< 作用素の理論、非明示な場合 >
これまでは(小島彗星〜ルーリン彗星(その3))、明示的な結果が出る場合を調べてきた。しかし、ゼータ関数の場合と
同様に、非明示な場合も当然存在しているであろうことは容易に予想できる。
そこで、ここでは、作用素∫(0〜p) e^xを用いて、非明示な結果が出る場合を調べる。
(それはちょうど、明示的なζ(2)<-->非明示なζ(3)に対応している。)
ここでは、
-log(2sin(x/2))=cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 + cos4x/4 + ・・ ( 0 < x < 2π) ----@
というフーリエ級数の公式を調べたい。
結論を先に述べると、p=2πでは、次のような式が出る。
1/(1(1^2+1)) + 1/(2(2^2+1)) + 1/(3(3^2+1)) +・・=-log2 - (1/(e^(2π)-1))∫(0〜2π) e^x・log(sin(x/2))dx
この導出過程を見てみよう。
[p=2π]
フーリエ級数の公式
-log(2sin(x/2))=cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 + cos4x/4 + ・・ ( 0 < x < 2π) ----@
の左右両辺に作用素∫(0〜p) e^xを適用する。
まず@の右辺にこの作用素を作用させる。それをAとして、
A=∫(0〜p) e^x・{cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 + cos4x/4 + ・・}dx
を計算する。
部分積分により、
∫(0〜p) e^x・(cos(nx))/n dx=e^p・cos(np)/(n(n^2+1)) + e^p・sin(np)/(n^2+1) - 1/(n(n^2+1))
となるから、これを利用しp=2πとしてAを計算すると
A=(e^(2π)-1){1/(1(1^2+1)) + 1/(2(2^2+1)) + 1/(3(3^2+1)) + ・・・} ----A
となる。
次に@左辺に作用素∫(0〜2π) e^xを作用させると、次のようになる。
∫(0〜2π) e^x・{-log(2sin(x/2))}dx=-log2・(e^(2π)-1) - ∫(0〜2π) e^x・log(sin(x/2))dx ----B
A=Bであるから、
(e^(2π)-1){1/(1(1^2+1)) + 1/(2(2^2+1)) + 1/(3(3^2+1)) + ・・・}=-log2・(e^(2π)-1) - ∫(0〜2π) e^x・log(sin(x/2))dx
よって、
1/(1(1^2+1)) + 1/(2(2^2+1)) + 1/(3(3^2+1)) +・・=-log2 - (1/(e^(2π)-1))∫(0〜2π) e^x・log(sin(x/2))dx
と冒頭に掲げた式が求まった。
以上。
右辺に∫(0〜2π) e^x・log(sin(x/2))dxなどというやっかいな項が現れていることに注目。奇数ゼータζ(2n+1)などの場合
と同じような構造になっていることがわかる。
念のため、Excelとフリーの積分計算ソフトBearGraphを用いて上式の数値検証も行ったがOKであった。
p=π代入の場合も、上の2π代入のときのフーリエ級数の公式を使って、「小島彗星」以降でやってきたのと全く同じ
ようにできる。
結果だけ書くと、p=πの場合は、次の二つの式が同時に求まる。(これまでと同様、うまく連立方程式が立って)
1/(1(1^2+1)) + 1/(3(3^2+1)) + 1/(5(5^2+1)) +・・
=(1/(2e^π))∫(0〜π) e^x・log(sin(x/2))dx - {1/(2e^π(e^π+1))}∫(0〜2π) e^x・log(sin(x/2))dx
1/(2(2^2+1)) + 1/(4(4^2+1)) + 1/(6(6^2+1)) +・・
=-log2 - (1/(2e^π))∫(0〜π) e^x・log(sin(x/2))dx - {1/(2e^π(e^π-1))}∫(0〜2π) e^x・log(sin(x/2))dx
まとめておく。
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