小島彗星 その2

< 作用素の定理 >
G(x)=(π-x)/2-sinx に作用素の定理3を適用、2π代入
G(x)=(π-x)/2-sinx に作用素の定理3を適用、π代入
G(x)=(π-x)/2-sinx に作用素の定理3を適用、π/2代入
G(x)=(π-x)/2-sinx に作用素の定理3を適用、π/3代入
< まとめ >



2009/2/21                  < 作用素の定理 >

定理3
  G(x)は、べき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて、次が成り立つ。

     e^x∫e^(-x)G(x)dx(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx+∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx +・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・など
   の重回積分を表す。


 私はこの定理3を「作用素の定理」などと呼んでいるが、その1」ではフーリエ級数の公式

  (x-π)^2/4 - π^2/12 =cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + cos4x/4^2 + ・・    ----@
                                           (0 <=x<= 2π)
にこの定理を適用して、ゼータの心をもった式を導出した。

さて、@の両辺を微分して出る次のフーリエ級数
  (π-x)/2 =sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・       ----A
                               ( 0 < x < 2π)
からも「その1」と本質的に同等の式が導出できることがわかった。@よりもAの方がより簡潔で基本的である
今回はこのAに定理3を適用して式を導出してみる。

 「その1」とは順番を変えて、2π代入-->π代入-->π/2代入(-->π/3代入)の順番で見ていく。この方がより自然
な流れとなる。「その1」ではこの辺がよくわかっていなかったので他公式を援用したりして混乱した大変ぎこちない書き方
になってしまった。最初というのはジャングルの中をさまよっているようなもので往々にしてそうなりがちなのだが、後で振り
返ってみると「ああ、あそこはああ行くべきだった」というのが分かってくるのである。
 そこで「その2」ではAと定理3のみでどこまでいけるかという方針の元に書いていきたい。「その1」はテスト的なものと
してそのままにしておく(ただし結果は正しい)。この「その2」から本番スタートとさせていただく。

=================
Kono氏の拡張

 私は10日ほど前に数学仲間のKono氏にこの作用素の定理を伝えた。すると氏の研究とも関係したようで早速この
定理の拡張と応用を示された。氏のサイト
http://www.geocities.jp/uchu_tako/newpage2.html
の「16 関数の積の高階積分」の後半部分16・8に、本定理の紹介とKono氏による定理の拡張と別証明、そして興味
深い応用例が示されている。ぜひご覧ください。




2009/2/21     <G(x)=(π-x)/2-sinx に作用素の定理3を適用、代入>

定理3
  G(x)は、べき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて、次が成り立つ。

     e^x∫e^(-x)G(x)dx(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx+∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx +・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・など
   の重回積分を表す。


[計算(2π代入)]
フーリエ級数の公式
  (π-x)/2 =sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・       ----@
                               ( 0 < x < 2π)
に定理3を適用する。
 その前に一工夫加える。@の右辺のsinx/1を左辺に移項して次の形にする。
  (π-x)/2 - sinx=sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・         ----A

 @のままでなくこの形にしたのは、@の状態で定理3を適用したのでは途中で特異点的な状況が発生することがわかった
ので((1-1+1-1+・・)のようなことが起こる)、それを避けるためである。こうしておけば安心である。

まずAの右辺をG(x)と見て、定理3の式の右辺側を計算する。

(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)
=(∫+∫^2+∫^3+・・・)(sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・)
=∫(sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・)dx + ∫∫(sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・)dx dx
    +∫∫∫(sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・)dxdxdx + ・・・

 この右辺を一つづつ計算しよう。∫の積分範囲はすべて0〜xである。
∫(sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・)dx
=(-cos2x/2^2 - cos3x/3^2 - cos4x/4^2 - ・・) + (ζ(2)-1)

∫∫(sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・)dxdx
=(-sin2x/2^3 - sin3x/3^3 - sin4x/4^3 - ・・) + (ζ(2)-1)x

∫∫∫(sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・)dxdxdx
=(cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + cos4x/4^4 + ・・) + (ζ(2)-1)x^2/2!- (ζ(4)-1)

