ルーリン彗星 その3

(n=1〜∞) 1/(n^2+1)^3を導出に成功
(n=1〜∞) 1/(n^2+1)^3の導出過程



2009/5/10        (n=1〜∞) 1/(n^2+1)^3を導出に成功 >

 小島彗星の「その1」と、ルーリン彗星の「その1」で私は、それぞれ次を導いた。

 1/(1^2+1) + 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + ・・・=-1/2 + (π/2)・(e^2π+1)/(e^2π-1) 

 1/(1^2+1)^2 + 1/(2^2+1)^2 + 1/(3^2+1)^2 + 1/(4^2+1)^2 + ・・・
                        =-1/2 + (π/4)(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1) + π^2・e^(2π)/(e^(2π)-1)^2

すなわち、(n=1〜∞) 1/(n^2+1)^kのk=1,2の場合を出したわけである。
では、k=3はどうなるのだろうか?

今回その導出に成功したので報告したい。結果から示すと、
 (n=1〜∞) 1/(n^2+1)^3=1/(1^2+1)^3 + 1/(2^2+1)^3 + 1/(3^2+1)^3 + 1/(4^2+1)^3 + ・・・
は、次のようになる。

(n=1〜∞) 1/(n^2+1)^3
     =-1/2 + (π/4){e^(2π)+1}/(e^(2π)-1) + (π^2/4){3e^(2π)-1}/(e^(2π)-1)^2
        + π^3・e^(2π)/(e^(2π)-1)^3 + (π/16){8π^2・e^(2π)-e^(4π)+4π+1}/(e^(2π)-1)^2

この導出方法を次に示す。



2009/5/10        (n=1〜∞) 1/(n^2+1)^3の導出過程 >

 では、(n=1〜∞) 1/(n^2+1)^3の値を求めよう。
これまでの小島彗星、ルーリン彗星でやった作用素(0〜p) e^(-x)を用いる方法と本質的に同じなので概略だけ記す。
ただし「その2」の最後で述べたように、作用素(0〜p) e^(-x)でやっても∫(0〜p) e^xでやっても同じなので、より簡単な
後者のほうを用いることにする。

[導出方法]
 ルーリン彗星の「その1」でやったように、フーリエ級数の公式

(π/2)sinh (π-x)=sinh(π){1sinx/(1^2+1) + 2sin2x/(2^2+1) + 3sin3x/(3^2+1) + ・・}   ----@
                                                   ( 0 < x < 2π)
を出発点とする。左右両辺に作用素(0〜p) e^xを適用するわけである。

 大雑把にいえば、上式の両辺に作用素(0〜p) e^x2回作用させれば、本頁冒頭の式が求まることになる。

まず1回目はpをxとした作用素(0〜x) e^xを@両辺に作用させる。作用させた結果だけ書くことにする。

(π/4){e^(-x)/(e^(2π)-1)}{2e^(2π)・x - e^(2x) + 1}
={1sinx/(1^2+1)^2 + 2sin2x/(2^2+1)^2 + 3sin3x/(3^2+1)^2 + ・・}
 - {1^2cosx/(1^2+1)^2 + 2^2cos2x/(2^2+1)^2 + 3^2cos3x/(3^2+1)^2 + ・・}+ e^(-x)(n=1〜∞) n^2/(n^2+1)^2
 
さらにこの両辺に作用素(0〜p) e^xを作用させて(2回目の作用!)、p=2πとすると次となる。

(π/8){8π^2・e^(2π)-e^(4π)+4π+1}/(e^(2π)-1)=2(1-e^(2π))A + 2π(n=1〜∞) n^2/(n^2+1)^2    ----A

ここで、A=1^2/(1^2+1)^3 + 2^2/(2^2+1)^3 + 3^2/(3^2+1)^3 + ・・・=(n=1〜∞) n^2/(n^2+1)^3
である。

A右辺の(n=1〜∞) n^2/(n^2+1)^2は
(n=1〜∞) n^2/(n^2+1)^2
=1^2/(1^2+1)^2 + 2^2/(2^2+1)^2 + 3^2/(3^2+1)^2 + ・・・
=(1^2+1-1)/(1^2+1)^2 + (2^2+1-1)/(2^2+1)^2 + (3^2+1-1)/(3^2+1)^2 + ・・・
={1/(1^2+1) + 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + ・・・}
               - {1/(1^2+1)^2 + 1/(2^2+1)^2 + 1/(3^2+1)^2 + ・・・}
と変形できるから、本頁冒頭の2式より、結局、
 (n=1〜∞) n^2/(n^2+1)^2=(π/4)(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1) - π^2・e^(2π)/(e^(2π)-1)^2

