある。薄手で折り畳んで、バッグにつっこんでおけば、王立なんとか美術館とかには入りやすい。国によっては、国境での検問で、あまりの姿形では手間取ることもあるようだ。また場所によっては、帽子やサングラスが必要にもなる。これは当然現地で買うけど。

 でも、荷物が軽いのは、何よりだ。飛行機の乗り降りも楽だし、町中の移動も快適だ。重い荷物を担いだり、引きずったりして、ウロウロしている旅行者をよく見かけるが、僕はゴメンだネ。僕なんかは、連日数十qてくてく歩き倒すことが多いので、荷物は大敵なんだ。

 ただ、困ったことには、税関でよくトラブルのだ。まず「スーツケースを先にとってきなさい」と言われる。次に、「何をしに行った(来た)のですか」と聞かれる。「観光だ」と答えても、何かの運び屋と怪しまれることもしばしばだ。仕事柄、書物の土産がままあるが、パラパラページをめくって点検されたりする。麻薬か何かの運び屋と疑われているようだ。

 それと、ここだけの話だが、機内食のスプーン・ナイフ・フォークをよく持ち帰ったものだ。キャセイ航空のワイングラスセットなんかは特に気に入っていた。もう人にあげたけど。空港の防犯ゲートをくぐるとき、ブザーが鳴って身体検査をされる時に、ズボンのポケットにそんなものが入っていたら格好悪い。案の定香港で念入りな身体検査を受けてうんざりしたが、ナイフ・スプーンはバッグの中で助かった。

 一度、韓国の独立記念館で大量の書物を買い、地下の露店で買ったサブバッグに詰め込んで帰ってきたことがあったが、このときも関空で、分厚い書物を一つ一つ点検された。拳銃でも埋め込んでいると思ったのだろうか。俺が疑われるのは、荷物が少ないだけではないのかな?

(2001-2-8執筆)

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