∫∫∫∫(sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・)dxdxdxdx
=(sin2x/2^5 + sin3x/3^5 + sin4x/4^5 + ・・) + (ζ(2)-1)x^3/3!- (ζ(4)-1)x

∫∫∫∫∫(sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・)dxdxdxdxdx
(-cos2x/2^6 - cos3x/3^6 - cos4x/4^6 - ・・) + (ζ(2)-1)x^4/4!- (ζ(4)-1)x^2/2!+ (ζ(6)-1)
     ・
     ・
上の左辺ばかり、右辺ばかりを縦に足し算して整理すると次のようになる。

(∫+∫^2+∫^3+・・・)(sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・)
 =-{cos2x/(2^2+1) + sin2x/(2(2^2+1)) + cos3x/(3^2+1) + sin3x/(3^2+1)
     + cos4x/(4^2+1) + sin4x/(4^2+1) + cos5x/(5^2+1) + sin5x/(5^2+1)
       + ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   }
    + e^x・[(ζ(2)-1) - (ζ(4)-1) + (ζ(6)-1) - (ζ(8)-1) + (ζ(10)-1) - ・・・ ]       ----B

 ここで例えば∫^3は∫∫∫の意味である。dx・・dx等は略した。
また
(ζ(2)-1) - (ζ(4)-1) + (ζ(6)-1) - (ζ(8)-1) + (ζ(10)-1) - ・・・
  =1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1)+ ・・・
が簡単な計算でわかるので、Bをこの右辺で置き換えて次を得る。

(∫+∫^2+∫^3+・・・)(sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・)
 =-{cos2x/(2^2+1) + sin2x/(2(2^2+1)) + cos3x/(3^2+1) + sin3x/(3^2+1)
     + cos4x/(4^2+1) + sin4x/(4^2+1) + cos5x/(5^2+1) + sin5x/(5^2+1)
       + ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   }
    + e^x・{1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}           ----B-2

 @よりB-2の左辺を書き換えると、次のようになる。

(∫+∫^2+∫^3+・・・){(π-x)/2-sinx}
 =-{cos2x/(2^2+1) + sin2x/(2(2^2+1)) + cos3x/(3^2+1) + sin3x/(3^2+1)
     + cos4x/(4^2+1) + sin4x/(4^2+1) + cos5x/(5^2+1) + sin5x/(5^2+1)
       + ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   }
    + e^x・{1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}           -----C

  (π-x)/2-sinx をG(x)とみて左辺に定理3を適用するとCは次のようになる。

e^x∫(0〜x) e^(-x){(π-x)/2-sinx}dx
 =-{cos2x/(2^2+1) + sin2x/(2(2^2+1)) + cos3x/(3^2+1) + sin3x/(3^2+1)
     + cos4x/(4^2+1) + sin4x/(4^2+1) + cos5x/(5^2+1) + sin5x/(5^2+1)
       + ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   }
    + e^x・{1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}           -----D


xに2πを代入するとDは次となる。(@は0 <x< 2πで成り立つので、2π代入はきわどいがこれがOKとなる。
フーリエシステムでもそうであったが、積分を行う場合はこの種のことがよく起こる)

e^(2π)∫(0〜2π) e^(-x){(π-x)/2-sinx}dx
 =-{1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・ }
    + e^(2π)・{1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・} 

 両辺をe^(2π)で割って次式を得る。

(0〜2π) e^(-x){(π-x)/2-sinx}dx
 =-e^(-2π)・{1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・ }
          + {1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}     ----F

 さて、ここで左辺はきちんと計算できる形なので計算してしまうと、次のようになる。

 F左辺=∫(0〜2π) e^(-x){(π-x)/2-sinx} dx=(π/2)・e^(-2π) + π/2 + e^(-2π) - 1

となるので、結局Fは次のようになる。

(π/2)・e^(-2π) + π/2 + e^(-2π) - 1
  =-e^(-π)・{1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・ }
                + {1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}  ----G

これより容易に
 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・=-1 + (π/2)・{(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)}
が得られる。