となる。これをAに代入すると、Aは次のようになる。

A=(π^2/4)(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)^2 - π^3・e^(2π)/(e^(2π)-1)^3
      - (π/16){8π^2・e^(2π)-e^(4π)+4π+1}/(e^(2π)-1)^2

すなわち、
(n=1〜∞) n^2/(n^2+1)^3=(π^2/4)(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)^2 - π^3・e^(2π)/(e^(2π)-1)^3
                         - (π/16){8π^2・e^(2π)-e^(4π)+4π+1}/(e^(2π)-1)^2    ----B
である。
さて、左辺(n=1〜∞) n^2/(n^2+1)^3は、次のように変形できる。
(n=1〜∞) n^2/(n^2+1)^3
1^2/(1^2+1)^3 + 2^2/(2^2+1)^3 + 3^2/(3^2+1)^3 + ・・
=(1^2+1-1)/(1^2+1)^3 + (2^2+1-1)/(2^2+1)^3 + (3^2+1-1)/(3^2+1)^3 + ・・
={1/(1^2+1)^2 + 1/(2^2+1)^2 + 1/(3^2+1)^2 + ・・} - {1/(1^2+1)^3 + 1/(2^2+1)^3 + 1/(3^2+1)^3 + ・・}
={-1/2 + (π/4)(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1) + π^2・e^(2π)/(e^(2π)-1)^2}
                      -1/(1^2+1)^3 + 1/(2^2+1)^3 + 1/(3^2+1)^3 + ・・}       ----C

最後で本頁冒頭の
 1/(1^2+1)^2 + 1/(2^2+1)^2 + 1/(3^2+1)^2 + 1/(4^2+1)^2 + ・・・
                        =-1/2 + (π/4)(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1) + π^2・e^(2π)/(e^(2π)-1)^2
を用いた。最後で青字の目的の級数が顔を覗かせたことに注目。あと一息である。

BとCより、
1/(1^2+1)^3 + 1/(2^2+1)^3 + 1/(3^2+1)^3 + ・・
=-1/2 + (π/4){e^(2π)+1}/(e^(2π)-1) + (π^2/4){3e^(2π)-1}/(e^(2π)-1)^2
        + π^3・e^(2π)/(e^(2π)-1)^3 + (π/16){8π^2・e^(2π)-e^(4π)+4π+1}/(e^(2π)-1)^2    ----D

と目的の(n=1〜∞) 1/(n^2+1)^3が求まった。

[終わり]

 念のため、Excelを用いてDの数値検証も行ったがOKであった。

フーリエ級数の公式

 (π/2)sinh (π-x)=sinh(π){1sinx/(1^2+1) + 2sin2x/(2^2+1) + 3sin3x/(3^2+1) + ・・}
                                                   ( 0 < x < 2π)
に作用素∫(0〜p) e^(-x)を2回作用させて次式を導出した。

[p=2π]

 1/(1^2+1)^3 + 1/(2^2+1)^3 + 1/(3^2+1)^3 + 1/(4^2+1)^3 + ・・
         =-1/2 + (π/4){e^(2π)+1}/(e^(2π)-1) + (π^2/4){3e^(2π)-1}/(e^(2π)-1)^2
                 + π^3・e^(2π)/(e^(2π)-1)^3 + (π/16){8π^2・e^(2π)-e^(4π)+4π+1}/(e^(2π)-1)^2


 または萩L号で表現すると次となる。

(n=1〜∞) 1/(n^2+1)^3=-1/2 + (π/4){e^(2π)+1}/(e^(2π)-1) + (π^2/4){3e^(2π)-1}/(e^(2π)-1)^2
                   + π^3・e^(2π)/(e^(2π)-1)^3 + (π/16){8π^2・e^(2π)-e^(4π)+4π+1}/(e^(2π)-1)^2




 計算が複雑になるのでやっていないが、今回の方法をさらに続けて@のフーリエ級数の公式に作用素(0〜p) e^xを
3回作用させれば(n=1〜∞) 1/(n^2+1)^4が求まる、
4回作用させれば(n=1〜∞) 1/(n^2+1)^5が求まる、
5回作用させれば(n=1〜∞) 1/(n^2+1)^6が求まる、
  ・・・・・・・・・・・
となっていくはずである。





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