賃借権の時効取得

2010(平成22)年4月15日

 地主から,賃借している土地の一部を「貸していない土地だから返せ。」という土地明渡請求訴訟を提起された場合に,借地人として「返還する必要はない。」と争う場合,借りている土地の範囲及び土地を保有する権原を,借地人が主張し立証することが必要になります。
 あなたが地主から借りている借地の範囲については,土地の賃貸借契約書に借地の範囲を正確に測量した図面があれば,その図面の範囲が借地の範囲になりますので,地主が返還要求している土地は借りている土地の範囲内であるから返せないと主張立証できます。
 しかし,土地賃貸借契約書に正確な図面がない場合,地主が返還要求している範囲の土地に,例えばあなたが塀を建てたり,何らかの工作物を造ったり,建物を建てたりしている場合は,その建物を建てたり塀を建てたり等したときから10年間(善意無過失の場合)ないし20年間(善意無過失でない場合)その範囲の土地を平穏かつ公然に占有していますと,その土地の範囲の借地権を時効取得したという主張立証が可能になります。
 したがって,そのような場合訴訟であなたが地主からの土地明渡請求を拒否することができます。

以上

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