両辺に1/(1^2+1)=1/2を加えて次を得る。

1/(1^2+1) + 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・
                       =-1/2 + (π/2){(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)}

以上。

作用素の定理3から導出

 1/(1^2+1) + 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・
                       =-1/2 + (π/2){(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)}

 または萩L号で表現すると次となる。

 (n=1〜∞) 1/(n^2+1)-1/2 + (π/2){(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)}
 





2009/2/21     <G(x)=(π-x)/2-sinx に作用素の定理3を適用、π代入>

次にπ代入を調べる。

定理3
  G(x)は、べき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて、次が成り立つ。

     e^x∫e^(-x)G(x)dx(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx+∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx +・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・など
   の重回積分を表す。


[計算(π代入)]
フーリエ級数の公式
  (π-x)/2 =sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・       ----@
                               ( 0 < x < 2π)
に定理3を適用する。

途中まで上の2π代入と同じなので、2π代入のDから出発する。

e^x∫(0〜x) e^(-x){(π-x)/2-sinx}dx
 =-{cos2x/(2^2+1) + sin2x/(2(2^2+1)) + cos3x/(3^2+1) + sin3x/(3^2+1)
     + cos4x/(4^2+1) + sin4x/(4^2+1) + cos5x/(5^2+1) + sin5x/(5^2+1)
       + ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   }
    + e^x・{1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}           -----D

両辺e^xで割った式にπを代入するとDは次となる。

(0〜π) e^(-x){(π-x)/2-sinx}dx
 =-e^(-π)・{1/(2^2+1) - 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) - 1/(5^2+1) + ・・・ }
          + {1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}     ----E

 さて、ここで左辺はきちんと計算できる形なので計算してしまうと、次となる。

 E左辺=∫(0〜π) e^(-x){(π-x)/2-sinx} dx=π/2 - 1

となるので、結局Eは次のようになる。

π/2 - 1=-e^(-π)・{1/(2^2+1) - 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) - 1/(5^2+1) + ・・・ }
                  + {1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}  ----F

 ここで2π代入で出した
 1/(1^2+1) + 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・=-1/2 + (π/2){(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)}
を利用すると、Fから容易に
 1/(2^2+1) - 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) - 1/(5^2+1) + ・・・=e^π・π/(e^(2π)-1)
を得る。
 両辺を(-1)倍した後、両辺に1/(1^2+1)=1/2を加えて次を得る。

 1/(1^2+1) - 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) - 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) - ・・・=1/2 - π・e^π/(e^(2π)-1)

以上。

作用素の定理3から導出

 1/(1^2+1) - 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) - 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) - ・・・=1/2 - π・e^π/(e^(2π)-1)

 または萩L号で表現すると次のようになる。

  (n=1〜∞) (-1)^(n+1)/(n^2+1)1/2 - π・e^π/(e^(2π)-1)
 




2009/2/21     <G(x)=(π-x)/2-sinx に作用素の定理3を適用、π/2代入>
(2009/3/21改)

次にπ/2代入を調べる。

[計算(π/2代入)]
フーリエ級数の公式
  (π-x)/2 =sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・       ----@
                               ( 0 < x < 2π)
に定理3を適用する。

途中まで上の2π代入と同じなので、2π代入のDから出発する。

e^x∫(0〜x) e^(-x){(π-x)/2-sinx}dx
 =-{cos2x/(2^2+1) + sin2x/(2(2^2+1)) + cos3x/(3^2+1) + sin3x/(3^2+1)
     + cos4x/(4^2+1) + sin4x/(4^2+1) + cos5x/(5^2+1) + sin5x/(5^2+1)
       + ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   }
    + e^x・{1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}           -----D

xにπ/2を代入するとDは次となる。

e^(π/2)∫(0〜π/2) e^(-x){(π-x)/2-sinx}dx
 ={1/(2^2+1) + 1/(3(3^2+1)) - 1/(4^2+1) - 1/(5(5^2+1))
       + 1/(6^2+1) + 1/(7(7^2+1) - 1/(8^2+1) - 1/(9(9^2+1)) + ・・・ }
    + e^(π/2)・{1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}     ----E

