手のひらの汗
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−手掌部発汗の経路−

手のひらの汗ってなにものなの?どうやったら止められるの?
その理解を深めるために,今回は発汗を促すような刺激が脳に入った後,手のひらまでどのような経路で伝わり,汗になるかについてお話しするよ.

発汗信号の伝達経路

上位中枢 大脳皮質前運動野,
大脳辺縁系,
視床下部
脊髄中枢
(発汗神経核)
第8頚髄から第6胸髄側角
(手掌部)
末梢神経 交感神経節後線維
末梢効果器 汗腺(エクリン腺)
   (間野忠明「ヒトの交感神経活動とその病態」より一部引用)

精神性発汗の中枢

 また後で詳しくお話しようと思うのでここでは簡単に...
 精神性発汗の中枢,つまり手に「汗を出せ」って指令する頭の部分は,大脳皮質前運動野,辺縁系,視床下部が関与すると言われているんだ.そして手のひらに行く神経の脊髄中枢−脊髄って知ってるよね,頭から出てる神経で背骨の内側でしっかりと守られてるやつだよね−は,この第8頚髄から第6胸髄の側角.つまり首の下の方から胸辺りまでの神経で,「発汗神経核」なんて呼ばれてる.言葉が難しくてわかんないよね.ふ〜んって,そんな程度に,聞いておいてね.
 この発汗神経核からのインパルス情報が,コリン作動性交感神経節後線維を通って,手のひらの汗腺に伝えられるってワケ.脊髄から出た神経が椎骨の間を通って,手のひらに延びて行くんだね.
 コリン作動性ってなんだよぅ..って?
 その説明をする前に,これに対してアドレナリン作動性ってのもあるんだよ.さて,自律神経の軸策では電気でその信号が送られるんだけど,神経線維の継ぎ目−難しくはシナプス接合部なんて,高校の生物の時間に習ったかしらん−では,化学物質による伝達が行なわれるんだ.その伝達物質がアセチルコリンってこと.これは副交感神経の伝達によく使われる物質で,交感神経の場合ノルアドレナリンが常.ほら,頑張ろうって時に,アドレナリンが出るぅなんて言うでしょ.汗はアセリルコリンで出るってこと,覚えておいてね.
(荻原政彦「自律神経系のしくみと働き」の図を一部改変)

末梢効果器

 頭から信号が伝わってきて最後の部分,末梢の効果器.つまり神経から信号を受け取って,汗を産生するところ汗腺だ.これは一般的にエクリン腺アポクリン腺の2種類に分類されるのだが,それは分泌様式によるものと聞く.
 手のひらにあるのはエクリン腺.これが足の裏含め,ほぼ全身に分布する.このエクリン腺,毛根部以外のところ,つまり毛のないところに開口し,細胞の形や大きさを変えることなく,塩分に富んだ液体を分泌するんだ.ちなみにアポクリン腺は,その導管が毛根部に開口してる.皮脂腺なんかも,近くにあるんだよね.それで細胞体の一部がちぎれ,タンパク質を多く含んだ細胞内液を出す.腋の下や陰部にある汗腺なのだが,その汗にはタンパクが含まれ栄養物が多い.おまけに毛の多いところにあるものだから,放っておくと雑菌が繁殖したりして臭いの元になる...^^;
図.エクリン腺,アポクリン腺の皮膚における存在様式


(引用:大橋俊夫「汗をかいた後のビールはなぜおいしいのか」)
(汗腺の絵は,文献にあった中野朋彦さんのイラストを利用させていただきました)
う〜ん..なんだか難しい言葉をいっぱい使ってしまったね.まぁ,こんなところが関係して,手のひらの汗が出てくるんだなってイメージができたら,それでOKかな...
次回は,汗腺でどうやって汗を作るのかっていうお話をしますね.


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