その2
2006年11月18(土)〜21日(火)


■動機

 台湾は返品制度がない。なので昔のプラモデルがそのまま残っていた。台北市でこの状態なのだから、田舎へ行けばもっとすごいことに!

 前回帰国後から次回行くなら古都「台南」へ、という想いはますます強くなり、休みを何とか捻出、旅行できることとなった。今回も台湾通Y瀬さんと一緒である。Y瀬さんとミーティングの結果、台北で1泊し、次の日飛行機で台南へ。それから鉄道で台中経由、台北に帰ってこようということになった。

 Y瀬さんは1度国内線飛行機で台南へ行っている。台湾の国内線飛行機は料金が日本より安く、1時間に1本程度、つまり僕が良く利用していたJR北陸本線レベルで飛んでいるらしい。Y瀬さんはそれはもう容易にいけるとか。ただし台南から鉄道を利用したことはないそうで、帰りは多少不安が残る。僕は鉄道の切符くらい飛行機に比べればどうってないことと思った。「世界の車窓から」ではないが、鉄道の旅が入ることで楽しみが増した感じである。

■準備

 計画が現実となり、台南、台中の情報を集めだしたはいいものの、適当なガイドブックがない。台中はともかく台南は4ページとか、悲しいくらいの情報量である。旅行者にお勧めできない場所なのかもしれない。Google Earth(http://earth.google.co.jp/)で上空から眺めていたりもしたが、解像度が今ひとつでピンと来ず。

 模型店については調べがついていた。住所、電話番号も判っている。情報が古い可能性もあると見て、僕はある台湾人に目をつけた。それが「台湾的オタクるるぶ」で有名な「饅頭」君である。趣味のベクトルが若干違う(彼は「電脳・漫画方面」なのだ。)が日本語が堪能で記事中、模型店にも言及していることから、最新情報についてコンタクトを取ってみた。彼は台北市出身、在住であるが、大学は台中市。台中市については非常に確度の高い情報が得られた。しかし台南市は行ったことのない地域らしく、現在の情報はネットでも判らないということである。これらについては存在確認をホテルのフロントにお願いして出発すれば、問題はないであろう。

 国内移動費がどのくらいかかるか見当がつかない。さらにお宝がたくさん見つかったら?ということで現金15万円を用意。ほかに大学時代からの先輩T谷さんから餞別2,000円。無難なお土産よりは台湾ならではのもの、ということで実用性も考え、PC周辺機器にすることにした。台湾のPC製品は一流である。

ペ「抱腹絶倒なマウスを。使えないの(笑)」
T「それだけは止めて(笑)」

 不安要素が増えた。中華航空の機材調達の関係で、出発が前回より5時間遅く、17:45発、台北着現地時間20:05だというのである。ホテルにチェックインしたら21時!どこへ出かけられるというのだろう。なにより初日に台南・台中の模型店存在確認ができないではないか。次の日台南へ向かっても空振りに終わる可能性が。うーむ。

 5時間減っても旅行代金変わらず。前回同様、僕とY瀬さんはツアーの飛行機だけ利用させてもらう格好である。仕方ない、到着時間はどうにもならないので、21時からいけそうな未踏模型店とお土産探しを兼ねた光華商場、夜市で初日を過ごそう、と思う。

 中国語(北京語)はまったく前回と変わらないレベル。勉強は特にしなかった。

 プリントアウトした模型店リスト、台湾ナビの本格中華店情報、筆談に備えた大量のメモにボールペン。地元の8月下旬くらいの気温を想定して服をチョイス。パスポートに外貨用財布。薬ポーチにデジタルビデオ/カメラに予備のバッテリー。充電器はなし。換えのデジタルテープはたっぷり。このところ天気が悪かったが金曜日になって天候回復、傘を省略した。前回より軽量。

 天候回復はうれしい。何しろB737−800は小さな飛行機なので乱気流に弱いのだ。

2006年11月18日土曜日
 
 妙な時間に寝て、起きた。睡眠時間は3時間くらい。16時集合なので時間をもてあます。荷物最終確認と掲示板猫温泉に書き込み。こんなに遅い時間の飛行機に乗るのは初めてである。緊張感がまるでないのも初めて。

