DINOSAURIA( Including BIRDS )

ダイノサウリア:恐竜(鳥を含む)

 恐竜の系統:各分岐へのショートカットはこちら 

分類階級を使わないことに関する説明

 

Eoraptor lunensis

 エオラプトル:三畳紀後半、およそ2億3000万年前、アルゼンチンから知られている動物です。一般的には非常に原始的な肉食恐竜(獣脚類:テロポーダ)であるとみなされています。(参考:Sereno 1993 Nature vol.361 pp64~66. Sereno 1999 Science vol.284 pp2137~2147 )身体の特徴はあまりにも原始的で、本当に獣脚類であるのか、そもそも竜盤類であるのか、あるいは恐竜であるのかどうかさえ疑われることがあります。体長はだいたい1メートルぐらいの小さな動物です。恐竜そのものであるかどうかはともかくとして、すべての恐竜の共通の祖先がいかなる姿であったのかを知るてがかりになるかもしれません。

 

 恐竜とはどんな動物か?:

 恐竜(Dinosauria)とは”恐ろしい爬虫類”という意味です。その呼び名のごとく、アルゼンチノサウルスのように歴史上最大の陸上動物になり、推定体重が100トンに達したものや、ティラノサウルスのように12メートル以上になった肉食の種類などがいました。とはいえ、全ての種類が恐ろしかったわけでも、また巨大であったわけでもありません。恐竜には一生のほとんどを空中ですごすアプス・パシフィクス(Apus pacifics:アマツバメ)や体長が6センチにしかならないカリプテ・ヘレナ(Calypte helenae;マメハチドリ)のような種類もいます。またすべての恐竜が絶滅してしまったわけでもありません。鳥は恐竜のなかで唯一生き残ったグループです。

 

 恐竜の系統:

 恐竜という生命の樹の枝は大きく二つの枝に分岐したと考えられています。

___A________鳥盤類(Ornithischia:鳥盤目とも呼ばれます)  

    |         ↑トリケラトプス、イグアノドンなど

    |

    |________竜盤類(Saurischia:竜盤目とも呼ばれます)  

              ↑アパトサウルス、エオラプトル、ケティオサウルス、アロサウルス、鳥など

 

 恐竜の系統をもう少し詳しく示すと次ぎのようになります。 

____A_____________トリケラトプス

     |     |_______イグアノドン

     |

     |_____________アパトサウルス

        |   |______ケティオサウルス

        |__________エオラプトル

         |_________アロサウルス

            |______ドロマエオサウルス

                |__鳥 

参考資料:

The Dinosauria

The Evolution of Dinosauria. Sereno. 1999. Science Vol.284 pp2137~2147

青で示された部分が鳥盤類:オルニスキア。緑色で示された部分が竜盤類:サウリスキアです。それぞれの枝の詳細を知りたい人は以上のリンク先をクリックしてください。鳥盤類と竜盤類の名前の由来について知りたい人はこちらを参考にしてください。

 恐竜の定義:

 現在、系統学や恐竜学で一般に使われている恐竜の定義とは”鳥とトリケラトプスの最も最近の共通祖先と、およびそのすべての子孫”というものです(あるいはそれに準ずるもの)。つまり恐竜とは”あるひとつの共通祖先からうまれた生物たちの集合”だと考えられているわけで、言い変えれば生命の樹の”ある部分に名付けられた名前”それが恐竜なのですね。

 例えば以下の系統樹、あるいはツリー・オブ・ライフは主な爬虫類がどんな系統関係を持っているのかを示したものなのですが、さきほどの恐竜の定義をこれにあてはめると・・・・・・

_____________________オオトカゲ

  |__________________ワニ

     |_______________プテラノドン

       |_____________ラゴスクス

        |_A__________トリケラトプス

          |    |_____イグアノドン

          |__________アパトサウルス

          |    |_____ケティオサウルス

          |__________エオラプトル

            |________メガロサウルス

             |_______アロサウルス

                |____ドロマエオサウルス

                  |__鳥

 以上のピンク色になっている部分を恐竜と呼ぶことになります。これが恐竜学の世界で恐竜と呼ばれるものなのです。 

 ただしここで言っている恐竜の定義とは、生命の樹のどの部分を恐竜と呼ぶのか?という必要に応じて設定されたものです。ですからいわゆる分類学でいうところの”分類群”とはまるで異質なものであることに注意してください。時々、こうした”恐竜の定義”とは恐竜という分類群のことをしる手がかりにならない、という人やサイト、本がありますが、それは分類と系統を混同した勘違いです。こうした主張は無意味ですから無視してかまいません。

より詳しく知りたい人のために→恐竜の定義について  

 

 恐竜の特徴:

 恐竜がひとつの生物から生まれた子孫達であることは、恐竜と呼ばれる動物に共通の特徴があることから分かります。こうした特徴は共通の祖先から恐竜全体が受け継いだものです。ではどんな特徴があるのでしょうか?。右図を見て下さい。

 ティラノサウルスの左後足:国立科学博物館・新館地下1階の標本をスケッチ:

 この図はティラノサウルスの左後足ですが、この骨から次ぎのような恐竜全体を束ねる特徴を見ることができます。

 1:大腿骨が腰の骨にはまる部分がボール状

 2:上に向かって伸びる突起のある大きな距骨

 3:2、3、4番目の中足骨(<足の甲の骨)が発達してまとまっている

 4:脛骨に対して細いひ骨

 恐竜が同じ祖先から受け継いだであろう共通の特徴は以上のものだけではありませんし、ましてや後足だけに見られるわけではありません。しかし、もっとも分かりやすいのは後足の特徴でしょう。

ATTENTION!!!! このコンテンツにおける国立科学博物館に由来する画像は、すべて使用許可を申請して受理されたものです 

 このように、恐竜がひとつの祖先から進化してきたことは明らかです。昔、80年代の前半まで言われていたようにワニのような動物から鳥盤類や竜盤類が、あるいは竜脚形類や獣脚類がそれぞれ独立に進化したわけではありません。

 

 根拠の乏しい主張について:

 恐竜は鳥盤上目、竜脚上目、獣脚上目に分類されるべきで、ひとつには分類できない。恐竜は多系統である、そう主張する人があいかわらずいますが、それは分類と系統を混合した単純な勘違いなので、無視していいです。

 ネットで検索すると、恐竜が多系統であると考えている人が意外と多いようです。つまり恐竜とは生命の樹のあちこちの枝を適当につみとって束ねたもの、整ってはいるが自然ではないまがいもの(生け花のようなもの)であるというわけですね。実際、80年代中盤以前には多くの研究者がそう考えていました。

 しかし生命の樹を作ってみると、恐竜とは1本のまとまった枝であり、自然なものであることが明らかになりました。要するに、恐竜が多系統である、というのは

 恐竜学がまだ十分に科学といえない、あるいは系統の推定に有力なツールがなかった時代の産物です。

 もしあなたが恐竜は多系統である、という主張を聞いたなら、その主張が生命の樹を科学的に作り上げた結果に基づいているのかどうか、それを検討してみてください。

 しっかりした系統解析の結果があってそういうのならともかく、アルゴリズム不明なままに提案された系統仮説を信用するのかどうかというのは、それはあなた次第です。どちらを選んだせよ。選んだからにはあなたの科学や現実に対する判断力が試されることはお忘れなく。

 Benton 1990 . Origin and Interrelationships of Dinosaurs : The Dinosauria . University of California Press を参考のこと

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