節足動物、およびそれに類縁が近い動物 現在の節足動物、カギムシ、オパビニア、アノマロカリス および絶滅した節足動物達
左は5億年以上前の海にいたアノマロカリス、右は脱皮中のチャタテムシ(昆虫)の写真
節足動物、およびそれに類縁が近い動物達:
以上の図と写真で示されたアノマロカリスと昆虫(節足動物)は、他の動物、例えば軟体動物やデウテロストミアにはない彼らだけの共通の特徴を持っています。このことから彼らはひとつの系統を作っていると考えられます。
この系統の内、主に知られている動物は昆虫やエビ・カニ、サソリ・クモなどの節足動物です。節足動物以外の他の動物はほとんど絶滅してしまいました。例えばアノマロカリスやオパビニアはとっくの昔に絶滅しています。唯一、カギムシが残っています。カギムシは熱帯雨林でくらすマイナーな生き物です。
これらの動物たちの系統関係:
簡易的な系統図↓
根__A1≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡カギムシ&アノマロカリス、オパビニアetc
|__A2 ?______ブランキオカリス
| ?______フクシアンフイア
|_________現在の節足動物
* 以上の系統図のなかで、カギムシ、ハルキゲニア、オパビニア、アノマロカリスなどは、現在の節足動物の外群として便宜的にひとつのコンテンツにリンクして、解説しています。
節足動物とそれに類縁のある動物たちの特徴:
以上の動物たちは
1:キチン質のクチクラで身体を覆われていること(マルグリス&シュヴァルツ 1987を参考)
2:節がある脚を持つ(Budd 1993)
という共通する特徴を持っています。このことから彼らは彼らだけの共通の祖先から進化したであろうことがうかがえます(Budd 1993. Budd 1996)。
しかし、昆虫やエビとカギムシとの間には大きな違いもあります。カギムシの身体には体節がありません。またカギムシの脚は柔らかくて、あまりはっきりしない細かい節があるだけです。それに脚全体の形も円錐形をしています(左の図を参考のこと)。
このような構造の脚は葉状肢と呼ばれていて、昆虫やエビ・カニの”いかにも節足”という脚とはずいぶん違います。
一方、昆虫やカニ、エビ、サソリの身体を覆うキチン質のクチクラは硬い外骨格になっています。また、はっきりした体節を持ち、脚はカギムシの葉状肢とは違う細長いパイプのよう形をしています。でうから昆虫やカニ、エビ、サソリは彼らだけの共通の祖先を持っていると考えられています。
おそらく昆虫+カニ(甲殻類)+サソリやクモ(鋏角類)は単一の祖先から進化したひとつの系統です。一般にはこの系統のことを節足動物と呼びます。
これらのことをまとめて考えると、いわゆる節足動物の特徴を持たないカギムシやアノマロカリス、オパビニア、ハルキゲニアなどは節足動物の姉妹グループのようです(便宜的には以上の、より詳しくは以下↓の系統図を参考のこと)。
系統とこのコンテンツにおける節足動物(節足動物の定義)について:
カギムシ、アノマロカリス、ブランキオカリス、クモ、三葉虫、甲殻類、多足類、昆虫はおおむね次ぎのような系統関係にあると考えられています。
根___A1______________カギムシ
|_______________ハルキゲニア
|_______________マイクロディクティオン
|_______________オパビニア
|____________アノマロカリス
|__A2?_______ブランキオカリス
| ?_______フクシアンフイア
|__A3 _____アラクノモルファ(鋏角類(クモ、サソリ)+三葉虫)
|______甲殻類(エビ、カニ、ミジンコ)
?_____多足類(ムカデ、ヤスデ)
?_____昆虫
このコンテンツで節足動物という名称を使った場合、たいていは以上の系統のなかでもおおむねピンクの部分のことです。
現代の節足動物と言った場合には
|_______________オパビニア
|____________アノマロカリス
|__A2?_______ブランキオカリス
| ?_______フクシアンフイア
|__A3 _____アラクノモルファ(鋏角類+三葉虫)
|______甲殻類
?_____多足類
?_____昆虫
以上のグリーンの部分ですね。
もっともこの中には絶滅した三葉虫やその他多くの滅び去った節足動物が含まれています。ここで言っている現在の節足動物とは、”現在いる節足動物の一番最近の共通の祖先とそのすべての子孫”って程度の意味だと思って下さい。ただしそうなるとブランキオカリスやフクシアンフイアは昆虫+甲殻類+鋏角類の外群らしいので、節足動物じゃないことになっちゃうんですよね。
とまあ、これはこのHP、あるいはコンテンツでの節足動物という呼び名をもつものについての話なのですが、最近の論文ではしばしば次ぎのような範囲にも”節足動物”が使われます。
根___A1______________カギムシ
|_______________ハルキゲニア
|_______________マイクロディクティオン
|_______________オパビニア
|____________アノマロカリス
|__A2?_______ブランキオカリス
| ?_______フクシアンフイア
|__A3 _____アラクノモルファ(鋏角類+三葉虫)
|______甲殻類
?_____多足類
?_____昆虫
↑このようにアノマロカリスやその近辺まで節足動物と呼ぶ場合もあります。最近はこういう使い方も多いかな?。
参考文献:
Budd 1993. A Cambrian gilled lobopod from Greenland. Nature. Vol 364. 19, pp709~711
Budd 1996. The morphology of Opabinia regalis and the reconstruction of the arthropod stem-group. LETHAIA, pp1~14
マルグリス&シュヴァルツ 1987 「五つの王国」 日系サイエンス社
P.ウィルマー 無脊椎動物の進化 蒼樹書房
Wills, Briggs, Fortey 1994. Disparity as an evolutionary index: a comparsion of Cambrian and Recent arthropods. Paleobiology, 20(2), pp93~130
↑カギムシ、アノマロカリス、オパビニアはそれぞれ節足動物の外群であると考えられています。ただし、このくくりは便宜的なものであることをお断りしておきます。なぜなら彼らはどうやら側系統群のようだからです。
↑節足動物:カニ、エビ、クモ、サソリ、ムカデ、昆虫