高見沢彗星 その2

「作用素の定理」の拡張
作用素の定理3-1
作用素の定理3-2
作用素 e^(2x)∫e^(-2x)の正体
作用素 e^(3x)∫e^(-3x)の正体



2010/9/12             < 「作用素の定理」の拡張 >

「数学の研究」の更新は1年3ヶ月ぶりとなります。あんまり間を空けずにやっていきたいものです。

さて7年前に発見していた定理を再掲します。詳しくは、e^xに関する公式の発見 その3をご覧ください。

定理3
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^x∫e^(-x)G(x)dx(∫+∫^2+∫^3+∫^4+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx+∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx +・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分などの
   重回積分(高階積分)を表す。


定理4
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^(-x)∫e^x G(x)dx(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx-∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx-・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分などの
   重回積分(高階積分)を表す。


 この定理は、(∫+∫^2+∫^3+・・・)という作用素が、e^x∫e^(-x)という作用素と同じであることを主張するものです。
無限次の作用素を有限の作用素に変換する手法(定理)とも言えます。

 「小島彗星 その1」でも述べましたが、 例えば、G(x)=x^2・e^xとすると、
 (∫+∫^2+∫^3+・・・)(x^2・e^x)=∫(x^2・e^x)dx + ∫∫(x^2・e^x)dx dx+∫∫∫(x^2・e^x)dxdxdx + ・・
などと延々と計算するのはたいへんですが、作用素e^x∫e^(-x)を用いれば簡単に答えは e^x・(x^3/3) と求まります。
ちなみにx^2・e^xの収束半径は∞です。

 「小島彗星 その1」その他多くでこの定理の応用を見たわけですが、ここではこの定理自体をさらに別の形に拡張して
いきます。例えば、今回次のような変形例を見出しました。

定理3-1
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^x∫∫e^(-x)G(x)(∫^2 + 2∫^3 + 3∫^4 + 4∫^5 + ・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)左辺はdxdxを略している。右辺は∫∫G(x)dxdx + 2∫∫∫G(x)dxdxdx + ・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は
  ∫∫∫の3回積分などの重回積分(高階積分)を表す。


定理3-2
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

   e^x∫∫∫e^(-x)G(x)(C(2,2)∫^3 + C(3,2)∫^4 + C(4,2)∫^5 + C(5,2)∫^6 + ・・・)G(x)
すなわち、
    e^x∫∫∫e^(-x)G(x)={(n=3〜∞) C(n-1,2)∫^n }G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。C(n,n)は二項係数。

(注意) 左辺はdxdxdxを略している。右辺は(C(2,2)∫∫∫G(x)dxdx + C(3,2)∫∫∫∫G(x)dxdxdx + ・・・)を略した書き方である。
   ∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分などの重回積分(高階積分)を表す。


 これらの定理は本質的には、
 作用素 e^x∫∫e^(-x)は、作用素(∫^2 + 2∫^3 + 3∫^4 + 4∫^5 + ・・・)に等しい
また
 作用素 e^x∫∫∫e^(-x)は、作用素(∫^3 + (2+1)∫^4 + (3+2+1)∫^5 + (4+3+2+1)∫^6 + ・・・)に等しい

ということを示しています。

 以下では、これら定理の導出過程を示します。



2010/9/12               < 作用素の定理3-1 >

 まず定理3-1の導出過程を示します。

[導出]
 まず定理3より、
   e^x∫e^(-x)G(x)dx=(∫+∫^2+∫^3+∫^4+・・・)G(x)  

両辺を1回積分して(∫を被せる、積分範囲は0〜x)、
   ∫e^x∫e^(-x)G(x)dx=(∫^2+∫^3+∫^4+∫^5+・・・)G(x)  ------@

さらにこの両辺を1回積分して、
   ∫∫e^x∫e^(-x)G(x)dx=(∫^3+∫^4+∫^5+∫^6+・・・)G(x)     ----A

さらに両辺を1回積分して、
   ∫∫∫e^x∫e^(-x)G(x)dx=(∫^4+∫^5+∫^6+∫^7+・・・)G(x)     ----B

さらに両辺を1回積分して、
   ∫∫∫∫e^x∫e^(-x)G(x)dx=(∫^5+∫^6+∫^7+∫^8+・・・)G(x)     ----C
     ・
     ・
     ・
これを延々と続けていく。@、A、B、C・・・の式を縦に全部(無限個)足していく。すると、次のようになる。

(∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・)e^x∫e^(-x)G(x)dx=(∫^2 + 2∫^3 + 3∫^4 + 4∫^5 + ・・・)G(x)