 天候は曇り。少し風が強い。親父に車で送ってもらう。車の中まで地元の冬装備である。16時丁度に空港到着。空港内へは夏装備の格好で入ったので寒い。国際線ターミナルのカウンターで添乗員のT本さんからマスターチケット、それに入国審査表をもらう。前回と違いSARSの書類はなかった。T本さんとY瀬さんは旧知の仲、Y瀬さんのチケットがまだ残っているので様子を聞くと一番乗りしたそうで、どこかを散歩中らしい。僕は前回を思い出し、2階の喫煙ルームを見てくることにした。

 喫煙ルームは空だった。下へ降りると丁度Y瀬さんがこちらへ向かってきた。挨拶。喫茶店に入っていたそうだ。チケットを受け取り、2階へ移動。出国審査前のベンチで、Y瀬さんから衝撃的な話が。

Y「ペルシャさん、昨日ね、陳さん家に電話したら、今日はダメだっつうんだ。明日ならオーケーだって言うから、悪いんだけど1人で台南へ行ってくんないかな?」
ペ「え───!?」

 陳さんは前回も登場したY瀬さんの台湾人友達である。何だ、それ。自慢じゃないが、僕は日本国内の飛行機チケットすら自分で買ったことないんだぞ。Y瀬さんが一緒だから安心していたのに、突然の別行動宣告。僕の頭には3つの選択肢が現れた。

1.初志貫徹して台南へ行き、台中経由で戻ってくる
2.Y瀬さんに同行して陳さんに会う
3.台北未踏部分独り歩き

 すごく不安だが、これを乗り切れば人間的に成長するはず。そう、韓国へ独りで行けるようになったように。調べ残したところは絶対後で後悔する。初志貫徹、1番を選択。

ペ「判りました。独りで行ってきます。朝早く出発して夜には台北に戻ってきますよ」

 が、

Y「冗談じゃない、1日で廻って帰ってこれないよ。台中あたりで泊まらなきゃ(笑)」

 ええっ!?距離的に十分可能だと思っていたのに。Y瀬さんも台南辺りは人口が少ない小さな町だから半日もあれば見て廻れると、ミーティングで話してたじゃないですか。騙されたような気分である。

ぺ「ううっ、飛行機、鉄道の切符に加えてホテルまでも。…できるのか」
Y「次の日、台中で会いましょう」

 携帯電話など連絡手段がない状態。僕が台中で泊まったホテルから台北のホテルへ電話して合流地点、時間を決めようということになる。

 こんなことならダイソーで旅行に使える中国語の本を買っておくのだった。今から親父に電話して、いや、ムリ。待て、T谷さんの家がここから1番近い。しかし搭乗時間まで後30分しかないのに買って帰ってこれるのか?うううっ。絶対ムリだ。あっ、添乗員のT本さんなら何か持っていないだろうか?

2006年11月18日、17:18:42T「中国語の漫画ならありますよ」

 力が抜けたがこの際何でもいい、機内で勉強だ。事情を言って貸してもらう。T本さんはすごいですね、と僕の計画に驚いていた。

 税関は難なく通過。免税店で旅行ガイドや語学の本を探すが、まったくない。地元空港の貧弱さが際立つ。Y瀬さんは陳さんのお土産に酒、タバコを購入。僕は中華の食後対策にレモンライム味のガムを購入。それを見てY瀬さんもガムを購入。

 搭乗開始。通路から見える飛行機は僕の予定同様、真っ暗でよく見えない。

■猛勉強

 僕とY瀬さんは隣同士の1番前の席。予定時間通り離陸。夜の滑走路は思いのほか綺麗だった。しばらくすると機内食が配膳される。


2006年11月18日、17:56:06
やはり、地元の仕出し弁当。
左にあるのが模型店リストと
T本さんから借りた中国語の漫画。

2006年11月18日、17:56:50
味は普通。


気流が悪く、思ったとおり揺れる。
震度換算でほぼ2〜4。安定飛行が継続しない。
これで3時間か。

腕時計を現地時間に合わせる。
台湾は日本より1時間遅い。
なので今日は1日25時間だ。

飛行機マニアのY瀬さんから台南行きの
飛行機会社の情報を聞く。
2社あり、どちらに乗っても良いとのこと。

この飛行機、台湾に向かうとはいえ、
エアコンの温度設定が低すぎでなかろうか。
涼しいというより寒い。
ひざ掛けを胸元まで引き上げる。


中国語の漫画を開いて脱力。
2006年11月18日、19:28:06
「ゲンジ君は北京原人の直系の子孫なんだ」
「わたし中国・広島生まれゲンジー北京どうぞよろしく」
大丈夫なのか…。

