サワラ

Scomberomorus niphonius

 

 2007年、3月頃に購入したサワラ。大きさは測定し忘れたのだけどもだいたい40〜50センチであったと記憶。背びれは2つ。前の背びれは長くて大きいけど、後ろに倒して背中に完全に収納できます。売られている時は折りたたまれている状態なので、イラストのイメージとはずいぶん違いますね。前の背びれの棘は19。歯はほんの少しだけ見えています。下あごの唇、とでもいうのか、そういうところにちょっとだけかかっていますね。全身は青みがかった渋い銀色です。ただ生きている時は背中はもう少し青いのかもしれません。少なくとも塩水で洗うと背中の一番上の部分は濃いブルーになりました。

 歯の形は見事な二等辺三角形で、扁平。また、一部の近縁種には歯に鋸歯があるそうですが、この魚にはありません。ちなみに鋸歯というのは歯の縁にある小さくギザギザの構造です。いってみればノコギリ状に、あるいはステーキナイフ状ということですね。こういう構造はコモドオオトカゲや肉食恐竜、あるいはサメなどにも見られます。

 背びれと臀びれの後ろにはマサバとおなじように小さなヒレ (finlets) があって、尾びれの付け根にキールがあるのも同様。Nelson 1994 [Fishes of the Wolrd 3ed] ではサワラはマサバと同じFamily Scombridae (サバ科)です。「日本産魚類検索」でも同様。このグループ、サバ科の共有派生形質は、

 第2背びれと臀びれの後ろにfinlets があること

 腹びれが肩の下にあること

 胸びれが体の高いところにあること

 尾びれのつけねに2つのキールがあること

などであるらしい。サワラ、マサバを含むサバ科はカマス、タチウオ、カジキなどとともにSuborder Scombroidei (サバ亜目)を作るとみなされています。サバ目の共有派生形質は上顎が突き出ない、二次的にプレマキシラがフィックスしている、というものなのだそうな(Nelson 1994 [Fishes of the Wolrd 3ed]) 。

 余談:ところでそれを考えるとサンマってサバ科と似た特徴があるんですねえ。背びれが1つで腹びれが肩の下にこない、尾びれの付け根にキールがないなどの相違点もありますが、finlets があることや胸びれが上についているのは共通ですね。なお、サンマは Nelson 1994 [Fishes of the Wolrd 3ed] などではOrder Beloniformes (ダツ目)とされていて、サバ目ではないことに注意。

 サワラは大きくて、肉が多くて、白身でおいしい魚です。スーパーでは1000円ぐらいだったかな?、値段は高いけど量を考えればお買い得とまではいかないかもしれませんが、意外といいかもしれません。

 

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