Maniraptora マニラプトラ 定義:オルニトミムスよりも鳥に近いすべてのコエルロサウリア Definition of Maniraptora : All Coelurosaurs (Maniraptoriformes) more closely related to Aves than to Ornithomimus. ( Padian et al 99, pp73 ) ベイピャオサウルス Beipiaosaurus 白亜紀前期の中国のイメージイラスト。ベイピャオサウルスはかかとの骨、顎と歯の特徴からテリジノサウルスの仲間であると考えられています。ただ、仲間のテリジノサウルスやセグノサウルスよりも原始的でした。大きさは2メートルくらいでしょうか。ベイピャオサウルスも含めて、テリジノサウルスの仲間はマニラプトラ、それもオヴィラプトルの仲間に近いグループだと考えられています。
ベイピャオサウルスは羽毛を持っており、プロポーションからするとあまり足は速くないようで、植物を食べる動物だったようです。ベイピャオサウルスが興味をもっているのはソテツに似た、ベネチテス類という絶滅植物です。左下にいるのはシノサウロプテリクス。こちらは原始的なコエルロサウリアですね。やはり羽毛を持っています。
参考:Xing et al, Nature vol.399, pp350~354
マニラプトラとは?:
マニラプトラ(Maniraputora)には”hand snatchers”とか”Striking hand”という意味があります。意訳すれば”襲いかかる腕”とか”かっさらう手”そういう感じでしょうか。
右の図を見て下さい。これは国立科学博物館・新館地下1階のバンビラプトルの腕のスケッチです。これを見れば分かりますが、バンビラプトルは前足が大きく、かつまた鋭い爪を持っていました。
多くのマニラプトラはこういう腕と手を持っていました。まさに、Striking hand ですね。ただし鳥類のかなりのものは絶滅した原始的な種類を抜かすと鋭い爪を二次的に失っています。
マニラプトラの系統:
この系統の動物は鳥でなくても非常に鳥的な特徴を持っています。系統が近い証拠ですね。テリジノサウルスはオヴィラプトルに近いかもしれません。カウディプテリクスもその可能性があります。
一方、トロオドンは系統に関しては謎めいた恐竜です。もしかしたらマニラプトラではなくアルクトメタターサリアかもしれませんし、あるいは多分、ありそうなことですがエウマニラプトラ(もしかしたらディノニコサウリア)かもしれません。
根_____________Oviraptorosauria:オヴィラプトロサウリア
| | (オヴィラプトル、カエナグナトスなど)
| | ?____カウディプテリクス
| |_ ?____Therizinosauroidea:テリジノサウロイディア
| (テリジノサウルス、ベイピャオサウルスなど)
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| ?_______Troodontidae:トロオドンティダ
| (トロオドン・シナヴェナトールなど)
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|__________Eumaniraputora:エウマニラプトラ
(ディノニクス、鳥など)
マニラプトラの特徴:
バンビラプトルの腕と肩を観察すると、
1:肩甲骨(Scapula)と烏口骨(Coracoid)が急な角度で関節する
2:横を向いた肩の関節(Glenoid cavity)
3:手首の骨が丸い(Semilunate carpal)
といった、マニラプトラに共通する特徴を見つけることができます。これらの特徴は鳥にも共通します。逆に言えば鳥がマニラプトラと呼ばれる系統に所属する理由がここにあります。
マニラプトラ豆知識:
1986年、マニラプトラという名前を与えたのは現在はイエール大学の教授であるジャック・ゴーティエです。それにしてもマニラプトラは有名な割りには誤解されている名前です。どういうわけか、一般的にはマニラプトル類って呼ばれていて、ドロマエオサウルスとトロエドンを合わせたグループであると思われています。なぜなのかは不明ですけど、ラプトルって語尾につくのがいけないんでしょうか?。
でもこれは間違い。ドロマエオサウルス+トロエドンはディノニコサウリアのことですね。ようするにマニラプトラはディノニコサウリアと混同される傾向があります。
マニラプトラにはドロマエオサウルスとトロエドンの他に、かなり多くの動物が束ねられるのが普通です。例えばオヴィラプトルも多くの場合、マニラプトラであると見なされますし。初期の解析ではコンプソグナツスやオルニトレステスもマニラプトラに束ねられていました。
オヴィラプトロサウリア→(工事中)