有責配偶者の財産分与請求と他方配偶者の慰謝料請求
2010(平成22)年5月25日
妻が夫と婚姻後,夫以外の男性と男女関係をもち,そのことが原因で夫と離婚した場合,有責配偶者(離婚原因をつくった配偶者)である妻も夫に対し財産分与を請求することができます。
離婚には財産分与という制度があり,結婚してから夫婦が共同して作った財産について名義がどちらの名義であれすべての財産を合算してその寄与の度合いにより分配するのが財産分与で,通常は妻の財産分与の割合は5割と考えられます。また,財産分与は,結婚を駄目にした有責配偶者も請求できます。
ただし,この財産分与の請求権は,離婚してから2年間の権利行使期間の制限がありますので,離婚後2年以内に家庭裁判所に財産分与の調停申立をするのが良いです。
他方,離婚に伴う慰謝料とは,離婚の原因を作った当事者が他方の配偶者に対し離婚に伴う精神的苦痛を慰謝するためのもので,200万円から300万円の範囲で認められる場合が多いと思います(これ以上の額を認めた裁判例もあります)。これは,不法行為に基づく損害賠償請求権ですので,消滅時効期間は,離婚から3年です。
夫は有責配偶者である妻に対して慰謝料請求権を有することになります。
つまり,妻の夫に対する財産分与請求権と夫の妻に対する慰謝料請求権とは両立することになります。
以上