Aquarius

みずがめ座

2014年9月29日 21:51 南中をややすぎた、みずがめ座

大きな星座ですが明るい星は多くありません。比較的明るいので目立つα(アルファ)星とβ(ベータ)星でも3等級。他に見やすいのは、みずがめ座のトレードマークとも言うべき、η(イータ)星、ζ(ゼータ)星、γ(ガンマ)星、π(パイ)星が作るYの字型の星の並びです。この四つの星が作る並びは英語ではthe Water jar :水瓶と呼ばれることもあります。ただ、他の星が4等かそれより明るいのに対し、一番上にあるπ(パイ)星が4.8等と暗いために、明るい場所ではトレードマークが少し欠けた感じになって見えます。

ただ、これら、みずがめ座で比較的見やすい星々はペガサス座の頭のすぐ南にあります。それゆえ見つけやすいとも言えるでしょう。以上の画像でも、ペガサス座の頸部と頭部の曲がり目を作る星、ペガサス座 θ(シータ)星バハムがα(アルファ)星サドアルメリクのすぐ上に見えています。角度にすると7度ぐらい。大人なら伸ばした腕で見た時、こぶしぐらいの幅に該当します。

文字などが無い写真は以下

 

 画面下が南の水平線、上が天頂です

みずがめ座はかなり大きな星座です。例えば水瓶に見立てられた、η(イータ)、ζ(ゼータ)、γ(ガンマ)、π(パイ)、以上四星から南へ水の流れに見立てられた暗い星が続きます。これは南天低く輝く”みなみのうお座”のα(アルファ)星フォーマルハウトで終わります。

  

みずがめ座の南にある、みなみのうお座は秋の星座。そしてそのα(アルファ)星フォーマルハウトは南の低い高度で輝きます。しかし、光度は1.2等星。暗い星が多い秋の空では異例に明るい星です。それゆえ、都市部のかなり明るい空でも、南にぽつんと光っているのを見る事ができます。つまり、高く上がれば天頂付近に来るペガサス座と、南に低いフォーマルハウトの間にある、広い領域がみずがめ座だとも言えるでしょう。空の暗いところでは、小さな星が水瓶からフォーマルハウトまで、五月雨のように並ぶ様子を見て取ることができます。

なお、現代の星図上では、みずがめ座の領域はフォーマルハウトよりも上、みなみのうお座ε(イプシロン)星と、みずがめ座86番星との間付近で区切られています。一方、星を見立てる場合は、水瓶から流れる水をフォーマルハウトまで伸ばすことが多いようです。実際、古代メソポタミアにまでさかのぼれば、印章などに描かれた図像に巨人とそこからもたらされる水、そしてその下を泳ぐ魚というものがあります。それを考えると、みずがめ座とみなみのうお座をつなげて描くべきなのでしょう。

文字が無い画像は以下

  

みずがめ座は東西にも大きな星座です。水瓶にあたる四星、その西(画面で言うと右)にあるα(アルファ)星とその南にあるθ(シータ)星が水瓶を持つ人物の胴体に見立てられており、さらにその西にまで星が続きます。これは腕に該当するものですが、そのひとつ、ε(イプシロン)星アルバリは、やぎ座の上にあります。

  

 

Aquarius アクアリウス

みずがめ座:黄道上にある十二星座のひとつで、やぎ座に続く星座です。これに引き続くのはうお座 

ギリシャ神話では美少年ガニメデということになっているが、メソポタミアにまで由来をさかのぼると、水をもたらす偉大なる存在、あるいは神であったとされる(「星座神話の起源 古代メソポタミアの星座」)。やぎ座に引き続き、水の恵みを象徴する星座。

主な星は以下の通り。

Sadalmelik サドアルメリク α(アルファ)星 3.1等 アラビア語で”王の幸運”を意味するサアド・アル=マリク(sad al-malik)に由来。

Sadalsuud サドアルスウド β(ベータ)星 3.2等 アラビア語で”幸運のなかで最も幸運なもの”を意味するサアド・アル=スアウード(sad as-suud)に由来。Sadalsudという綴り方もある。

Sadachbia サドアクビア γ(ガンマ)星 3.9等 水瓶を作る四星のひとつ。呼び名はテントの幸運を示すアラビア語、サアド・アル=アクビーヤ(sad al-akbiya)に由来するという。

Skat スカット δ(デルタ)星 3.3等 アラビア語で足を意味するサーク(saq)に由来。本来はサーク・サーキブ・アル=マーヤ(saq sakib al-ma)、”水を注ぐ人物の足”、という名前であったという。星座を見立てる場合は、水瓶からフォーマルハウトまで流れる線の一部として描かれるのが普通。

Al Bali アルバリ ε(イプシロン)星 3.9等 みずがめ座の西端にある星。アラビア語のサアド・バーリア(sad bali)に由来するという。意味は呑み込むものの幸運。

ζ(ゼータ)星 固有名は無い 3.7等 文献によっては3.2等だったり4等だったりする。二重星で、手持ちの文献、「STAR NAMES Their Lore and Meaning by Richard Hinckley Allen ]によると4等と4.1等。水瓶を作る四星のひとつで、その中央の星。

η(イータ)星 固有名は無い 4等 水瓶を作る四星のひとつ。

Ancha アンカ θ(シータ)星 4.3等 アラビア語で腰の意味だと言う。α(アルファ)星サドアルメリクに続き、その南にある。

π(パイ)星 固有名は無い 4.8等 水瓶を作る四星のひとつで、その中では一番暗く、一番上にある。

 

その他の天体

球状星団M2 

NGC7009 土星状星雲 

 

みずがめ座CY星 

 

参考:

「星の事典」鈴木駿太郎 恒星社

[Guidebook to the Constellations ] Patrick Moore's Practical Astronomy Series 2012

「星の名前の始まり」 近藤二郎 2012 誠文堂新光社

 

 

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