夫の借金について妻は原則として支払義務がない
(借金と日常家事債務との関係)

2011(平成23)年4月12日

 民法は,夫婦別財産の原則をとっており,夫婦といってもその財産及び債務については原則的に別ですので,妻が夫と同じ家に住み同じ食事をしていても,妻は夫の借金について支払義務はありません。

 この場合に問題になってくるのが,民法761条の「日常の家事に関する債務の連帯責任」の規定が適用になるかということです。この条文は,日常家事債務すなわち,食料品とか日常的な衣服について一方の配偶者がお店等から「つけ」で買った場合に,他方の配偶者がその「つけ」の債務について連帯して支払義務を負うという規定です。

 しかし,配偶者の金銭の借入債務は,原則として日常家事債務ではないとの判例がありますので,妻は,原則として夫の借金について支払義務を連帯して負うということはありません。

 ただし,妻が夫の借金について保証人となっていた場合は,妻は保証人として支払義務がありますし,妻が夫と離婚してもなお保証人として支払する義務があります。


以上



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