伊那前岳( ルート中の最高峰は 宝剣岳:2,931m ) 2011.11.13 登山



【PHOTO & 記録 伊那前岳 宝剣岳 5】

休憩しているうちに、千畳敷の方からドンドンとガスが上がり出し、宝剣岳を隠し始める。今まで通り、このガスは一過性のものと思っていたら、 ガスは一向に流れていく気配がない。
慌てて 13時3分、勒銘石を出発する。
伊那前岳の方を振り返れば、まだその姿は見えるものの、ガスに飲み込まれるのは時間の問題のようだ。南アルプスも見えなくなっている。
これから登る宝剣岳は完全に見えなくなり、和合山もよく見えない。そして、アッという間に周囲はガスに囲まれてしまったのであった。

ガスの中を進んでいくと、すぐに九合目の標柱が現れた。
立入禁止のロープに導かれるように進み、和合山を巻いて、乗越浄土に到着。
時刻は 13時16分。
このガス、そして風も冷たいので、ほとんど人が居ない。
ロープに導かれるようにして宝剣山荘へと進む。
宝剣山荘前からこれまたロープに導かれるようにして鋭角に折り返し、宝剣岳を目指す。
ガスが濃く、天狗岩は全く見えない。
ここからは完全に岩場。足下に注意しながら進む。

ガスのため、数メートル先しか見えない状態の中、岩に付けられた白いペンキ印を頼りに岩場を登る。
ペンキ印は短い間隔で付けられており、ガスの中でも全く迷うことは無い。また、進んではいけない方向には × 印も付けられている。
時折、鎖場も現れるが、鎖に全面的に頼るような箇所はほとんど無い。

ガスが立ちこめる中、時折太陽が明るい光を放つので、 ブロッケン現象が起こる。この日は、都合 3回のブロッケンを見ることができたのだった。

カニの横バイのような鎖場を過ぎ、 左へ回り込むと、宝剣岳山頂であった。時刻は 13時34分。
記憶通りの岩が目の前に現れる。この岩の両側に祠があったのだが、奥の方の祠の裏側に、 前回登った時に印象に残っていた 『 手力雄尊 (たぢからおのみこと 手力男命) と彫られた石を見ることができた。
また、頂上岩の平らな部分であるが、前回と同じく今回も登らず仕舞い。空身なら挑戦できないこともなかったのだが、 ザックを背負ったままであったし、さらにはもともと身体が硬いので、無理はしない方が良い。なお、平らになった部分には数枚の小銭と、 杖として使われたらしい木の棒があるだけであった。

奇跡的にガスが引かないかと思いつつ、さらには頂上でも現れたブロッケンがもう一度現れないかと考えて 5分程待ったが、 どちらも叶わず、諦めて極楽平を目指す。
ここからの下りも鎖場が連続するがそれ程 難しい箇所は無い。
途中、岩のトンネルを潜ったのだが、前回このような場所があったことは全く覚えていない。記憶はいい加減なものである。

写真の岩場は、鎖を使って越えていくことになるのだが、 ホールドする場所、足場もしっかりあり、鎖は万が一を考え握っておく程度。保険のような役割である。

無事に岩場を下り終えると、 方向指示する標柱と遭難碑のある場所に到着。
良く見ないでそのまま通り過ぎたが、ここは三ノ沢岳への分岐でもあるらしい。無論、ガスで三ノ沢岳は見えない。
ここからはサギダルの頭の斜面を横切って進む感じである。
道の左右には植生保護のためと思われるロープが張られている。ここはコマクサの群生地なのかもしれない。
やがて、極楽平に到着。時刻は 14時7分。
ここで道標に従って左に道をとり、千畳敷へと下る。
楽しみにしていた千畳敷もガスの為にほとんど視界が利かない。これも山、致し方ない。

遊歩道のような道を順調に下り、千畳敷駅には 14時24分に到着。駅手前にある駒ヶ岳神社前のベンチで濡れたシャツを着替え、 14時40分のロープウェイでしらび平に下ったのだった。
しらび平に着くと、菅の台BC行きのバスが待っており、乗車して 5分程で出発。全くストレスのない流れである。
今回のコースはなかなか登り応えがある上に、森林限界を超えてからの展望が素晴らしく、魅力的であった。さらには、伊那前岳に至るまでに、 出会ったのは 1人だけだったのも大変良かった。
宝剣岳はガスの中で少々残念だったものの、21年ぶりの山々は記憶から欠落していた部分を沢山見せてくれ、 初めての山のように楽しむことができたのだった。



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