それでも一応使えるフレーズが6つばかりあり、メモを取る。
完全に語学初心者向けの本で、
旅行で実践できそうにない。

揺れ続ける機内で細かい文字を読んでいると気持ち悪くなってきた。
機内食食べたせいかな?
無理やり栄養に変えるため、胃腸薬を飲む。

2度ほど本を読み返し、T本さんに返却した。


多少でも寝て体力温存を図りたい。
ヘッドホンでクラシック音楽を聴くが不安が先立ち、眠れず。

現地時間20:05、
時間ぴったりに着陸。

2006年11月18日、21:05:02
中華航空C.A.。
1番前の僕の席からの光景。

■誰もいません

2006年11月18日、21:06:36

 機体に接続した通路からターミナルへ。ビデオカメラで撮影開始。早歩きで税関へ向かう。これは一体どこまで歩けばいいんだ。拡張された空港はかなり広くなった。誰もいない。(笑)いや、ひょっとしてちょうど他の便の乗客が税関にあふれてたりして。

Y「そうなったら1時間経ってもでられないよ(笑)」

 それは困る。本当に行くところが夜市のみになってしまう。


ペ「今のSARSの温度感知センサでしたね」


C方向へ。


ペ「あっ入境・ARRIVALと書いてありますね。…あーっ、いやに綺麗になりましたね」

税関なので撮影を中断。パスポートを用意。
2〜3人しか並んでいなかったので、すぐに通過できた。
珍しい。

 台湾銀行窓口発見、両替する。迷ったが、機会を失うと大変だと思い、15万円全部を換えた。手数料込み40,375元(ニュー台湾ドル)が返ってきたので、1元=約3.715円。1元=3.8円と考えれば価値を過小評価せず安全。前回よりレートが悪い。これもここ最近の円安のせいである。新しいお札に変わっていたので戸惑う。再両替するのに必要なので、明細は保存。


 出口を出て右側へ。
ペ「ただいま20時14分(日本時間21時14分)です。EXPRESS BUSは右ですね」
エヴァエアーの空港バスを利用。切符の料金変わらず135元(約513円)。

 外へ。天気は曇りか?予想したほどではないが、蒸し暑い。

Y「早く出れて良かったよ」
ペ「異様に人がいませんでしたからね」

 バスが到着。今回は荷物をカーゴスペースに預けた。運転手が僕たちの荷物に確認用のシールを貼る。バスの中は人でいっぱいで、止む無く1番後ろの席へ。第1ターミナルの乗客だろうか?Y瀬さん、愚痴る。

 ここで僕の持ってきた電卓が使えないことに気づいた。電池が切れていたのだ。前日まで使えていたのに。仕方ない。使いにくいが、携帯電話の計算機機能を使おう。目覚ましにも使おうと思っていたので、バッテリーが心配になる。

 夜なので車窓からの眺めは退屈なものである。Y瀬さんから民権路の道路工事がまだ終わってないことを聞く。2年間何やってたんだ。お前は41号線か!岐阜へ向かう国道41号線は僕が物心ついてからというもの、常に工事していて、うんざりしている。


ペ「到着ーっ。すっかり夜だ。しかも小雨降ってるぞ(苦笑)」

 バスを降りた場所は前回とほぼ一緒だが、ややホテルから離れている。あ〜あ、と雨にため息。

 暑い。ジーンズと太ももが汗でにちゃりと気持ち悪く、早くシャワーを浴びたくなった。周りを見るとみな長袖を着ている。前回ほどでないとはいえ、台湾人にとってこの気温は寒く感じるのだろうか?

