下記の活用法は海外の情報に基いたメーカー保証外の改変です。
Airspy Mini 本体やパソコン・接続機器に致命的なトラブルが発生する可能性も考えられますので、必ず自己責任での導入をお願いします。
10 MSPS Sampling
Airspy Mini は通常、SDRSharpとの組み合わせで最大4.8MHzの帯域受信が可能です。
しかしAirspyシリーズの廉価版とはいえ、ハードなFM DXには少々物足りませんよね。
早速、上位機種のAirspy R2と同じく8MHz帯域にグレードアップさせましょう。
今回はRevision1906を使って説明します。
Airspy Mini を接続したデフォルト画面でのスペクトラム帯域幅は4.8MHzです。
1. SDRSharpを閉じた状態でSDRSharpフォルダを開く。
2. フォルダ内のSDRSharp.Configをメモ帳等で開く。
3. 46行目 "add key="airspy.sampleRate" value="6000000" /" の値を "10000000" に変更。
4. 52行目 "add key="airspy.usePacking" value="False" /" の "False" を "True" に変更。
5. 55行目 "add key="airspy.debug" value="0" /" の値を "1" に変更して上書き保存。
6. SDRSharpを起動してから "Enable HDR" のチェックを外す。
これで "Display" の表示が8MHzに変わり、スペクトラムは8MHzの帯域幅で表示されるようになりました。
環境によっては2本の不明なキャリアが立つ場合もありますが、何度か "Sample rate" や "Decimation" の値を切り替えると緩和されるようです。
Supplement
管理人は下記の改変も施しています。基本的にはAirspy R2 でも有効です。
7. SDRSharpを閉じた状態でSDRSharpフォルダを開く。
8. フォルダ内のSDRSharp.Configをメモ帳等で開く。
9. 53行目 "add key="airspy.aliasFreeRatio" value="0.8" /" の値を "1.0" に変更して上書き保存。( "0.9"
だと9MHz表示)
これで "Display" の表示は10MHzに変わり、スペクトラムも10MHzの帯域幅で表示されますが、左端0.7MHz分のノイズフロアが極端に落ちています。
これを補正するには
10. "Address Value" の "IF Filter" 左側の値を"55" から "62" に変更。
これで画面表示そのままに "Baseband Recorder" で帯域録音できるようになりました。
音飛びする場合は "Use Packing" のチェックを外しましょう。
Baseband Recorder
SDRSharpはデフォルトで "Recording"
というプラグインが導入されており、任意の帯域幅での録音が可能です。
ただしIQファイルの上限サイズが2.048GBに固定されている為、上記の8MHz帯域受信では8ビットPCMで1分47秒しか録音できません。
4.8MHzに帯域幅を狭めても2分59秒では、とてもFM DXでは使えない録音時間です。
ここはファイルの録音容量を増やすプラグインを導入しましょう。
SDRSharpの最新バージョンでは、デフォルトで "Main Menu" 内に "Baseband:Simple Recorder" が組み込まれています。
■ Baseband Recorder (https://www.rtl-sdr.ru/page/obnovlen-basebandrecorder)
1. ダウンロードしたbasebandrecorder.zipを任意の場所へ解凍。
2. 解凍したフォルダ内の "SDRSharp.BasebandRecorder.dll" "SDRSharp.LICENSE.MIT"
"SDRSharp.PluginsCom.dll" をSDRSharpフォルダ内にペースト。
3. 解凍したフォルダ内の "MagicLine.txt" を開いて中身をコピー。
4. SDRSharpフォルダ内の "Plugins.xml" を開いて表示させたい任意の行にペースト。
5. "Plugins.xml" を上書き保存してからSDRSharpを起動。

6. メニュー内のConfigureボタンをクリック。
7. "File Format" のメニューで "WAV RF64" を選択。
8. "File length limit MB" のチェックを外す。
9. "Sample Format" で好みの録音レートを選択。
"16 Bit PCM IQ" は "8 Bit PCM IQ"
の2倍の録音容量が必要(1時間で約133.8GB)ですが、ノイズフロアすれすれの信号も、より忠実に再生できます。
10. "Folder select" で録音ファイルの保存先を指定。
指定したディレクトリ下にIQフォルダが自動で生成され、録音日毎(JST)に保存されます。
これでIQファイルの上限が解除されて録音時間が無制限になりました。
当初、外付けHDDへ録音する際にノイズや音飛びが発生しましたが、USB3.0で接続する事によって改善されています。
Scheduler
"Baseband Recorder" のスケジューラーは、下記の方法で設定が簡素化できます。
11. SDRSharpを閉じた状態でSDRSharpフォルダを開く。。
12. フォルダ内のSDRSharp.Configをメモ帳等で開く。
13. 133行目 "add key="plugin.baseband.recorder.schedule" value="" /" の値で録音する開始時間と終了時間を指定。
■ 8:00から9:00まで録音する場合
"add key="plugin.baseband.recorder.schedule" value="8:00|9:00|"
/"
赤字が開始と終了の1セットになります。「バーティカルバー(|)」は必須です。
■ 続けて9:00から10:00まで録音する場合
"add key="plugin.baseband.recorder.schedule" value="8:00|9:00|9:00|10:00|" /"
※ 多数のスケジュールをペーストする際は、適度に改行しなければエラーになるようです。
■ 23:30から翌日00:30まで録音する場合
"add key="plugin.baseband.recorder.schedule" value="2023/02/01
23:30|2023/02/02 00:30|" /"
14. 必要なスケジュールを登録したら、SDRSharp.Configを上書きしてSDRSharpを起動。

実行されたスケジュールは消えてしまいますので、自分が使用するスケジュールはメモ帳等に保存しておきましょう。以降は手入力する事なく、コピー&ペーストで簡単に登録できます。
※ スケジュールの実行中はStopボタンのクリックだけでは録音が止まりません。まず先に実行中のスケジュールを削除してからStopボタンで停止します。
File Player
"Baseband Recorder" で帯域録音したファイルの再生には "File Player" が必要です。
■ File Player (https://www.rtl-sdr.ru/page/obnovlen-file-player-3)
SDRSharpの最新バージョンでは、デフォルトで "Source:AIRSPY" のプルダウンメニュー内に "Baseband File Player" が組み込まれています。
1. ダウンロードしたwavplayer.zipを任意の場所へ解凍。
2. 解凍したフォルダ内の "SDRSharp.LICENSE.MIT" と "SDRSharp.WAVPlayer.dll" をSDRSharpフォルダ内に上書きペースト。
3. 解凍したフォルダ内の "MagicLine.txt" を開いて1行目をコピー。
4. SDRSharpフォルダ内の "FrontEnds.xml" を開いて任意の行にペースト。
5. "FrontEnds.xml" を上書き保存してからSDRSharpを起動。
6. "Source:AIRSPY R2/Mini" のプルダウンメニューで "Baseband File Player" を選択。
7. ボリューム左の歯車マークをクリックして再生したいファイルを選択して開く。
これでファイルがロードされ、時間内のウォーターフォールが左側に一覧表示されます。

■ 設定メニュー
Loop:ループ再生します
Show real time:録音した時刻を表示します
Enable frequency control:クリックした場所から再生できます
Hide frequency cursors:カーソルの周波数を非表示にします
FFT resolution:ウォーターフォールの解像度を変更します
Contrast:ウォーターフォールのコントラストを微調整します
※ 右側スペクトラムとの表示比率はドラッグで調整が可能です。ウォーターフォールを広げると電波の浮き沈みする様子が一望できます。