占有移転禁止の仮処分

2009(平成21)年7月2日

 私は繁華街に飲食店ビルを有してそのビルを飲食店などのテナントに賃貸しています。ところが,そのうちの1件のスナックの経営者が大分家賃を滞納した上最近姿が見えなくなり,店も閉じています。このような場合,どのようなことをすればよろしいのでしょうか。

 まずそのテナントに対し,一定期間を区切って滞納家賃全額を請求する旨及び,その期限内に滞納家賃全額の支払いがなければ賃貸借契約を解除する旨の内容証明の配達証明郵便を送付し,その内容証明郵便が送達されてその期限が経過しても家賃全額の支払いがない場合は,裁判所に対して,その建物について賃借人であるテナントが第三者に占有を移転しないように占有移転禁止の仮処分の申立をすることが必要です。この占有移転禁止仮処分をもらうために家賃数ヶ月分のお金を供託しなければなりません。この供託したお金は裁判が終わった場合に返還されます。この様な占有移転禁止の仮処分をやらないでテナントを被告として建物明渡訴訟を提起して勝訴判決を得て強制執行しても,もしそのテナントが第三者に又貸ししていてその建物を第三者が使っていたりした場合は,その判決に基づいてはその又貸しを受けた第三者をその建物から強制的に退去させることができなくなります。そして今度はその第三者を被告として別に訴訟を提起しなければならなくなります。

 以上のように,まず家賃請求と賃貸借契約解除の通知をなし,占有移転禁止の仮処分をかけた上で,テナントを被告として建物明渡訴訟と家賃の請求及び賃貸借契約解除後明渡し済みまでの賃料相当損害金の請求の訴訟をすることになります。

前のページへ戻る