 なつかしのサンルートホテルに到着。僕の部屋は402、Y瀬さんは602号室。そして僕だけ1泊である。台南へ行っている間の荷物はY瀬さんの部屋に預かってもらうこととする。部屋のキーをもらうなり、模型店4件の営業時間を聞いてもらう。そのうち1件は前回時間の都合で行けなかったので1番楽しみにしていたところなのだが、現在は店を完全にインターネットショップに変えてしまったので見れないことが判った。もう1件は21時までなのでもう閉店している。残り2件はまだ大丈夫そうなので、部屋に荷物を置いてすぐ出発することにした。

■好感触

 時間がない。MRTと徒歩でゆっくり探している場合ではないのだ。タクシーを使用、1件目は西門町方面である。このタクシーはナビがついてないようで、携帯電話で場所を確認していた。ツアーの団体の人は今頃免税店ツアーしてたりして。

Y「さすがに遅いからそれはないんじゃないかな」
ペ「ホテルでごゆっくりでお休み状態かもしれない」
Y「で、朝1番くらいに…」

ペ「免税店(笑)」

 今回のチャーター便で僕ら以外に飛行機だけ利用の人が4人いた、などという会話。リピーターなのか仕事なのか、いやにビジネスの格好をしていたなぁ。Y瀬さんはもうそろそろ着く、などと景色を解説してくれているが僕はどこを走っているのかぜんぜん判らない。人通りの少ない道へ。到着。料金は135元(約513円)だった。

台湾台北の模型店へ。
まずは外見の撮影。

 さほど大きくない店であるが本格の模型店である。店名はなんて読むか判らなかったが、「玩具」とあるのにプラモデル中心で玩具は置いてない。僕は古いものがなかったのが残念。それでも欲しかった物の内1つがあったので、多少救われた感じ。ちょっと長居してしまった。急いで次の模型店へ。模型が入ったビニール袋を手にタクシーを捕まえる。今度は夜市で有名な士林方面だ。このタクシーにもナビはついていない。前回の旅行で乗ったタクシーにはすべてナビかついていたように思えるが、たまたまだったのかな?


 タクシー内でさっきの模型店について感想を話していると、ものすごく雨が降ってきた。せっかく止んでいたのに。まずい。時間も心配だ。閉店は23時(日本時間24時)、正味30分あるから見ることはできるだろうが、ぎりぎりかも。

■アクシデント

 なんかすごい状態だ、大丈夫か?この運転手は。道に迷ってしまったのかぐるぐるとUターンを繰り返す。更に細い道(2車線くらいの道幅の両脇に駐車車両が連なっている)に入ると、対向車がやってきた。


すり抜けできるかぎりぎりの間隔。運転手が隙間を作ろうとバック。

その瞬間、ドンッ!と衝撃が!!


ペ「うぉっ!…後ろのバイクとぶつかった」

 対向車が通り抜けた後、運転手は後ろのバイクに声をかけて出発した。おいおい、あんなんでいいのかよ。当て逃げじゃないのか?(怖)事故に遭うとは思わなかった。


当てられたライダーは何事もなく僕たちのタクシーを追い抜いていった。
日本なら確実に警察沙汰だ。

 残り20分。

Y「お客さん少ないから今日は止めたーっていって閉まってたりして」

 タクシーは暗く人通りのない道を進む。まだ迷っているのか。携帯電話で聞いてみるっていうことはしないのだろうか。僕が渡した紙には電話番号も書いてあるのに。

ペ「絶対この人判ってない」

 ピー。料金メーターの音。どんどん上がる。近所の人にでも聞けばいいのに、と思っていると停車。運転手が降りる。ちょうど聞く決心がついたようだ。牛肉麺のおっちゃんに聞きに行っている。それを車内から撮影しつつ、勝手にアフレコ。


お「もっと向こうじゃねーか?」
運「いや、左だって。左から回り込んでいくといけるよ。…だ・か・ら、左だって」
お「そっち行くだろう?そしたら突き当たって見えるんだよ」


Y「こっちの人達はね、知らなくても言っちゃうから(聞いても)ダメなんだって」


お「俺よく知んねぇけど、あっちじゃねーか?」
運「だーかーらぁ、こっち行ったら180(番地)だろう?」


 Y瀬さん、僕のアフレコに噴出す。


運「いやいやいや、俺向こうから来たから。なかったって」
お「ホントにおめぇ、行ってんのか?」


 ピー。また料金が加算。もう時間も時間。アウトっぽい展開に。着いたところで閉店である。今22時47分(日本時間23時47分)だ。ああ、ダメだ。運転手が変な顔をして帰ってきた。

運「オイ、マジかよ。あんなところになかったで。えらい客乗せてもーたなー」と、アフレコ継続。

 ギブアップか?判った、料金はディスカウントしてもらおう。これは運転手の過失である。いくら台湾人でも負けるであろう。勢いよく再出発するタクシー。今度は大丈夫だろうね。

 ポルシェボクスター。Y瀬さんは、こんな何気ないところに高級車を野ざらしで展示しているところが台湾らしい、と解説。看板をよく見ると三菱モータースと書いてある。代理店なのかな?

