Capricornus

やぎ座

2014年9月29日 21:20 南中をややすぎた、やぎ座

やぎ座は上半身がヤギ、下半身が魚であるスクル・マシュが起源と考えられています(例えば「星座神話の起源 古代メソポタミアの星座」 近藤二郎 2010 などを参考のこと)。これはシュメール文明から信じられたものでした。星の名前からも分かるように東(画面左)が尻尾で、西(画面右)が頭になります。

やぎ座は明るい星が少なく、一番明るいδ(デルタ)星デネブアルゲジが2.9等です。都市部の明るい空で見ることが出来るのは、δ(デルタ)星、γ(ガンマ)星、そしてα(アルファ)星とβ(ベータ)星ぐらいです。当然と言えば当然かもしれませんが、どれも名前のついている星です。しかし形はしっかりしており、空の暗い場所なら、笑った口のような、逆三角形をした綺麗な星の並びを見ることができます。

また、いわゆる彦星であるわし座のα(アルファ)星アルタイルから比較的近く、やぎ座のα(アルファ)星アルゲジとアルタイルの距離は角度にするとおよそ24度、大人なら腕を伸ばして親指を立てた拳、二つ分ぐらい南の場所にあります。

文字などが無い写真は以下

 

 画面下が南の水平線、上が天頂です

  

 

 

Capricornus カプリコルヌス

やぎ座:黄道上にある十二星座のひとつで、いて座に続く星座です。これに引き続くのはみずがめ座 

カプリコルヌスはラテン語でヤギを意味するカプラ(capra)と、角を意味するコルヌ(cornu)を合わせた複合語。つまり角を持つヤギの意味。ギリシャ神話では怪物テュポーンに襲われた際に牧神パーンが慌てて変身したものとされました。だが実際には、かつてメソポタミアで栄えた最古の文明、シュメール文明において信じられたヤギと魚の複合存在スクル・マシュが由来のようです。シュメールの文字を英語のアルファベットで示すとsuhurが”大きな鯉”の意味。masでヤギ。つまりsuhur-masで”ヤギ魚”の意味となります。これは地下世界に存在する淡水とその世界アブズ(abzu)を象徴する存在で、やぎ座も水の恵みを司るものと考えた方が良いのでしょう。

*ちなみにシュメール(シュメル:sumer)の言葉は同音異義語が幾つもあるとか、その楔形文字は漢字と同様、本来は表意文字であること、現代人が研究の際に楔形文字をそのまま書くわけにもいかないので、その表記や発音に学問上の約束事があるなど、素人にはちょっと把握しきれない事が多いので要注意。スクル・マシュという呼び名に関しては「星座神話の起源 古代メソポタミアの星座」 近藤二郎 2010 pp50を参考のこと。

また紀元前2世紀にはこの星座に冬至点があり、太陽はこの星座で運行の進路を南から北へと変えていました。冬至点は現在、いて座に移っていますが、今でも南回帰線のことは”the tropic of Capricorn”と呼びます。

主な星は以下の通り。

Algedit アルゲジ α(アルファ)星 二重星で3等と4等 アラビア語で”ヤギ”の意味だという。眼でも分離できる二重星だが、それぞれの星がさらに重星である。

Dabith ダビー β(ベータ)星 3.2等 アラビア語で”屠殺の運命”の意味だという。α(アルファ)星アルゲジと共にやぎ座の頭部を作る

Nashira ナシラ γ(ガンマ)星 3.8等 アラビア語で語る者という意味という。

Deneb Algadi デネブアルゲジ δ(デルタ)星 3等 アラビア語で”ヤギの尾”の意味。やぎ座の後端を作る星。

  

その他の天体

M30 やぎ座の東、下腹部にある球状星団 

  

 

参考:

「星の事典」鈴木駿太郎 恒星社

[Guidebook to the Constellations ] Patrick Moore's Practical Astronomy Series 2012

 

 

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