生体リズムと健康法

−生体リズムってなに？−

これは何のリズムでしょう？
これ何だかわかるかな？ 　名古屋大学の林って先生が'92に発表された健康な人の１日の収縮期血圧（最高血圧，つまり高い方の血圧）なんだな． 　ウォークマンみたいな携帯式の血圧計が，いま世の中にある（実は私の会社で売っていたりして．．．）．それで30分おきとかに，自動的に血圧を計るしくみ．そうすると，こんなデータが採れるってわけ． 　「血圧高いよ！」って言われてるあなた． 　どう？　１日に，こんなにも血圧が変動するってこと，知ってた？ （林　博史：頭のリズム・体のリズム）
時間医学
例えば血圧を計って，上が150mmHgあったとするよね．それ，午前11時頃，つまり１日の中で，血圧が一番高くなる時間帯．そういう時のものだったら，そう問題視することもないわけ．でも，それが夜の11時頃だったとしたら，これは，ちょっとやばいかも．．． 　メイン・コンテンツでも書いたけれど，白衣性高血圧なんてのもあるわけで，身体の活動状況や精神的ストレスによっても，すぐ変化する．いままで，病院とかで血圧計ってもらって，「上が150，下が90，高血圧だね」なんて言われたことない？　それも，たった１回の測定だけで． 　血圧を例にあげたけど，こんな風に人間の身体は，いろんなリズムを持ってて，それがうまく絡み合って調節されてるんだよ．そういうリズムをみて，診断，治療していこうっていうのが，時間医学． ある一時の，その時だけの測定値を元にしての診断は，ちょっと考えものだね． 　生体リズムの名づけ親，アメリカ，ミネソタ大のフランツ・ハルバーグ教授は「時間を考慮しない医学は医原病，さらには医療死をつくる可能性が大きい」なんて公言してるんだ． 　じゃあ，なぜいままで，そういう治療が，あまりされてなかったのかって？ 　それはまだ，この領域の研究成果がまとまってきて40年くらいしか経ってないからなんだ．しかも日本なんて，その半分くらい．まだまだこれからだよね．それに，そういう診断や治療をするためには，それを可能にする医療用の器械の研究開発も必要なんだよ．最近でこそ，ウェアラブル・コンピュータなんて，超小型コンピュータが作られたりして，ようやく，そういうことが，技術的に可能になったってとこなんだな．
生体リズム（biological rhythm）
まず最初にことわっておくよ．バイオリズムじゃないからね（笑）．それは占い，間違えないで．ちなみにバイオリズムっていうのは，結構みんな知ってるよね．身体，感情，知性のリズムっていうやつ．これはドイツ，ベルリン大のウイルヘルム・フリーズって学者が提唱した経験則．ただ，それを，かの有名な（？）精神分析学者のフロイトさんが支持したもんだから，えらく信じられてしまって，科学のように勘違いしてる人も中にはいるらしい． 　このあとは，約１日周期の概日リズムについて書いてみるけど，他にも月の周期，年の周期，汐の満ち引きに関係するリズム，あるいは１日より短い周期のリズムもあったりする．
概日リズム（circadian rhythm：サーカディアンリズム）
さて，あなた，いつもの自分の生活，ちょっと振り返ってみてよ．眠くなるのも腹が減るのも，だいたい同じ時刻だよね．そう，それが生体リズム．地球の自転に合わせて，だいたい24時間周期に調節されてるんだ．元々は24.5〜25時間くらいらしい．これは外界の刺激を完全に断った実験，たとえば防空壕を利用して行われたり，そんな実験でわかったことなんだ． 　そういう生体のリズムは，毎朝昇る朝日，つまり強烈な太陽光や遺伝要因で決まるんだって．で，そこに日々の生活の中で，決まった時間に始まるテレビ番組とか，毎朝の新聞配達の音，小鳥のさえずり，あるいは食事，これらを社会的同調因子なんていうんだけど，そういう規則正しい刺激が，24時間のリズムを作っていくわけ．
睡眠−覚醒のリズムと体温（直腸温），心拍数
さっきは血圧のリズムを見たよね．今度は体温と心拍数を見てみましょ．
（小山恵美：ヒトの日常生活における直腸温と心拍数計測および両者日内変動の相関関係）

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