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水戸の農家の次男竹中豊吉はやさしい性格で、婚約者のさととの仲もうまくいっていた。そんな彼が軍隊に徴集されることになったが、国内勤務の内務班だし、今は戦争もないからと楽観視していた。一方、中国の河北省の農村では王健中と張琳香の結婚式が、平和裏に執り行われていた。そんな時、日中戦争が勃発した。豊吉の連隊は中国へ派遣され、作戦に加わる。その中で、次第に人間性を失っていく豊吉。また王健中の村では従妹の李芳の指導で、抗日運動の気運が盛り上がっていく。人をはじめて殺したことで心の中の鬼が成長していった豊吉は、所属する連隊の行軍と共に虐殺を繰り返しながら、健中の住む村へと日一日と近づいていった。 |
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(この作品は、公開版はありません。鬼子兵の後半部分の付録としてついています) |
初めて中国へのツアー旅行に参加した女子大生の由美子と桂子は、旅行の最初から暗い気分だった。最初の訪問地南京に着いた時はすでに夜で、早々にホテルの部屋でベッドに入った二人だったが、窓の外から泣き声が聞こえたかと思うと、カーテンの隙間から……。それが、彼女らが体験する恐怖の始まりだった。 |
(この作品は、公開版はありません。ぼくは守護霊様の後半部分の付録としてついています) |
浩介は大のバイク好きの高校生。文化祭で知り合って付き合うことになった洋子はジョン・レノンの大ファン。そんな二人は時々かみ合わないこともあった。だが、ある日突然、洋子がバイクへの興味を示すが……。 |
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霊界で修行していたぼくは、いきなり村長から現界へ行って守護霊となって修行せいと言われる。ぼくが守ることになったのはコースケという若者.いつもオートバイばかり乗り回してる。でもコースケには、血みどろの形相の、邪霊がぴったりくっついているんだ。そんなやつからもぼくはコースケを守らなければならない。守護霊としてのぼくの血と汗と涙の奮闘記。 |
高校三年生の内藤純一は、親友の沖田裕一郎が変な咳をすると気づいた。実は裕一郎もそれを気にして町医者に行ったが、そこの医者の娘と通学電車で再会。ところがその少女は突然、京都に引っ越すと言う。夏休みを利用して京都に行った純一と裕一郎だったが、三条木屋町池田屋ビルのトリトンという喫茶店で裕一郎は肺結核が悪化して血を吐いた。 |
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私、横井優子が高校二年の夏休みに体験した出来事。ある日親友の真理香が家出したって知らせに、慌てて真理香の家に自転車を走らせる途中で、二つの閃光が私に迫る。気がついたら全く別の世界に、真理香とともに立っていた。そこは時間も距離もない世界――四次元の超空間だった。 |
コラム
近代となると一般の「歴史小説」のジャンルに入るかどうかは、いろいろと議論が分かれるところでしょう。江戸時代までしか「歴史小説」ではないとする見方もあれば、太平洋戦争までは「歴史小説」に入るという考え方もあります。ひいては、例えば「三億円事件」や「東大安田講堂の戦い」でさえ「歴史」であるという見方も出てくるわけです。しかし、少なくとも太平洋戦争までを「歴史」と捉え、その上で「歴史小説」を書くというときの難しさは、その時代の当事者がまだ存命中だということです。つまり架空の物語を書いたとしても、ウソは書けないということです。明治前期や江戸時代以前の歴史を書く場合、研究不足でウソを書いてしまって専門家から指摘されたとしても、彼らとてその時代に生きていなかったという点では我々と同列です。しかし、太平洋戦争期のものはそうはいかないのです。さて、このコーナーには全くの現代小説も「その他」として入れさせていただいています。歴史小説に飽きた方は、どうぞご覧下さい。 |