レトロな町並み52−松山(道後温泉)


 愛媛県の県庁所在地である松山市は人口約50万の四国最大の都市です。松山城を中心とする城下町として栄え、道後温泉の街、正岡子規や夏目漱石等、文人ゆかりの文学の街としても発展してきました。

[2024年3月更新]

市電(松山駅) 市電(県庁前)   市電(道後温泉) 道後温泉駅 愛媛県庁 松山城
ロープウェイ・リフト 
二の丸庭園 松山城天守閣 天守閣からの眺望
 天守閣最上階 松山城石垣 道後温泉本館

【松山城】
 松山市の中心部にある標高
132mの勝山にある松山城は、賤ヶ岳の合戦の七本槍の1人、加藤嘉明が17世紀初めに築いたと言われています。門や櫓や塀、高い石垣などを配した防備のしっかりした平山城とされています。また、日本で12か所しか残っていない江戸時代以前に建てられた現存12天守1つとされています。21棟の建物が重要文化財に指定されています。

 松山駅と道後温泉の間、松山市の繁華街である大街道駅で市内電車を下車し、徒歩約10分のロープウェイ・リフト乗場からリフトで上がりました。ロープウェイとリフトが並んでおり、共通同一料金で上り下り利用できます。昔のスキー場のようなクラシカルな1人乗りリフトで上がりました。そこから徒歩約10分位で松山城の天守閣へたどり着きます。山の上にあり、さらに高い石垣を配して、その上で櫓を配置した城は、攻めるのが難しいそうであり、防備堅牢な城であったことが伺われます。昔ながらの城は、狭く急な階段で各階がつながっています。天守閣の内部も昔ながらの雰囲気です。天守閣からは瀬戸内海や松山市内が360度のパノラマで眺望することが出来ます。帰りは、森の中を黒門登山道から約15分かけて山を下り、二の丸庭園を経て県庁前に戻り、そこから松山駅行きの市内電車で帰りました。登山道も複数整備されており、徒歩で登ることもできます。

道後温泉本館
 約7年ぶりに道後温泉本館を訪ねました。松山駅から市内電車で約25分、途中県庁前や大街道等市内中心部を経由して終点道後温泉駅に到着します。そこから徒歩数分で道後温泉本館に着きます。長期にわたる改修工事期間中のため、神の湯と休憩室は閉鎖されており、
霊の湯入浴と予約制の又新殿見学のみ受け付けています。入口も通常の反対側に設置されており、番台で受付を済ませて階段を下りた地下が霊の湯となっています。こじんまりした霊の湯のみの営業のためか、平日の日中にも関わらず、館内満員で約10分並んで入りました。
 昔ながらの風情あるタイルの霊の湯は、石鹸シャンプー等の設置はないシンプルな内湯ですが、タオル・バスタオルのレンタルがあり、手ぶらで立ち寄ることができました。昔ながらの狭い脱衣場も浴室も何とも言えない情緒があります。お湯はほのかな香りがあり、とても心地よく浸かることがてきました。
帰路は再び道後温泉駅から市内電車で松山駅方面へ向かいました。

 松山市内電車は引き続き市民の足、観光客の足として活躍しており、JR松山駅、伊予鉄道松山市駅、道後温泉駅の3拠点を中心に多くの電車が走り、多くの乗客で混雑していました。昔ながらの松山城、道後温泉本館、松山市電を満喫して松山を後にしました。


   
松山駅 愛媛県庁本館
(1929年築)
松山市電
(大手町駅)
 
松山市電   道後温泉駅 
道後温泉本館
 
道後温泉本館3階10番個室   道後温泉本館3階坊ちゃんの間   道後温泉本館廊下

【松山城】
 17世紀の初めに加藤嘉明が築城し、改易の後、蒲生氏を経て、松平氏居城となったと言われています。幕末に再建された大天守を含めて20以上の建物が国の重要文化財に指定され、全国に12箇所ある現存天守閣の1つとされています。日本三大平山城とも言われています。松山市の中心街から近く、標高132メートルの山頂にあり、ロープウェイかリフトで登ることができます。

【松山市電(伊予鉄道市内線)】
 1887年(明治20年)創業の伊予鉄道には、松山市駅を中心とする高浜線、郡中線、横河原線の3つの郊外電車線と、松山駅、松山市駅、道後温泉駅等を結ぶ5系統の市内電車線があります。松山城を囲むように、道後温泉含む松山市内の主要拠点を結ぶ市内電車は、重要な交通手段として活躍するとともに、昔ながらの風情を残しています。道後温泉駅から大手町駅まで約25分の電車の旅を楽しみました。松山駅に近い大手町駅では。伊予鉄道の鉄道線と市内線が道路上でクロスする踏切があります。