 両辺をe^(π/2)で割って、右辺をさらに整理して次式を得る。

(0〜π/2) e^(-x){(π-x)/2-sinx}dx
=e^(-π/2)[{1/(2^2+1) - 1/(4^2+1) + 1/(6^2+1) - 1/(8^2+1) + ・・・}
          - {-1/(3(3^2+1)) + 1/(5(5^2+1)) - 1/(7(7^2+1) + 1/(9(9^2+1)) - ・・・}]
            + {1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}                ------F

 さて、ここで左辺はきちんと計算できる形なので計算してしまうと、

 F左辺=∫(0〜π/2) e^(-x){(π-x)/2-sinx} dx=-(π/4)・e^(-π/2) + π/2 + e^(-π/2) - 1

となるので、結局Fは次のようになる。

-(π/4)・e^(-π/2) + π/2 + e^(-π/2) - 1
=e^(-π/2)[{1/(2^2+1) - 1/(4^2+1) + 1/(6^2+1) - 1/(8^2+1) + ・・・}
           - {-1/(3(3^2+1)) + 1/(5(5^2+1)) - 1/(7(7^2+1) + 1/(9(9^2+1)) - ・・・}]
         + {1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}        ------G

G右辺の3番目の{}に注目しよう。
2π代入で出した
 1/(1^2+1) + 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・=-1/2 + (π/2){(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)}
を利用するとGは次のようになる。

-(π/4)・e^(-π/2) + π/2 + e^(-π/2) - 1
=e^(-π/2)[{1/(2^2+1) - 1/(4^2+1) + 1/(6^2+1) - 1/(8^2+1) + ・・・}
           - {-1/(3(3^2+1)) + 1/(5(5^2+1)) - 1/(7(7^2+1) + 1/(9(9^2+1)) - ・・・}]
                    + {-1 + (π/2){(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)}}

 きれいに形を整えると次となる。

{1/(2^2+1) - 1/(4^2+1) + 1/(6^2+1) - 1/(8^2+1) + ・・・}
 - {1/(1(1^2+1)) - 1/(3(3^2+1)) + 1/(5(5^2+1)) - 1/(7(7^2+1) + ・・・}
                                    =1/2 -π/4 - π・e^(π/2)/(e^(2π)-1)

 このように「二つの級数の和が右辺」という式が得られた。萩L号で表現すると次のようになる。

(n=1〜∞) (-1)^(n+1)/{(2n)^2+1)} - (n=1〜∞) (-1)^(n+1)/{(2n-1)・((2n-1)^2+1)}
                                    =1/2 -π/4 - π・e^(π/2)/(e^(2π)-1)

以上。

作用素の定理3から導出

 {1/(2^2+1) - 1/(4^2+1) + 1/(6^2+1) - 1/(8^2+1) + ・・・}
  - {1/(1(1^2+1)) - 1/(3(3^2+1)) + 1/(5(5^2+1)) - 1/(7(7^2+1) + ・・・}
                                    =1/2 -π/4 - π・e^(π/2)/(e^(2π)-1)

 または萩L号で表現すると次のようになる。

 (n=1〜∞) (-1)^(n+1)/{(2n)^2+1)} - (n=1〜∞) (-1)^(n+1)/{(2n-1)・((2n-1)^2+1)}
                                    =1/2 -π/4 - π・e^(π/2)/(e^(2π)-1)
 




2009/3/1     <G(x)=(π-x)/2-sinx に作用素の定理3を適用、π/3代入>
(2009/3/21改)

 次にπ/3代入を調べる。

[計算(π/3代入)]
フーリエ級数の公式
  (π-x)/2 =sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・       ----@
                               ( 0 < x < 2π)
に定理3を適用する。

