自然堂治療室・相談室のPROFILE治療者と各種治療法の紹介

オステオパシー

アメリカの外科医アンドリュー・テイラー・スティルが、3人の娘を相次いで髄膜炎で亡くし、医者として何もできなかった失意のうちから、猛烈な研究を重ねた末に、1874年に考案するに至ったものです。少し粗っぽく言えば、カイロプラクティックとともに、アメリカ版の整体といえるでしょう。日本ではまだまだカイロに比べて名が知られていませんが、もともとカイロより古く(カイロは1895年に誕生)、カイロの方がオステオパシーを手本にしたとの説もあるくらいで、オステオパシー医(D.O.)はアメリカでは医師と同等の地位や資格(手術・投薬・注射など)をもっています。

初期には、カイロの(手本になった)ように、むしろ脊椎骨を直接ボキボキと矯正するスタイルに近かったのですが、それでは周囲の筋肉が緩んでいないとすぐにぶりかえしてしまうことから、むしろ筋肉など軟部組織にアプローチするテクニックが次第に比重を増してきて、ソフトで安全な治療法となってきました。実に多くのテクニックが蓄積されてきていますが、なかでも「カウンターストレイン」テクニックや「マッスルエネルギーテクニック」は、操体法とも類似点が多く、(次の「クレニオ・セイクラルセラピー」とともに)自然堂では多用されています。

「カウンターストレイン」は、歪みをもっと誇張した姿勢(それはいちばん気持ちのいい姿勢でもある)を90秒間保持させ、その後ゆっくり戻してくるという、これまた超シンプル技法ですが、驚くべき効果があります。歪みはいつも、それなりに必要があって生じているので、それが必要以上に誇張されると、筋紡錘という筋肉の自己モニターシステムが作動して、歪みを支えていた緊張をひとりでに緩めだすのです。これは心理療法でのブリーフセラピーMRI)の「パラドックス法」や、ハコミセラピーの「テイク・オーバー法」をも髣髴させます。

ただ残念なことに、これらのオステオパシーテクニックは、操体法のように全身の連動性をみないので、どうしても操体法を補足する局所療法という位置づけにとどまりやすいのです。他方、操体法のように自力操法ではないので、身体に障害があるなどで操体法の使えない方には、なくてはならない治療法となっています。

 

<もっと知りたい人のブックガイド>

ロレンス・ジョーンズほか 『Dr.ジョーンズのストレインカウンターストレイン』スカイイースト、1996年。

ハーバード・エイツ、ジョン・グローバー 『カウンターストレイン:オステオパシー技法の手引』たにぐち書店、2000年。

 

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