定理3より、作用素(∫+∫^2+∫^3+・・・)は作用素e^x∫e^(-x) に等しいから、上式は

e^x∫e^(-x)・e^x∫e^(-x)G(x)dx=(∫^2 + 2∫^3 + 3∫^4 + 4∫^5 + ・・・)G(x)  
となり、左辺を簡単にして

  e^x∫∫e^(-x)G(x)=(∫^2 + 2∫^3 + 3∫^4 + 4∫^5 + ・・・)G(x) 

となる。
(注意)左辺はdxdxを略している。右辺は∫∫G(x)dxdx + 2∫∫∫G(x)dxdxdx + ・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は
∫∫∫の3回積分などの重回積分(高階積分)を表す。

[終わり]

 さて、
 e^x∫∫e^(-x)G(x)=(∫^2 + 2∫^3 + 3∫^4 + 4∫^5 + ・・・)G(x)    ------(A)

が得られたわけですが、これはもちろん
作用素(∫^2 + 2∫^3 + 3∫^4 + 4∫^5 + ・・・)が作用素e^x∫∫e^(-x)に等しいことを示すものです。

例えば、いまG(x)=1として上記(A)式を計算すると、左辺=x・e^x、また右辺=x・e^xとなり当然ながら一致します。
また例えば、G(x)=e^xの場合は左辺は一瞬で求まり左辺=(x^2/2)・e^xとなる。右辺の計算はごたごたしますが、それ
でも計算できて左辺に一致します。
 まとめておきます

定理3-1
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^x∫∫e^(-x)G(x)(∫^2 + 2∫^3 + 3∫^4 + 4∫^5 + ・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)左辺はdxdxを略している。右辺は∫∫G(x)dxdx + 2∫∫∫G(x)dxdxdx + ・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は
  ∫∫∫の3回積分などの重回積分(高階積分)を表す。


(注記)
あとで気づいたのですが、定理3-1の結果は、在野の数学研究家Kono氏が氏のサイト
http://www.geocities.jp/uchu_tako/newpage2.html
の「16 2関数の積の高階積分」の後半「16・8 杉岡の高階(重回)積分級数に関する定理」で当サイトより先に定理3を
拡張する形で示しておられました。氏の結果(2.2)はe^x(∫+∫∫)e^(-x)=・・となっていますが定理3-1と本質的に同じ
ものです。



2010/9/12               < 作用素の定理3-2 >

 次に定理3-2の導出過程を示します。

[導出]
 まず定理3-1より、
   e^x∫∫e^(-x)G(x)dx=(∫^2 + 2∫^3 + 3∫^4 + 4∫^5 + ・・・)G(x)

両辺を1回積分して(∫を被せる、積分範囲は0〜x)、
   ∫e^x∫∫e^(-x)G(x)dx=(∫^3 + 2∫^4 + 3∫^5 + 4∫^6 + ・・・)G(x)  ------@

さらにこの両辺を1回積分して、
   ∫∫e^x∫∫e^(-x)G(x)dx=(∫^4 + 2∫^5 + 3∫^6 + 4∫^7 + ・・・)G(x)     ----A

さらに両辺を1回積分して、
   ∫∫∫e^x∫∫e^(-x)G(x)dx=(∫^5 + 2∫^6 + 3∫^7 + 4∫^8 + ・・・)G(x)    ----B

さらに両辺を1回積分して、
   ∫∫∫∫e^x∫∫e^(-x)G(x)dx=(∫^6 + 2∫^7 + 3∫^8 + 4∫^9 + ・・・)G(x)   ----C
     ・
     ・
     ・
これを延々と続けていく。@、A、B、C・・・の式を縦に全部(無限個)足していく。すると、次のようになる。

(∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・)e^x∫∫e^(-x)G(x)dx=(∫^3 + (2+1)∫^4 + (3+2+1)∫^5 + (4+3+2+1)∫^6 + ・・・)G(x) 

定理3より、作用素(∫+∫^2+∫^3+・・・)は作用素e^x∫e^(-x) に等しいから、上式は

e^x∫e^(-x)・e^x∫∫e^(-x)G(x)dx=(∫^3 + (2+1)∫^4 + (3+2+1)∫^5 + (4+3+2+1)∫^6 + ・・・)G(x)
となり、左辺を簡単にして

  e^x∫∫∫e^(-x)G(x)=(∫^3 + (2+1)∫^4 + (3+2+1)∫^5 + (4+3+2+1)∫^6 + ・・・)G(x)

となる。これは、すなわち、
  e^x∫∫∫e^(-x)G(x)={(n=3〜∞) (n-2)(n-1)/2∫^n }G(x)

とも書ける。
(注意) 左辺はdxdxdxを略している。右辺は(∫∫∫G(x)dxdx + (2+1)∫∫∫∫G(x)dxdxdx + ・・・)を略した書き方である。∫^2は∫∫の
   2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分などの重回積分(高階積分)を表す。

[終わり]