途中まで上の2π代入と同じなので、2π代入のDから出発する。

e^x∫(0〜x) e^(-x){(π-x)/2-sinx}dx
 =-{cos2x/(2^2+1) + sin2x/(2(2^2+1)) + cos3x/(3^2+1) + sin3x/(3^2+1)
     + cos4x/(4^2+1) + sin4x/(4^2+1) + cos5x/(5^2+1) + sin5x/(5^2+1)
       + ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   }
    + e^x・{1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}           -----D

xにπ/3を代入するとDは次となる。

e^(π/3)∫(0〜π/3) e^(-x){(π-x)/2-sinx}dx
=(-1/2)[-1/2 + {1/(1^2+1) - 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) - 1/(4^2+1) + ・・・}]
+ (3/2){1/(3^2+1) - 1/(6^2+1) + 1/(9^2+1) - 1/(12^2+1) + ・・・}
+ (√3/2){-1/(2(2^2+1))+1/(4(4^2+1))+1/(5(5^2+1))-1/(7(7^2+1))-1/(8(8^2+1))+1/(10(10^2+1))+1/(11(11^2+1))-・・・}
    + e^(π/3)・{-1/2 + 1/(1^2+1) + 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・}     -----E

ここで、赤字の二つの級数は先に2π代入、π代入で次のように求めている。
 1/(1^2+1) + 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・
                       =-1/2 + (π/2){(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)}

 1/(1^2+1) - 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) - 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) - ・・・=1/2 - π・e^π/(e^(2π)-1)

よって、これらをEに代入して次を得る。

e^(π/3)∫(0〜π/3) e^(-x){(π-x)/2-sinx}dx
=(π/2)e^π/(e^(2π)-1) + (3/2){1/(3^2+1) - 1/(6^2+1) + 1/(9^2+1) - 1/(12^2+1) + ・・・}
+ (√3/2){-1/(2(2^2+1))+1/(4(4^2+1))+1/(5(5^2+1))-1/(7(7^2+1))-1/(8(8^2+1))+1/(10(10^2+1))+1/(11(11^2+1))-・・・
    + e^(π/3)・{-1 + (π/2){(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)}}                     -----F

Fの左辺を計算すると、
 F左辺e^(π/3)(0〜π/3) e^(-x){(π-x)/2-sinx}dx=-π/3+ (π/2)・e^(π/3) + √3/4 + 3/4 - e^(π/3)

となるので、Fは次となる。

-π/3+ (π/2)・e^(π/3) + √3/4 + 3/4 - e^(π/3)
=(π/2)e^π/(e^(2π)-1) + (3/2){1/(3^2+1) - 1/(6^2+1) + 1/(9^2+1) - 1/(12^2+1) + ・・・} + √3/4 - π/3
 + (√3/2){-1/(2(2^2+1))+1/(4(4^2+1))+1/(5(5^2+1))-1/(7(7^2+1))-1/(8(8^2+1))+1/(10(10^2+1))+1/(11(11^2+1))-・・・
     + e^(π/3)・{-1 + (π/2){(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)}} 

右辺の青字の級数を1/1(1^2+1)ではじまる形にしたりして、全てを整理すると、次となった。

3{1/(3^2+1) - 1/(6^2+1) + 1/(9^2+1) - 1/(12^2+1) + 1/(15^2+1) - 1/(18^2+1) + ・・・
  - √3{1/(1(1^2+1)) + 1/(2(2^2+1)) - 1/(4(4^2+1)) - 1/(5(5^2+1)) + 1/(7(7^2+1)) + 1/(8(8^2+1))
         - 1/(10(10^2+1)) - 1/(11(11^2+1)) + 1/(13(13^2+1)) + 1/(14(14^2+1)) - ・・・
                           =3/2 - 2π/3 - π(e^π+2e^(π/3))/(e^(2π)-1)   -------G

 このような赤字と青字の二つの級数が含まれた式が求まった。

 萩L号で表現すると次のようになる。

3(n=1〜∞) (-1)^(n+1)/{(3n)^2+1)} - √3(n=0〜∞) (-1)^(n+2)・[1/{(3n+1)((3n+1)^2+1)} + 1/{(3n+2)((3n+2)^2+1)}]
 =3/2 - 2π/3 - π(e^π+2e^(π/3))/(e^(2π)-1)

