スカイブルーの空にコバルトブルーの海。
夏まっさかりのここは南国。
避暑……と言うには似合わないけれど。
あついのが嫌いな僕たちがここにいるのも似合わないような気がするけれど。
たま〜にのんびりするには悪くない。
「……なんかいつもかけてるから、こう、素な所って珍しくない?」
俺がサングラスを外しているのが珍しいらしい。
マレイグが俺の顔を見て言う。
俺は日よけのビーチパラソルの下でチェアに寝転がって海を眺めている。
そして俺の顔にはサングラスがない。
いつも離さずに顔に身につけているサングラス。
たまには外したくなるってもんだ。
「別に無くたって俺だってわかるんだから良いだろう?」
「一般的に埋没しやすいからってサングラスかけたんじゃなかったっけ?」
デビューの時の俺のビジュアルイメージ確定の瞬間を思い出したチェスターが言う。
「地味だからって言う理由だっけ?」
それを思い出してマレイグは笑い出す。
あのなぁ、目立たなくて良いじゃないか。
俺は基本的にあまり目立ちたくないんだよ。
「でも僕やマレイグが目立つから無理なんじゃないの?」
さりげなく自分も目立つぞと自慢した気なチェスターが言う。
そうですね、あなたたちと来たのが間違いだと俺は今更ながらに思ってますよ。
ここは有名リゾート地の有名な浜辺。
プライベートビーチじゃないから、ほかにもたくさんの人が来ている。
俺たちの事を気づかない人がいないわけ無い。
案の定、気づかれた。
だから、俺はさっさとサングラスを外した。
日焼け対策も兼ねている。
サングラスをしたままの太陽の下は、たとえ日焼け止めをしていたとしても、もちろんそうでなくても悲惨の一言に過ぎない。
サングラスの日焼けだけは勘弁願いたい。
だから俺はサングラスを外す。
そのままうろつけば……周囲の人間は気がつかない。
一瞬自分のアイデンティティーに悩みもしたが、気がつかれないことによる開放感には変えられなかった。
時には俺だと気がつく人もいるにはいたが。
そういう人間はそっと近寄ってくる。
周囲に俺だと気づかせないように。
ところが、マレイグやチェスターはそうはいかない。
サングラスをかけようがかけまいが関係ない。
彼らのそういう姿はすでに公表されているからだ。
俺だけ、俺だけはサングラス姿のみ。
「だから、俺は言ったんだぜ?プライベートビーチじゃなくてもいいのかって」
もちろん、俺は最初に提案したんだ。
ホテルなどに併設されているプライベートビーチはホテルに宿泊する人間しかその場に足を踏み入れられない。
そこだったら、こんな大量の人がいるようなビーチでは無い。
なのに、たまには行ってみたいとの一言で一般ビーチへと行く事になった。
その結果がこれだ。
「まぁ今日は人物観察しながらのんびりしてさ(たくさんの人がいるからある意味無理だろうけど)あしたプライベートビーチに行けばいい」
不満顔の二人をよそに俺はパラソルの影を日よけにして海を見つめていた。
TM好きにのお題はたぶんこのお題:ハワイで終了だと思います。
後は番外編だっけ?
リゾート地の名前を考えていません。
3人が居るのはハワイの中でテレビでもよく聞くあのビーチです。