ハリマオの設立話 第7話

【庄内川河川敷】

 チューさんが倒れた後、無断借用で一度だけ消防学校で練習をしたが、主人がいないのにもう使用するわけにはいかない。練習場所がなくなった。

 

 在る日突然、木野 泰久(木野)から電話がかかってきた。彼は名西ラグビー部の出身で『エンジャにゃ〜ズ』という名前の名西ラグビー部のOBチームを10年以上続けていると言う。そんなチームがあるのも知らなかったし、その前にどうして我が家の電話番号が分かったか不思議だった。たずねるとスミタのばあさんから、『名西出身の名西ハリマオという14着のジャージを作った変な人たちがいるよ』と聞いたとのことだった。エンジャにゃ〜ズの中で話題になったが、そんな変な奴、誰も知らない『モグリじゃない?』ということで電話がかかってきた。なにはともあれ会うことになった。小牧メナード美術館前で待ち合わせた。夕暮れの中、彼は待っていた。シルエットだけでその人だと分かった。ずんぐりむっくり、首がない。ラガー体型そのものだった。小島と3人で『つぼ八』で飲んだ。

 

 彼らは、『自分たちに無断で名西を名乗るのはふとどきだ。ラグビーをやりたいのなら自分たちのチームに入れ』との意向だったらしい。だが会って驚いていた。自分たちより先輩だったからである。彼らには、『不惑』近くなってラグビーを始める人々がいる感覚がなかったようだ。

話しを聞いて言った。

「生意気こくな。おまえたちがハリマオに入れ」 先輩の強みである。

『それだけは勘弁して下さい』とのことだったので許してやり、チームは別々だが練習は、いっしょにすることになった。彼らは白川公園で練習しているとのことだった。練習場所がなくなっていた我々にとっても好都合だった。話しているとナイスガイ(木野の表現)であり、ラグビーに対して熱い。まるで自分の姿を見ているようでいやだった。どうして『エンジャにゃ〜ズ』なんて変な名前にしたのかたずねると、名前が中々決まらなくて候補が出ると『えんじゃにゃ〜、えんじゃにゃ〜』と言っていて決まったと言う。まったく、くだらない。我がチーム名も『インキーズ』にしなくてよかったと思った。人に名前の由来を話せないところだった。

 

 白川公園で練習を再開した。エンジャにゃ〜ズといっしょだ。彼らは平均年齢30才くらいのチームだった。ランパス1本走っただけで分かった。早い、疲れを知らない、しなやかである。全力で走るが追いつけない。あのデブの大原 雅彦(大原)に小牧小学校で二番目に早かったこのぼくが追いつけない。若さに嫉妬する。とはいえ大人数での練習はたのしい。3回ほどラグビーらしい練習をしたが、白川公園が改修工事に入るとのことで使えなくなった。またもジプシー生活だ。グランドを探していたら小島が『庄内川河川敷にラグビーポールが立っている』と言う。おまけに、いつ通っても使っていないとのことで帰りにいっしょに見に行った。確かにポールは立っているし、だれもいない。「ここに決定」

 

 さっそく、河川敷のグランドで練習予定を流す。これまでもそうだったがまったく行き当たりばったりのチームである。また、それでうまくいくから不思議である。

練習日、小島と庄内川河川敷に行く。ななな な〜んと少年サッカーチームが練習をしているではないか。

「みんな来ちゃうけどどうしよう」

『とにかく行こ』

「んだ」

ラグビーボール2つ抱えてグランドに下りていく。

サッカーチームのコーチらしき人が我々を見つけて駆け寄ってくる。

『ラグビーの方ですか?』

「そうですけど」

『すみません、うちのグランドが使えなくなっちゃったんで急遽ここに来たんですが隅の方を使わせていただけませんか?』

「ええ、うちは今日、練習ですから半分使っていいですよ」

『ありがとうございます、じゃまにならないようにします』

「はい、困った時はお互い様ですから」

ハッハッハ むこうもモグリだった。

なにも知らないメンバーが、だらだらと集まってくる。

『なかなかいいグランドじゃないですか』 

まったくお気楽な奴らだ。

ボールに空気を入れようとしたら空気入れを忘れてた。サッカーチームに借りに行く。

困った時はお互い様だ。

 

この時以来、庄内川河川敷は我がチームのホームグランドになり、エンジャにゃ〜ズも合流して使っている。小石もあって、あまりいいグランドとは言えないが我々はもう6年このグランドを走っている。そしてこのグランドにどれだけ集まったかがハリマオの証しだと思っている。ここでどれだけ走り、どれだけ汗を流し、どれだけラグビーを考え、どれだけ話し合い、どれだけボールを蹴り、どれだけタックルをし、どれだけ擦り傷を作ったかが仲間の証しである。試合は、ここでの成果を示すただの発表会と考えている。

 

《庄内川河川敷に集まってくる各チームに告ぐ》

「このグランドはハリマオのホームグランドだぞ。 じゃまするな。 最初に無断借用したのは俺たちなんだぞ!!」

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