遺言で「相続させる」旨の指定された者が遺言者よりも早く死亡した場合の問題

2011(平成23)年8月31日

 最高裁判所平成23年2月22日の判決により,遺言書で「相続させる」旨の遺言の名宛人(受益相続人)が遺言者より先に死亡した場合に,当該遺言は当該「相続させる」旨の遺言にかかる条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者のおかれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情がない限り,その効力を生じることはないと判断しております。

 従って,上記の特段の事情がない限り,「相続させる」旨の遺言があったとしてもその名宛人である受益相続人が遺言者よりも先に死亡した場合は,その遺言は効力がなくなり,その受益相続人の代襲相続人等が遺言により遺産を相続することが出来ないことになります。

 遺言者としては,もし遺言の名宛人(受益相続人)が遺言者より先に死亡する場合を慮り,補充的に,「受益相続人が遺言者より先に死亡した場合はその受益相続人の代襲相続人に相続させる」など,遺言書において明確に補充的指定をしておくことが必要になります。

以上


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