 夜市のにぎやかな通りで停車。どうやら模型店はこの人でいっぱいな通り内らしい。タクシーは入れないのでここで下車。料金は200元(約760円)を超えていた。運転手はディスカウントに応じてくれたが、急いでいたので僕は間違って1,000元札を2枚渡してしまう。失敗した、と思った直後、意外にも運転手は間違いを指摘して、お釣りをちゃんとくれたのである。良心的な運転手で助かった。

■小腹が空く

 小雨振る中、番地のプレートを見ながら進む。台湾の住所は判りやすくて便利である。発見!わーっ、ちょうど店の人がドアに鍵をかけているところだ。

台湾台北の模型店へ。

 次は光華商場だ。タクシーを捕まえるため、大通りを目指し夜市を進む。この通りは夜市にもかかわらず素朴な感じで好きな雰囲気である。小雨が降ってても結構お客さんがいるのだなぁ、と感心。


麻辣の文字が多い。辛い食べ物らしい。

Y「あっ、廟のところだ」

 Y瀬さんが現在地を把握。何しろ地図なしである。Y瀬さんだけが頼り。そのまま士林夜市の「始まりの地点(劍潭駅側)」へ歩く。途中、屋台の肉まんに目が留まった。大きさの割りに1つ10元(約38円)と安く、美味しそう。購入決定。ただ、実際の味が想像つかなかったので、1個だけにする。Y瀬さんは興味なさそう。

 財布の硬貨から「10」の文字を探し出し、おばちゃんに手渡して出来立ての肉まんをもらう。が、すぐに注意される。あれ?10元じゃなかったのか、と思っていると何と、10W(ウォン)硬貨だった。(笑)春の韓国旅行の残りが財布に混ざっていたのだった。改めて台湾元を渡し、歩き出す。

 大通りでタクシーを捕まえ、ホテルに行くように頼んだ。ホテルにいったん荷物を置き、それから光華商場に向かうつもり。間に合うのか微妙なところ。頼むから開いていてくれ。

 車内で肉まんのティスティング。熱いっ。Y瀬さんは熱いのが判っていたから買わなかったそうだ。

Y「火傷しそうなくらい熱いから」

 確かに外側の皮はともかく中の肉塊は舌で触れない。しかし少しずつ食べ始めると美味いっ。さらに肉汁がどっと。これは当たりだ。今度行ったら絶対に買わないといけないな。

 到着。帰りは135元(約513円)だった。ホテルに荷物を置き、間髪いれずタクシーで再度出発。雨はほぼ止んでいる。


 実は、「光華商場」が大変ややこしいことになっている。光華商場を内蔵していた高架道路は取り払われ、北側に移転したのである。いずれは新築の建物で再建されるらしいが、現在は仮設状態。しかし、その隣の「新光華商場」はまったく影響を受けず、そのまま残っているのだ。

 僕は前回の経験から、アニメDVDを買うなら新光華商場か音楽広場で事足りると思っていた。なので、運転手には「新光華商場へ行って下さい(北京語)」の紙を渡した。

■スコール

もうすぐ23時30分(日本時間24時30分)になる。


突然土砂降り。ワイパーが追いつかない。
何だ、こりゃ。

 傘を持ってこなかったのは失敗だった。台南でこの雨に遭ったら大変だ。Y瀬さんに台南の気候を聞く。大丈夫らしい。でも飛行機が欠航するかも。実は台南に独り、という状況がまだ不安に思っている。天候でムリなら行かずにすむのじゃないか?僕の弱い心が首をもたげてくる。

 Y瀬さんが雨は長く続かない、という。スコールみたいなもので、たぶん時間がずれても飛行機は飛ぶのじゃないかと。

 到着。運転手は「新光華商場」ではなく、「新しく移転した光華商場」を目指していたことが判明。間違っているが、さほど距離が離れていないので、アーケードのある歩道に寄せて下ろしてもらった。