以上。

 念のため、Excelを用いて数値的な検証も行ったがGはもちろん正しい式である。

作用素の定理3から導出

 3{1/(3^2+1) - 1/(6^2+1) + 1/(9^2+1) - 1/(12^2+1) + 1/(15^2+1) - 1/(18^2+1) + ・・・}
   - √3{1/(1(1^2+1)) + 1/(2(2^2+1)) - 1/(4(4^2+1)) - 1/(5(5^2+1)) + 1/(7(7^2+1)) + 1/(8(8^2+1))
         - 1/(10(10^2+1)) - 1/(11(11^2+1)) + 1/(13(13^2+1)) + 1/(14(14^2+1)) - ・・・}
                           = 3/2 - 2π/3 - π(e^π+2e^(π/3))/(e^(2π)-1)

 または萩L号で表現すると次のようになる。

 3(n=1〜∞) (-1)^(n+1)/{(3n)^2+1)}
     - √3(n=0〜∞) (-1)^(n+2)・[1/{(3n+1)((3n+1)^2+1)} + 1/{(3n+2)((3n+2)^2+1)}]
                            =3/2 - 2π/3 - π(e^π+2e^(π/3))/(e^(2π)-1)
 




2009/3/2                < まとめ >

 本頁の2π代入,π代入,π/2代入,π/3代入の結果をまとめておく。

作用素の定理3から導出した式

   (π-x)/2 =sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・・       ----@
                               ( 0 < x < 2π)

 定理3を@のフーリエ級数に適用して次式を導出した。

[2π代入]
 1/(1^2+1) + 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) + 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) + ・・・
                       =-1/2 + (π/2){(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)}

 萩L号で表現すると次となる。

 (n=1〜∞) 1/(n^2+1)-1/2 + (π/2){(e^(2π)+1)/(e^(2π)-1)}



[π代入]
 1/(1^2+1) - 1/(2^2+1) + 1/(3^2+1) - 1/(4^2+1) + 1/(5^2+1) - ・・・=1/2 - π・e^π/(e^(2π)-1)

 萩L号で表現すると次のようになる。

  (n=1〜∞) (-1)^(n+1)/(n^2+1)1/2 - π・e^π/(e^(2π)-1)



[π/2代入]
 {1/(2^2+1) - 1/(4^2+1) + 1/(6^2+1) - 1/(8^2+1) + ・・・}
  - {1/(1(1^2+1)) - 1/(3(3^2+1)) + 1/(5(5^2+1)) - 1/(7(7^2+1) + ・・・}
                                    =1/2 -π/4 - π・e^(π/2)/(e^(2π)-1)

 萩L号で表現すると次のようになる。

 (n=1〜∞) (-1)^(n+1)/{(2n)^2+1)} - (n=1〜∞) (-1)^(n+1)/{(2n-1)・((2n-1)^2+1)}
                                    =1/2 -π/4 - π・e^(π/2)/(e^(2π)-1)



[π/3代入]
 3{1/(3^2+1) - 1/(6^2+1) + 1/(9^2+1) - 1/(12^2+1) + 1/(15^2+1) - 1/(18^2+1) + ・・・}
   - √3{1/(1(1^2+1)) + 1/(2(2^2+1)) - 1/(4(4^2+1)) - 1/(5(5^2+1)) + 1/(7(7^2+1)) + 1/(8(8^2+1))
         - 1/(10(10^2+1)) - 1/(11(11^2+1)) + 1/(13(13^2+1)) + 1/(14(14^2+1)) - ・・・}
                           = 3/2 - 2π/3 - π(e^π+2e^(π/3))/(e^(2π)-1)

 萩L号で表現すると次のようになる。

 3(n=1〜∞) (-1)^(n+1)/{(3n)^2+1)}
     - √3(n=0〜∞) (-1)^(n+2)・[1/{(3n+1)((3n+1)^2+1)} + 1/{(3n+2)((3n+2)^2+1)}]
                            =3/2 - 2π/3 - π(e^π+2e^(π/3))/(e^(2π)-1)




 (π-x)/2 =sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・・
                             ( 0 < x < 2π)

このような単純な式から数々の深みのある級数が飛び出してくる様を味わっていただきたい。π/4代入、π/5代入では?




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