 さて、
 e^x∫∫∫e^(-x)G(x)=(∫^3 + (2+1)∫^4 + (3+2+1)∫^5 + (4+3+2+1)∫^6+ ・・・)G(x)
が得られたわけですが、これはもちろん
作用素(∫^3 + (2+1)∫^4 + (3+2+1)∫^5 + (4+3+2+1)∫^6+ ・・・)が作用素e^x∫∫∫e^(-x)に等しいことを示すものです。

 定理3、定理3-1とともに定理3-2をまとめておきます。
 下記の二項係数C(n,n)の表示は、Kono氏がこの定理に関して示された表示を参考にさせてもらいました。

定理3
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^x∫e^(-x)G(x)dx(∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx+∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx +・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分などの
   重回積分(高階積分)を表す。


定理3-1
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

  e^x∫∫e^(-x)G(x)(∫^2 + C(2,1)∫^3 + C(3,1)∫^4 + C(4,1)∫^5 + C(5,1)∫^6 +・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。C(n,n)は二項係数。

(注意)左辺はdxdxを略している。右辺は∫∫G(x)dxdx + C(2,1)∫∫∫G(x)dxdxdx + ・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は
  ∫∫∫の3回積分などの重回積分(高階積分)を表す。


定理3-2
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

   e^x∫∫∫e^(-x)G(x)(C(2,2)∫^3 + C(3,2)∫^4 + C(4,2)∫^5 + C(5,2)∫^6 + ・・・)G(x)
すなわち、
    e^x∫∫∫e^(-x)G(x)={(n=3〜∞) C(n-1,2)∫^n }G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。C(n,n)は二項係数。

(注意) 左辺はdxdxdxを略している。右辺は(C(2,2)∫∫∫G(x)dxdx + C(3,2)∫∫∫∫G(x)dxdxdx + ・・・)を略した書き方である。
   ∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分などの重回積分(高階積分)を表す。




2010/9/18              < 作用素 e^(2x)∫e^(-2x)の正体 >

 上記の議論を発展させていけば作用素 e^(2x)∫e^(-2x)を求めることができる。その導出過程と結果を示す。

 さて、e^(2x)∫e^(-2x)の正体は一体どんなものになるだろうか?

[導出]
まず作用素の定理3を作用素だけに着目して書くと、次となる。
  e^x∫e^(-x)=∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・

ここで右辺の作用素をFとする。すなわち、F=∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・とすると、上式は
  e^x∫e^(-x)=F      ------@

  上式の左辺を再び左辺に掛け、また右辺を再び右辺に掛けると、

  e^x∫e^(-x)・e^x∫e^(-x)=F・F
すなわち、
  e^x∫∫e^(-x)=F^2     ----A
となる。
 上式の左辺に@の左辺を掛け、また上式の右辺に@の右辺をかけると、
  e^x∫e^(-x)・e^x∫∫e^(-x)=F^2・F
すなわち、
  e^x∫∫∫e^(-x)=F^3       ----B
となる。
 同様にして、
  e^x∫∫∫∫e^(-x)=F^4       ----C

  e^x∫∫∫∫∫e^(-x)=F^5     ----D
    ・
    ・
と成り立っていく。
 @、A、B、・・・・の式を無限に左辺同士、右辺同士足し合わせていくと、∫∫=∫^2などとして次のようになる。

 e^x(∫+∫^2+∫^3+・・)e^(-x)=F + F^2 + F^3 + F^4 + ・・・

 さて、上式の(∫+∫^2+∫^3+・・)は作用素の定理3から、e^x∫e^(-x)に等しいのでそれで置き換えて、
 e^x・e^x∫e^(-x)・e^(-x)=F + F^2 + F^3 + F^4 + ・・・
すなわち、
 e^(2x)∫e^(-2x)=F + F^2 + F^3 + F^4 + ・・・

となる。ここで、F=∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・ である。(∫は0〜xまでの積分)

 上記は作用素のみを表現したものだが、関数G(x)を入れて書くと次のようになる。

 e^(2x)∫e^(-2x)G(x)dx=(F + F^2 + F^3 + F^4 + ・・・)G(x)

 (注意)右辺はG(x)の後につく、dx・・dxを略している。

[終わり]

このように作用素 e^(2x)∫e^(-2x)の正体がわかった。 F=∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・ とすると、

 e^(2x)∫e^(-2x)=F + F^2 + F^3 + F^4 + ・・・
となるのである。

 e^x∫e^(-x)=∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・

と比較されたい。その類似的な形に驚かれるであろう!