雨は降り続いている。
確実にビデオカメラが死んでしまうので、撮影をあきらめ、リュックにしまう。

無謀だった。

僕達以外に歩行者をほとんど見かけない。
明らかに街の営業時間が終わっている雰囲気。

それでも、と道路を横断し、対角側のアーケードへ。
Y瀬さんは、「ホントに行くの?」という感じですごく嫌そう。
ちょっと道路を横断するだけで濡れ鼠である。

景色が豹変して方向感覚がおかしくなっていたため、通りかかった人に道を確認。
方向はあっていた。程なくして新光華商場前。

2006年11月19日、0:45:40
雨に濡れそぼる道路。

2006年11月19日、0:45:50

2006年11月19日、0:46:12
入り口ドアは閉鎖されていた。
雨のせいで気温も下がる。
肌寒い。


では、どうせ濡れてしまったのだからと
「新しく移転した光華商場」を一目見てから帰ろうということになる。

位置があいまいだったので、「雨具/ヘルメット屋さん」の
軒先に座っていた人(店員?)に聞く。
この人はいじっていた携帯電話に夢中だったのか、
僕が声をかけると椅子から落ちそうなくらい驚いていた。(笑)

映り込みはすべて水溜り。(泣)2006年11月19日、0:51:46
この道路を渡った先らしい。
多少雨の勢いが落ち着く。
水はけが悪く、大きな水溜りができている。シューズに浸水。
立派に見える道路だが、排水溝が機能していないようだ。

2006年11月19日、0:53:46
対面の道路に明々と明かりが灯るプレハブが。
Y「あれ、光華商場って書いてあるじゃない」
ペ「あれだけ明るいっていうのは、まだやってるんじゃないですかね」
期待に胸躍らせ、道路横断。

2006年11月19日、0:55:46
が、シャッターが下りていた。

 奥のプレハブとプレハブをつなぐ連絡路から明かりが漏れている。覗いてみると、掃除作業中だった。もちろん内部はシーンと静まり返り、個々のテナントはシャッターが下りていた。Y瀬さんと営業時間案内を探すが、そんなものはどこにも見当たらず。あまりの外れっぷりに思わず毒づく。

ペ「営業してないなら、(外の)電気つけとくなよっ!もったいないだろ!!」
Y「こっちの人は電気使うの、なんとも思ってない節があるのよ(笑)」

 僕は情報よりも実際には夜遅くまで光華商場が営業していたので、夜市並みとは行かなくとも、それなりに遅くまで営業していると思い込んでいたのだ。どう考えても僕の采配ミスである。「まず確実なところへ行って安心せよ」という鉄則を時間の配分ミスにより、自ら破ってしまったのだ。こんな雨の中つき合わせて、Y瀬さんに大変迷惑をかけてしまった。今思えば、こんなことなら、確実な「萬品館」へ行ったほうが良かったのではないか。といっても失敗はしてみるまで判らないからなぁ。

 Y瀬さんはこの後、僕が行った事のない第3の夜市を案内してくれる予定だった。雨の勢いが衰えたとはいえ、傘なしで夜市はきつい。せっかく台湾に来たのに、残念だがあきらめよう。この気温では、あの美味しかったカキ氷も楽しめまい。


そんなこんなでタクシーを捕まえ、止むを得ず
ホテルに帰ってきた。時間は24時4分(日本時間1時4分)。
遅い夕ご飯を食べるため、ホテル裏の屋台へ向かう。


あの雨で屋台は大丈夫なのか。
またひどくなってきたような気がする。
屋台が全滅していたら、この間の24時間営業おかゆ屋さんへ入ろう。
僕はホテルから100mほどの距離にあるモスバーガーでもいい。
日本のと味の違いを調べてみたい。
Y瀬さんにモスバーガーの美味さを力説。

■屋台で発見


屋台は営業していた。
前に来たときより賑わっている気がする。
雨対策なのか、建物の間にビニールシートが渡してあった。


歩道で中華鍋を洗う。(笑)

