スナック,クラブ,飲食店,ホテルの「つけ」の1年の消滅時効は,改正民法により2020(令和2)年4月1日から5年になりました。
2011(平成23)年2月3日
2020(令和2)年5月21日改訂
2020(令和2)年5月21日改訂
- 1 スナック,クラブ,飲食店,ホテルの「つけ」については,ホテル,料理店,飲食店等の飲食料等の債権となり,旧法の民法第174条で1年間という極めて短い消滅時効が規定されていました。
そして,その消滅時効は原則としてその客が飲みに来た都度,ないし,宿泊した都度その「つけ」にした利用料金について別々に進行を始めます。 - 2 しかし,客が1円でも「つけ」の支払をした場合はそれ以前に発生したつけの全額について債務を承認したとされ,そのときに消滅時効が中断(新法では「時効の更新」)します。
- 3 旧法では,その客が最後に支払をしたときから1年で消滅時効が完成することになります。
客に対して1か月に1回ずつ請求書を出していたとしても,その請求は1年の消滅時効が完成するのを6か月間だけ阻止する効力(それも1回だけです。)があるだけです。
その6か月内に裁判上の訴訟手続や簡易裁判所に支払督促の申立等をしないと時効によって消滅してしまいます。 - 4 この1年の消滅時効が,2020(令和2)年4月1日施行の改正民法166条1項により,債権者が権利を行使できることを知ってから5年になりました。
但し,2020(令和2)年3月31日以前に発生した「つけ」の消滅時効は1年です。5 改正された消滅時効に関しては,
2002(H14)年5月24日時効-取得時効,消滅時効
をご覧下さい。 - 6 なお,消滅時効にかからないようにする方法としては,
その客から毎月少しずつでも支払ってもらい,その回収金について客に領収書を発行し,複写式の領収書を使いこちらの方の領収書の控えにその人から領収書を受け取ったという署名なり押印をしてもらうと,その人がその日に支払をしたということが証明できます。債務者が支払いをすることは,債務承認行為として時効中断効(改正法では「時効の更新」(民法160条,161条))がありますので,それまで進行していた消滅時効が中断(改正民法では「時効の更新」)され,その弁済を受けた日から5年間消滅時効が完成しないことになります。
その客が全く支払ってもくれないという場合は,簡易裁判所に支払督促とか少額訴訟ないし一般訴訟をやることにより法的な手続で解決するしかないと思われます。
詳しいことは弁護士ないし司法書士にご相談下さい。
以上