面白いと思われないだろうか?
 e^x∫e^(-x)という作用素がe^(2x)∫e^(-2x)となるだけで、無限作用素の”無限の次元”が一挙に高まるのである!
まとめておく。

定理3-A
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^(2x)∫e^(-2x)G(x)dx(F + F^2 + F^3 + F^4+ ・・・)G(x)

 ここでFは、F=∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・であり、その∫の積分範囲はすべて0〜xである。

 (注意)例えば∫^3は∫∫∫を略した書き方である。また右辺はG(x)の後につく、dx・・dxを略している。




2010/9/19              < 作用素 e^(3x)∫e^(-3x)の正体 >

 同様に作用素 e^(3x)∫e^(-3x)も簡単に求まる。その導出過程と結果を示す。

[導出]
定理3-Aより作用素だけに着目して書くと次となる。ここでF=∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・としている。

  e^(2x)∫e^(-2x)=F + F^2 + F^3 + F^4 + ・・・

ここで右辺の作用素をF1とする。すなわち、F1=F + F^2 + F^3 + F^4 + ・・・とすると、上式は
  e^(2x)∫e^(-2x)=F1      ------@

上式の左辺を再び左辺に掛け、また右辺を再び右辺に掛けると、

  e^(2x)∫e^(-2x)・e^(2x)∫e^(-2x)=F1・F1
すなわち、
  e^(2x)∫∫e^(-2x)=F1^2     ----A
となる。
 上式の左辺に@の左辺を掛け、また上式の右辺に@の右辺をかけると、
  e^(2x)∫e^(-2x)・e^(2x)∫∫e^(-2x)=F1^2・F1
すなわち、
  e^(2x)∫∫∫e^(-2x)=F1^3       ----B
となる。
 同様にして、
  e^(2x)∫∫∫∫e^(-2x)=F1^4       ----C

  e^(2x)∫∫∫∫∫e^(-2x)=F1^5     ----D
    ・
    ・
と成り立っていく。
 @、A、B、・・・・の式を無限に左辺同士、右辺同士足し合わせていくと、∫∫=∫^2などとして次のようになる。

 e^(2x)(∫+∫^2+∫^3+∫^4+・・)e^(-2x)=F1 + F1^2 + F1^3 + F1^4 + ・・・

 さて、上式の(∫+∫^2+∫^3+・・)は作用素の定理3から、e^x∫e^(-x)に等しいのでそれで置き換えて、
 e^(2x)・e^x∫e^(-x)・e^(-2x)=F1 + F1^2 + F1^3 + F1^4 + ・・・
すなわち、
 e^(3x)∫e^(-3x)=F1 + F1^2 + F1^3 + F1^4 + ・・・

となる。ここで、F1=F + F^2 + F^3 + F^4 + ・・・であり、またF=∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・ である。(∫は0〜xまでの積分)

 上記は作用素のみを表現したものだが、関数G(x)を入れて書くと次のようになる。

 e^(3x)∫e^(-3x)G(x)dx=(F1 + F1^2 + F1^3 + F1^4 + ・・・)G(x)

 (注意)右辺はG(x)の後につく、dx・・dxを略している。

[終わり]

このように作用素 e^(3x)∫e^(-3x)の正体もわかった。これを定理3-Bとしよう。

さてe^x∫e^(-x)やe^(2x)∫e^(-2x)と並べてみる。

 e^x∫e^(-x)=∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・

 e^(2x)∫e^(-2x)=F + F^2 + F^3 + F^4 + ・・・

 e^(3x)∫e^(-3x)=F1 + F1^2 + F1^3 + F1^4 + ・・・

 まったくきれいな、類似的な形になっていることに注目いただきたい!

 e^(3x)∫e^(-3x)は、e^(2x)∫e^(-2x)よりも無限作用素の”無限の濃度”がさらに濃くなっているのである!
これを定理3-Bとして、定理3、定理3-Aとともにまとめておく。

定理3
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^x∫e^(-x)G(x)dx(∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx+∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx +・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分などの
   重回積分(高階積分)を表す。


定理3-A
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^(2x)∫e^(-2x)G(x)dx(F + F^2 + F^3 + F^4+ ・・・)G(x)

 ここでFは、F=∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・であり、その∫の積分範囲はすべて0〜xである。

 (注意)例えばF^3はFFFをまた∫^3は∫∫∫を略した書き方である。また右辺はG(x)の後につく、dx・・dxを略している。


定理3-B
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^(3x)∫e^(-3x)G(x)dx(F1 + F1^2 + F1^3 + F1^4+ ・・・)G(x)

 ここでF1は、F1=F + F^2 + F^3 + F^4 + ・・・であり、Fは、F=∫+∫^2+∫^3+∫^4+ ・・・である。
その∫の積分範囲はすべて0〜xである。

 (注意)例えばF1^3はF1F1F1をまた∫^3は∫∫∫を略した書き方である。また右辺はG(x)の後につく、dx・・dxを略している。



 このようにして、e^(4x)∫e^(-4x)やe^(5x)∫e^(-5x)など、e^(nx)∫e^(-nx)が簡単に求まっていく。
nが増えるにつれ右辺作用素の無限の濃度はどんどんと濃くなっていく!




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