くしゃみ。
うわ〜、風邪ひいたかな?
風邪薬持ってきたからいいけれど。
飛行機内の涼しさにギャーって言っていて、しかも雨に降られて。
風邪をひかないほうがおかしい。


さて、どれにしようかな。
前回と違うものを食べたい。


少し考えてヘルシーな「鳥飯」に決定。


お弁当屋さんなのだろうか?
器がお弁当ぽいんですけど。ビッグマックの容器というか…。
Y瀬さんはテイクアウトか、なんていってる。


ご飯→具→タレ2種類、という構成で焼き飯の感じではない。
僕の想像では、看板の字の通りのチキンライス的なものだったのだが。

そしてビニール袋へ。雨降っているからなのか持ち帰り、という状態になった。
Y瀬さんは北京語で注文するが、発音が違い、判ってもらえず。
北京語の声調は難しい。指差しでご飯と麺、2つ注文。


隣の屋台を観察。メニューが把握できない。

Y瀬さんが、回ってんの?とビデオ撮影について聞いてきた。
もちろん撮っているのが判らないように撮影してる。(笑)
そのほうが自然な姿を捉えられるのだ。

鶏肉はささみみたいである。テーブルへ移動。


Y瀬さんの麺はすごい食い方になる様子。
まるで金魚すくいの入れ物だ。

2006年11月19日、1:18:48
僕の鶏肉飯。30元(約114円)。
しょうゆ風味の薄味。
特に美味しくもないが不味くもない。
日本人には食べやすいかも。



多少物足りなかったので、僕も麺を追加注文。
あえて別のお店へ。

注文しに行って驚いた。
カウンターに座っている女の子が漫画を描いていたのだ。

すごく上手に描いていた。
少女漫画風。漫画家志望なのか趣味で描いているのか。
キャラクターシートみたいに書き込んでいる。
同人誌でも作っているのかな?

炒米粉をもらい、席へ戻って観察していたら、
どうやら店の親父さんの娘らしい。
土曜日ということで手伝わされているのか?興味は尽きない。(笑)

しかし雨のせいでコミュニケーションとれず。

2006年11月19日、1:30:22
米粉は春雨系だ。
上にそぼろ風餡がかかる。
これも特に美味しくもないが不味くもない。
でもあんまり好きな味じゃないかな。
ほぼ腹は満たされた。



程なくして土砂降り。ドドーッという音。
漢字看板、屋台に雨で「ブレードランナー」みたいである。
ひどい雨。めちゃめちゃだ。


30分位してやや雨が納まったころを見計らい、コンビニ経由でホテルへ。

 コンビニで僕は思わず笑ってしまった。冷蔵室のペットボトル「お茶」が「無糖」「脂を溶かす」ものに席巻されていたのである。やっと気づいたか!(爆)

 僕はその2倍脂を溶かすというお茶とパンとチョコレート菓子を購入。チョコレート菓子は非常食として買ってみた。Y瀬さんはお茶を含め、カップメンとかいろいろ買っていた。明日の朝食を外で食べないつもりであろうか?

 部屋に帰って、Y瀬さんの部屋に荷物を移動。持参した韓国の巨大ビニール袋に不用品を詰め込んだ。日本円が入った財布も置いていく。見た目ゴミ袋。(笑)台南・台中に持って行くのは大きなバッグにリュック、換えの下着と靴下。模型店リストにメモ帳。パスポートも携帯。パスポートは、チケットを買うときに必要かもしれない。後はデジタルビデオ/スチルカメラの考える限りの軽装。ビデオカメラは迷った。重いし機動力が落ちる。しかし、何が起こったのか後で状況がつかみやすいので、持って行ったほうが得策と考えた。


部屋に戻り、シャワーを浴びる。
濡れたジーンズをテーブルに広げ、乾かしにかかる。
常温で乾くのだろうか?

部屋のエアコンは冷房のみで、暖房に入れても作動しない。
その冷房も23度以上に設定すると止まってしまう。
寒いが湿度を少しでも下げるため、冷房を入れて寝よう。

ふと、定時爆撃の時間であるが、気配がないことに気づく。
僕は1日2回の人なので気持ちが悪い。
便秘解消薬を飲む。

後から考えると早まったのである。
大変な目に遭うことになるのだ。

携帯にアラームをセットして布団に入る。
お腹が膨れていることもあり、すんなり眠りについた。


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