自然堂治療室・相談室のPROFILE治療者と各種治療法の紹介

ブリーフセラピー

 

「ブリーフセラピー」とは直訳すれば短期療法。たしかにこのセラピーでは、平均7回以下の面接で72%のクライエントが治療目標を達成するか、顕著な改善を示すという追跡調査の結果が報告されています。でもそれは、それだけの必然性があって、単にインスタント・セラピー(?)やクイック・セラピー(?)をやっているのではありません。

ブリーフセラピーは、医学催眠を確立した今世紀の天才セラピスト、ミルトン・エリクソンの心理療法を出発点として、1950年代後半以降今日まで、急速に発展してきました。エリクソンは、クライエントのどんな部分をも「リソース」として利用し、その「今・ここ」にチューニングし、クライエントが自分の欲求にあわせて自分で満足できる生活をつくれるような、「小さな変化」をおこすことをめざします。変化はなるべく小さい方がよく、そうするとあとは雪だるま式にどんどん大きな変化になってゆくのです。 

この小さな変化をどこにおこすかで、ブリーフセラピーにもいくつかの流派が生まれました。問題とは、いつもそれを解決しようとする行動によってかえって悪循環に陥っている状況のことですが、そこでたとえばMRIという流派は、この悪循環自体に小さな変化を加えてもっと奨励することで(「パラドックス技法」や「症状処方」など)、悪循環を打破しようとしました。「ソリューション・フォーカスド・アプローチ:SFA」というもっと新しい流派は、問題状況のなかにもすでに生じている「よい例外」を探し、それを拡大して、いわば良循環を構築しようとします。でも、いずれにしろ重要なのは、クライエントの「今・ここ」にピッタリと合わせること、そのパターンに乗っかることなんで、それさえしていれば必要な変化はひとりでにおこるのです。ここでもまた、「今・ここ」の共有で、おのずから治るのです。

 自然堂では、ブリーフセラピーとゲシュタルトセラピーは、自然心理療法を駆動する両輪をなしています。この2つは、一見すると全く反対の方向を向いているのですが、実は「今・ここ」ヘの繊細な注意力において意外に共通していて、ゲシュタルトセラピーはすぐれたブリーフセラピーだし、ブリーフセラピーはすぐれたゲシュタルトセラピーだといえると思います。

 

<もっと知りたい人のブックガイド>

ウィリアム・ハドソン・オハンロン 『ミルトン・エリクソン入門』 金剛出版、1995年。

宮田敬一編 『ブリーフセラピー入門』 金剛出版、1994年。

スティーヴ・ド・シェーザー 『短期療法 解決の鍵』 誠信書房、1994年。

P・ディヤング、IK・バーグ 『解決のための面接技法』 金剛出版、1998年。

東 豊 『セラピスト入門』 日本評論社、1993年。 ほか多数。  

 

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