道後温泉
 愛媛県松山市にある道後温泉は、日本三古湯と言われており、3000年の歴史がある日本を代表する温泉のひとつです。聖徳太子が病気療養に訪れたと言われている他、歴代の天皇家他、皇族が多数訪れたとされています。江戸時代には松山藩主の松平氏により、温泉が整備され、1894年(明治27年)には道後温泉本館が建てられたと言われています。松山中学の教師として松山へ赴任した夏目漱石が感嘆し、坊っちゃん等の作品の中でも紹介されています。道後温泉本館の建物は、国の重要文化財に指定されています。
約20年ぶりに道後温泉を訪ねました。

 松山駅から伊予鉄道の市内電車で約20分の終点駅が道後温泉駅になります。かつてこの路線を走った蒸気機関車が「マッチ箱のような汽車」として夏目漱石の坊っちゃんの中で紹介されており、この坊っちゃん列車がディーゼル機関車により復元されて1日数本運行されています。今回は広島から高速フェリーで松山入りしたため、松山観光港からリムジンバスでの道後温泉入りとなりました。

道後温泉本館
 昔ながらの重厚な和風建築の道後温泉本館は、明治時代建築の神の湯本館又新殿・霊の湯棟、大正時代建築の南棟と玄関棟の4つの建物が国の重要文化財に指定されています。1階に神の湯、2階に霊の湯があります。
 料金体系は銭湯と同じ入浴のみのベーシックな「神の湯階下」、浴衣付で2階大広間での茶菓(せんべい)が付いた「神の湯2階」、浴衣と貸しタオル付で神の湯と霊の湯に入れ、又新殿を見学でき、2階の別の広間での茶菓子(せんべい)が付いた「霊の湯2階」、さらに3階の個室休憩と坊っちゃん団子が付いた「霊の湯3階個室」の4つのプランがあります。
 又新殿(ゆうしんでん)は、日本で唯一の皇室専用浴室と言われ、御影石を使った浴槽の他、控え室、トイレ等が備えられているとのことです。霊の湯の切符を買うとガイド付で見学できます。
 また、3階一番奥の個室に夏目漱石ゆかりの資料の置かれた部屋があり、坊っちゃんの間として開放されており、神の湯チケットでも見学可能とのことです。

 約20年ぶりに訪れた道後温泉本館は、平日とあってそれほど混雑しておらず、受付で「霊の湯3階個室」のチケットを購入して入場しました。まず、突き当り奥の急な階段を左に上がり、2階受付に行くと、そこで3階個室へ上がるようにアナウンスされ、3階へさらに急な階段を上ります。3階へ上がると係りの人が個室へ案内してくれます。個室は階段に近い手前の10番個室です。部屋で浴衣へ着替え、鍵のかかるクローゼットに貴重品含めて保管した後、各浴場へ案内されます。浴衣と貸タオルは付いていますが、バスタオルは追加料金でレンタルになります。

 まず、2階へ下りて、そこで案内され、更に階段を下りて、
霊の湯へ入浴しました。霊の湯は、中規模の浴室であり、石造りの浴槽には高級感と独特の風情があります。お湯は透明マイルドで適温でゆっくり寛ぐことができます。   霊の湯で入浴後、階段を一旦上がり、2階に戻ってから、今度は神の湯へ案内されます。神の湯の更衣室へつながる急な階段を下りて、1階の神の湯に入ります。広い更衣室があり、そこから東浴室、西浴室の2つの浴室へ入ることができます。(ただし、2つの浴室があるのは男湯のみで、女湯は1つの浴室)西浴室へ入りました。シャンプー、リンス、ボディーソープ備え付けの霊の湯とは異なり、神の湯は、湯船と洗い場のみの湯治場や銭湯の雰囲気ですが、天井が高く、天井に通風窓があり、昔ながらの情緒満点の湯屋です。お湯は、霊の湯と同じ、透明マイルドで心地よい温泉です。

 神の湯入浴後、3階個室へ戻り、呼びボタンを押すと、係りの人がお茶と坊ちゃん団子を配膳してくれます。昔ながらの木造建築3階の風情ある個室で浴衣姿でいただく団子の味は格別です。坊ちゃん団子は、各地の土産屋で土産用に買い求めることができます。
 3階の一番奥には
「坊ちゃんの間」があり、夏目漱石の写真や資料が展示されています。ここは、神の湯のみの入浴客も見学することができるため、結構混雑していました。

 最後に着替えて2階へ下りると、皇室専用の
又新殿へ案内されます。2階から一番奥へ入り、専用のガイドさんに、天皇陛下が使用した2階の「玉座の間」控えの「前室」、1階の最上の御影石でできた湯釜(浴槽)、庭園、トイレでなく茶室と間違えそうな美しい「雪隠」(御手洗所)等を案内いただきました。又新殿は、1952年の常陸宮様の入浴を最後に、1956年以降は使用されなくなり、一般公開されるようになったとのことです。以降は皇室が道後温泉訪問される場合も、一般ホテル旅館に滞在し、ここは見学のみされるとのこと。
 この他、2階には展示室があり、1階廊下には坊ちゃん映画ロケの写真等が展示されています。

 道後温泉本館の前はアーケードの商店街になっており、土産物屋、食事処、一本入った路地には射的等もあり、昔ながらの温泉街の風情があります。

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